【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく   作:緋咲虚徹

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020:夏の風物詩と新作

 霊能関連のあれこれはそれとして、前世〝俺ら〟として夏には夏で色々とやりたい事なんてのもあるわけで、私も今回は制作側として参加するべく、分身を数体同人ゲーム作成に回していたりする。

 と言うのも、アル社長の会社でオカルトを題材にしたアニメが制作されており、夏の祭典辺りには折り返し辺りまで放送されるため、今回もオタ社長とアル社長が共同で出すブースの一角を借りて、オカルト知識を学ぶ事の出来る同人ゲームを販売出来たりしないかと考えたのが発端だったり。

 まあ、そもそもこのアニメ自体が自然とオカルト知識を広める事を目的の一つにしている作品で、作中に登場する術自体はショタおじにも確認を取って許可を貰った初歩的な内容*1だけとは言え、本物の知識を元に作っているため、一部オカルト界隈やオタク界隈では色々と騒がれていたりする。

 これに関しては、ダークサマナーによる被害増加の可能性なんかも話に上がったけど、そもそも周囲に被害を出すようなタイプは知識が有っても無くても被害を出すし、それよりも一般人が不意にそう言った状況へ陥った時、万に一つでも対処出来る可能性がある方が良いのではないか?って事で、ゴーサインが出た経緯がある。

 そんな原作で私も声優の仕事をすることになり、役所としてはオカルト初心者な主人公達に知識や技術を教える教師役をしている訳で、それなら作中では尺の関係から語られていない部分も含めた、正しい知識を語る設定集付きミニゲームみたいなものを作ろうかって事で話を持ちかけたところ、元々設定資料集やドラマCDは作るつもりだったらしく、同人と言いつつ公式品の先行発売みたいな形になってしまったのは見なかった事に。

 内容としてはドラマCD風にアニメ内ではカットされたオカルト授業を神道、修験道、陰陽道の三種類に分けて、身に付いたなら一応霊能者として仕事できる程度の知識になる範囲で解説し、授業を聞いた後ならミニゲーム部分でその術を使用する事が出来て、クリアしたらミニゲームエピソード部分を紙芝居風に視聴できると言う流れ。

 

「いやー、ゲーム作るのってやっぱり難しいですよね。ミニゲームだけだったのに……」

「探求ネキがリアルに分身してようやくでござるからなぁ。しかし、某思うにミニゲームと言いつつ結構なボリュームでは?」

「ショートストーリー分を聞くだけならそうでも無いけど、それ以外の学習用ミニゲームの分量が多いわよねぇ。正直本編がおまけになってるタイプよ?コレ」

「学習用の方はやる事もクリア判定基準も明確だから良いんですけど、難しかったのは本編側の難易度調整ですね。こう……覚醒者基準だとルナティックでも普通にいけそうな動体視力と反応力有りますから」

 

 作業量云々では無く、感覚的な問題の方と言われて微妙な表情で納得してくれた二人を余所に、同人ゲームのディスクを並べていく。

 今回も売り子をしてくれる⑨ニキと大妖精ネキは、地味にアニメ内で登場した氷の妖精と森の妖精と言う名の原作コスをしていたり。

 まあ、正直なところただの普段着と言われても違和感の無い服装なんだけど、⑨ニキのホットパンツ姿は性癖歪む大きなお友達が多そう。

 

「いや、こっち見て変な納得してる探求ネキも大概では?まんま作中の師匠じゃ無いですか」

「最近身長も伸びてきてますけど、作中の師匠はあれ、180近くある上にバリバリの近接型ですから、今の私だと印象が似てるぐらいですよ。実状知らなければ」

「あ、そうだ探求ネキ、いつものコーラある?ココ暑くって……」

「有りますよ。それなら熱耐性付きのクリスタルコーラにしましょうか」

「やったー!」

 

 喜んでくれてる大妖精ネキと⑨ニキにも渡し、他のスタッフにも特性クリスタルコーラシロップ*2を使用したクラフトコーラを配っていく。

 ちなみに、ガイア連合内で特殊農産物と呼ばれている、私が概念付与して生み出した植物関連を未覚醒に使用した場合の問題点については、調理や調薬の仕方によって影響を抑える事が可能になったので、こうして未覚醒も含まれているスタッフに配っても問題無くなったので、安心である。

 

「そろそろ開場時間でーす!」

 

 今年もオタク達の熱く暑い夏が始まる。

 

 

 ★【ようやく】199X夏コミ 雑談スレ その5【開場】

53:名無しの転生者

 今年も!現地は!!地獄です!!!

