【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく   作:緋咲虚徹

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145:まずは調査の準備から

 チャットを経由して送った種から、【世界 ティアマト】を核にした木分身が実体を取り戻すのを感じると、そこは寛ぐスペースがいくつか用意された広めの部屋で、愛する琴音と一緒に驚きの表情を浮かべる女の子が目に映る。

 

「無事に木分身を送れましたね。鏡像世界の侵入条件に引っ掛かった結果、レベルは四分の一まで落とす事になったみたいですが」

「ありゃ、結構レベル制限がありそうな感じなんだ。四分の一って事は三十台?」

「少しずつ上げてますから今だと164の41ですね。琴音とのレベル差を8まで減らしましたよ」

「私みたいに特殊な状況に巻き込まれまくって、特異な経験を積んでる訳じゃ無いのに、よくもまあ其処までレベル上げられるよねぇ」

「あ、あの~琴音さん? そちらの方は……」

「ああごめんね、かなみちゃん。何度か話した事ある私の恋人の瑞樹だよ」

「初めまして七倉瑞樹と言います。瑞樹と呼んで下さいね」

「初めまして、由詑かなみです。私もかなみと呼んで下さい、カズくん――同じ養護施設のカズマくんも名字が同じなので」

 

 心の壁の厚さを感じさせる表情で挨拶してくれるかなみちゃんを見て、打ち解けた様子で話す琴音のコミュ力に改めて感心する。

 恐らくは明るく社交的に見えて、その実人見知りが強いタイプで、ポロッと愛称が溢れたカズマという人物以外に、多少なり心を開いてるのは数人居るかどうかってところでしょう。

 その内の1人になってるのを考えても、琴音が保護する対象としていたのは納得出来る話だし、養護施設暮らしをしていると言うのも理由に入ってると思うところ。

 琴音も一時期養護施設に入っていたし、私も10歳までは八王子にあった養護施設で暮らしていた訳で、ある意味人事では無いですからねぇ。

 

「養護施設で由詑と言うと、世田谷区にあるガイアグループ系列の所ですね」

「え、かなみちゃんのとこガイアグループ系列だったの?」

「私はそう聞いてましたけど、琴音さんは知らなかったんですか?」

「ははは、気にした事無かったです。はい……」

「養護施設はメシア教が経営している場合も多くて、過激派の温床になりやすいですし、私が以前居た所みたいに乗っ取りされる事も有りますから、ガイアグループとして大きくなるのに併せて、慈善事業という形で養護施設の経営もしてますね。感受性の強い子供の頃に覚醒する場合も多いですし、そう言う子達が周囲との齟齬を感じると悪魔に魅入られ易くなったり、メシア教に利用されたりしますので、その保護も兼ねてと言った感じです」

「以前に居た所……ですか?」

「10歳の頃まで八王子の方にあった養護施設で暮らしてたんですよ。メシア教の連中によって職員を含めた全員が洗脳されたため、捕まる前に逃げ出しましたが」

「それは……」

「霊能界隈だと良くある事ですから気にしなくて大丈夫ですよ。ガイアグループ系列の養護施設はその辺の対策もしてますし。それより、東京内の養護施設についてはクーデター宣言がされた後、都外へ避難する段取りになってたと思いますが、琴音から貰った情報から一緒に避難はしなかったんですね?」

「えっと、その……」

「確かクーデター宣言があった日にカズマが帰ってこなかったから、養護施設抜け出して探しに行ったんだっけ? ま、色々話す事も話したい事もあるだろうけど、今は探索に行ってる皆のナビもしてるんだし後にね」

「ああそれはナビの方が優先ですね。私も似た事はしてきましたから手伝いましょうか」

 

 私に関しては別にナビ型のペルソナを持ってる訳ではないけど、自前の感知能力でナビの真似事をしていた時期が長かったからと言うだけの話だが、今探索しているメンバーは近場の調査から始めてるとのため、補助ぐらいは問題無く可能でしょう。

 そんな訳で二手に分かれて探索している内のメイン側、裕奈と二代にペリーヌの3人で調査しているチームの補助に入り、ナビゲートの負担が減って余裕が出来たかなみちゃんや琴音と雑談しつつ、探索を見守ること数時間。

 予定時間内に全員が帰還した所で、互いに色々と情報共有する事になる。

 

「それで、皆がダウンしちゃった訳だけど、回復するまではどうするの?」

「鏡像世界の侵入条件を確定させておきたい所ですね。検証参加者もある程度集まってるのは本体の方で確認してますから、転移装置を稼働させてこっちに来られる人員から条件を絞るつもりです」

