【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
影時間に巻き込まれて覚醒した人からの連絡が来ると言う初めての事態からしばらく、覚醒した綴さん――色々有って名前呼びすることになった――に事情説明したり、ペルソナ使いとして指導する関係で師匠と弟子みたいになったり、細々とした用事を片付けている内に月日が流れて三月になった。
月光館学園大学部への進学が決まった綴さんが、葦原荘へ引っ越して来てから数日、事前に渡していた基礎鍛錬の技術書での成果を確認しつつ、とりあえずの戦闘スタイルを摸索したところ、幼少期から剣術を習っていたと言う事も有って、刀系統での近接戦闘を主軸として行くことになったのが、昨日の鍛錬終了時のこと。
いずれはタルタロスでも戦える様になって貰う必要がある事から、基礎鍛錬と平行してのレベル上げも必要って事で、レベル1で使用しても問題にならない程度の装備を支給して、葦原荘に構築している資源回収用ダンジョンの使用許可と、念のための護衛と万一の回収用に低級式神*1を貸し出し、ダンジョンへ向かうのを見送った事で、当面の指導に関する流れは出来たと言えるだろうか。
「タルタロスに出現する敵の数を考えると、琴音さんや綴さんのレベルが私に追いついてくるのも、そう遠くは無いですかね……」
「以前は追いついて欲しいと言っていたと思うが、何か問題でもあるのか?」
「んー、追いついては欲しいですけど、タルタロスの奥を考えると、私自身のレベルアップや装備の強化も、今から進めないと間に合わなくなりそう、って思った感じですね」
「なら修行場異界行く?高レベル素材の在庫も減ってきてるわよね」
「それが良さそうですね。進捗が悪くなってきた研究もいくつかありますし、集中してレベル上げするタイミングにも丁度良いでしょう」
当面の予定が決まったところで、葦原*2に行動予定を伝えて星霊神社に移動し、可能な範囲で装備をアップデートしてから、修行場異界の私が到達している最深層へ潜っていく。
以前槍ニキやドモンニキ達と探索していた、西欧から北欧辺りの悪魔が出現する区画から始まり、シルクロードみたいに文化圏の異なる区画を渡り歩いて、レベル40~45辺りの悪魔が出現する若干格上の階層を探索し、序でに各区画の帰還ポイントを見つけて、転移可能な場所を増やしていく事にする。
「次は電撃と破魔無効の【女神 イシュタルLv44】ですか、衝撃と呪殺に弱点有りますし、問題無いですね【マグナ】【五行相克】〝鎧砕きの大嵐*3〟」
「【マハムドオン】!よし、ある程度片付いたわねん。それにしても、中東辺りの区画に入ってから、遭遇する悪魔が妙に偏って無いかしら?具体的にはイシュタル」
「物理耐性が無いなら、後はパッシブ*4乗せてまとめて飛ばすか【会心波】」
「私の霊的起源が【エンキ/エア】だからですかね。イシュタルはイナンナと同一視されるし、イナンナはエンキから権威を奪う話がありますし、因縁的に惹かれて来た可能性は考えられますね」
「ふむ……、確かイナンナは【貫く闘気】を持ってる可能性が有るんだったか?」
「真Ⅴの知識をまとめた本にありましたね。イシュタルの素材も結構な数になってますし、集めてイナンナの技能を引っ張れないか試すのも良いかもしれませんね」
頻繁に襲いかかってくる悪魔の内、七割以上がレベル違いのイシュタルと言う時点で、派手に余る事が予想された素材の、使い道が出来た事に気分を良くして探索を続ける。
基本的には、帰還ポイントを見つけたら次の区画へ向かう、と言った感じの行動範囲を広げる方向で探索を進め、採集で珍しい素材を見つけたら、周辺を回って素材を回収してと動き回る。
途中日付変更が近くなったら巌戸台支部へ戻って影時間の間引きを行い、その序でに分身式神の再配置や素材を倉庫に放り込み、また直ぐに修行場異界へ籠もって探索しての流れを繰り返す事約四日、日本区画まで辿り着いたころには、連戦の甲斐もあってレベル43まで上がっていた。
「レベル40は超えましたし、探索可能な区画も十分増えましたから、レベル上げはここで切り上げますかね」