 

56:名無しの転生者

 >>53 知ってた

 

58:名無しの転生者

 と言うか、会場開くまでに四スレ消費とかどうなってんですかね・・・

 

59:名無しの転生者

 あ゛~、徹夜組うぜぇ・・・

 

61:名無しの転生者

 >>58

 そりゃテッラに乗り換えて使いやすさが上がりまくったからな

 ガラケー時代よりレスしやすいのは当たり前よ

 

62:名無しの転生者

 今回もオタ社長とアル社長は共同だっけ?

 

64:名無しの転生者

 >>62

 だな、アル社長んとこが制作した今放送中の陰陽寮の日常関連で出してる。

 

66:名無しの転生者

 つーか、この暑さマジでどうにかなんねえかな……

 

68:名無しの転生者

 >>66

 山梨支部で熱耐性付きのドリンク系売ってるだろ?

 

69:名無しの転生者

 >>64

 ショタおじ技術監修のガチオカルトアニメですね。分かります

 アレの陰陽寮って、存在不明な葛葉やヤタガラスをイメージしたんだっけ?

 根願寺?知らない子ですね……

 

70:>>66

 >>68

 熱耐性付きって探求ネキの特殊農産物由来だろ?

 俺未覚醒だから使えん

 

73:名無しの転生者

 >>70

 あれ、知らんの?

 未覚醒でも特殊農産物系を使える技術が確立出来たって事で、

 一般販売にならんでるんだが・・・

 

76:>>66

 >>73

 マジで?!

 

78:名無しの転生者

 >>73

 そんな話聞いた事無いんだけど!!?

 

79:名無しの転生者

 >>78

 情弱乙

 

81:名無しの転生者

 >>69

 そういや、陰陽寮の日常で主人公達の教官役してたの探求ネキだよな?

 外部板だと一人で何系統も教導できるほど納めてるのは不自然なんて言われてるけど

 

82:名無しの転生者

 陰陽寮の師匠R18本ゲットだぜ!

 

85:名無しの転生者

 >>81

 なお実際は三系統どころじゃ無いと言う現実の恐怖

 

88:名無しの転生者

 >>81 >>82 の温度差に草

 現実の恐怖に遭遇した>>85はSANチェックです

 

89:名無しの転生者

 >>85

 そしてそれより上なショタおじと言う超越者

 ガイア連合は魔境だった?

 

91:名無しの転生者

 >>89 一般連合員を幹部連中と一緒にしてはいけない定期

 

92:名無しの転生者

 オタ社長は今回アイギスの再販じゃなく、陰陽寮に出てきた付喪神の九十九ちゃんか

 メイド絡繰りで分類が近いからか・・・

 

95:名無しの転生者

 >>92

 ちなみに、着せ替え用の服が五種類ほどと、

 最新話に出てきた氷妖精タイプと森妖精タイプのメイド絡繰りもあるぞ

 

96:名無しの転生者

 公式のくせに師匠R18でふたなり本出していると言う狂気ww

 売り子に居る探求ネキ見て一般通過オタクが宇宙猫してるぜ!

 ええぇ……??

 

99:名無しの転生者

 >>96

 お前も宇宙猫してんじゃねぇかww

 明らかに自分モデルキャラのR18本を11歳に手渡されると言うな!

 いや、表紙にそれっぽい描写無いけど駄目だろ……

 

102:名無しの転生者

 それもだが、今回の⑨ニキと大妖精ネキが身長も含めて作中まんまでワロタ

 列に並んでるだけで二度見三度見してる連中の動きよ

 

103:名無しの転生者

 結局今回の共同ブースでは同人誌と絡繰りフィギュアに着せ替え衣装、

 後はストラップ系とかの小物複数と、設定資料と言う名の同人ゲーだっけ?

 

105:名無しの転生者

 >>103

 今回は探求ネキも含めた公式レイヤー写真集もあるぞ、

 実質前回好評だった写真集の二作目みたいなもんだが

 

107:名無しの転生者

 >>105

 見た目女性写真集だが、

 実体は⑨ニキ♂大妖精ネキ♀探求ネキ☿

 

110:名無しの転生者

 >>107

 性癖の展覧会かな?

 と言うか探求ネキのその記号って何さ?

 

112:>>107

 >>110

 水星の惑星記号

 記号に含まれる意味合いの一つに両性具有もあるから

 

115:名無しの転生者

 >>112

 へぇ、調べたら元はケリュケイオンとかカドゥケウスって言う

 ヘルメスの伝令杖を図案化した奴なのか

 

116:名無しの転生者

 前回は結局写真集の委託再版したんだっけ?

