【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく   作:緋咲虚徹

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003:合流、そして女子会

 電車に揺られたり乗り継いだり自らの足で走ったりとすること半日、オフ会集合場所近くの合流場所に指定された駅に到着し、空腹を訴えるお腹を鎮めるため駅の売店で購入したおにぎりにかぶりついていると、○ープの帽子を被った茶髪の女性が駅に入ってくるのが見える。

 

「太股まである長い黒髪の女の子……、イッチが言ってたハンドル名瑞樹は貴方?」

「あ、はい。ハンドル名美波さんですか?○ープの帽子を被ってますし」

「良かった。10歳の女の子ってイッチに聞いてたから合流出来るか心配だったのよね」

「こっちはとりあえず東京から出られれば一先ずよし、ぐらいの気持ちだったので……、とりあえず宿泊先確保してくれてありがとうございます」

「まあ私は迎えに来ただけで確保やらをしてくれたのは富豪俺らだし、感謝はそっちにね。それじゃ宿まで行きましょうか、色々話し込むには場所が場所だし」

 

 という事で会話もそこそこに美波さんが案内してくれた先は、そこそこの大きさがあるホテル。

 どうやら丁度予約客がいない日付だったそうで、昨日と今日については今回のオフ会で前乗りしてきた人用に俺らの中でも知識やらなんやらを活用して成功した人達の内、今回のオフ会に参加出来た人がついでとばかりに宿毎貸し切ってくれたらしい。

 スケールの大きな話だがとてもありがたい、感謝するのはもちろんだがその内何かしら恩返しになる物でも用意できるよう、まずはイッチのところで修行をつけて貰わなければ。

 そんでまあ団体貸し切り状態なおかげで、参加者証みたいな物を用意してしまえば細かい名簿を作る必要も無いって事で今回の私みたいな状況にも直ぐに対応できたとのこと、実際受け付けで何か言われることも無く手続きが終わり、部屋の空き人数もあって美波さんと同じ部屋へ泊まることになった。

 

「瑞樹ちゃんも掲示板見てれば分かるだろうけど、私達も結局俺らって所は変わらないから一人部屋から埋まっていってねー」

「女性部屋ですしそこは気にしませんよ、他は何人いる感じです?」

「二人いて、瑞樹ちゃんで丁度人数埋まった感じね、っとここが私達の部屋になるわ」

「美波さんお帰りー、その子がイッチの言ってた瑞樹ちゃん?」

「お帰りなさい、お茶入れますね」

 

 部屋に入ると学生服を着た女性と社会人っぽい女性が出迎えてくれて、お茶やお菓子の用意が終わるのに合わせて改めて自己紹介となった。

 

「とりあえず私から改めてってことで、新田美波よ。大学生で民俗学専攻してるの、今回のもフィールドワークって事で来てるわ、よろしくね」

「では次は私が、美波と同じ大学の経営学部所属の千川ちひろです。私はインターンみたいな物かしらね、実際ここを貸し切りにしてるギルニキの会社に内定貰って、今回の宿の手配とかしたわ。ハンドルはちひろで登録してるからそう呼んで下さいね」

「え!?ちひろさんそんなことまでしてたんです?あっ、私は佐倉千代、高校一年生ね。丁度ゴールデンウィークだし、物は試しって事で参加したの、ハンドル登録は千代だから私もそう呼んでね」

「了解です。聞いてるかも知れませんが、瑞樹です。小学五年生になった所ですが、戸籍とか使えなくなると思うので、覚醒者の10歳と紹介した方が良さそうですかね。」

「メシア教だっけ?何か躊躇無く家出したみたいだけど、そんなに警戒するような団体なの?宗教団体だよね」

 

 多分前世でメガテン関係に触ったことが無いのだろうと思われる千代さんが、普通に考えれば当然な疑問を浮かべている横で、美波さんとちひろさんはそれなり以上に知識があるのか苦い表情を浮かべている。