 

 ある程度調査した情報の共有が終わって、今後本格的に探索するなら【狂気耐性】の習得が必須と判明し、その説明を兼ねて比較的ダメージの少ない一時的狂気に落としたのがついさっき。

 そのため落ち着いて話が出来る状態になるにはそこそこ時間が掛かるので、その間に検証の方を進めて行こうと言う話。

 

「なるほど、それを見越して内装も変更していたのでありますな」

「そういや玄関部分を新しく造ってたね、転移室を兼ねる出入り口にするためか」

「そんな感じですね。向こうも準備出来てますから、早速始めましょうか」

 

 車のドアから直接繋がっていたリビングとの間に追加した、玄関口としての部屋に移動したら、用意しておいた転移装置を設置して稼働状態を確認し、検証を始める。

 転移に成功した組には、そのまま調査に向かうか戻るか選んで貰う感じで、スペースを空けつつ条件を変えながら試す事十数回、ある程度確度の高い条件が見えてくる。

 

「レベルの方は49が来れて50がダメでしたから、レベル50以上は不可で確定ですね」

「しかし、49以下でも転移出来ない人達もいるでありますね」

「うーんリストだけだと大きな違いはなさそうだけど……あれ? そう言えばこの人、フィレモン式のペルソナ使いじゃなかったっけ?」

「確かにそうですね……ちょっとジョーカーニキに転移可能か試して貰いますか。恐らく、想定通りなら転移出来ないと思いますが」

 

 それからジョーカーニキのレベルを確認して、まだ50は超えてないって事で試して貰うと、案の定転移不可な事が判明し、更には検証班で転移出来なかった人達の内レベルは条件以内の人に確認すると、数人はフィレモン式のペルソナ使いで、残りは体の大部分を式神パーツに交換してる人達と判明する。

 ワイルドの特性持ちのジョーカーニキやフィレモン式のペルソナ使いが不可だった事から、恐らくは複数のペルソナを所持している状態だと弾かれるのだろう。

 それから、式神パーツを多く使ってる人達が不可だった事については、意識調査をした結果、助けられた経緯から助けた黒札に恩返しというか、従属する感じの認識をしている人が多く、使われている式神パーツの割合も関係して、人間から式神側へ自己認識が傾いている様に思われる。

 実際この後レベル条件をクリアした、ペルソナを1つだけ搭載しているペルソナ能力持ち式神で試しても転移出来なかったため、現時点でわかってる条件をまとめると、レベル49以下でペルソナを1つだけ使える人間である事、となる訳だけど……。

 

「これ、私自身がギミックの穴を突いてた感じですね……。木分身ですが同位存在として本体の私と同じく人間と定義してますし、認知異界で動かすためにペルソナを核にする関係で、必然的に使えるペルソナが1つだけになりますし」

「アイギスが不可だったのレベルだけが原因だと思ってたけど、式神って所も関係してたんだ……」

「琴音さんはレベルに加えて、ワイルドとして複数のペルソナを所持している事も引っ掛かった訳でありますな」

 

 侵入条件がランダム転移とレベル制限だけとは思っていなかったけれど、ワイルド特性――よりは人数的にフィレモン式ペルソナ使いによる、ペルソナ切り替えでの対応力を封じてきたと言う感じだろうか。

 つまりは、翻って相応に複数の自体へ対処出来る汎用性か、専門技術持ちを大量に用意する必要がある可能性が高いと言う訳で……。

 

「人数欲しいのに本来はランダム転移か何かで偶然来るしかないってのは、だいぶ殺意高いギミックだねぇ」

「それに加えてクトゥルフ系の仕込みまでされてるみたいですし、琴音達が巻き込まれてなかったら、カヲルニキの到着を待って焼き払いながら巻き込まれた人員の救助って形になってたでしょうね」

「この手のギミックは解除させるつもりが無いのが前提でありますが、解除法が一切存在しない程の規模でも無いであります。恐らく侵入条件を緩和させる仕掛けなどもあると考えるであります」

「これだけ難易度上げてきてるなら、鏡像世界側の条件を緩和させる代わりに、表側にギミックを生やすとかして来そうだよね~」

「……確かに。否定する要素も無いですから、ちょっと表側で探索しているチームに注意喚起しておきますか」

 

 探索人員の選定に十分な情報が揃った所で、鏡像世界への侵入条件検証は一区切りさせ、掲示板の方に検証結果や琴音が感じた予想を注意として書き込んだ後、一時的狂気中な皆の様子を確認しに部屋へと戻る。

