【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「ようやくの十七階!」
「相変わらずの不思議なダンジョン形式で、変わり映えしないであります」
「封鎖解除の条件が、各ターミナルポイント近くの小ボスを倒した状態で、満月の夜に十六階の大型シャドウを倒すとか、微妙に面倒なギミックを仕掛けてきた物ですね……」
「それって予想通りなら、次の封鎖ポイントでも同じ条件を達成しないといけないんですよね」
本格的な攻略を始めてから三、四ヶ月ほどしか経っていないとは言え、ほぼ毎日見ていれば見飽きる物で、琴音さんの手による大型シャドウの討伐を達成しても、封鎖が解除されない事が判明したのが大体一ヶ月ぐらい前。
それから報告書にまとめたデータなどを見返したり、再度探索し直したりしながらしばらく時間が経ち、小ボスが新月の日に、大型シャドウが満月の日に復活する事から予想を立てて、今日ついに封鎖解除条件を見つける事に成功したと言う訳である。
「その辺は瑞樹が調べてくれるんだっけ?」
「封鎖点の有無と、琴音さん無しの状態で同じ条件を揃えて解除されるのか、と言う二点の確認をしてくる感じですね。なので、次回からは別行動になりますね」
「では予定通り、十七階の様子見で良いんですか?」
「じゃないかな?早速シャドウのお出迎えだね」
「レベル20ですか、やはり全体的にシャドウのレベルが高いですね」
十七階の探索開始早々に襲ってきたシャドウを薙ぎ倒し、少し様子見して回って三人でも大丈夫なことを確認した後、私達だけで先へ進み四十階に封鎖箇所が在る事や、後日小ボスや大型シャドウの撃破条件を満たしただけでは解除されない事も確認し、引き続き琴音さん達の力量向上を待つことに。
結局の所、このタルタロスはニャルが用意した遊び場が基本に在る事は変わらない訳で、メインプレイヤーに選ばれてしまった琴音さんが居ないと状況が動かないと言う事なのだろう。
そんな訳で、しばらくはタルタロスの状況も動かないため、日々の間引きや三人の装備強化、折を見ての鍛練指導などを含め、巌戸台支部の日常的な部分の変化は特に無いが、私の関わらない部分でもガイア連合は色々と変化している様で――。
「あ、美波さん本気で色欲界*1創ったんですねぇ……。しかもこれ、対魔忍衆からの嫌がらせで丸投げされたらしい異界を使う辺り、運営陣とも同意の上*2でやってますね」
「あの~、瑞樹さん。両親の元職場辺りで何かあったんですか?何か不穏な単語が聞こえた気がしたんですけど……」
「綴さんの両親的には、さっさと離れて正解だったかもってぐらいですかね?対魔忍衆が身元偽装して、地方組織名義での異界対処依頼してたみたいなんですよね。まあ裏取りした所、ガイア連合への嫌がらせを兼ねて、自分たちで対処しきれない異界の処理を丸投げしてきたみたいですが、なのでそれを逆手にとって、異界を制圧した後素材回収用ダンジョンに改造したって話です」
「ええぇ……?うわぁ、この資料通りなら対魔忍衆って何考えてるんでしょう……」
まあ綴さんが困惑するのも分かる話ではあるけど、弱小霊能組織を騙った上で、報酬を払う余裕なんて無いから、代わりに異界は壊すなり何なり好きにして良いから何とかしてくれ、と根願寺経由で丸投げされた経緯があり、対処しない訳にもいかないけど、普通に対処するのは色々な意味で面白くないって事から、美波さん発案の素材回収用ダンジョンへの改造計画が通る事になった。
そんでもって根願寺との繋がりが太く、生産系として異界の改造も可能なブーストニキに白羽の矢が立ったと言う話なんだけど、回収する素材が【夜魔のフォルマ】と言う事で〝色欲界〟とか〝肉欲界〟何て呼ばれる、所謂エロトラップダンジョンだったことから、喜劇というか悲劇というかな自体が発生したらしい。
「下手したら死ぬ可能性もある若手の暴走を看過して、問題が起きたら異界管理してるガイア連合のせいにしようって話ですし、だいぶ思考回路が腐った連中が上にいたみたいですね。まあ、ブーストニキの梃入れで新しい頭領に代替わりして、口だけの老人共は蟄居させられたみたいなので、今後はまともに付き合える様になると思いますが」
