【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
五島陸将のクーデター宣言が行われ、終末の日が11月1日と確定した所で、マリッサとペリーヌに色々と持たせて送り出したあと、山梨第一支部などで仕事している分身や全国各地で遊び歩いてる分身を全部解除して、時間加速を開始した第4電脳異界の攻略レイド拠点〝渋谷隠れ家〟*1へと移動する。
まあ多少無理すれば時間の流れが異なる場所に分身が居ても、思考や記憶を同期させたりも出来るんだけど、マヨナカテレビやメメントスの攻略となると、同期するために使ったリソース分間に合わないなんて事態も起こり得るため、万全を期すためにも、今回は余分なリソースを割かず攻略レイドに全力を注ぐ事にしたと言うところ。
移動してきた渋谷隠れ家では、前々からここで活動してた人達も居るためか、私が来た時には既に結構な活気が満ちていた。
「さて、まずはここでの拠点を確保しましょうかね。接続場所はこれから許可を貰ってきますから、綴、湯乃葉、瑠璃の3人は内装の方進めて置いて下さい」
「蓬莱さんや葦原さんとも連携して、現実側の情報も収集出来る様にしておきます。後、マスター宛の連絡もここ経由で届く様にしておきます」
「電子関係は瑠璃がするし、私は寝室や居間とか生活空間の方を構築しておくわねん♪ 工房とかは瑞樹がするでしょうし」
「私も湯乃葉さんと一緒に生活空間を整えて置きますね。他の攻略参加者との交流は行動方針が決まってからが良いですし」
電脳異界内に自分の拠点用空間を構築して、電子系特化の式神として生み出した瑠璃と、長年一緒に活動してきた結果、管狐から何段階も変化成長して仙狐となった湯乃葉、戦友であり伴侶の1人でもある綴に後を任せ、何も言わずとも側に控え常に護衛をしてくれる久遠を伴い、電脳異界の管理室へと向かう。
「あ、結局安心院さんが攻略レイドの管理者になったんですか。霊夢さん*2じゃ無いんですね」
「あの子はあの子で製造関連含めて色々やる事有るからね。攻略レイドなどの管理関係は私にお鉢が回って来たって事さ*3」
「ああ、スライムニキを前線に出さない様に見てる必要もありますからねぇ」
管理室には、以前に各種資源を自給できる様に準備しに来た時と同じく、安心院さんがクッションに寝そべりながら仕事していた。
電脳異界なら管理を担当してるショタおじの式神が2人居るし、そっちから統括管理者が選ばれるかと思っていましたけど、聞いて見た所、比較的暇な方の霊夢さんが第4電脳異界と渋谷隠れ家自体の管理を行ってますが、マヨナカテレビやメメントスなどの認知異界との接続に時間制御など、重要な土台部分を担当しているため、攻略人員などの関連については安心院さんが担当する事になったらしい。
ともあれ私の拠点と渋谷隠れ家を接続する許可を貰い、出入りする場所を決めたら霊夢さんに連絡を入れて、扉を設置して接続すれば拠点の方は完了。
一先ずやる事が済んだ所で、許可を貰う序でに貰ってきた現在の攻略状況や、攻略人員向けの任務内容などを確認していく。
「直ぐに来たつもりでしたけど、数日経過してそこそこ進んでますね。逆に言えば攻略に集中してもそこそこ止まりって事ですが」
「集中しての攻略でコレまでよりは進んでいるが……、それでも予想されている最深部までの四分の一には届いたぐらいか」
「その予想も不測の事態を除いての物だし、最悪年単位掛かる可能性もあるわねん」
「攻略進捗状況を分析した感じだと、ボス個体やパレスなどを発見後は上位者による速やかな攻略が行われてますが、発見するまでの探索速度が殆ど上がって居らず、範囲の拡大に難があるみたいです」
「ペルソナ使いは他の霊能者と違ってレベル上限が高いですし、承太郎ニキさんのチームメンバーみたいに高レベルの人達も居ますけど、他のチームで見るとレベル30を超えた人が居る所の方が少ないですよね。それ以前にペルソナ使い自体の数も少ないですが……」
情報から見えてきたのは、最奥へ到達するために認知異界全体の探索と地図作成が必要なのに、人数と平均レベルの関係で探索速度が伸び悩んでいる事。
