【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
今年最後の宴会も、締めに年越し蕎麦を皆で啜って、恙なく閉会したのは日が沈んだ後の大体18時前後ぐらい。
北神奈川支部の管轄範囲周辺へ降り注がせていた雪も止んで、降り積もった雪が土地と人々に積もった厄を雪いで溶け、無事に祓い清め終わったのを確認したため、今年最後の仕事もコレにて完了と言ったところ。
そんな訳で大祓の儀も無事に終了し、地元での年始行事が有る人達は、家に設置してある転移陣やターミナルで帰って行き、年始の用事が無い人達などは、慌ただしく帰るのもって事で客室を割り当てて泊まっていく感じで、それぞれ解散して行く。
「無事に厄落としが終わりましたし、使った食器などの片付けは蓬莱に任せますね」
「畏まりました――以上」
祭主として最後まで残って参加者達が戻っていくのを見送り、後の片付けなどを蓬莱達に指示したら、私も漸く仕事納め、客間に泊まってる人達が居るとは言え、参加者からして殆ど身内の様な人達だけなため、ココからはプライベート時間って事で、仕事終わりの一風呂浴びに向かう。
なお家の風呂は、スクナヒコナの権能で湧かせた山頂の霊泉を直接引いてる露天の温泉で、家族用なだけに男女で別れてたりはしないんだけど、大祓の儀関連で数日前から宿泊してた参加者も居た関係で、脱衣所の時点から空間をズラす仕組みを追加してたりする。
ちなみに、基本的は男女で入る先が変わる様にしていて、入室の際に設定すれば、1人用や家族用などにも変更可能になっているため、子供達と一緒に入る時も大丈夫だし、男女が脱衣所でばったりなんてラキスケイベントも起きない様になっている。
まあ両性の私はどちらでも入れはしますが、一部を除いて基本的に女性体型ですし、女性側に入るのが騒ぎも少なくて済むでしょう。
それに宿泊する様な知人で女性なら、大体は恋人関係になってるでしょうし……。
「あ、瑞樹ちゃんも今からお風呂?」
「最後の帰宅予定者の見送りが終わりましたからね。仕事も全部終わってフリーですよ
脱衣所を抜けて風呂場に出ると、先に温泉を堪能してたらしいキノが振り向き声を掛けてくる。
月光が降り注ぐ露天風呂で、湯船の縁に腕を乗せて見返るキノの姿は、しっとりと濡れた髪が月光を照り返し、温泉で火照った肌が薄紅色を浮かべ、その華奢な肢体がかえって妖艶さを感じさせる程。
そんな蠱惑的に誘う様な雰囲気とは似つかわしくない、天真爛漫な笑顔を浮かべるキノの様子に、色々と振り切りたくなる意識を意志の力で抑え込み、表面上は冷静に言葉を返すと洗い場へと向かう。
「瑞樹ちゃんってボクと同じで前世男なのに、髪や肌の手入れとかマメだよねぇ」
「折角女性に生まれて、更には容姿も整ってるのがわかったなら、綺麗に着飾りたいと思うのは普通ですよ。まあゲームのアバターみたいな感覚が無いとは言いませんし、今は両性になってますけどね。それよりそう言うって事は、また手入れをサボってる訳ですね?」
「あ、藪蛇った」
「では以前に約束した通り、隅から隅まで綺麗に磨いてあげますね♪」
洗い場で【浄化】も併用してささっと身綺麗にした後、自分用に調合した薬液で髪や肌の手入れを行っていると、関心してる様な呆れ混じりの様なキノの声が聞こえてくる。
私もキノも、前世ではオッサンと呼ぶぐらいの年齢まで生きていた記憶のある所謂TS転生組で、今の性自認としては基本女性側だけど、恋愛対象は主に女の子な精神的にはノーマルで、外見的にはレズな感じと共通点も多い。
――が、こと美容に関しての意識はだいぶ異なり、キノはこの辺男性的と言うか、普通に洗って終わりにする事が多かったりする。
ガイア連合に来た当初にアルネキからの指導を受けて、手入れ方法などは知ってるし、やろうと思えば一応出来るはずなのに、こうして私に口実を与えると言う事は、実は遠回しに誘ってたりするんですかね……?