 反省活かして最初から増刷してくれてると良いんだが

 

117:名無しの転生者

 >>107

 見た目が良ければヨシ!

 

119:名無しの転生者

 >>116 一応倍は用意したらしいが……

 

120:名無しの転生者

 >>103

 同人ゲームは探求ネキがメインで作成したんだっけ?

 設定資料と言いつつ初歩のオカルト知識教材にしたとか

 

122:名無しの転生者

 >>120

 聞いたところに寄ると、教材になる同人ゲー作るだけのつもりが

 ドラマCDや設定資料集と混ざって公式ファンディスクみたいになったとか

 

125:名無しの転生者

 >>120

 それって俺らが買っても良いのか?

 いや、俺らも一般参加者だし買っちゃ駄目って事無いだろうが

 

127:名無しの転生者

 >>125

 まあ同人ゲーで終わらず公式の先行販売扱いらしいから

 後からでも通販なりで買えるだろうし気にせんでええんでない?

 

129:名無しの転生者

 それより在庫的には小物の方だろ、スマホケースとストラップは欲しい

 

131:名無しの転生者

 >>129

 スマホでたばっかで関連小物は数が無いからな

 俺はクリーナー系だな、モニタもそうだがめがね拭きとかもあったし

 

 (以降も様々な書き込みが続く・・・)

 

 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 暑い中の祭典も終わり、何故かそれ以降売り上げが増えて、増産依頼が来た熱耐性付き特製クリスタルコーラシロップを量産したり、序でに甘葛のシロップなど数種類用意して季節限定メニューとしてかき氷を用意したりしていると、ふと食堂内の一部を見て、一つの疑問が浮かび上がる。

 

「暴食系の人達って、どういった原理で食べ続ける事が可能になってるんですかね?」

「あん?どうしたいきなり」

「いえ、こう物理的に入らないだろう量を食べてること自体もそうなんですけど、満腹というか、満足という状態にならない事に、何か別の理由でもあったりするのかなーって思いまして」

「言われりゃそうだな……。食った端から吸収されるのかマグネタイトに分解されてんのかは分からんが、ある程度の量を食えば一応は落ち着くのを考えりゃ、純粋に大量のエネルギーが必要か、エネルギーの吸収効率が悪いかってとこか?」

「そうなると、吸収効率が良くて、尚且つ高カロリーで栄養価も高く、可能ならマグネタイトの保有量も多い食材でも有ればって所ですか」

 

 ジャンニキの所見はある意味そのままだけど、結局の所一時的にでも、もう食べられない!って状態に出来る様な料理か食材があればって話なのだろう。

 

「おい、また変な事考えてんじゃねぇだろうな?」

「んー変というわけでは無いと思いますけど、バタークルミ有るじゃ無いですか」

「ああ一個食うだけで十日は食欲湧かなくなる奴な、流石にアレ食った後なら食事量減るって事で暴食系の連中に好評だな。一部はアレでも空腹感が解消されんって話だが……、実際は他を食べる量が減るからと避けてるだけな奴もいるみたいだがな」

「らしいですね。まあ単純なカロリーが有効なタイプも居れば、そうじゃ無いタイプも居るって事みたいですし、マグネタイトも大量に含んだ満腹感を刺激する食材でも作ってみようかと思いまして」

「やっぱ変な事考えてんじゃねぇか」

 

 呆れた声を出されはしても、特に止められないと言う事は、ジャンニキとしても暴食系の連中が今の様に、大量に食料を食い潰す状況を何とかしたいとは思っていると言う事なのだろう。

 まあ暴食系と言っても料理を粗雑にしている訳ではなく、純粋に楽しんで食べていること自体は理解しているため、料理人として食事を出す事自体に不満は無いんだろうけど、それはそれとして物理的に食料の仕入れが大変ってのはあるわけだし、ある程度食べる量を抑えられるなら抑えたいってのが正直な話だろうね。

 

「――と言う訳で、今回はバタークルミ以上のカロリーを保有し、マグネタイトも多量に蓄える様な木の実を作っていこうかと思います」

「また特殊農産物増やすの?あんた」

 

 思い立ったが吉日と言う事で、早速事務方にも連絡入れて許可を取り、農業部の実験栽培用壺中天地の一角へとやって来て、興味本位に野次馬している農業部員相手に今回の予定を告げたところ、テンポ良くツッコミを入れてくれたのは元社長令嬢で農業ガチ勢になってるカタリナネキ*3