「私としては殆ど交流が無かったとは言え、従姉妹が良く分からない理屈で潜入調査とか言って、AV女優になってる事が複雑な気持ちなんですが……」
「ああ、媚薬を使った悪質なAV会社かも知れないから、潜入調査して潰すみたいな話の奴ですよね。ダークサマナーのような連中が、地元で暗躍してると考えたからって所かと思いますけど、調査するのにAV女優になる必要性とか欠片も無いですからねぇ……。可能性としては、夜魔の血筋としての影響が強い人なのかもってぐらいですか」
「じゃあやっぱりあの時のも――本家が許可してるとか言――」
何か綴さんのトラウマスイッチが入りかけてるため資料とかは取り上げ、代わりに牛豚鳥のミルクを使ったシュークリームを渡して意識を逸らしている間に食堂から離れ、次ぎに気になった資料の関係で山梨第一支部へと転移する。
一応関わりのある組織の話だからと、綴さんが見るのを止めなかったのは、ちょっと失敗だったかもとは思うけど、ペルソナ使いとしては、いずれ対面しなければならない問題でもあるのが悩ましい話。
とは言え、通常の霊能者としての鍛練でカバーできる面もあるため、焦る必要も無いと言う事で、しばらくはこれ以上刺激しない様に気を付ける事にして、改めてお茶などを用意し
少し前にシノさんとも話していたデモニカが、完成と言える段階になったと記載されている資料によると、自己進化AIの代わりとなる〝ブラックボックスパーツ〟をショタおじが用意したらしく、これをコアとする事によりデモニカとして機能する様になったとのこと。
まあAI制御じゃない時点で、原作のデモニカとは別物として認めない派閥も居るらしいけど、そこはAI技術を発展させていかないと解決しない話なので、厳密に再現したいなら頑張れ、としか言いようもない話かな。
それで、〝ブラックボックスパーツ〟の製法*3は、既に星霊神社の書庫へ追加されているらしいので、早速読んでみたところ、基本は式神コアを制作するのと変わらないらしい。
違う点としては、意思を持てない程に意識を希薄にさせて固定し、制御と監視を行うプログラムとリンクさせて構築すると言う物で、コアが成長して追加出来るスキルが増えても、コア自体に意思がないため、プログラムを介して装着者がスキルを使用出来る感じになるみたい。
ただ問題点として、製法の関係からか真Ⅲの〝マガタマ〟と同様の物質になってる様で、人の域を超えない様にリミッターを付けないと悪魔化してしまう危険性が有るらしく、ガイア連合基準だとレベル30が限界との事。
「んー、プログラムによる制御部分が向上すれば、簡易式神のコアぐらいに意識があっても可能になるだろう、とはありますけど、現状下手に扱うと真Ⅲの主人公である人修羅が生まれかねない危険物ですか……」
ショタおじが言うには、私達黒札みたいに元々レベル50とかの、人の域を超えた段階まで霊格を上げられる器があるなら、リミッター無しでも問題無いと言うか、ある意味【悪魔変身能力】として定着する感じになるそうで、本来の適正や霊質を浸食する事になるため、かえって弱くなる可能性の方が高いからしない様に、との注意書きがされていたけど、大多数の霊能者みたいに、人の域を超えられる器があるかも分からない場合、普通に危険物な代物になりますね。
まあだからこそ、基本スペックの部分にはリミッター表記では無く、レベル30が限界としか書いてないみたいですし、リミッター自体も、ショタおじらしく何重にも付けられてるから、万一でも無ければ問題無いと思いますが。
〝ブラックボックスパーツ〟については、術式や構造的に私が既に可能な技術も多く、思ったより早く習得出来たので、山梨第一支部の片隅にある私の庵に移動し、軽く掃除してから資料の確認に戻る。
「さて残りの資料は……、ガチャの景品用アイテム募集はまあいつも通りとして、検定試験の実施スケジュールですか、レベル40超えましたし、一度修行場下層試験*4受けてみますかね」