私達が探索に全力を出すと言うのでも多少は加速出来るだろうけれど、認知異界で活動出来る木分身は現在保持しているペルソナの数までのため、元々のメインペルソナの1枠とフィレモン式ペルソナ使いに変化した後に追加された2枠、その後レベルの上昇や精神鍛練の結果なのか、更に2枠保持可能なペルソナ数が増えた事で、現在は最大4体まで木分身を出せる。
とは言え、各分身に割り振るペルソナの関係で、木分身で有りながら多少性格と言うか、行動傾向に変化が起きるのが難点だろうか。
まあこの辺は、ショタおじがペルソナを使って式神の霊夢さんを作った様な形式になるため、霊夢さんが友情を超えてスライムニキに執着しているみたいな、心理学用語としてのペルソナみたいに別の側面が出るのは仕方無い話だけども……。
ちなみに現在保有してるペルソナは、私のシャドウから変化した根幹とも言えるペルソナの【世界 タカミムスビ】、琴音との合体魔法で雑魚一掃する目的で用意した【審判 サタン】、戦闘センス的に不足している近接戦闘を補う目的で作った【剛毅 アルケイデス】、夏の星大祭でレイドボスした事が影響して作れる様になった【世界 ティアマト】、そして今までの生産経験が影響したのか心の海から浮かび上がってきた【魔術師 ヴィシュヴァカルマン】の5つ。
なお、ヴィシュヴァカルマンはインド神話においてあらゆるものを設計したとされる神格で、近代だと物造りや技術、機械の神として祀られているため、このペルソナを手に入れてからは、メインにセットする事で今まで以上に研究開発が進むようになったけど、反面生産系に特化してるため戦闘力が大きく落ちるのは難点だろうか。
「探索の手が足りないのならば、瑠璃にサポートして貰いながらとなるが、私や綴に湯乃葉で探索範囲を広げる事も出来るか」
「綴は言うまでも無いし、久遠もペルソナ持ちの式神だから問題無いでしょうけど、レベル100超えたと言っても私は認知異界だと力が落ちるわよ? 今の探索範囲ぐらいならまだ何とかなるとしても、シャドウのレベルが50超え始めたら前衛無しだと難しいわねん」
「湯乃葉は元々サポート型ですからね。まあ木分身も含めて探索に動かすと言うのも良いですが、後々の事を考えるとレベルのゴリ押しで進めるより、全体の底上げをする方が良いでしょうね」
「底上げとなると、新人や低レベル層向けの指導などをメインにしていく感じですか?」
「いえ、私達は基本的に承太郎ニキのチームと同じく、他では対処出来ないシャドウやギミックの対応班として動きましょう。底上げの方は装備やアイテムなどを開発して、装備の貸与とかで何とかするつもりです」
「つまりはいつもの如く何か創ろうって事ねん。まあ瑞樹がそう決めたのなら文句は無いわ」
「ではその方針で動くとしようか。運営からの依頼関係とナビは瑠璃の担当になるが問題点などはあるか?」
「電脳異界内からならコレまで以上にナビもし易いので、最深部でも無ければ大丈夫かと。レイド運営の方にはこちらの行動方針と、高難易度案件を回して貰える様連絡しておきます」
「なら案件が回ってくるまで好きに動く事にしましょうか」
軽く当面の行動方針を決めて解散を告げると、後回しにしていた工房の設置に取り掛かる。
並べていく生産道具は、今回電脳異界の拠点で数ヶ月から年単位で活動するのを見越して、ここへ設置する用に蓬莱島で使ってる物からバージョンアップさせた物。
まあ道具を使っての生産は一つ一つ手作りする関係上、大量生産も可能なアトリエ式錬金釜を作ってからは、専らオーダーメイドの依頼品や自分達で使う装備など、一点物を作る時にしか使わないのだけども。
とは言えマヨナカテレビやメメントスを攻略して行く中で、神器級の代物が必要になる場合があるかも知れないため用意だけはして置いて、最後にアトリエ式錬金釜を設置し、室内を整える術式を確認したら工房が完成する。
「工房の試運転も兼ねて、全体を底上げ出来る汎用霊装でも考えてみますかね……」
行動方針を決めるときに話した通り、攻略の前段階である探索自体を加速させるため、ペルソナ使い全体に恩恵のある装備、或いはアイテムを創る事に決めて、良さそうなアイディアがないかネタ帳を眺める。