ともあれ、手入れをサボっていた悪い子なキノを綺麗に磨き上げるため、逃げようと動き始めた所を、髪留めの簪にしている霧露乾坤網で湯船のお湯を操作し捕獲。
そのまま洗い場まで強制連行したキノを椅子に座らせると、流石に観念した様子のキノを、髪の毛から指の一本一本まで、丁寧に手入れしていく。
「んぅ、ちょっ、そこはっ?!」
「背中は手が届きにくいですからね~、次は前行きますよ」
頭皮や髪に薬液を馴染ませた後は、時間を置く間に別の薬液を取り出し背中へ揉み込む様に、マッサージも兼ねて塗っていると、時折艶めいた声が聞こえてきて煩悩を刺激してくれるが、【不動心】で耐えて作業を継続。
首や胸、お腹に足と、肌に溜まったダメージを癒やす様に、丁寧に丁寧に塗り込み揉み解す。
次第にキノが椅子に座ってられなくなってきた辺りで、マットの上に寝かせ、最後に残ったキノの可愛いお尻とデリケートゾーンに触れる。
可愛く身悶えるキノの声は努めて受け流し、全ての作業を終えて薬液を洗い流した後には、涙目の真っ赤な顔で恨めしそうに見つめてくるキノが居たけど、普段から自分で手入れしていれば受けなくて済んだ事なので、諦めて貰いましょう。
「私の理性にもだいぶダメージが入った訳ですし、ここは1つお相子という事で」
「何がお相子だよ。すんごく恥ずかしかったんだからね! それに瑞樹ちゃんノリノリだったじゃないか」
「そりゃ可愛いキノを私の手で美しく綺麗にするのは楽しいですからね♪ まあキノが自分でちゃんと手入れしているなら、私が手を出す名目も無いから出来ないんですが」
「ぐぅっ……。って言うか、湯船に入るのは良いけど、何で瑞樹ちゃんに抱きかかえられる体勢になってるの?? 柔らかいのと硬いのが同時に当たってるんだけど?!」
「手入れとマッサージで力が抜けて、姿勢維持も大変そうだからですかね。そ・れ・に、本当なら今すぐにでも1つに交わりたい所を我慢してるんですから、これぐらいの役得は有っても良いでしょう?」
ちなみに現状は、洗い場での諸々が終わって後は温泉でゆっくりしようと言った所で、力が抜けきったキノが再起動するまでにはまだ時間が掛かりそうだったため、私の胸にキノの頭を乗せて、仰向けにしたキノを抱える様にして一緒に湯船に浸かっている状態だったりする。
「くっ、ふわふわでモチモチなおっぱいを押しつけてくるとか嫌みか! このっ、このっ」
「ふふっ、キノならいつでも好きに弄って良いんですよ」
最初は身を捩って抜け出そうとしていたが、折角の機会を逃がす訳も無いので、重心移動などを駆使して上手く動けない様にしていると、反撃する様に胸へと手を伸ばしてくる。
まあ、エロ方面はまだまだ未熟なキノの反撃だと、快感を刺激されるよりも愛情が高まる方が大きくて、より一層甘えさせたくなってしまうだけなんですけどね。
「ぬぅ……効いてない処か喜ばせてるだけ、か……はぁ」
しばらく私の胸を弄るように攻撃して、特に効果が無いのに気付いた辺りで抵抗を諦めたのか、溜息を吐いて体を弛緩させる。
そうして温泉と互いの体温を感じる様に、ゆったりと湯船に揺られていると、不意にキノが口を開く。
「あの、さ……子供が欲しいって言ったら、瑞樹ちゃんはどうする?」
「もちろん喜んで父親になりますが、正実シスターズが揃って妊娠した事で思う所でも有りました?」
「まあ……ね。皆ボクの子を妊娠したって凄く喜んでたから、好きな人の子を身籠もるってどんな気持ちなんだろう……ってね」