「確か下層試験は、今の修羅勢最前線でもクリア者は殆ど居ないのでは無かったか?」
「下層からは時止めや運命操作辺りの、耐性が無いとどうしようも無い能力持ちが多いそうですから、最低限対策できたと思えるまで挑戦してないだけだと思いますよ?レベル40辺りから傾向が強くなりますけど、レベル50前後辺りからは特に、単純な出力より耐性や能力の相性とかが重要性を増しますからね」
「そうなると、試験用も兼ねて新しい装備でも作る感じかしら?」
「私の武器は兎も角、防具はそろそろ性能強化も限界ですし、久遠の武器もそろそろ強化改造ではなく、土台から作り直した方が良いレベル帯です。湯乃葉みたいな仲魔が装備可能な武具も研究が進んでますから、一度装備を一新しましょうか」
検定試験の実施スケジュールを見ての思い付きではあるけど、二人へ話した様に、レベル40以上で使う装備としては若干格落ちなのは事実で、特に属性や状態異常への耐性、概念的な影響への対策と言った部分が甘いため、折を見て新調しようとは思っていたので良い機会とも言える。
と言う訳で、来月に実施される修行場下層試験の受験手続きを済ませた後、拠点内の工房へと移動し使えそうな素材を見繕っていく。
初めに手を付けたのは運命干渉への耐性装備、私自身はそれなりに鍛練してる事もあって、多少は耐性を身につけられてると思うけど、流石に同格以上相手だと不安もあるってことで、わかりやすく運命の輪をモチーフにした車輪をペンダントトップにして、久遠と湯乃葉も装備出来る装飾品〝円環のアミュレット*5〟を作成。
続いて久遠が【獣の眼光】を持ってるため、最低限の対策は出来てる時間干渉耐性だけど、対策できるならしておく方が良いだろうって事で、いくつか試行錯誤した結果、時間認識を同調させ共有する事により、時間干渉への耐性を構築した装飾品〝時繋ぎの腕輪*6〟を作り出す事に成功する。
「ふぅ、何とか形になりましたね。時間認識同調には相応に時間掛かりますけど、久遠の【獣の眼光】による加速の半分は効果を受け取れるみたいですし、十分以上の性能ですね」
「ちなみに瑞樹、今は発動者が私だけだが、瑞樹や湯乃葉も使える様になった場合はどうなるんだ?」
「さっき効果を確認した感じだと、発動者が二人なら発動分と互いに同調者としての分が加算されて五割増し、三人なら発動分と他二人のからの同調分で二倍の結果になると思いますね」
「なるほど、時間加速の倍率が上がる感じなのだな」
「他の装備の序でに付けるのが難しい耐性は何とかなりましたし、次は私以外の武器と全員の防具ですね。目標性能はどの辺を考えましょうか」
基本は今の私が可能な限界を目指すのは当然ですが、盛り込む機能や耐性の内容も出来る事は限られる訳で、それぞれの戦闘スタイルや基礎能力から、何が必要でどう妥協するか、久遠と湯乃葉の要望も含めて可能な範囲を検討し、案がまとまったところで作る数が少ない武器の方から作成に取りかかる。
まず今回の久遠の武器は、今までの頑丈さに主軸を置いたものとは異なり、同格以上の相手との戦闘を前提として、状態異常による行動阻害を主軸にした物。
行動阻害系の状態異常でわかりやすいところだと緊縛や睡眠に麻痺、他にも感電や凍結に石化辺りは決まれば戦況を決定的にする事が出来るし、意図しない動きなら混乱や魅了も選択肢に入ってくる訳だけど、ここで問題となるのは、即効性の高いメジャーな状態異常は相応に耐性が高い場合も多いと言う事。
そこで今回組み込む事にしたのは、シラカワニキ*7との重力研究の過程で発見した〝加重*8〟の状態異常、この状態は重量を増加させる事で動きを鈍くさせると言う物で、ポイントは重力系魔法を使える相手でも無ければまず耐性を持っていない事と、身体系状態異常解除の分類では、加重に対する正しい認識が無いと解除出来ないと言う点で、雑に解除するならアムリタみたいな状態異常を全て解除する類いの方法が必要になる事だろうか。