「それなら、まずは確りと睡眠を取ってきたらどうだ?私はそう言う役割として作られてるし、湯乃葉は封魔管で休憩もしていたが、瑞樹は70時間以上戦い続けた上に、分身からの情報統合もしていたのだろう?」
「ん~、そう、ですね……。分身の方で日常してましたから、無理してる気はしませんでしたけど、言われると統合が上手く嵌まってない感じがしますし、ちょっと寝てきますか」
久遠に促された事も有り、睡眠中の回復を促進するハーブティーを飲み干してから就寝、既に朝日が昇っていた事から三時間ほど眠りすっきりとしたところで、分身の一体で進めていた技術開発の方へとやってくる。
そこは工学系技術者の〝俺ら〟が集まっている一角で、思い思いに開発したり、何かしらの原作再現しようとしてたりと、他の部署に負けない喧噪やちょくちょく発生する爆発が時々問題にもなる場所。
空間拡張もされた工房の、比較的大きな一室に入ると、現在開発に協力してくれているシノさん*5が鼻歌交じりの上機嫌でパソコンを弄っていた。
「おはようございますシノさん、分身回収しますねー」
「おはよ~、この時間に来るのって珍しいね。今日は本体でこっち?」
「レベル上げに一区切り付きましたから、進捗が一番思わしくなかったここでの確認がわかりやすいかと思いまして」
「なるほどねぇ~。でもさぁ、進捗悪いって言っても目処は立ってるっしょ?後は効率化と小型化の筋道が見えてないってだけで」
「まあ、やってる事の基礎は式神の実体化と同じ技法ですから、私個人なら使える程度に理論出来てますけどね。目標は実用可能なレベルで、機械制御のみでの行使ですし」
ここでしている研究は原作再現的なもので、以前五行器レプリカを作った経緯から連想した、超機人の装甲である〝護符〟の開発。
スパロボ好きな俺らとも推論を交え、護符を固めた物を装甲にしていて、かなりの伸縮性と自由度を誇ると言う設定から、符に込めたマグネタイトを実体化させる事で、装甲の形に固定する方法なら再現になるんじゃ無いか、との結論になった。
そこで低級式神などの様に呪符から実体化する技法を応用し、術として装甲護符*6を作る事は出来たんだけど、これを機械制御で自動化する部分が難航していて、シノさんに協力をお願いしたと言う経緯。
「シノさんおかげで、装甲素材や形状情報等の、機械的な入力と起動も可能になりましたけど、現状だとマシンパワーが足りなくて情報入力に時間が掛かりますし、起動と維持に必要なマグネタイト量も膨大ですから」
「そうなんだよね。情報入力はいっそのこと素材情報だけでもプリセットして、破損箇所に合わせた形状情報だけ、その都度入力する感じにすれば良いんだけど、問題は展開中の消費MAG量だよね~。ぶっちゃけ今の五行器レプリカだと出力足りないね」
「これでも九十九式自動人形作る過程で、性能上がってるんですけどねぇ……。サイズの問題で諦めてた【五行相克】と各種増幅系を組み込んだ、新しい五行器も開発しますかね?テスト用に小型クルーザー作る予定ですし」
「運用試験とデータ取りだし、それも良いんじゃないかな?そんじゃ私は性能向上の方に戻るね~」
軽く意見交換したところでそれぞれの研究へと戻り、装甲護符の改良研究は一端置いて、新型五行器の製作へと取りかかる。
小型化は後で考えることにして、現状の技術を積めるだけ詰め込んだ五行器のコア部分を構築、増幅されるエネルギーを受け止める器に装甲護符の術式による外殻形成を組み込む事で、五行器の出力向上を図る。
元々五行の循環増幅で、時間は掛かるけど容量の許す限り出力を上げられる構造だったわけだけど、当時の技術力だと増幅途中のマグネタイトを機械制御で取り出すのが難しく、容量を超えて溢れた余剰分を回収して使用する仕組みで、妥協した経緯の産物だったりする。
当時としては、それでもある程度使える範囲の出力だったので良しとしていたし、九十九式自動人形なら式神コア側で、増幅途中のマグネタイトも使用可能だから問題無かったと言う話。
今回出力不足な面が明らかになったわけで、断念していた機械制御による増幅途中のマグネタイト取り出しと、途中でも取り出せる様にする関係から増幅率向上の二点を中心に改良していく。
「よし、とりあえずこれで試運転してみますか。シノさん、モニターの方お願いして良いですか?」
「ほいほい、新型の五行器ね。構造と想定値は――」
