【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
新年の行事が色々と終わって正月気分も抜けた中旬頃、年始の諸々も終わっただろう大赦を訪れて娘達の様子を確認したり、御守りを渡したりと交流した後、香川支部にも顔を出す。
「おー探求ネキ、こっちで合うのは久しぶりだな」
「香川周辺のまとめを銀時ニキがしてますから、余り私が頻繁に顔を出すと邪魔になりますからねぇ。ジュネス建設時もダークサマナーの妨害が有った*1と聞きますし」
「確かにな、大赦はダークサマナーに依頼した現地霊能組織もいるとかって言ってたが、証拠はねぇから嫌みの応酬にしかならんかったらしいな」
「私が出しゃばって、過去視を使った証拠動画作成とかしても無駄に恨み辛み買うだけですし、見た限り能力や価値基準的にまだマシな方の霊能組織みたいですからね……」
「証拠がねぇ言った直後に、さらっと過去視で証拠を出せるとか、本気で俺じゃなく探求ネキの方が支部長に良かったんじゃねぇかって話だな、オイ。まあ巌戸台の事もあるしどっちみち無理だったとは思うがよ。それより、
「ええ、いずれは攻略するべき場所の一つですからね。直ぐにとは行きませんが、今年中にでも恐山の大異界は攻略するって話ですし、いずれのために情報は集めて置きたいですね」
「おう、そんじゃ日程合わせて探索と行くかね」
銀時ニキとのそんなやり取りもあって、間引きとレベル上げを兼ねた大異界〝スーパーうどんマウンテン〟の探索行が実施される事になった。
参加者は私と久遠に、銀時ニキと式神の通称メガネと仲魔のイヌガミ、それから大赦組として私の現地妻みたいな扱いになってる智さんと誾さんに、銀時ニキの弟子である友奈さんを呼ぶ関係で、同じ学生組の乃木園子さんと東郷美森さんを入れた十名。
この中で大赦組の五人は、娘達の様子を見に来た時などのタイミングが合った際に、【霊質強化術】を施していたため、現在は大体レベル10~15の上限25~30ぐらいには能力が向上していたりする。
ちなみに、湯乃葉は管狐と言う事で異界の特性上、霊子さんは娘達の世話と言う事で、それぞれ留守番中。
「相変わらず狸と幻覚だらけですね、この異界……」
「だな、気ぃ抜くとそこかしこがうどんだらけになりやがる。うどんが流れる出汁の川って何だよ、流しそうめんじゃねぇんだぞ」
「ここがスーパーうどんマウンテン……。地面に敷き詰められてるうどんとか、かまぼこっぽい感じのする植物とか、ホントにこれって幻覚なんですか、師匠?本物にしか感じないんですけど」
「うわっ、出汁の良い匂いがする……」
「異界としては普通の山がベースだな、時々魔界由来っぽい変なのはあるが、まあ大体は狸共の幻術による幻覚だ」
「幻覚状態はそろそろ良いですかね?解除しますよ。【メパトラ】っと、後は結界も張った方が良さそうですね」
幻覚に掛かった人員の状態異常を解除し、異界の地形効果として組み込まれている幻覚付与を弾くための結界を構築し、移動と戦闘も可能な様に私を起点としてある程度範囲を広げて展開する。
結界によって幻覚を被せられた周辺地形も本来の鬱蒼とした森に戻った事もあってか、大異界発生直後の調査に協力したと思われる大赦組が、なんとも言えない微妙な表情を浮かべる。
「これが元々の異界内部なんですね。本物にしか思えない幻覚が侵入時点で付与される異界だったんですか」
「師匠から事前に聞かされてたけど、知ってても掛かるなんて……」
「香川と言えばうどんという認識で、周辺全てがうどんに関連する何かに見えたから、根願寺の人達はスーパーうどんマウンテンなんて名前を付けたのでしょうか」
「異界名称についての感想は同意しますけど、それよりそろそろ敵が来ますよ」
学生組のそんな感想を聞き流しつつ周囲を確認すると、大異界だけ有って結構な数の悪魔が近寄ってくる気配が感じ取れる。