と言う訳で、攻撃の際にマグネタイトを浸透させて状態異常を発生させる状態異常付与攻撃の技術と、マグネタイトに重力子の働きをさせる技術理論を組み合わせ、加重付与攻撃能力を持たせた武器として完成したのが黄龍偃月刀〝
まあ青龍偃月刀と言う名称自体、青龍の飾りがされているからと言う理由なのを考えれば、重力のイメージから地属性として黄龍の飾りを付け、黄龍偃月刀と呼んでも大丈夫でしょう、多分。
兎も角、久遠の武器が完成した時点で日も落ちていたので、影時間の間引き等の日常業務を終わらせ、翌朝から湯乃葉の装備作成に取りかかる。
「まあ、湯乃葉の装備に関しては、悪魔も装備可能な武具としての部分が影響して、久遠の装備みたいに詰め込むのが難しいですから、手間はそこまで掛からないんですよね」
「これでも十分に詰め込まれてると思うわよ?」
ちなみに悪魔の装備については、人型に【
まあ人型の式神なら探索中や戦闘中は呪符から展開してるので問題無い話だけど、悪魔変身能力者にも言える話として、特に戦闘中は【
この技法は悪魔自体が情報生命体と言う事から、悪魔にスキルカードを挿入する技術の応用で、装備を霊体化させて悪魔側の情報と接続し、装備を文字通り肉体の一部として外付けする加工法で、取り外しに手間が掛かる上に下手したら装備が消失するデメリットもある代わりに、装備中は【
今回湯乃葉用に作成し、情報接続加工も無事終わって完成となったのは、所謂魔法杖と呼ばれる分類の長杖で、湯乃葉が元から使用可能な魅了系と混乱系スキルの効果を上昇させ、武器分類としての基本である魔法威力や回復効果上昇を乗せたある意味シンプルな杖で、名称は〝惑乱の雫*11〟と付けることに。
一応特色として、既に状態異常になってる相手へ追加で状態異常を掛ける場合、付与率が上がる効果もあるけど、情報体への影響を抑えて接続するのはこの辺が限界だったので、今は技量不足で仕方ないとしてもその内にはどうにかしたいところかな。
「武器の方は終わりましたし、次は防具ですね。繊維系はガイアマテリアル*12から色々と研究成果が挙がって種類が増えてますし、いくつか試作してからメインにする布地を決めましょうか」
「そう言えば種類それぞれを糸の太さ毎に購入してたから、ここ最近だと一番費用掛かってたな」
「糸の太さでも布にした時の手触りはかなり違いますし、織り方や編み方でも強度だけじゃ無く伸縮性やら色々変わりますからねぇ」
そんな訳で強度や術式の付与効率、魔法防御力などの性能調査、肌触りや伸縮性の確認などを数日掛けて行い、三人それぞれで納得いく組み合わせを決めたら本格的に制作を開始する。
まずは私の装備だけど、今回はいつもの和装から目先を変えて見ようかと思って良さそうなデザインを考えた際、前世の記憶から某幻想のⅩⅣで道士系の服があった事を思い出したので、道士をコンセプトにする事にしてそれっぽい感じにデザインをまとめることにする。
上は足首近くまで丈のある道士服で右足側に深めのスリットがあり、袖は肩から袖口に向かって円錐形に広がる感じにして、白地の布に黒糸で刺繍を施すデザインに、下は黒地の袴にして深めに入れたスリットも合わせて動きやすさを確保し、袴には白糸での刺繍も入れる事で、上下セットの霊装として構築する。
装備に付与した効果については、一番気を付けないといけない行動不能系や封印系の状態異常の防御に特化させた物で、その代わりに物理防御や魔法防御がレベル帯にしては低くなってしまったけど、これは妥協点と言ったところだろう。
後、戦闘服としては一張羅になる訳なので、防汚と自動修復の機能も付け、〝道士霊装*13〟の完成となった。
序でに、道士をコンセプトにしたと言う事で、折角だから今回は靴の方にも拘ってみる事にして、服と同じように某幻想ⅩⅣにあった道士系の靴を参考に、所謂カンフーシューズとか言われたりもする布靴を縫い上げる。
付与する効果は足回りと言う事で、カズフサニキ*14から解析させて貰った【浮足玉の脚*15】と重力系魔法を応用し、足場に影響されない移動と、踏み込み時に重力を発生させる事による安定化の効果。