試作機が出来た所で稼働中のデータ確認をシノさんに頼み、稼働試験の準備――主に想定外の事態が起きた場合の防護用結界など――を進める。
諸々の準備が終わり、シノさんの方も準備完了しているのを確認し、試作五行器を稼働させる。
「増幅中の外部供給機構の稼働を確認、増幅途中のマグネタイト減少によるエラー無し、今のとこ順調だね」
「では増幅率向上の機構を稼働させますね――って、ヤバっ?!」
データを確認してるシノさんの報告で、増幅途中のマグネタイトを取り出して、電力などに変換する仕組みは上手くいったのがわかり、次の試験に移った直後、感じ取った危険から結界出力を最大に引き上げ、結界が物理的に見えるレベルになった瞬間、閃光と爆音が轟き渡る。
「ひゃ~、派手にイッたね!一応データの方は取れてるよ、増幅率がエグいことになってるけどね」
「今出来る最大限を突っ込んだ形ですから、とは言え、爆発する可能性は考えてましたけど、思ったより威力が高かったですね。増幅速度も速い感じでしたし」
「そこは機械制御だからじゃ無い?電気信号の速度で循環が成立するなら、増幅率が少し上がっただけでも大きいでしょ」
「それもそうですね……、あー取り出しの仕組みが干渉して、容量限界で循環を止める設定が機能してない」
「取り出しの構造を考えると、こんな感じで循環の停止より速度を落とす方が良いんじゃない?でもまあ、出力的に増幅率が高いのは良いことでもあるんだし、容量限界の方もどうにかしたいよね~」
「確かに、マグネタイトの消費量と容量限界から、循環の速度を調節して、必要な時に回転数を上げる設定の方が使い易いですね」
そんなこんな意見を交わして、試作機を作っては試してを繰り返し、使用する素材や内部術式、制御設定等を改良していった結果、現在予定している小型クルーザーに乗せられる大きさでも、今までの十倍近い出力を出せるようになり、一先ず運用試験に使うぐらいなら問題無い物に仕上がった。
「とりあえずこれで、機械制御での装甲護符展開に関する、データ取りに使う動力は大丈夫ですね」
「乙~、ここまで来ればレプリカの文字は取っても良さそうだよね!早速船の方に取りかかる?」
「そっちは予定通り行けば、構築自体に時間掛かりませんし、今日のところは終わりでも良いんじゃないです?もう日も落ちてますし、夕食食べて明日にしましょう」
「そこで勢いのまま貫徹コース行かない辺りが、探求ネキの技術屋っぽく無いとこだよね」
「体格とかはだいぶ大人になってきましたけど、肉体年齢的にまだ成長期の範疇ですからね。無理する必要の無い時に、徹夜とかしませんよ」
研究と開発が一区切り付いたと言う事で、興が乗ると平気で徹夜するタイプの技術屋でもあるシノさんを連れ出し、先月に建設が完了して稼働開始した邪教の館こと、美波さんの悪魔娼館*7へとやってくる。
まあ食堂棟よりこっちの方が近いって話と、スケベ部の活動場所がこっちに移ったのもあって、序でに今月分の納品もしてしまおうと言う理由もあったりする。
「実験棟の近くに食事処が出来たのは楽で良いよね~。まあ場所柄苦手な人も多いけど、私はチーズラビットのシチューとパン、後グルートエールにするかな」
「神主は反対してましたけど、一定の需要は絶対にありますからねぇ。それに余所だと地元霊能組織とかの紐付きが嬢してる場合も有って、知らない子供が出来てるケースもありますし、私はマグロ豚のカツ丼と仙豆味噌の味噌汁、後はチーズラビットの唐揚げと肉野菜のピザ*8も頼みましょうか」
「探求ネキって、成長期と言ってもよく食べるよね。食材の再現だけじゃ無くて、実はグルメ細胞も創ってたりしない?」
「いや、グルメ細胞創ろうとは思いませんよ。物としてはアルティメット細胞*9みたいな物ですし、シノさんも有用だからって作ろうとはしないですよね?」
「そりゃそう。でもまあ、トリコの食材再現シリーズで、最近は畜産系も創ってるでしょ?もしかして~と思いはするってことだね!」
「盛り上がってるわね~、相席良いかしら?」
そんなこんな、注文した料理が出来上がる間の雑談で盛り上がっていたところ、注文した料理を運ぶウェイトレス*10と一緒に、手が空いたのか美波さんも顔を出してくれたみたい。