 どうやら弟子組の4人はそこそこ回復してきた様子のため、精神的な有害影響の低減作用も有る蓬莱熟茶を淹れて、混沌の言語(カオス・ワーズ)を使った【言霊】で無意識下に働きかけ、症状改善を早める事に。

 しばらくお茶と対話で精神を落ち着けさせて、【狂気耐性】を習得する鍛練の説明をしたり、途中で止まっていた情報共有をしたりとしてる内に、調査へ転向した検証班も戻ってきて、新しい情報が追加されたのだが……。

 

「侵入条件と言うより、滞在条件みたいな感じでしたか……」

「戦い終わって一息吐いた所だったからまだマシだったけどな。って訳で、申し訳無いが俺らの主力が出禁くらったから撤退する事になる」

「チームで動いてる以上当然の事ですしお気になさらず。追加の情報分も含めて報酬は出しておくので、ゆっくりして下さい」

「了解、また何か検証するって時は声掛けてくれ、俺らはそう言うのが好きな集まりだしな」

 

 有益な情報を残して撤退していった検証班のチームを見送った後は、他の調査に回ったチームも順次帰還して来たので、その対応へと回る。

 これ以上の調査続行が難しいと判断して、レイド拠点へ戻ると決めたチームは【狂気耐性】を持ってない所が多く、一方でこの機会に習得したいと要望したチームや、既に別件の関係で【狂気耐性】を持ってたチームは継続して調査に回るとの事で、チーム用に車内異界に部屋を用意したりと色々やる事が増えたが、異界の調整だけはささっと終わらせて、後の事は雑務用の簡易式神を作って任せる事に。

 

「それで、調査に出ていた元検証班の人らが戻ってきたみたいだけど、追加情報はあった?」

「数時間程度なので細々とした物が多いですけど、ちょっと大きめの情報として、どうやら鏡像世界内でレベルが50に上がると強制的に退去させられるみたいですね」

「つまり入るだけでは無く、レベル49以下の者しか探索が出来ないと言う事で御座るか?」

「そうなりますね。序でに鏡像世界の表側になるフロアには居なかったとの事ですから、恐らくランダム転移でメメントス内の何処かに飛ばされたって所でしょう」

「でもさ、レベル50ってかなり高いんでしょ? 新人組な私らは当然として、裕奈とか今40台になってる4人でも簡単には届かないんじゃないの?」

「普段ならそうなんだけどねぇ……」

「随分と歯切れの悪い感じね?」

「そりゃ琴姉が巻き込まれる様な事態が普段通りに行く訳ねぇからな。裕奈も生い立ちから運命力が高いらしいし、攻略進めてればレベル50超える様な状況に陥ると思うぞ」

「無関係みたいな顔してるけど、マリッサも十分運命力高い方なのは知ってんだからね?! でもまあ不本意だけど、強敵なりと遭遇してレベルが一気に上がるってのは有りそうって感じだよね。4月に連れて行かれた京都沖でも、瑞樹さんが想定していた以上に私らも格上と戦う事になって、一気にレベル上がったし」

「確かにありましたわね。一気にレベル30近くまで上がった関係で、予定を色々と変更する事になったとも聞きましたわ」

「とまあそう言う訳で、現在レベル40台の4人は50を超えない様に制限を掛ける予定ですね。とは言え制限するだけだと色々勿体ないので、鍛練を兼ねた縛りにするつもりですが」

「それって一部の修羅勢が偶に使ってる【牛歩の歩み】?」

「いえ、それを参考元にして構築した再現術式の【呪霊錠】ですね」

 

 琴音が思い至ったのは、技術を磨くのを目的として、急激なレベルの上昇を抑制する術式の事で、武道家系修羅勢が鍛練の為に使う事の多い術。

 ただ【牛歩の歩み】は制限されていてもレベルが上がらないって訳では無いため、今回は枷を掛けてる間一切レベルが上がらなくなる縛りを入れる代わりに、解除するまでに獲得したMAGを使って、被術者の霊力量を増やす効果を持たせた儀式鍛練術式【呪霊錠】*1を掛けるつもり。

 ちなみに、木分身の私も言ってみれば分霊みたいな物なので、戦闘していれば自然とMAGを吸収して発揮出来る出力――霊格(レベル)が上がっていくため、【呪霊錠】を掛けての制限と鍛練は同じく行う事になる。

 