 基本的に魔界植物関連の研究か一般へ回せる類いの品種改良や農作物の増産をメインにしており、地道なデータ集めをしてくれるとてもありがたい方である。

 ただ、覚醒修行やらを始める頃に色々とゴタついていたらしく、その辺で手を貸した財界ニキ達との契約関係もあって、祓い屋の仕事等で外に居る事も多いため、地味に遭遇する機会が少なかったりもする。

 

「カタリナネキ、今日はこっちだったんですね。今回は私の趣味と言うだけじゃ無く、暴食系な人達の食事事情改善の目的もあっての栽培実験ですから」

「思いっきり趣味って言ってるじゃないの、まあ農業やってるのが楽しい私に言えた義理じゃ無いけどさ。それで、具体的にどうするか決めてるの?」

「それなんですけど、今まで作ってきた特殊農産物って概念的に相性の良さそうな物を付与してるだけなんですよね」

「そう言う割りにベーコンの葉なんて随分なトンデモが出来てるじゃない、アレって植物としての性質じゃなくて肉の性質を上書きした様な物でしょ?他にも植物の性質を逸脱してる様なのもあるし」

「正に其処なんですよね」

 

 私が特殊農産物を作る時は【植物改変】スキルで、付与したい概念から定着し易い植物を選んで、何代か世代交代させながら目的の性質をもった新種の植物を作り出す流れ。

 そんな訳だけど、カタリナネキが言ったように一部の、と言うか基本的にトリコの食材再現シリーズでやってる事は、植物という情報構造体に別の情報を組み込んだり上書きしたりしている様な物。

 言ってしまえば、悪魔合体で新しい悪魔を作ったり、式神のスキルカードを付け替えて能力を変更するみたいな感じな訳で。

 

「植物という実体と言うか基礎がある分、意図して改変しない限り悪魔になったりはしないんですけど、それこそ式神にスキルカードを刺すみたいに術式を組み込んだ植物ってのは出来るはずなんですよね。私の想定通りなら」

「随分と酷い事言ってる自覚有る?植物相手だからそんなに感じないけど、言ってる事生命の改造よね?」

「そんな物、品種改良の時点で同じですよ。アレだって自然に起きうる事を人工でやってるだけですし、術式を組み込むってのも言ってしまえば、桃にはこういう逸話があるから破邪の効果があるに違いないって思いが積み重なって、本当に破邪の効果を得たのを短縮してるだけですからね。今後GP(ゲートパワー)が上昇して、現在の世界を構成している概念以外の概念が影響し易くなれば、今は異界内にしか存在しない霊草なんかも普通に生えてくるらしいですし」

「はぁ……、そうね。遺伝子を解析しての品種改良なんか正にそのままよね。まあ自覚している上でやってるなら良いわ、私だって私の都合で私好みの農作物になる様育ててるんだし。それで今回は何を改造するの?」

「ナッツの女王とも呼ばれるピスタチオですね。油脂分が多く栄養価もあり、組み合わせる予定のバタークルミと同じナッツ類というのもあります」

 

 事務方に連絡入れて許可が出るまでの間に、【トラポート】の転移先として目印を置いてる場所のいくつかを回り、加熱処理されていない生ピスタチオを仕入れて来たので、今回は種に直接細工しながら試験栽培していく予定。

 後、苗木からじゃ無いのは、日本だとそもそも気候的に合わないため、苗木の販売自体禄にされていないと言うのも理由だったり。

 

「なるほどね、それで乾燥地帯を環境再現した一角な訳か、結晶仙人掌を組み込む先としても気候的な相性が良いって所ね」

「そうなりますね。それじゃ【植物改変】」

 

 取り出した種の一つに、バタークルミや結晶仙人掌など、いくつかの植物を触媒にして情報を組み込み、望んだ性質となる様改変し、それを何パターンかに分けて施していく。

 処理が終わったら区画内に場所を離して植えていき、芽が出るところまで生長させたら結界を張って区画の外へ移動し、時間加速を起動させる。

 

「これ、いちいち壺の外に出なくて良くなったのは楽よね」

「元々壺中天地は個人使用する予定の道具でしたからねぇ。農業部に貸し出しした後、私も面倒だと思ったので、拡張などする際に追加したんですよね、っと一旦解除」

 

 水やりや追肥などは結界側に機能を組み込んでおり、時間加速中でも設定した分量を施す事が出来るため、栽培方法が確立している様な植物だったら必要分の霊力を注ぐだけで収穫まで加速する事も可能だけど、今回は栽培実験な訳で、パターン分けした中には上手く育たない物なんかもあるため、その都度時間加速を止めて問題点などを確認していく。

 