 

「女神転生関連の知識が無いなら当然の疑問ですかね。まあ知識が無くても所業を聞けば危険性も分かって貰えるかと思いますが……」

「という事は、やっぱり?」

「あれ?この中で疑問に思ってるの私だけ?」

「私のいた養護施設で起きたことぐらいならまだマシですし、経緯含めて説明しますね」

 

 納得の表情を浮かべる二人は良いとして、女性でメシア教の事を知らないと言うのも危険なため、一昨日からの実体験を話していくことに。

 初遭遇時と施設内の状況部分はいまいちピンとこなかったみたいだけど、メシアンがのたまった〝彼女なら良い母体となるでしょう〟という発言とそれに疑問を呈すること無く賛同する職員の段になると、たちの悪い冗談を聞かされた様な表情に変わる。

 

「それって本当にマジ話?」

「覚醒者の威圧感というかオーラを使った思考誘導部分は確実ですね。私にも干渉しようとしてきましたし、実際に感じて貰った方が早いですかね」

 

 普段から外に漏らさない様にしている霊力の制御を緩め、上位存在であるかの様な意識でもって千代さんを見つめると、びくりと体を震わせたのを見て制御を元に戻す。

 

「うわっ!?」

「今感じたかと思いますが、一種のカリスマ的指導者のようなものと思って貰えば良いかもしれませんね。画面越しでは何てこと無い政治家でも実際にあって話すと共感してしまうように、メシア教も一応表向きは一神教系の宗教団体ですからね、世界中に信者のいる宗教の信徒というバイアスもあって未覚醒者ほどあっさりと言葉を信じ込むわけです」

「イッチの言ってたこと結構疑ってたんだけど、今の感覚はヤバいわね。直ぐに戻してくれたから軽口言ってられるけど、さっきのまま言われたら無条件で頷きそう……」

「今思うと、ギルニキが直ぐさま手配するように連絡してきたのって、やっぱりオカルト関連に何か心当たりがあったから何でしょうね」

「ま、まあとりあえず、瑞樹ちゃんが言ってたことについてはそう言うものと納得するとして、さっきのぞわっとしたやつが覚醒者のオーラって事?」

「その辺は明日からのオフ会でイッチに聞いた方が正確な話が聞けるかと、私が言ったことも前世のふわっとしたメガテン知識からそれっぽく言ってるだけで、正式な修行を受けたわけでも無いですし」

「んー、俄然明日が楽しみになってきたわねぇ。詳しい話はイッチに聞くとして、瑞樹ちゃんは何か魔法が使えたりするの?」

「幾つかスキルを使えますけど、傍目でわかりやすいのは【アクア】ぐらいですかね」

 

 飲み干したティーカップの上空に威力や規模を調節した【アクア】を発動し、カップの中に一時的な水として注いでみせる。

 

「おお!何もないところから水が、何かわかりやすくファンタジーね」

「この【アクア】って魔法は基本的に攻撃魔法ですし岩とかに当てると岩が割れるぐらいの威力はありますし、水なのでぶつけた直後ぐらいは濡れた状態になりますけど、魔法は魔法なので直ぐに消えて乾いた状態に戻るんですよね」

 

 こんな風に、と見せたカップの中は、先程まで並々と水が入っていたにもかかわらず、既に空っぽの状態に戻っている。

 

「何かこう化かされたみたいな感じね、さっきまで確かに水がフチの所まで入ってたはずなのに、でも攻撃魔法なのに威力ゼロで発動なんて事も出来るのね」

「感覚的には攻撃魔法ってよりも水属性の基礎魔法って感じですかね。ゲームとかで言うと威力50以下の水属性魔法全部をまとめて【アクア】と言うツリーに入れて、熟練度の上昇に合わせて形を変えられる様になったり、物質としての水を生成出来るようになったりとか」

 

 今度は飲料水として物質化させてカップに注いだ後、備え付けされてるタオルに垂らしてみせる。

 

