【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
【異界作成技術】の修行からしばらくは異界構築についてあれこれと試す日々が続き、その合間にも鍛錬や生産作業、細々とした思い付きに対する意見交換など、充実した日々を過ごしていたある日のこと。
異界に植える植物のことも在って直接農地の方へ向かっている途中、縁側でのんびりとくつろぐ男性が目に留まる。
「ウホッ!いい男……」
「やらないか」
「そこは、女は帰れ、じゃないんですねぇ」
「俺は男も女も食っちまう男だからな」
「ある意味進化形なんですかね?初めましてくそみそニキ*1、探求者こと瑞樹と言います。こっちは私の式神の久遠」
「瑞樹の式神で久遠と言う、よろしく頼む」
「ああ嬢ちゃんが心のち●こを実際に生やした性の探求者か、ミナミィネキと言いガイアしてんな。そっちの式神っ娘もよろしく」
ついネタにはしってしまったけど、こうして目の前で男臭く笑い声を上げるいい男は少し前からガイア連合山梨支部に所属することになった〝俺ら〟の一人で、その見た目と本人の趣味嗜好からくそみそニキと呼ばれるようになった人。
まあ趣味嗜好は今知ったんだけど、掲示板で騒がれた時の内容からすると今の連合員よりも前から霊能力者として活動していたらしく、霊感から受ける印象は確かに格上の力を感じさせるもので、いい男と感じるのもある意味ではそう言った部分から来る本能的な物なのだろう。
「いやほんと、ガイア連合って頭オカシイよね。良い意味で、私は兎山詩乃*2、シノって呼んでね。あっくんの弟子でもあるけど、ガイア連合に所属したし、これからは技術部での活動がメインになるかな」
「よろしくです。技術部って事はこれからも顔を合わせる事が多くなりそうですね」
「そういや大体のとこで探求ネキの名前を聞くが、所属は何処になるんだ?」
「一応メインは技術部ですね。この年齢なので外部依頼は面倒が増えるため基本神社内に居る感じです。後は素材調達と鍛錬兼ねて修行場異界はよく行ってるので、山梨支部での修行メインの上位レベル帯と同じぐらいの所を探索してます。農業部の方も初期から世話してる畑とか在るので、基本分身任せですけど今日みたいに顔を出したりはしてますね。事務関係は最近⑨ニキ*3が入る様になったので差し入れ持って行くぐらいですし、アル社長の方から依頼が来たらアニメ関連の手伝いはしますけど、大体この辺ですかね」
「働き過ぎじゃ無い?と言うか分身って言った?なに、忍者か何かなの?」
何やらシノさんが宇宙猫っぽい感じになりかけてるので、ちょっと実演してみることにする。
「……うわー、分身って本当にあるんだ」
「こんな感じで、式神に分霊被せて影武者作る術式の事ですね。神主も使ってますけど、活動停止する時にそれまでの情報をフィードバック出来るので、戦闘とか新しい物を作るとかでも無ければ十分な労力になりますから、基本は分身をあちこちに回して、本体で鍛錬とか探索とかしてる感じです」
「ほう、こんな術式もあるんだな。そう言った術についても書庫にはあるのか?」
「神主独自の理論が書かれた冊子も含めて大体がおいてますね。ただ、【召喚術】系は生兵法だと危険すぎるからって神主が管理してますけど」
「式神系じゃなく悪魔召喚系の奴か、なるほどな……。ま、その辺知りたくなったら聞けばいいだろ」
「と言うか、式神ってこんなことも出来るんだねー。あっくんと作ったテンノスケは基本壁なのに、まあ悪ノリの産物でもあるんだけどね」
どうやら自分の中での折り合いも付いたようで、くそみそニキと話している所に混ざってきたシノさんが、悪ノリの産物と言いつつ何やらゼリー状の青い物体を取り出してくる。
「なるほど、ハジケリストの方でしたか……、これに壁以外の役割を求めるのは解釈違いでは?」
「だよねー!まあそんなわけで壁としての性能を求めた式神として作って運用してるんだけどさ、