「とりあえず収穫までは行ったみたいだけど、芳しくは無さそうね」

「ですねぇ。一番上手く行ったパターンでも、辛うじて数個結実出来た程度で、他は種が出来すらしなかったですし」

「探求ネキ、時間加速中のログ出してきたぞー」

 

 近くの区画で別の実験しつつ野次馬していた農業部員の一人が、手でも空いていたのか時間加速中の出来事をログとして出力する機能にアクセスして、データを用意してくれたらしい。

 

「おお、ありがとうございます。どれどれ――ぬぅ」

「渋い顔ね。見せて頂戴」

 

 カタリナネキにデータを渡し、今回の結果になった原因について対処法を考えていると、然もあらんと言ったため息が聞こえてくる。

 

「マグネタイトも含めて大量のエネルギーを蓄える木の実なんて、そりゃ結実するのに大量のエネルギーが必要になるわよね」

「まあ考えて見れば当然の話でしたよね」

 

 そう、ぶっちゃけ土地の栄養も周囲のマグネタイト量も足りてないから結実出来なかったと言うだけの話で、辛うじて結実したパターンについてもその種に上手く養分が集中出来たと言う理由だった。

 

「基本的な解決策は追肥を増やして土壌の栄養状況を維持、樹木が吸い上げても枯渇しないだけのマグネタイトを供給するって所だけど……」

「修行場異界の近くに専用異界を作って、大量の肥料を運び込めば可能でしょうけど、壺中天地みたいに悪魔が湧かない閉じた世界には出来ないですし、必要になる肥料を考えると増産は絶望的ですね」

「エネルギーを増やしたり出来りゃ良いんだろうけどなー」

「増殖炉でもねぇんだから無理だろ、つーかエネルギーは基本減るんだから仕方ないんじゃ無いか?」

「ふむ、増殖炉ですか。行けるかも知れませんね」

「「はぁ?」」

「探求ネキ、マジで言ってるわけ?」

「大真面目ですよ。と言うか取り込んだエネルギー以上の力を発揮するってのは心当たり有りますし」

「え、マジで?」

「自動発動系スキルの【プレロマ】や【ブースタ】ですよ。あれ消費量そのままで効果増幅してますからね」

「ああ、なるほど?つまりこの樹木に【プレロマ】なりのスキルを組み込んで、エネルギー増幅しようってことか」

 

 と言う事で、先程辛うじて結実した種を使って更に【植物改変】し、私が今習得している属性増幅系から五行の循環と陰陽の循環、陰陽五行の循環とパターンを分けて組み込んでいく。

 

「一番上手く行ったのは陰陽五行で循環を作ったパターンですね」

「結実した量が倍は違うし、内包しているエネルギーにも差が出てるわね。と言うか、これピスタチオよね?熟してるはずなのになんで殻が割れてないのよ」

「それは内部にエネルギーを凝縮させるために、結晶仙人掌と火栗の性質を利用したからですね。味が良くなるほどにエネルギーを蓄えられて、外に逃さない様全体を堅い果皮で包み、焙煎する事で皮ごと美味しく食べられます」

「あんたもホント相変わらずね……」

 

 こうして、私の特殊農産物に新しく宝玉ピスタチオ*4が追加される事になった。

*1
日本の地方組織的には十分高度な内容

*2
水晶の樹の種を様々な霊草と合わせ、煎じて作った濃縮霊薬液。基本性能は体力と霊力を五割回復させ、回復力を一時間ほど向上させる。

他に使用している霊草に応じて、一部状態異常回復、一定時間一部ステータス上昇など付加効果が変わる。

また、シロップを割る液体によっても効果が上下したり変化するため、多少の知識を必要とするが、その分効果の高い霊薬となっている。

*3
『小ネタ 悪役令嬢系俺たち』より

*4
ナッツの女王とも呼ばれるピスタチオに、結晶仙人掌やバタークルミ、火栗などの様々な特殊農産物を組み合わせた事で誕生した。

大地の栄養と周囲のマグネタイトを樹木の内部で循環し増幅する炉心のような性質を有しているため、木の実を結実させたとしても周囲の栄養が枯渇するほどではない。

白、黒、青、緑、赤、黄、無色と七色の実が結実し、焙煎する事で堅い果皮毎食する事が可能になり、一粒で十五日分の栄養とカロリーを摂取することが可能。

なお、性質上大量のマグネタイトを含んでいるが、栄養として吸収される効果を持つため、食べてもレベルは上がらない代わりに、悪魔の維持コストを抑えられる。




 GP上昇で霊草などが普通に生えてくるって話については、悪魔が出現し易い環境=別概念が浸食していると言う想像からの捏造設定です。
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