警告を発し、それぞれ戦闘準備を整えたところで【珍獣 マメダヌキLv.13】五体が現れ、戦闘が開始される。
「ふむ、弱点無しの基本四属性耐性なのは変わらずですね。数はそれほどないですし、バフ蒔いた後は私と久遠で増援の警戒をしましょうか。【マハタルカジャ】【マハラクカジャ】【マハスクカジャ】」
「おう!そんじゃまずは数を減らすかね」
「一射行きます!」
智さんの先制により怯んだところを的確に銀時ニキが追撃して数を減らし、メガネが一体を引き付けてる間に銀時ニキが一体、大赦の大人組二人で一体、学生組三人で一体を相手にして数を減らし、先に終わった銀時ニキが最後の一体を奇襲して戦闘終了、危なげなく初戦を勝利で納めた。
殆ど先制からの一方的な展開で時間も掛けずに終わった事も有り、ある程度近付いていた後続は少なくとも直接視線が通らない距離で止まって様子見することにした様だ。
「後続は居ますが、直ぐに来る感じでもないですね。目視範囲外、少なくとも100メートルは離れてます」
「てーと……、まずは近くの広場を目指すか」
普段から定期的に間引きに来てる銀時ニキを先頭に、様子見してる敵に注意しつつ進んで行く。
この異界の地形としては、狸妖怪系悪魔が過ごし易い様にか、自然そのままの野山になっており、山頂に近付くにつれてレベルが高くなっている事から、異界の主は山頂付近にいるだろうと予想されている。
また、去年確認した限りでは、中腹手前辺りでレベル30前後、麓でも20前後の悪魔が出現していたため、銀時ニキも麓までしか普段は間引きに行かないとの事。
私も何度か可能なら攻略するぐらいのつもりで探索に来た事があるけど、久遠と二人では中腹手前辺りで悪魔の出現数が一気に増えて処理が追いつかなくなり、湯乃葉も含めた三人だと、異界に入った直後から強化された狸が一斉に押し寄せてきた事から、現状では攻略が難しいとの結論になっている。
ちなみに湯乃葉を連れてきた時の現象については、弘法大師にまつわる逸話などにおいて、四国から狐が追い出されたり、狸により狐が四国へ渡るのを阻止された、と言った話があるからではないかと思われる。
「接近一、【フード イノブタLv.11】*2ですね。この感じだと狸の方はリーダー格がいるでしょうね」
「マジで?面倒くせぇな、オイ」
「軍勢での波状攻撃か、範囲攻撃は智が一応可能になってたか?」
「はい、【マハンマ】を何とか使える様になってます。霊力量的に余り回数使えないですが」
「回数はレベルと術への理解が進めば改善されますが、今回はチャクラドロップ渡しますから、回数熟しましょうか。後は敵に全体魔法などを打たれた場合の保険として、回復アイテムも詰めておきますね」
敵が一体と言う事で、学生組と念のため誾さんを入れた四人で対処する傍ら、遠巻きにし続けてる狸系悪魔の様子から、広場に着いた後の予想を立てて準備を進める。
回復アイテムを諸々詰め込んだ収納バッグを渡し、猪を倒し終わった四人にも推測を話して持てる範囲の回復アイテムを配っていく。
何度か猪や鹿(【フード モリジカLv.10】*3)を倒しながら進み、ある程度まとまって動けるだけの広場に到着したところで、案の定軍勢となった狸系悪魔が襲いかかってくる。
「予定通りバフとデバフを蒔いたらレベルの高い悪魔から倒していきます!【マハタルカジャ】【マハラクカジャ】【マハスクカジャ】【マハタルンダ】【マハラクンダ】【マハスクンダ】」
「減らしすぎても鍛錬にならんとなると、こっちだな〝
「いや軽く放って良いレベルの技じゃないでしょー!?それ!!思いっきり包囲に穴開いてるじゃん!狸たち思いっきりビビってるじゃん!」
「前回偵察した際、山の中腹辺りで撤退する時に包囲を抜けるのにくろうしたからな、突破口を作れる技を目指した結果は出た様だ」
「銀時ニキのボケもツッコミも出来る所は良いですね。さて、狸たちも気持ちを切り替えたみたいですし、もう少し足並みを乱しますか【ラピッドニードル】」