しばらく眺めて新しく創りたい食材とかは思い浮かぶものの、アイテム方面での底上げは今ひとつピンと来なかったけど、代わりに装備の方で1つアイディアが浮かんで来たため、試作品の作成に取り掛かる。
今回ベースとなるのは、以前に創ったペルソナ使い以外でも認知異界へ潜れる様にするアルカナコート。
装備の性能としては、コートに装備者と相性の良い悪魔カードやペルソナカードをセットすると、カードをペルソナの代わりとし、コート自体を精神の鎧に見立てる事で、ペルソナ使い以外の霊能者も認知異界で活動可能にすると言う物。
一応ペルソナ使い用の防具として、同様にコートを精神の鎧にすることで、ペルソナ発動の消耗を押さえたり、防御力を向上させるペルソナコートも有るけど、全体の底上げ目的としてはペルソナ使い以外も引き込める方が良い、と言うのもある。
とは言えベースとなるのは、非ペルソナ使いでも認知異界で活動可能にするためのアルカナコートだけど、性能面としては、以前にスケベ部で開発した性技対魔契約術展開魔道具〝バトルファッカー〟*4の方が近いイメージ。
目標としている機能は、悪魔カードやペルソナカード、或いは本人のペルソナを使い、黒死ネキが【魔装術】で姿形を変化させたり武器を作り出す様に、精神の鎧としての概念を増強した戦闘形態を作るってところ。
「アルカナコートの精神防御――魂が変質しない様にする保護機能を更に強化して、【魔装術】での変化は……破魔ネキが開発した【バリアジャケット】*5も参考に、装備の性能も含めて能力を発揮出来る様にして、服装だけの変化と肉体を含めた変化を段階的に可能にしますか。適性が低いと保護していても肉体の変化に精神が耐えられないでしょうし」
セーフティとなる制限を要項に追加しつつ、次ぎに考えるのは防御力の向上だけで無く、攻撃能力を含めた戦闘能力全般を強化するためにどうするかと言う点。
なお、【魔装術】だけだと使用者本人のレベルや精神による影響が強くなり、個人個人で強化の幅に差が大きく出るため、全体を底上げするための汎用装備としては片手落ちだろう。
その辺の解決策になったのが、ネタ帳を見返して出て来た前世のアニメ作品であり、今世でもガイアニで製作され放送されたデジモンフロンティアの、子供がデジモンに変身すると言う物。
ちなみに、前世で酷評されてた部分をどうすれば面白くなるかと、意見を付き合わせて再構成された作品の1つで、全員分の完全体や究極体相当の姿を登場させたり、デジヴァイスに宿る古代の十闘士との対話シーンを入れて、パートナーデジモンとの絆を演出したり、ラストに出てくるスサノオモンへの初進化時は最初から5人での合体進化にして、前世での2人合体で3人置いてけぼりみたいな状況にはしない様になど、デジモンフロンティア自体がスーパー戦隊シリーズを意識した作品との点も踏まえて制作され、今世での評価は上々だったらしい。
「デジモンへの変身ならイメージも悪くは無いでしょうし、クロンデジゾイド合金を使えば戦闘能力全般の底上げも期待出来ますね。それに、デジモンフロンティアなら十闘士で十の属性が出て来ますから、メガテンの属性と相応させて姿を借りれば、認知による強化も見込めますね」
今世のデジモンフロンティアでも十闘士が敵味方に分かれて戦う展開は前世のと同じだけど、完全に悪としての立ち位置では無く、主人公サイドとは別の方法でデジタルワールドを守るために戦っていて、信念を持った格好いい悪役として描かれていたため、悪役サイドの十闘士でも忌避されたりはしないはず。
まあ問題を挙げるとするなら、汎用装備として姿を借りる関係で、十闘士が量産されてしまう事だけど、そもそもデジモンって種族毎に一体と決まってる訳でも無いし、十闘士が伝説に語られる前の頃とでも考えれば良いでしょう……多分。
「変化先はヒューマンデジモン態を基本として、起動ワードはスピリットエボリューションで良いですね。精神や魂の進化と訳すればペルソナ的にもマッチします。後は使用者の適応力次第で、能力制限を外したビーストデジモン態に変化可能にして、完全体以降は写輪眼の術式を参考に、使用者の経験から最適化して能力を構築する様にしましょうか」