シノさんも特に構わない様子なので頷きを返し、美波さんが座る場所を作る。
「で、瑞樹ちゃんの食事量の謎についてだっけ?」
「そそ、暴食系ほどじゃないけど量は確実に多いじゃない?特に仙豆系食品とか、他食べようと思わなくなるし」
「グルメ細胞は創ってないですけど、トリコに出てくる技術の再現は試してますね。【食没*11】とかある程度形になってきましたし」
「なるほど、食事量が多いのはそう言う事ね」
「ん?それなら食義の方はもう再現出来てたり?」
「食義でやってることって、集中力の向上や動作の最適化と、身体の精密操作ですから、技術と言うより鍛錬での能力向上が近いんですよね。【食没】の方は、摂取した栄養をマグネタイトとして蓄える技術として、再現した感じですね」
「鍛錬法って言ったら確かに?原作でも礼儀作法って話だから間違いじゃ無いかなー」
「【食没】の方は、九十九式自動人形の食事分解機能と、宝玉ピスタチオとか仙豆の性質を合わせた感じってところかしら?」
美波さんが言った様に、【食没】の再現が出来ないかと考えた切っ掛けは、九十九式自動人形を作る過程で、汎用スキルの【食事】を入れても機体としての身体が有ることから、経口摂取した食事を式神側で吸収しきる事が出来ないと判明し、食料をマグネタイトに分解する機能を作った事。
食料をマグネタイトに分解出来て、宝玉ピスタチオでは〝栄養として吸収されるマグネタイト〟と言う概念を付与、仙豆だと〝栄養を消費して回復〟する概念を付与していることから、どんな食事でも栄養の概念を持ったマグネタイトに変換出来れば、【食没】みたいに食物を余すこと無く吸収して、消耗するエネルギーを回復する事も可能になるんじゃ無いか?と思い付いた感じ。
「美波さんが言った二つが切っ掛けですね。まあ他にも仙人的な、霞を食べて生きる何てことが可能なのか、なんて考えてたりしたのもありますけど」
「それって、マグネタイトを栄養に出来るなら、ホントに霞だけってのも行けそうだね。私はそんな味気ない生き方嫌だけどさ」
「私も霞だけなんて生活はごめんですよ。【食没】だって好きに食べられる様にするのが目的ですし」
「瑞樹ちゃんも私とは別方向で欲望に忠実よね~。で、【食没】に関する技術書とかも書いてたりする?」
「有りますよ。習得出来れば、余分な栄養は全部マグネタイトとして蓄える事になりますから、蓄えられる限界以上に食べたりでもしなければ、太ることは無くなりますね」
今回の【食没】と【魂魄精錬法】による
前世が男とは言え、今世でこれだけ女として生きていれば、女性としての体型だとかに関する悩みも相応に理解は出来る様になるわけで、去年の夏には千代さんや琴音さんからも教えを請われた経緯から、専用の書物も有った方が良いかと思い、少し前に【食没】が形となった事で、一応の完成となったのが〝建体飽食技典〟と言うわけである。
「あ、美波さんに今月の納品分渡しておきますね。施設が稼働し始めたばかりって事で、需要が多くなりそうなリジェネ付きローションは多めに入れてます」
「ありがとね、報酬はいつもの様に半々?」
「それでお願いします。序でに要望のあった自動緊縛ロープの試作品も入れときました。結び方毎に箱を用意してますから、パターンを変更したい時はその箱に入れて霊力を流して下さい。詳しくは取説も入れてますので」
「助かるわー、興味あっても知識無いって場合多いのよね。互いに試行錯誤してく過程も良いものだとは思うんだけど」
「プレイルームで式神相手なら兎も角、嬢相手にまごつきたくないって気持ちは理解しますよ」
そんな猥談が混ざりつつも食事が終わったところで解散し、十分な睡眠も取った翌日、装甲護符のデータを取るための設計を詰めていく。
どうせ作るならと言う事で、拠点の島周辺海域での行動に使える様、小型クルーザーぐらいの大きさはある船を基準にして、五行器を置く動力室と操舵室を含めた重要部分は普通に素材を使って造り、それ以外を装甲護符で構成する事にして、最悪護符が機能停止しても重要部分は残る様にしておく。
続いて推進関係は、グライディングボードの仕組みを応用した重力推進を搭載する事にして、基本は反重力よりも推力に割り振る感じで水面に浮く程度に抑え、反重力の出力を上げて推進力を下げる事で、地上を滑走する事も一応可能にしておく。