「ま、それに関しちゃ使える素材やら環境やらもあるから仕方ねぇがな」
「神主以外の人は皆素人からココと神主の教えを受けた結果でしか無いですから、直ぐに追い越せますよ。それにしてもその式神が居るなら――」
話の途中でふと思い付いた事があり、丁度畑が近くにあったこともあって、その一角で試験栽培していた野菜に思い付いた術式と概念を施していく。
「お近づきの印にこれをどうぞ」
「おお、ありがてぇ」
「いや魔剣ダイコンブレード*4じゃん!ウ・ケ・ル!」
おもむろに引っこ抜いた魔剣ダイコンブレードを渡してみたら良い感じに反応してくれて嬉しい限り、【アナライズ】して確認もしたけど、狙い通りの能力を付与出来たようで、面白い物が作れた事に満足する。
「あ、ちなみにネタですけど確り武器にもしましたよ?霊能関係って概念勝負な面もありますし、真面目にボケるという地味に難しい技能を要求されますけど、相手の意表を突いた度合いに応じて氷結の状態異常付与率が上昇する効果とか、氷結属性ダメージが増加する効果が付いてます。大根の成分は殆ど水ですから属性的に氷結系と相性が良かったですね。折れたら栄養豊富な地面にでも刺して日光と水を与えれば再生しますし、上手く種を取れれば増やす事も出来る様にしました」
「ほほぉぅ、つまり初見殺しに丁度良いわけだな?初手氷結からの確殺を狙える相手なら十分使えるか」
「それを思い付きで作るのってどうなのさ、いや思い付いたら作りたくなるのは理解出来るけど」
「神主から教えて貰った〝霊的素質の起源〟って考えから、私の霊質やペルソナから関連する権能を引っ張ってきて、そう言う〝神がこう在る物と定めた〟って概念を付与した物で、術式的にどうにか出来てるわけでもないですけどね」
術式としては概念が定着する様にしたぐらいで、大部分は権能からの概念付与ありきな所が若干悔しい気分もするけど、使える物は使うべきだから新しく生えてきた【植物改変*5】スキルは今後も色々使わせて貰おうと思う。
その後二、三話して二人と別れ、当初の目的だった農地の方へと足を向ける。
「それにしても、新しい人との出会いは今まで思いも付かなかった事に発展する可能性があるから、楽しいよね」
「それは良いのだが、瑞樹の頼みだとしても流石に大根を持って戦うのはイヤだぞ」
「いや、頼みませんから安心して下さい。この手のネタ装備ってのは欲しがる人も居ますし、何故かそれに適合してしまう人も居たりするから、そういうのもあるって事実が大事なだけですよ」
「そう言うものなのか?」
「そう言うものです」
正直、中身〝俺ら〟としてはネタ装備を嬉々として使うのが一定数居そうってのが頭の痛い話な訳だけど、それはそれとして、完全なネタで終わらせるぐらいならネタだけど使えると言う微妙なラインに置いとくのも楽しいよね、という愉快犯な気持ちも無いと言ったら嘘にはなるんだけどね。
とりあえず農場ではさっき作った魔剣ダイコンブレードの他に、ドンパッチソード*6も序でに作ってジャンニキへ渡してみたところ、地味に味良しで効能高いと言う食材になっていたらしい。
そんな寄り道――結果として得るものも多かったが――もあったけど、元々の目的である装備としての楽器を作るための素材を育てるための異界については目処が立った。
まあ目処に関する一番の鍵は【異界作成技術】の修行をした時、ショタおじの異界を式神の依り代を核として魔晶化して出来た壺だったりする。
この壺、魔晶化した経緯が経緯だけに、異界に関する親和性が高く、更に言えば壺と異界に関する逸話というか、概念も丁度良い物があったのも影響してる訳だけど、壺の中に異界を作る何てことが可能と判明し、最初に出来た小壺は実験の過程で壊すことになったので、今使ってるのはより調整し易い様大きめに再度作成した大壺だったりする。
「外部からのMAG供給切断はこれで良し、内部異界の循環に影響は見られずっと、〝壺中天地*7〟は一先ず完成で良いかな」