味方全体バフと敵全体へのデバフを蒔いて戦いやすい場を整えた直後、敵の中で感じ取れる一番強い気配の方に向けて、久遠がドリルの様に螺旋回転する気弾を放ち包囲に穴を開け、敵軍勢に軽い混乱を発生させる。
まあ味方も少なからず驚きに動きを止めてしまっていたけど、銀時ニキのツッコミで持ち直した様で、それぞれ戦闘を開始する。
狸悪魔も流石にやられるままというわけでも無い様で、直ぐさま次の司令塔によって動き出したところに【ラピッドニードル】を撃ち込んで行動開始を更に遅らせる。
「軍勢って、こんなに数が来るんですか?!」
「園子さんしゃべってる暇があったら手を動かす!」
「【突撃】!からのぉ、回し蹴りっ!大丈夫?!」
「ありがと、友奈ちゃん!」
「【マハンマ】!くっ、連続して使うのが、ここまで辛いなんて……」
「【ジオ】!【乱舞(バウンスクロー)】!普通は範囲魔法なんて、一回使えば大体何とかなるものね」
学生組が敵の数に慌てた事で隙が生まれたりしたけど、そこは銀時ニキの弟子だけ有って友奈さんが怯まず押し返した事で、他二人の反撃により何とか無事に乗り切った様子。
一方で大人組は、範囲魔法を使える様になった智さんを起点にして数を減らし、撃ち漏らしや発動までの対処を誾さんが行う事で、安定した戦場になっている。
銀時ニキも格下の相手と言うこともあって危なげなく対処しており、私や久遠がレベルの高い方から減らしていった事もあって、程なく軍勢を倒しきることに成功する。
「お疲れ様ー、とりあえずしばらくは襲ってこないだろうし、ちょっと休憩用に陣を敷きますか」
「おう、そいつぁ有り難いが、やっぱ狸共のレベル上がってんな」
「ざっと確認した程度ですけど、上は22ぐらいのもいましたね。統率個体として麓から出てきてるだけか、或いはGPの上昇で麓以外にも出る様になったのか、その辺の確認は必要ですね」
【生命の泉】と【チャクラウォーク】を参考にした簡易結界陣を展開し、HPとMPの回復を促進しつつ銀時ニキとの情報交換を行い、山の麓まで進んで間引きと調査を行う予定に変更は無いことを確認した後、ある程度休憩出来た事を確かめて出立する。
一度軍勢規模を倒したおかげか、散発的に襲ってくる悪魔を倒しながら進み、途中採取可能な魔界植物を回収したり、ちょっとした広場で小まめに休憩を取ってHPやMPの消耗を抑えながら奥へ向かう事二時間、漸く山の麓付近まで到達する。
「師匠、結構歩いたと思うんですけど、まだ目的の地点に着かない感じですか?」
「ああ?そろそろ着くぞ、ってかバカ弟子と大赦組の鍛錬も兼ねてるからゆっくり進んでるだけで、俺だけならとっくに着いてる程度の距離しか進んでねぇんだがな」
「私達ここまででも結構疲れてるんですけど……」
「流石黒札……、マシュマロおじさん*5も――」
「東郷さん?恋愛は自由ですけど、相手にその気が無いのを無理強いするのは別の話ですよ?」
「アッハイ」
「相手は妻帯者なんですから、本気ならまずは奥方と確り意見を交わして、オカルト界隈の認識とかも含めた理解の上で、側室として入る事です。そもそも膝ニキが、家族と何処まで霊能関係の情報を共有しているのか、把握してますか?少なくとも世間的な理解を得られる手法も考えずに、一方的な好意を押しつけるのは百害あって一利なしです」
「瑞樹さん、何か凄く具体的な話ですけど、東郷さんの事って誰かから聞きました?」
「私が初めて大赦に来た時、後ろで控えていた彼女が膝ニキを見る視線に艶っぽい物を感じたので、問題が起きる前に対処出来る様、調べて置いただけですね。恋心を胸に秘めてるだけなら何か言うつもりなかったですけど、少し前に智さんと言うか大赦に対して、膝ニキとの結婚に協力して欲しいとかお願いしてたみたいでしたので」
「えっ?あの時って浅間さんと私達しかいなかったよね……」