「前世が男だったとしてもキノも肉体は女性ですから、脳構造やホルモンの影響で、女性としての意識は確実に育ちますし、そう言う疑問を持つのは当然ですよね。私の場合は、妊娠するってのがどう言う物か興味があったのも強いですけど、それ以上に琴音との血の繋がりを感じたかった、琴音に家族の温もりを与えてあげたかった、と言う部分が大きかったですかね」
「血の繋がりと家族の温もり……」
「私も琴音も天涯孤独でしたからね。本当なら琴音自身が産みたかったみたいですけど、当時の琴音は急いで強くなる必要が有りましたし、私の方は余裕があったから、と言うのも理由には有りますが」
「参考になる様な、微妙な気もする様な」
「感情なんて人それぞれですし、そんな物でしょう。それで、どうします?」
「うー……おねがい、します……」
しばらく葛藤する様に呻った後、消え入る様な声でお願いするキノに、そろそろ本気で理性が溶け落ちるのでは? と感じ始めた頃、脱衣所の扉が勢い良く開かれ、聞き慣れた元気な声が響いてくる。
「あーっ! やっぱり二人でイチャついてた! そこは私も混ぜるところでしょ! 私にもキノちゃんを愛でさせろっ!」
「うぇっ!? 琴音ちゃん?! と言うか対象はボクなの??!?」
「キノさんを構いたくなる気持ちってのは良く分かりますけどね~」
「! エ、エフィネキ、ヘルプ!」「おや、個人用では無く恵利香も
「琴音さんに誘われましたし、瑞樹さんが一緒なら大丈夫かな? と思いましたので、それにキノさんを甘やかしたいと思うのは瑞樹さんだけじゃ無いんですよ?」
「エフィネキ!? キミもか!」
どうやらキノとしっとりイチャイチャ出来る時間は終わった様で、琴音に
「くっ、ボクにもう少し身長と胸が有れば……!」
「スケベ部では体型を変化させる霊薬も販売してますし、【魂魄精練大法】で理想の体型へ成長出来るのに、今の姿を維持してるのはキノでしょう?*1」
「ぐぅ……」
「今世の原作者を保護してるぐらいにキノの旅好きだもんねぇ。自然に似た背格好に成長したのは崩せないか」
琴音と恵利香も加わったキノを愛でるひとときが終わり、脱衣所で髪を乾かしたりなど整えて着替えていると、一方的に愛でられた事に思う所がある様で、恨めしそうなキノの視線が私達に向かう。
まあ恨めしそうな言葉とは裏腹に、今の身長や体型を維持してるのはキノ自身な訳ですし、ちょっとした不満程度の物でしょうけども。
ちなみに、身長順に並ぶと私が1番高くて180cm程、次が琴音の172cm*2に恵利香の165cmで、キノが150cm程*3となり、バストサイズ順だと恵利香が1番大きくて113のOカップ(トップとアンダーの差が45cm)、次ぎに私が102のGで、琴音が94のEと山脈が続き、なだらかな裾野に繋がる*4感じになっている。
「私や瑞樹さんは容姿が似てても原作のキャラとかは余り意識してませんけど、敢えて似せたコスをするなりきり勢なんかも居ますよね」
「有名処だと承太郎ニキやおぜうネキ*5とかですね。ライトなコス勢だと、ネコカオスニキや銀鈴ネキなんかも入ってきますし、一応キノもライトなコス勢になりますかね? 普段の装備がコス衣装ですし」
入浴後までフル装備ってのもどうかって事で、温泉上がりならと用意した浴衣に着替えていると、キノの嘆き(ポーズにしか見えない)から、原作持ち黒札の容姿や敢えて格好を似せているなりきり勢に話が流れる。
「いやまあ装備名がまんま〝キノ コスプレセット〟*6だけどさ、レベルが上がって装備変更を考える頃になると、キノファン一同とか名乗ってる連中から毎回装備が届くんだから仕方無いじゃん。無駄に性能高いし、深層に潜れるぐらいになったら流石に来なくなるだろうと思ったら、普通に贈られてきたし……」
「そりゃそうでしょ、制作者の一人は瑞樹だし」
「え゛っ?」