「と言う訳で、制限された感覚に慣れるのは早い方が良いですし、早速【呪霊錠】を掛けますね」

「相変わらずサラッと言ってくれるぜこの師匠……ってうわっ、手足拘束されたみたいに動かしづらいぞ? これ……」

「【硬気功】や【軽気功】の要領で、全身に霊力を均等に纏わせて循環させるのがコツですね。循環の淀みや力の入れ方に無駄が有る程抵抗が強くなりますから、まずは日常生活を送れるぐらいに慣れていきましょう。どうせ【狂気耐性】の習得には数日かかるでしょうし」

「すげぇ、漫画みたいな修業で面白そうだな! なあ、俺にもそれやってくれよ」

「基礎が出来てるのが前提の修業ですから、覚醒したての貴方には効果が薄い以前に、禄に動く事も出来なくなるんですが……。まあ体感しないとわからない事も有りますね【呪霊錠】」

「おお! これが……って、うおっ」

「カ、カズくん?!」

「ふんぬっ! くそっ、全然動かねぇ……」

 

 カズマに【呪霊錠】を掛けると両手両足が引き寄せられ、バランスを崩して倒れ込む。

 この術は、元ネタにおいて〝鉛で出来たバネ〟と表された枷で手足を拘束したのと同様に、両方の手首と足首を起点にしての拘束と、そこから派生して全身の動きを阻害する拘束の二段階になっており、全身に霊力を巡らせる事で手足の引き寄せ合う拘束力を緩和させ、身動きを可能にして、力の入れ方などに無駄が有る程阻害効果が高くなる全身の拘束から、霊力を巡らせている状態での最適な動かし方を習得すると言う物。

 拘束力は被術者のレベルや霊力量に応じて強くなるため、高レベルほど相応の霊力や肉体の精密制御・操作能力を要求される仕組みになっており、基礎が出来ていればレベルに関わらず有効な修業方法になっている。

 

「――と言う訳で、最低限霊力を全身に巡らせられるだけの基礎が無いと、修業としての意味が無いただの拘束になるため、新人組はまず基礎を学ぶ所からですね。ちなみに【呪霊錠】は、解除する意志を霊力に込めて〝(アンテ)〟と唱える事で解けますが、これも最低限は霊力操作を出来ないと難しいでしょう」

「ぜぇ……ぜぇ……、すんませんっした」

「カズマが阿呆やったのは置いとくとして、その霊力操作とかってのも教えて貰えるのかしら?」

 

 一通りもがいた後、萎びた菜っ葉みたいになって詫びを入れたカズマの【呪霊錠】を外した所で、今度は詩乃さんからの質問が飛んでくる。

 

「琴音と一緒に巻き込まれたって事は、何かしら相応の事態に遭遇するって事ですから、最低限生き延びられるだけの知識と技術は教えますよ。それ以上を目指すかどうかはそれぞれの判断に任せますが」

「あ、それならご指導ご鞭撻のほどお願いいたします」

「ま、誠さん、判断が早いですね……?」

「ここに落ちる前、天使――いや、穢教鳥って言ってたかな? あの悪魔達の上位者を雑に倒せる琴音さんが対等以上に接してる訳だし、かなりの実力者と推測出来るからね。教えを受けるって事は一時的でも庇護下に入れるって事だし、右も左もわからない状況なら素直に教えを請うのが1番だと思う」

「……なるほど」

「まあ道理よね。私もお願いします。悪魔なんて脅威が居るってわかったんだもの、母さんを守る為にも私は強くならないといけない」

「ふむ……気負っているって程では無いですが、安否不明で気が急いている感じはありますね。ちなみにこの中だと家族の安否を把握出来ていないのは、詩乃さんと誠君の2人ですかね?」

「私らは実家へ安否確認に戻るって言う詩乃を都外へ送る途中だった感じだが、そういやカズマ達のほうとその辺の話した事なかったな」

「俺とかなみは施設育ちだから親はいねぇな。んで、誠の両親が働いてる所へ向かってる途中で糞鳥に襲われてた感じだ」

「それならガイア連合の伝手を辿って確認してみましょうか。前に説明した通りココは何十倍と時間加速してるので、確認結果が返ってくるのはだいぶ先になると思いますが」

 

 現実ではさほど経過していないとは言え、体感で何日も経過すれば知らずに心労が積み重なるだろうと言う事で、探すために必要な情報を聞いた訳だけど……。

 