「私は過去視も使えますから、調べようと思えば可能ですよ。兎も角、膝ニキが実際にどう判断するかは個人の自由ですが、女子高生に言い寄られているってだけで家庭内不和の原因になりますし、それで家庭崩壊した場合のペナルティは大赦全体にも及びますから、不用意なことだけはしない様に注意して下さいね?」
「「「アッハイ」」」
「師匠、瑞樹さんって非常識なのか常識的なのかよくわからなくなりますね……」
「そりゃ霊能者なんだから、基本は非常識だろ。まあ俺ら黒札は感性的には一般人が多いからな、世間体を意識するぐらいはするだろうよ」
そんな茶番めいた一幕があったりもしたけど、無事に予定としていた地点まで到達し、以前との変化などを調べ始める。
調査対象としては出現する悪魔のレベルや種類、それから採取可能な素材と言ったところで、確認した限りだと出現レベルが大体一つか二つ上がっており、種類もイノブタとモリジカに加えて、【フード イッカクウサギ】とか言うDQ*6に出てきそうな兎も出現する様になっており、種族として認識されるぐらいには狸系悪魔の食料として扱われているらしく、採取可能な素材も大体は団栗などの木の実や果実が殆どで、今回の調査でも種類が若干増えている程度で目新しいと言う程の発見は無かった。
「多少のレベル上昇と食料の増加って所ですか、襲撃数も少し増えてる程度ですし」
「おう、このレベルの悪魔が数分おきに襲ってくる修羅場を、少し増えた程度で済ませないでくれませんかねぇ?!」
「一息付ける暇も周囲を探索する余裕も有りますから、まだまだ大丈夫ですよ。それに殲滅速度が上がれば休息時間も多く取れる様になりますし、とは言えそろそろ厳しそうですね。次からしばらく私と久遠で対処しますか」
「そうしてくれ、そんじゃお前ら、しばらく休憩な!」
動きに精彩を欠き始めたのを見て、銀時ニキを含めた鍛錬組には休憩に入ってもらい、その間に襲ってきた敵は久遠と私で処理していく。
流石に二倍近いレベル差もあって、【大周天】による自然回復が間に合う範囲で魔法を発動するだけでも、基本的に全滅か耐性や位置関係で少数残る程度まで殲滅可能なため、片手間の作業感覚で倒しては周囲の素材採取へ行く程度に余裕がある。
そうして休憩中の処理を私達が行い、休憩が終わったらまた銀時ニキ達が鍛錬も兼ねて連戦しながら移動する流れで戦い、異界内の山裾をぐるりと回る様に一周した所で探索を終了し、【トラエスト】で撤退。
今回の探索の結果、今のスーパーうどんマウンテンの状況はある程度把握出来たし、銀時ニキが30手前、他も20前後までレベル上昇と、戦果も上々と言ったところだろうか。
まあ帰還直後に私と久遠以外の全員がダウンしてしまったけど、仙豆を食べさせたから肉体的な疲労は回復してるはずだし、一晩眠れば大丈夫でしょう……多分。
余り無茶させたつもりは無いけど、新作洋菓子の評価依頼として、琥珀楓の素材を使用したクッキーやシュークリーム、パウンドケーキなどを送っておこう、好評だったらレシピも含めて農業部や製造部に投げても良いしね。
「よし、評価依頼に出すお菓子の種類と数はこれで良いですね。そろそろ日付変更になりますし、影時間に備えますか」
「なら、依頼の方はデータ作って香川支部に回して置くわね~」
「今回も予定としては、一通り行ける範囲のシャドウ討伐で良いのか?」
「影時間に巻き込まれた人が居なければそうなりますね」
湯乃葉がデータを作ってる間に、【トラポート】の応用でお菓子類を詰めた収納バッグのみを香川支部の倉庫へと転送させると、タルタロスの間引き様に装備品などのチェックを手早く進める。
収納容量を現状の最大限まで拡張した巾着袋型の収納バッグを懐に納め、袂に付けた小袋内の装備や消費アイテムの確認も終わらせ、一息ついてお茶を飲んでいる間に日付変更時刻となり、影時間へと移行する。
琴音さんと初めてタルタロス探索をしてからは毎日確認している事も有り、最早見慣れた影時間内を、巻き込まれた人が居ないか端から順に見て回る。