それから軽めではあるけど速度上昇の効果に、防汚や自動修復と言った基本的な効果を持たせて完成した霊装が〝
「私の装備はこれで一通り完成と言うことにしましょうか、手直しとか考えてると切りが無いですし」
「ああ、物理や魔法防御辺りはもう少し高めておいた方が良いと思うが、確かに考え出すと切りが無いな」
「ま、広範囲攻撃でも無ければ久遠が守るんだし、これで良いんじゃない?」
「そう言う事ですね。それじゃ久遠の装備に取りかかりましょうか」
久遠の装備に関しては近接で戦う装備のイメージと、今の装備が大正時代をモチーフにした物だった事からの連想で、前世ネタだけど鬼刈り組織の隊服をイメージしたデザインを採用する事に。
性能としては、修行場異界で入手出来た【全門耐性】のスキルカードを解析した属性耐性に、【物理耐性】の組み合わせで万能属性以外は半減可能な効果と、装着者の身体能力を割合上昇させる効果を付与出来たので、前衛用装備として十分な効果になったと思う。
付与効果以外だと、高性能装備として標準機能だと思う自己修復能力に、物理防御や魔法防御も詰められるだけ高めておいたので、今後の強化も含めればレベル70ぐらいまでは使えるんじゃ無いだろうか。
出来上がった装備は上下セットの霊装で、名称としてはわかりやすく〝女性用隊士服*17〟として、同等性能の男性用と合わせて試作品はガチャ景品募集にも送っておく。
なお、鬼刈り組織の服をイメージしたデザインだけど、流石に『滅』の文字は入れていないため、ガチャ景品とした場合の一部デザイン追加はオプションと言う事になる旨も書き添える。
体装備が作り終わり続いて前衛用の靴装備、付与効果は基本的に先に作った布靴〝雲履〟と同じで良いとして、前衛用と言うことで安全性を考え足首も保護できる様に種類は長靴にし、靴底や足先などに金属板を仕込む事で、防御力や足を使った攻撃力を向上させる。
他の性能としては、使用した素材の質と量の事もあり、長靴自体の物理防御力と魔法防御力がレベル帯相応の高さになったのと、こっちは脚力全体の増強として、足を使った速度や攻撃力上昇の効果も付与する事ができた。
「名前としては〝戦陣長靴*18〟辺りにしておきますか、ガチャ景品に送る分の試作品も有りますし、名前付けてないと適当に変な名前を付けられたりしますからねぇ」
「確かに時々変な名前のガチャ景品って有るわね。そもそも形状や効果自体が変なのもあるけど……」
「所謂ネタ装備と言う奴だな、ドルフィンヘルムやバスターTシャツなんかはある意味有名になってるが」
「ま、それはそれとして、今日も日が落ちましたし日常業務に戻りましょうか。明日には湯乃葉の装備も完成出来そうですね」
何だかんだ装備作りで一週間以上時間が掛かったけど、それもようやく大詰めとなる湯乃葉の装備は、本人の意向もあって〝レースのビスチェ〟と〝朱色の羽衣〟の上位装備を目標に作成を開始。
まずビスチェの方だけど、元ネタに合わせた上位装備と言う事で、以前にスケベ部でセクシー装備のデザイン一覧を作ろうとした際の画集を引っ張り出し、〝しんぴのビスチェ〟のデザインを確認しながら作成して行く。
とりあえずと言う事で、下位になる〝レースのビスチェ〟に付けてた効果も付与しておこうと試したところ、以前作った頃より素材の質も私の技量も上がっているだけあって、同じ効果自体はさほど容量も取らずに付与完了。
思ったより空いた容量に入れる効果としては、神秘の名前も付いてる事だしってことで、折角だから即死系対策も兼ねて【破魔・呪殺無効】の効果と、シリーズによっては回避率上昇効果が付いてるのもあった気がするため【物理見切り】の効果を付与し、他の空き容量には素材が許す限りの物理や魔法防御力に、状態異常耐性を詰め込んで〝神秘のビスチェ*19〟が完成。
情報接続加工をする場合には、どちらかの防御力か状態異常耐性のいずれかの強度を多少削る事になるけど、十分に実用可能な範囲の装備になったとは思う。