「いやそんな驚きって顔してるけど、身内にだだ甘な瑞樹がキノちゃんの装備に関わってない訳ないでしょ」
「発案は別ですけど一作目から全部関わってますからね。ああ、装備代としてキノが送り返してきた魔貨などは、制作協力者にちゃんと渡ってるので安心して下さい」
今まで気付いていなかったのか、キノが驚きの表情を浮かべて私を見てくるけど、琴音が言う様に特に隠したりなんかはしてなかったんですけどね? 自己満足でやってた事なので公言したりはしてませんでしたが。
「送り返した装備代がちゃんと渡ってるなら良い……のかな? 瑞樹ちゃんは報酬とか確り貰うタイプだし」
「キノさんキノさん、さっきの言い方だと瑞樹さんは代金を受け取ってないみたいですよ?」
「…………はっ!?」
「う~ん、ポンコツ可愛い!」
「依頼されて作るなら兎も角、趣味で作った物を渡す場合に費用なんて取りませんよ。っと、オチも付いた所で風呂上がりの飲み物はどうします? 其処の保存箱に入れてる物は自由に飲んで貰って構いませんが」
着替え終わって脱衣所を出たら、温泉で火照った体を適度に冷ますのも兼ねた談話スペースへと移動し、風呂上がりに直ぐ飲める様に設置してある保存箱から、自分用に冷やした状態で保存してある瓶入りの搾りたてミルクを取り出す。
「私はどうしよっかな~? お酒は忘年会で沢山飲んだから外すとして……ん? 温泉ドリンク*7出来てたんだ、丁度良いしラッキーラッシー*8でも飲むかな」
「量産型の式神でキッチン猫造りましたからね。モンハン飯と平行してレシピ開発した成果って所です。飲み物に応じたスキルが24時間付与されますよ」
「スキルが付与される飲み物とか、また凄いもの造ったよね。ボクは何にするかなー、選択肢が多いから余計に悩ましい……。ちなみにエフィネキは?」
「私は体質に合わせて、凍らせた塩水を使ったフローズンカクテルを常備して貰ってますから、その中から気分で、ですね。今日はバナナと蜂蜜のカクテルにしようかな」
「うーん、琴音ちゃんはその日の気分、エフィネキは専用のカクテルで、瑞樹ちゃんは瓶牛乳っと、温泉上がりだし瑞樹ちゃんと同じにするかな――あれ? 検索で瓶牛乳が出てこない?」
保存箱内に入れてる物を検索する空間投影ウィンドウを操作して、各々好きな飲み物を探して取り出してる所、最後まで何にするか悩んでいたキノが検索結果に首を捻る。
「あ、瓶入りのミルクは何種類か置いてますが、一般の瓶牛乳は置いて無いですね」
「え? じゃあ瑞樹ちゃんが飲んでるそれは?」
「恵利香から購入してる搾りたての
「ブッ!」
「家の子達の乳母をして貰った関係もあって、子供達も好きだからそこそこの量を常備してるんだよね。時々料理とかお菓子にも使ってるし」
「星大祭で知名度が上がって、最近はそこそこ売れる様になりましたけど、健康のために絞ってるとドンドン生産量も増えてしまって大変なんですよねぇ」
「えぇ……ボクの方が可笑しいの? これ……」
困惑した表情を浮かべるキノの姿にほんわかしつつ、風呂上がりの一杯をぐいっと飲み干し、空の瓶は【浄化】機能付きの容器回収ボックスに放り込む。
さてさて、お風呂も終わって後は新年を迎えるだけですが、まだ時間は有りますし、もうしばらくはキノを愛でながらゆっくり会話を楽しむとしましょうか。
普段はこうして、ゆっくりと愛でられるタイミングも少ないですからねぇ……。
『【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅』様の〝母となった日(FA追加)〟より、父親は探求ネキとの事で、子作りに至る経緯をネタに使わせて貰いました。