「ああやっぱり、今日も巻き込まれた人が何人か居ますね」
「月光館学園の入試試験が行われている以上、普段より適応し得る者が増えるのは致し方ない話だな」
「ま、今のところ影時間に巻き込まれるだけの、無い方が良いレベルだけどね~」
「面倒でも覚醒する可能性も有るわけですし、保護と連絡手段の確保はしておくべきですからねぇ」
影時間の適応者は少ないと言っても、受験シーズンで普段範囲内に居ない人が百人単位で増え、更にはGPが上昇している事も合わされば、相応に確率も高まる訳で、ここの所一人か二人は巻き込まれる人を見つける事が続いていたりする。
そんな訳で、巻き込まれた人を見つける度に、結界によるシャドウ対策と催眠誘導による処置を施し、影時間終了後に覚醒してない場合は、そのまま夢として忘れ月光館学園に近付きたくなくなる様に、覚醒した場合には、巌戸台支部へと連絡を入れさせる様に暗示も掛けていく。
今までの所、その措置を施して影時間終了後に連絡が入った試しは無いけども、これからも無いとは言えないし、更には一応とは言え、影時間に巻き込まれる程度には適正があるって事で、これまで確認して措置を施した人達の名簿を作成して、運営陣の方に報告していたりはするけどね。
「よっと、この人で今回巻き込まれたのは最後ですね。えっと、名前は秋山
「む?どうした、瑞樹?珍しく渋い顔してるが……」
「いや、過去視でこの人の家系見たら、前世の記憶に引っかかる所があったので、詳しく見たんですけどね。どうやらこの世界、対魔忍名乗ってる霊能組織がいるみたいですね」
最近は過去視を使う回数だったり遡る時間が長くなったりと言うことも有って、本来は視覚情報として過去を見るものを、文字情報として履歴を出す様にしており、名簿に必要な情報を斜め読みしていたわけだけど、名前などの情報の中に気になる単語を見つけ、改めて詳細を過去視した結果、見つけて良かったのか見なかったことにした方が良いのか、微妙な情報を発見してしまった訳である。
「それって確か、時々掲示板にエロ系のネタで出てくる名前よね?」
「ええ、組織構造とか似てるところも多いみたいですし、辿れた範囲での推測混じりですけど、戦後に組織の主要な人員が殺された後、組織建て直しのために夜魔系統の悪魔を召喚して子作りしたみたいで、多分この辺で概念的な影響が混じった結果、対魔忍とか名乗る様になったっぽいですね」
「と言う事は、その女性は霊能組織の関係者なのか?覚醒はしてない様だが」
「夜魔との間の子孫として、対魔忍衆になったいくつかある家系の一つで、秋山という家の分家筋みたいですね。一応霊能組織に関連している認識もあるみたいですし、名簿の方にはその辺も記載しておきましょうか」
まあ戦後の日本としては例外的に、それなりの勢力を持っている霊能組織を知れたのは良い事として、情報をまとめた後はいつも通りにタルタロスへと向かい、現状行ける範囲の階層でシャドウを時間いっぱいまで倒し、それなりにシャドウ素材を確保して間引き終了。
確保した素材を技術部や製造部などに送って、一部をガイアポイントや日本円など活動用の資金に変える手続きをしていると、珍しく巌戸台支部としての外部電話が鳴り響く。
「はい、こちらガイア連合巌戸台支部です」
「あ、あの、こんな時間に電話して済みません!何か、この番号に電話しないといけない様な気がして――」
電話口から聞こえてきたのは女性の声、それはつい先程の影時間で保護と暗示を掛けた、秋山綴のものだった。
流石に天然のトリコワールドな異界が発生するのも変ですし、トンチキ世界を構築なんて出来ないため、拙作世界線での〝スーパーうどんマウンテン〟は、狸系悪魔による幻覚でうどんだらけと錯覚させられ、その報告によって認識が固定化されたことで、うどんに関連する幻覚で埋め尽くされた異界内を狸系悪魔が襲ってくる感じになりました。
きっと最初の調査員には、文字通り山になったうどんでも見えたのでしょう……。