最後に作るのは、元ネタの〝みずのはごろも〟からだいぶ違う物になってしまった感じのある、羽衣シリーズの上位装備とする予定の物で、下位のシリーズは二属性の耐性か一属性無効のどちらかだったけど、上位互換と言う事で二属性耐性と一属性無効の両方を、各属性で組み合わせて付与出来る様に術式を構築する。
「よしっ、術式の付与は上手くいったみたいですし、色味から〝紅玉の羽衣*20〟としますか、シリーズ名を付けるなら玉羽衣と言った感じですかね。湯乃葉の弱点である衝撃属性の無効と、火炎に氷結の耐性で、使用される頻度の高い属性は耐性以上になりましたか」
「そうねぇ、でも瑞樹ちゃんが使えるだけでも、地変と念動に重力、核熱と挙げれば切りが無いのよね。まあ元を考えると、二属性耐性に四属性無効なら十分過ぎる話よね」
「さて、装備は完成しましたし、修行場異界下層試験までの慣らしも兼ねて、下層手前まで探索を進めるとしましょうか」
「了解した。試験のためにレベルも上げておきたいところだしな」
普段なら鍛練も兼ねて、週一回は同格以上の敵が居る階層の探索をしていた訳だけど、ここの所装備作成に掛かりきりになっていた事も有って探索に行けて居らず、日常業務での間引きもしていたとは言え、今の封鎖箇所付近のシャドウは最大でもレベル30辺りと格下な訳で、言ってしまえば手応えが無くて消化不良気味な感じだろうか。
そんなこんなで修行場異界の中層探索を進め、数日後には下層手前まで到達して、レベルも47と下層試験前に大きく伸ばすことになるのだった。
同調可能数は発動者側の一つとそれに同調する三つで合計四人分までとなっており、同調者は時間干渉に対する抵抗力も向上する。
また、守天二式と同じく【食いしばり】による致命回避と自己修復能力も継続しており、加えて重力子制御術式による武器重量の任意変化により、持ち手に相応の技量があれば物理攻撃の威力を向上させることも可能。
また、何かしらの状態異常を受けている相手に対し、追加で状態異常付与率を上昇させる効果を持つ。
麻痺や魅了などの行動不能になり得る状態異常と、封魔や封技のようなスキル発動を阻害する状態異常への防御に特化した防具であり、物理や魔法防御力は耐性関連の効果に影響しない程度、防汚や自動修復機能も付与されている。
また、防汚や自動修復に速度上昇の効果が付与されており、使用されている素材相応に物理や魔法防御力も備えている。
前衛で攻撃を受ける事も考慮して物理と魔法の防御力は可能な限り両立しており、霊装が破損する可能性も高いことから、高い自己修復能力も付与されている。
また、脚力増強による速度上昇や攻撃力上昇の効果と、足回りの高い物理・魔法防御力に自己修復能力が付与されている。
物理と魔法の防御力に状態異常耐性を高水準で備えている上、【物理見切り】と【破魔・呪殺無効】のスキルが付与され、近接型の装備としても遠距離型の保険としても使える一品に仕上がった。
多少の物理防御力と高い魔法防御力、他装備との組み合わせによる魅了系スキル効果上昇は他シリーズとも共通。
拙作世界線において、修行場異界の階層分けは、以下のレベルを想定してます。
浅層:1~9
上層:10~29
中層:30~49
下層:50~79
深層:80~99
なお、深層の封印より先にある魔界はレベル100以上と考えてます。
後、探求ネキの出来る事が多すぎないか?と言う感想をちょいちょい見るので、作者的なイメージを少しばかり。
探求ネキの技術者・研究者としてのイメージは、『天地無用!』と言う作品シリーズに出てくる【哲学科】と言う学問、膨大な知識を組み合わせ、具体的な使用法を作り出す分野に携わる〝哲学士〟と呼ばれる者達が元になっています。
そのため、探求ネキは常に多数の分身式神を使って、ガイア連合内の黒札向けに開放されている技術や情報を可能な限り収集している感じです。
流石に個人的な研究まで全て公開されている訳では無いと思うので、そう言った分野毎に特化した黒札には、普通に技術で負けたりもします。