「うん、重力装置も地面から多少浮くのと、横軸移動は可能になったし、重要部分はこれで良いかな」
「こっちでもデータに異常なし!そんじゃ装甲護符の展開、行ってみよー!」
「了解でーす。それじゃ、ポチッとな」
装甲護符を起動すると、入力した設計図に合わせて装甲が瞬時に展開されていく、推進の関係で水面を滑る様に動く事と、陸上での接地も考えて船底は平たく、船首と船尾は波をかき分ける事を考えて他より強度を上げた装甲が展開される。
「装甲護符の展開オッケー、五行器の出力も安定、とりあえず実験は成功だね!まあ想定通り、消費マグネタイトはかなり酷いけどね~」
「装甲素材の実体化に問題無し、破損の修復も正常に稼働、後は連続稼働のデータと実地での運用試験が上手く行けば、一先ず完了ですね」
「物が物だけに省エネ化は難しそうだけどね、いっそ大型専用の技術とした方が良いかもだけど」
「元ネタが巨大ロボットですから、それもそうなんですよね……。まあメンテナンスの手間がある程度省けますし、今のところ使う予定としては、巨大構造物用に丁度良いかと思って研究したので、狙い通りとも言えますが」
「私としては、もっと省エネ小型化出来れば、デモニカにも使えるかと思うんだけどね~」
「そう言えばシノさんは、今そっちをメインにしてましたっけ、効率化も小型化も今後の課題の一つでは有りますけどね。デモニカの進捗はどんな感じです?」
「ショタおじと探求ネキが原型を作った〝アナライズカメラ〟とか〝エリアサーチ〟のアプリもあるから、最低限それっぽく整えるだけなら出来てるけどね~、AI関係が全然で、スーツ自身が進化するって部分で躓いてる感じかな?」
シノさんが言うには、最大の問題はAI関係らしいけど、それ以外にも未覚醒者には重すぎる事とか、極限環境に関する耐性を素材だけで再現出来てないとか、色々と問題が残ってる様で、あくまでも原作再現に拘る派閥と、結果として同じ効果があれば過程は違っても良い派閥とで分かれたり、ここでもロボ組と同じような派閥争いが起きてる辺りは、実にオタクな〝俺ら〟らしい感じがする。
「やっぱり拘りは人それぞれですねぇ……。っと、それじゃ観測機器も積み込み終わりましたし、私の拠点まで転移しますね」
「オッケー!こっちはいつでも良いよん」
シノさんの了承に合わせ、装甲護符を展開した船ごと【トラポート】で私の拠点に転移する。
転移先に指定した砂浜からそのまま海上へ出て、水上稼働での各種試験や計測、陸上移動状態にした時の数値確認などを行っていく。
しばらくテストを繰り返し、納得いくだけのデータが取れたところで一端完成として、装甲護符の関連資料をまとめた後、研究の区切りが付いたと言う事でシノさんを誘い、家の温泉でプチ打ち上げをする事に。
「そういやちょっと気になったんだけどさ、五行器と装甲護符なんて作った訳だけど、探求ネキは超機人作る感じ?」
「今のところその予定は無いですかね。使う当てが無いのもありますけど、四月からはタルタロスの攻略が本格化しますから、操縦システム関連とかの今やってる研究以外を新しく増やす余裕が有るか不明なので」
「ペルソナ関係は人数少ないからそうなるか~。あ、使う当てって事なら、ムゲフロのパーソナルトルーパー*13みたいな感じにしてみるのはどう?」
「んー、ロボ式神が欲しい人用に研究してみるのは良いかもですね。ちょっと考えて見ますか」
ひと仕事終わりの温泉でそんな雑談をしつつ、互いの労をねぎらった後は、またそれぞれの研究へと戻っていく。
今日も山梨第一支部の実験棟では、何処かで爆発の音が響き渡る。
呪符から式神を実体化させる方法を参考に、展開する形状や材質の情報を機械制御で入力し、装甲として構築する護符と機器を作成する事に成功したが、護符に送る情報量の多さと、展開する大きさや材質に応じて必要なマグネタイトが膨大になるため、研究と改良が進められている。
なお、機械を使わない、純粋な術式としての使用も可能であり、優れた術者なら、護符の組み合わせで即席の砦を展開する事も可能。
HPやMP等のリソースを消費する技を使用した際、蓄えたマグネタイトが減少したリソースを回復させるため、実質的に予備タンクを増やす技術。