「うわ、確り濡れてるわね。掲示板だとメガテンやペルソナってゲームが元になってるって話だったから、魔法毎に出来る事が決まってるのかと思ってた」

「私のコレは覚醒した時に名称とか出来そうなこととかが思い浮かんで来たから、色々やれているだけって可能性もあるし、その点についてもイッチに聞いた方が良いかもしれないですね」

「それにしても、そうやって水を浮かせているのを見ると、ますますあの漫画の竜吉公主に見えてきますよね」

「あ、その話するんです?ちひろさんも美波さんも特に触れてこなかったからスルーしてたんですけど」

「いやまあ、ギルニキとか見た目も言動も概ねギルガメッシュですし今更かな、と」

「中身が〝俺ら〟って事もあってなりきりに近い部分もあったりするけど、見た目や実名が前世で見知ったキャラと同じになってる人って結構居るからねぇ」

「私の〝佐倉千代〟みたいに、お二人のも実名なんです?」

「そう言うことですね。人によっては周辺環境も前世の創作と似通った状況になってるって事もあるみたいですよ?雑談系のスレとかアニメ関係のスレとかに時折混ざってたりしますし」

「私も名前と容姿がこれだから中高ぐらいまではアイドルでも目指そうか、何て思ってたけど、柄じゃ無いって気付いて普通に大学進学した口だし」

「それを言ったら私の見た目だと、生まれながらの仙人ってことになりますね。まあ実際に仙人っぽいのを目指せるなら目指すのも面白そうとは思いますけど」

 

 まあある意味生まれる前の時点で覚醒しているのを考えると、生まれながらの仙人ってのも間違いじゃない可能性もあるけどね。

 流石に覚醒した際の状況についてとか、空気が悪くなりそうな話をしたい状況でもする必要があるわけでもないから黙っておくけど。

 

「あー、確かにそう言うのも面白そうかも」

「使えるなら使ってみたい魔法とかってあるわよね」

「瑞樹さんの話を聞くに必ずしも戦闘用ってわけじゃ無いみたいですし」

 

 そうして話はどんな能力を使ってみたいか何て話から、前世や今世で好きな作品、或いは好きな物など、色々と話題を変えながら夜まで続いていくのだった。

 

「あ、そう言えば私前世男の所謂TS状態なわけですけど、皆さん的にその辺大丈夫だったりします?」

「あえ、そうなの?」

「私は気にしないかなー、今は女の子だし、男の子だったとしてもショタなら……」

「美波、ちょっと危険な顔してるわよ。まあ私も前世の性別については気にしないようにしてますね、掲示板でもTS系の悩み相談してるスレは結構見かけますし、本人から言ってこない限り今世の性別で対応する様にしてます」

「ちひろさんの意見に私も賛成かな、うん。それで、瑞樹ちゃん的にはどんな感じ?」

「今のところ普通に女性ですかね……。月の物来ても特に精神的な支障は出てないですし、前世の男としての趣味嗜好が無くなったわけではない感じもしますけど」

 

 そんな大浴場へ向かう前の一幕もあったりはしたけど、良好な友人関係を築けた一日も終わりを迎え、本イベント開催の朝日が昇る。




【覚醒者 瑞樹 Lv2】
≪性別≫
 女
≪耐性≫
 水・氷結耐性、破魔無効
≪スキル≫
【アクア】【アナライズ】【コンセントレイト】【小周天*1

地味にレベルが2なのは、覚醒時の状況と生まれてからの10年間霊力制御を独学で繰り返した結果。
【コンセントレイト】や【小周天】は、前世の微妙な知識や一般書物からの独学で試行錯誤した結果の習得。

*1
霊力(MAG)、体力の自然回復力を小向上。
大気中のMAGを取り込み自身の霊力と混ぜ合わせ、霊体を活性化させる事で霊力や体力の回復効率を向上させている。独自設定スキル

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