概ね作る物の仕様が決まったところで、試作品の設計図を書き上げ作成に取り掛かる。
まずは量産型光量子コンピュータのCキューブを本体として、戦闘中に破壊されたりしない様に外枠を被せ、見た目はデジモンフロンティアのデジヴァイス――ディースキャナと同じにする。
出来たディースキャナに、十闘士のヒューマン・ビーストそれぞれの姿のデータと、メガテンの属性に合わせた闘士の振り分けを入力し、悪魔カードやペルソナカードを登録する機能と、【魔装術】の行使と制御を行う術式を組み込む。
続いて【魔装術】を発動する際にアルカナコートを肉体の代わりとして変化させるリミッターを追加して、ヒューマンデジモン態への変化を基本に設定。
アルカナコートが仮の肉体として服装に変化する際、【バリアジャケット】の術式を応用して防具などの装備を取り込んで概念情報として【魔装術】に接続させ、装備効果に上乗せして能力が強化される様に調整する。
それからアルカナコートをデータ化して入れる際に、各種クロンデジゾイド合金のデータも入れて置いて、【魔装術】で変化した際に、武器や鎧として使用者に適したクロンデジゾイド合金を選択して使用される様にしておく。
後は【写輪眼】を開眼させる魔眼構築術式から、【万華鏡写輪眼】や【輪廻写輪眼】へ成長する際、魔眼の成長に合わせて霊質や霊的起源、鍛練してきた技術などを最適化して固有スキルを構築する術式を引っ張ってきて、【魔装術】と組み合わせる事で、デジモンにおける完全体や究極体の姿や能力を構築する進化拡張術式を作り、組み込んでおく。
「試作品としてはこんな感じですかね。一先ず挙動を確認しましょうか、スピリットエボリューション」
起動ワードでディースキャナがアクティブになったのを確認して、読み取り部分に手を添えて魂魄情報をスキャンする。
予めディースキャナに入れて置いたペルソナカード【魔術師 ジャックランタン】と、読み取った魂魄情報が合わさり【魔装術】が展開され、【バリアジャケット】を纏う時の様に服などが光を放ち、瞬時に姿が変化する。
「ペルソナカードとしてはレベルの低い【魔術師 ジャックランタン】でも、アグニモン*6の姿へ変化出来るなら最低限はクリアですね。私が変化してるので女性体なのはちょっと違和感ですが……、ともあれ次の確認ですね。スライドエボリューション」
今度はヒューマン形態とビースト形態を切り替えるために設定した起動ワードを唱え、アグニモンから入力してあるヴリトラモン*7の姿へと変化を行うが――
「おっと? 上手く変化出来ないですね……」
一応設定していたリミッターは解除されて、服だけで無く肉体も含めて変化を始めたところまでは想定通りだけど、変化が終わった時点でヴリトラモンの翼だけ構築されていない状態になっており、ビースト形態への変化としては失敗と言えるだろう。
それからいくつか調べてみた所、悪魔カードのジャックランタンを使った場合、ビースト形態への変化は上手く行ったものの、ヒューマン形態では顔が獣の物になったりするなどの影響が出る事が判明。
どうやら人の集合的無意識から力を得るペルソナカードと、概念情報生命体でもある悪魔の力が込められた悪魔カードが、ヒューマン形態・ビースト形態と明確に別れている事に影響され、ヒューマン形態にはペルソナカード、ビースト形態には悪魔カードが必要になっているらしい。
「ふむ……、カードを複数枚入れる余裕は有りますし、ヒューマン形態でのリミッター自体は機能してますから、ペルソナカードと悪魔カードの両方を使う仕様に変更しますか。属性が合っていれば同名のカードで無くても良いですし、形態毎にカードを使うなら、術式をもう少し特化させて強化幅を増やせますね」
テストして判明した問題を対処して、ペルソナカードと悪魔カードをそれぞれ使う事になったけど、ある意味では元ネタのデジモンフロンティアで、ヒューマンスピリットとビーストスピリットの2つを収納している状態の再現になった訳ですし、認知的にも再現度が高いほど補正も高くなるので良しとしましょう。