「僕の両親は少し前にガイア書房って名前になった出版社で、ゲーム系の雑誌編集とかしてるって話です。最近はTRPG関連の担当をしてるとか言ってました」

「苗木と言う割と珍しい名字でもしかしてとは思いましたが、お父さんは誠司、お母さんは小冬って名前では?」

「え?! その通りですけど、何故……?」

「それなら確実に無事ですね。苗木夫妻って、陰陽寮の日常TRPGの書籍関連の担当編集なんですよ」

「あーなるほど……ん? と言うか、瑞樹なら家族関連も把握してるだろうし、誠君見た時に気付かなかったの?」

「敵対してる訳でも無いのにいきなり【過去視】とかしませんよ、流石に。話は聞いてても写真とかを見た訳でも無いですし、名前が一致してたのでもしかして、と思ってたぐらいですね。ともあれ、ご両親の方には私から無事な事伝えておきますので、返事が返ってきたらお知らせしますね」

「あ、ありがとうございます!」

 

 ある意味運命のイタズラか、話を聞いたら知り合いの息子だったと判明した訳だけど、結果的に誠君の家族の安否については大丈夫と断言できたのは良い事だろう。

 元々五島陸将のクーデター宣言を切っ掛けとして、メシア教過激派による東京大破壊が行われるのはわかっていた訳で、色々な理由から東京を離れられない人員を避難させる段取りは組まれていて、私との関わりも深い苗木夫妻についても家族含めて山梨へ護送する予定になっている。

 恐らくは今頃、東京大破壊を潮時として活動拠点を山梨の方に移すと言っていたネコカオスニキなど、ギリギリまでオタ活を楽しんでた組が護衛して、娯楽生産者達の避難を行っているでしょう。

 

「この流れって、もしかして私の方も何か関わりがあるとか言ったりしないわよね?」

「あー……、気付いていないみたいですが、詩乃さんと私って以前に会った事有りますよ? 具体的には山梨の病院で」

「えっ?! 確かに山梨の富士山麓近くに祖父母の家があって、中学まではそっちにいたけど……」

「お母さんの名前は春乃さんですよね」

「ええ、その通りよ。もしかして病院関係者?」

「瑞樹さん瑞樹さん、ちなみにだけど、どんな関係か聞いても?」

「療養している事関係なので、守秘義務的にも私から言うのはNGですね。詩乃さんが構わないのであれば多少は話せますが」

「もう殆ど完治してるから問題ないわよ。昔に交通事故で父さんが亡くなったんだけど、その時に精神をね。3年ぐらい前から病院の先生が増えて、新しい催眠療法を受ける様になってから段々と回復してきたって感じなんだけど、もしかしてこれもオカルト関係だったりした?」

「イタコの口寄せと似た方法での対話などですから、分類としては心霊医療になりますね。まあ突っ込んだ話は置いとくとして、琴音から情報を貰った際に詩乃さんが居るのを知りましたから確認しましたけど、詩乃さんの祖父母は星祭神社の氏子ですし、問題無く保護されてますね」

「あ、星祭の関係者だったんだ」

「春乃さんに心霊医療が行われたのも、星祭神社経由で相談されたからですし」

「そっか……無事なら良いわ」

「良かったね~詩乃ちゃん」

「ちゃん付けはやめてって言ってるでしょ、桜子先輩」

 

 無事とわかって安堵の表情を浮かべる詩乃さんに、部活の先輩である麻帆良堂の皆が絡んでる様子は微笑ましい物だけど、ゆっくりと休息する前に決めておきたい事もまだあるため、程々の所で声を掛けて話を戻す。

 

「とりあえず、全員家族などの現実側の懸念事項も大丈夫みたいですし、少なくとも今居る鏡像世界の攻略が終わるまでは、一緒に行動するって事で問題無いですね?」

「ええ、こちらからお願いするわ」

「同じく」

 

 問題が解決した2人を皮切りに、全員の了承を得られたところで次の話。

 具体的には、【呪霊錠】に苦戦している4人程では無くても、鏡像世界を真面に探索して身を守れるぐらいの強さを得て貰うため、どんな修業をして行くかと言う物。

 鏡像世界を探索出来るレベルが49以下に制限されていると言う事は、ボスのレベルは最低でも50以上、ボス補正を考えると60や70近い力を持っている事も想定出来るため、もしもの時に拠点まで逃げられるだけの力は付けて貰いたいと言う事で、それぞれの適性を調べながら、教える内容を決める作業へと移っていく。

*1
『【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録』様の〝超終末級の幸運5〟で登場した【牛歩の歩み】術式を参考元にして、幽遊白書に登場した霊光波動の修の行を再現した術。

被術者自身の霊力や獲得したMAGを使って魂魄に負荷を掛けるため、一切レベルが上がらなくなる上に身体操作や霊力操作が困難になるが、その代わりに霊力の操作と効率化の鍛練効果を飛躍的に高め、枷を付けている間に獲得したMAG量に応じて、被術者の霊力量を増やす事も可能な鍛練術式。

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