「おめでとう瑞樹、これで木材の調達に目処が付くのだったな」
「うん、壺の中に仙境を作るという逸話に、時間加速機能付きジオラマ空間の概念もプラスして作ったからね。壺自体の耐久度も内部異界の強度とリンクさせてるから、異界が壊れない限り壺も壊れないし、後は時々中に入って悪魔が湧いてたりしないか確認しつつ時間経過させればオッケーかな」
一応内部に悪魔が自然発生してない事を確認して接続を切って、壺の中で世界が完結するように循環を作ってるから、地脈とかを経由しての自然湧きは発生しないと思うんだけどね。
まあ魔界経由とかされると防げるのか分からないし、そもそもそう言ったものと関係なく湧く可能性もあるから、一応としか言いようが無いのが実際の話だけど。
兎も角、久遠にも手伝って貰って時間干渉系の術式をどうにか形にして、ついに完成したのがこの壺中天地、加速倍率の最大は現在1,024倍まで可能になってたりする。
まあ流石に内部に人が居る場合は加速出来ないんだけど、代わりにジオラマを外から見る感じで加速中も外部から中を見られる様にして、最大加速と等倍での直接確認とを行き来させながら、序でに作物の品種改良も手を出してみた。
と言うのも欲しい木材を考えると数年から十数年は確実に経過させるわけで、ただ単に樹木を成長させるだけでは勿体ないって事で、スレ建てして意見募集したら、栽培実験に参加させて欲しいって方の話も出たりして、結局ある程度までは実験場として使えるように技術部へしばらく設置することになった訳だが――――
★【竹を植えたのは】壺の中の実験場 5本目【誰だ!!】
1:名無しの農家
ココは探求ネキが、自分の装備の素材を育てるために作った時間加速機能付き異界についてのスレです。
素材となる樹木を育てるだけでは勿体ないからと言う理由で、品種改良などの実験場として貸し出してくれている物です。
実験内容については探求ネキ及び事務方の許可を得てから行って下さい。
後、竹を植えようと言った人は誰ですか?先生怒るから出てきなさい。
と言うか植えるなら範囲が広がらないようキッチリ区切れ!
前スレ:【これは栗ですか?】壺の中の実験場 4本目【はい、手榴弾です】
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349:名無しの農家
で、スレタイにあった竹って結局どうなったん?
350:名無しの農家
>>349
他を侵食してた分は土地毎引っぺがして入れ替え、
物理的な区切りと結界も張って侵入できない様に、
伐採した竹はメンマにされた
351:名無しの農家
メンマ?!いや、あれ麻竹じゃ無かっただろ?
352:名無しの農家
>>350 嘘では無いが端折るな
>>349 大部分は竹炭や肥料に変えられた
>>351 探求ネキが術式で強引に発酵させてメンマに変えてた。
美味かったぞ
353:名無しの農家
あれ、メンマ竹って名前の品種になって定着したらしいな
星霊神社内の一部に囲い作って栽培始めてるぞ
354:名無しの農家
何か新しい竹林が出来てると思ったらそれか……
と言うか食ったのか
355:名無しの農家
葉っぱは回復系霊薬の素材や茶葉にすると回復力向上効果
タケノコは回復力向上と滋養強壮効果の食材
竹本体の方は適当に切ってそのまま天日干しするだけでメンマになるし、
茹でると細めの縮れ麺になるし、メンマの方共々滋養強壮効果まである。
ちなみにどれも美味い
356:名無しの農家
>>355 ここはトリコ世界だった?
357:名無しの農家
>>356 主に探求ネキのせい
358:探求者
どうせ作るなら美味しく食べたい。食べたくない?
359:名無しの農家
そりゃ品種改良スレだし、美味しくしたいのは確かに
探求ネキ乙―
360:名無しの農家
だが俺たちがやってるのは可食部を美味しくするのであって、
丸ごと全て美味しく食べられるよう魔改造するわけじゃないんだが?