改めてスピリットエボリューションやスライドエボリューションを行い、問題無く変化出来るのと出力が向上してるのを確認して、予定していた直ぐに確認出来る機能についてのチェック項目を埋める。
「ここからは途中で追加した機能のテストですね。ダブルスピリットエボリューション」
2枚のカードを使う関係で元々設定した個人毎の完全体や究極体への進化とは別に、原作再現として設定した変化を行う起動ワードを唱える。
「んー……、融合形態自体は低レベル同士でも出来ますけど、アルダモン*8としての能力を考えるなら、最低でもレベル16以上のカードを使う必要が有りますか。まあ逆に言えば、セットしたカードの倍近い能力に変化出来る訳ですから、十分と言えば十分ですね」
何度かアルダモンへの変身を繰り返して、レベル16以上のカードを2枚セットしている事をダブルスピリットエボリューションを使う条件に設定し、試作ディースキャナを一応の完成とする。
なお前世だと、アルダモンの進化段階が何処になるのかについては作品によってブレてたけど、今世では完全体~究極体の間となっているため、ガイア連合基準のレベルに換算すると31~50の間ぐらいと想定している。
これについては、デジモンフロンティアで超越形態の括りが出て来たり、その状態の主人公達と同等以上の敵デジモンが居たりした事から、レベル100以上を当て嵌めたため、究極体は51~99、完全体を31~50とした事による物。
「後は使用者の適性と経験に合わせて構築される、完全体や究極体への変化の確認ですね。まあ現時点でも融合形態に成れれば、超人の域に入って概念関連も少しは扱えますし、試作品のテストとして希望者に貸し出してデータ取りしますか」
物自体はサクサクと出来たけど、そこからの実地テストには相応に時間が掛かる訳で、テスターを募集してから電脳異界内で数日が経過し、個別に最適化して構築された完全体や究極体への変化が出来たのを確認したり、フィードバックされたデータからいくつか改良を施したりして、汎用霊装のディースキャナが完成した。
――――――――――
・ディースキャナ
デジモンフロンティアに登場するデジヴァイスを元ネタにした霊装。
スピリットエボリューションの起動ワードで使用者の魂魄情報を読み取り、デジヴァイスに登録した悪魔カードやペルソナカード、或いは使用者のペルソナを用いた【魔装術】の行使を可能にする。
使用者に適性が有れば、スライドエボリューションの起動ワードでヒューマン形態とビースト形態を切り替える事も可能だが、ビースト形態には悪魔カードをセットしている必要が有り、ヒューマン形態にはペルソナカードか使用者自身のペルソナを設定する必要が有る。
上位の変化として、使用者のペルソナレベルが16以上、またはレベル16以上のペルソナカードに、同じくレベル16以上の悪魔カードをセットしている場合、ダブルスピリットエボリューションの起動ワードで融合形態に変化可能になっている。
また、使用者の霊質や霊的起源、変身した状態での行動履歴などを参照して最適化し、デジモンにおける完全体や究極体の姿・能力を構築する進化拡張術式が組み込まれており、使用者が条件を満たしていれば、超進化の起動ワードで完全体、ワープ進化の起動ワードで究極体に変化可能となる。
――――――――――
装備説明としてはこんな感じで、素材が有ればアトリエ式錬金釜で量産出来る用にレシピカードも作成し、当面の貸し出し備品として500個程作って、攻略レイドの運営陣に持ってきた訳である。
「と言う訳で、実地テストもしてたので知ってるでしょうけど、攻略人員の底上げ目的で霊装作りましたから、貸し出しや買い取りなどの運用面は安心院さんに任せますね」
「物として良いのは分かるし、メメントスの方が難所に引っ掛かってるから、対処出来るまでの間に慣らしも出来るだろうから早速貸し出し装備の方に回しとくか。出来れば作り始めた頃に一報ぐらいは欲しかったけどね!」
「設置した工房の試運転で作った物で、試作品が出来るまで数時間程度ですからねぇ。実地テストの時にある程度概要は伝えてますし、テスト結果の情報はそっちにも回ってるはずですから、不採用ならその時点で私に連絡してるでしょう? 安心院さんなら」
「ま、採用するのはデータ見て決めてたけどさ、全体に影響させる様な物の開発始めるなら、先に要望なりの意見を聞いてからしろって事だよ」
「要望有るなら参考にはしますけど、基本的に思い付いた創りたい物を作ってるだけですからねぇ。それより難所が見つかったとの事ですけど、こっちに対処依頼が来てないって事は、特殊なギミックでも見つかりましたか?」
「かなり面倒な奴だね。正直こっちからの対処法が運任せ過ぎるから、カヲルニキが休息取りにこっちへ来たら、ギミック毎焼いて貰う事になるだろうさ」
「カヲルニキが必要なレベルですか……」
頭痛そうにしなながら安心院さんが渡してくれたデータを見る。
発見されたのはメメントスの攻略最前線で、大都市と言える程度の面積を持ったフロアが広がっている場所。
現在判明しているのは、生活の痕跡はそのままに人だけが消えた都市と言う、ホラー系で時々使われる舞台の様な状況になっている事、フロアの先に進む道と思われる大扉は発見されているが、解除条件が鏡像世界で扉を開くとなっているのに、鏡像世界へ移動する方法が見つかって無い事の2つ。
今は都市内を探索して、鏡像世界へ行く方法を探している状況だけど、手掛かりの1つも見つけられていないとの事。
「承太郎ニキが探索して発見出来ていない時点で大概ですね……」
「もっと手前に手掛かりがあるかもって事で調べ直してる所だが、運営陣としてはマヨナカテレビの方に戦力を回して、カヲルニキの到着を待って焼いて貰う方向で話が進んでるね」
「カヲルニキの権能なら、正規手段で解除しなかった事によるペナルティ毎焼き払えますからねぇ。そう言う流れで私の方には話が回ってこなかった訳ですか」
「そう言う事さ」
「では、次は食材の研究でも――」
『――お、繋がったかな?』
「ん? 念話かい」
「琴音からですね。『どうしました? 時間加速してるので正確にはわかりませんが、電脳異界に来るのはもう少し後の予定だったと思いますが』」
『繋がって良かった良かった。いやさ、保護予定で見つけるのが最後になっちゃったかなみちゃんと合流したのは良いんだけど、合流直後に認知異界の裂け目に落ちちゃってねぇ』
『その辺は占術で予測された流れの1つですが、琴音だけ別行動にならなかったと言う事は、より厄介なギミックに捕まった感じですか』
『内部を異界化してる車の中だから大丈夫だけど、ギミックの関係で車の外に出られないっぽいんだよね。それに私の端末からの通信も出来ないみたいで、今はナビ型のペルソナに覚醒したかなみちゃんに経由して貰って念話を繋いでる感じ。とりあえず分かってるだけの情報送るから、そっちでも対処お願いね【かくかくしかじか】』
『【まるまるうまうま】っと、分かりました。なるべく早く通信手段を確保します』
『ありがとね! それじゃかなみちゃんが疲れてきたみたいだし、また何か進展があったら連絡する』
琴音から情報圧縮伝達術式で送られて来た情報を、解凍術式で解除して受け取った所で念話が終了し、溜息を吐く。
「ハム子ネキが態々念話するって事は結構面倒な状況っぽいが、タイミング的にメメントスかい?」
「ええ、安心院さんの予想通り、現実世界側に生じた認知異界との境界の裂け目からメメントスに落ちたらしいです。しかも渡された情報から推察するに、落下した先は恐らく鏡像世界ですね」
「うーん流石の運命力。ともあれ、一例だけでも行けたなら条件を探る取っ掛かりにはなるか」
「ですね。まずは送られて来た情報をまとめて提出して、その後は通常の通信手段が使えないらしいので、その辺の対処から始めます」
私も安心院さんも、運命力に引き寄せられて問題の渦中に誰かが現れるのには慣れており、今回は特に運命力が強い方である琴音だった分納得も早く、一言二言話してそれぞれの行動に移る。
取り急ぎ情報をまとめたデータを提出したら、拠点へと戻り通信方法の構築や方法が出来たとしてどうやって送るかなどを考え始める。
どうやら攻略レイドの本格参戦は、メメントスの最前線ギミック対処になりそうですね……。