あ、実験場の広さって拡張出来ない?実験申請結構増えてて……
361:名無しの農家
と言うか、探求ネキのやってる事って品種改良というか新種に改造では?ボブは訝しんだ
362:探求者
>>361
一応その品種と概念的に相性の良い効果しか根付かないから品種改良だね。
つまり術式だ何だしなくても、異界の中で概念的にそう言うものという認識が強まれば出来る事だったり
現実での栽培も結界による簡易異界として維持してるから可能何だし
>>360
拡張はする予定、と言うか貸し出しで終わるつもりだったけどそうも行かなそうなので、
今有るのは内部空間拡張とか色々詰め込む代わりに、移動させるのが難しい感じに変更する予定。
設定変更が終わったら品種改良実験用として農業部の備品として買い取るってさ
後、私個人のは持ち運びし易いサイズで新しく作る事にした。
流石にメートルサイズの壺を持ち歩くのは邪魔だし
363:名無しの農家
マジか → 農業部の備品
364:名無しの農家
そっちもだがこっちだろ → 内部空間拡張とか色々
何が詰め込まれるんです?
365:名無しの農家
ちなみにどの程度まで拡張可能なので?
366:探求者
>>365
拡張は持ち出す素材の量と内部に補充されるMAGやマッカの量が釣り合うなら北海道ぐらい?
>>364
ダークゾーンみたいな特定領域系を応用して、暗室や温室、逆に寒冷地とかの特定環境再現系
367:名無しの農家
あの……ところで探求ネキ?
一つの木に何種類もの果物が成ってるのがあるんだけど……
368:探求者
>>367
虹の実再現しようと思って何種類も混ぜていったらああなった。
ちなみにあそこから他を足しても変わらないから方向性が違うっぽい
或いは単純に無理なのかも知れないけど
369:名無しの農家
やっぱりトリコしようとしてるんじゃ無いですかヤダー
ただ大根を渡すのもどうかと思い、何か能力を付与しようと考えた結果、ギャグ時空を使いこなせるなら地味に強い武器(植物)が出来てしまった。
効果としては、【奇襲による氷結属性ダメージ及び氷結付与確率上昇】と言う物で、アサシンスタイルで使うことも実は可能な上、真っ正面から奇襲する事も可能なネタ武器となっている。
また、地味に霊草であるため、大根料理全般に合う上に、霊薬としての効能も高い植物になっている。
霊草としてネギ料理全般に合い、これ自体の薬効も高い上、薬味として使用する際は、他の霊薬料理の効果を高める能力もある。
なお、掲示板の前スレで話題になった栗
・火栗の木
火中の栗を拾うの慣用句を実際の栗に当てはめたらどうなるか試した結果生まれた危険物。
熟すほどに熱を持ち、完熟した状態で一定以上の衝撃を受けると弾けて周囲に実の糖度に応じた威力の火炎ダメージを撒き散らす栗。
完熟した火栗単体でも【マハラギ】~【アギラオ】ぐらいの威力を発揮するが、素材にすることで【アギダインストーン】や【アギラオストーン】数個に加工でき、加工者の技量に寄っては【火炎の秘石】や火栗一個を【アギラオストーン】十数個に加工する事も可能。
なお、毬栗は本来の栗と異なり柔らかい衝撃吸収構造になっており、毬栗の中にある間は完熟しても弾けない。
ちなみに、炸裂した火栗は熱量(糖度)を放出しているため、爆心地の火栗を食べても甘味の無いパサついた栗の味がするだけで、霊的な効果も無くなっている。
火栗を安全に食す場合、毬栗に入った状態の完熟した火栗――完熟すると毬栗の一部が割れて中が見える――を茹でるか蒸し焼きにする事で、殻が安全に剥がれ食用可能となり、実はそのまま栗として氷結耐性効果、殻はしっとりとしたサブレのような食感で火炎耐性効果の食材になる。
また、火栗を一番美味しく食べる方法は、由来の通り全体を火で包む――焚き火や【アギ】などを使う――状態で熱し、殻が香ばしい匂いを上げて割れた直後に火中から取り出すこと。
取り出す時にもたつくと、回りの火が栗に燃え移って爆発するため危険を伴うが、素早く正確に火中の栗を拾う事が出来る様になると、【火中天津甘栗拳*1】を習得できる。
なお、戦闘に置いては対象の速度や回避力にも影響されるため、必ずしも何十と当てられるとは限らない点は注意が必要。