【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
大異界〝スーパーうどんマウンテン〟の攻略が終わって、気兼ねなく年越しを迎え、年末年始に色々と駆け回ったのも少し前と言える様になった頃、暦は1999年の文字を刻み、前世の様々な情報から、そろそろ何かしら大きな問題が表出してくるんじゃ無いか?と、掲示板上では神経を尖らせる書き込みが年始から増えていた。
まあ掲示板上の大多数は騒いで煽るだけなので、基本的にスルー推奨って事で運営陣も気にして無いが、それはそれとしてガイア連合山梨支部*1及びガイアグループの組織としては、日々の業務を通じて終末案件になりそうな情報収集の網を広げている訳で、今年最初の網に掛かった情報は、海外との貿易をしている部署から上がってきた報告だった。
「グループ側の海外事業で、微妙に怪しい動きを確認した。ですか……」
「終末警戒の一環として継続している海外事業の方ですね。まあ石油含めて確保したい資源は大量に有りますし、財界や政界のニキネキの立場的に継続しているって部分も大きいですが、なんでも欧州のメシア教勢力と、エジプト等の中東アジアアフリカ系神話勢力の小競り合いに、激化の兆候があるとか」
「メシア教の勢力が更に拡大するって事は、ICBMが飛んでくる可能性が高まるって事ですよねぇ。やっぱりシェルターの増設は急務ですか」
「建設系を専門にしてる黒札も居ますし、ブーストニキみたいに建造効率や速度を上げるスキル持ちも居ますから、今のところ何とかはなってますね。まあ修行僧とか低レベル層の収入源ですし」
「最近は結界や簡易異界の構築と整備が可能な人も増えましたし、現状でも回ってるなら手を出す必要も無いですね」
とまあ、事務方での作業に回していた分身式神経由で、ちょっと警戒した方が良さそうな話を聞いたりもしたわけだけど、今すぐにどうこうって訳でも無く、結局のところ何時決定的な情報を掴んでも行動出来る様に、鍛練と研究に拠点の整備や準備を進めるしかないよねと言う話。
そんな訳で、少しずつ進めている研究や日々の鍛練が結実してきたある日のこと、いつもの様に拠点の設備増設や研究をしていると、琴音さんから綴さんと一緒に遊びに行っても良いか、との連絡が送られて来たので了承の旨を返信したところ、直ぐさま巌戸台支部と直通させている転移陣が起動し始めたのを感じる。
ちなみにこの転移陣、琴音さんが結構頻繁に私の拠点へ遊びに来る関係から、迎えに行く手間を減らす目的で設置した物だったりする。
「やっほー!何か新しく研究が完成しそうって聞いたから遊びに来たよ!」
「突然お邪魔してすみません。瑞樹さん」
「お邪魔するであります」
「いらっしゃい、今日はそこまで危険な実験とかもしてないから、大丈夫ですよ」
「お、そこの見慣れない大釜がそろそろ完成するって言ってた研究の奴?」
「ええ、完成したばかりと言ったところですけどね。突き詰めればもっと改良できるとは思いますけど、とりあえず目的の結果は出せるようになりましたし、今は基礎理論を文にまとめてるところですね」
三者三様の挨拶をしながら工房へやって来た三人に言葉を返して迎え入れると、元々の目的と言う事もあってか、早速室内の変化に気付いた琴音さんが一つの設備に目を向ける。
「おお!ってことは、アレも作れる感じ?」
「ちょっと待って下さいね……っと、論文の方も技術部のサーバに上げ終わりましたし、実際にやって見せましょうか」
ほぼほぼ書き終わってた論文を仕上げてアップロードした後、ワクワクとした表情を浮かべる琴音さんが見つめる中、工房の一角に新設した大釜へ素材を投入し、大釜内の液体を杖で掻き回しながらマグネタイトを注いで行く。
注いだマグネタイトが大釜に施した術式を起動させ、掻き回すうちに少しずつ液体から仄かな光が漂い始める。
時間にして数分ほどの撹拌作業が終了し、淡い光を放ちながら浮かび上がってきた
まあ出来た物や名称から分かるだろうけど、今世でも〝俺ら〟の一部が動いた結果としてアトリエシリーズは世に出ており、その作中にある錬金術やアイテムを、とある理由から再現できないだろうかと研究した結果が、今目の前にあるハニーパイであり、大釜。
仕組みとしては、大釜へ投入した素材を量子分解し、錬金溶液内に素材の元素や概念等を保持させ、撹拌する際に使う杖などを通してイメージを伝達し、撹拌する動作と霊力や熱などの外部エネルギーにより大釜の術式を完了させて、イメージに沿った物を作り出すと言う物になる。
「こんな感じで、ゲーム的に余り説明されない部分なので大変でしたが、何とかなりましたね。理論構築の流れで量子物理学の分野に踏み込む事になりましたけど」
「うわー、マジでアトリエだね。ぶっちゃけ傍から見てると、何してるのかまったくわかんないんだけど?それにしても、何で大釜内の液体から出てきたパイが焼きたてで、芳ばしい香りを立たせてサクサクなの?美味しくて止まらないんだけど!」
「瑞樹さんって時々良く分からない事してますけど、今回のこれは一際ですね。琴音ちゃんの言うように凄く美味しいですけど」
一応今回遊びに来た理由は、完成間近の研究に興味があるからって話だった気がするけど、技術的な疑問より食欲な辺りは、琴音さんらしいと言うか何と言うか。
とりあえず適当にお茶を何種類かと、研究過程でいくつか作ったお菓子類を取り出して、お茶会の体裁を整える。
「錬金術でそう言うアイテムとして構築する関係から、普通に作るのとは違った味わいになりますからね」
「ゲームに出てくるシステムを参考にしたんでしたっけ?」
「そそ、大釜に素材入れてぐるぐる掻き回して完成って感じもそのままだよね」
「参考にしてるのは事実ですけど、西洋古来の錬金術をベースにしてもいるんですよ?元々は現代科学に繋がる理論と生体マグネタイト、この場合は魔力と呼んだ方が良いかもですけど、その二つが合わさる事で、薬品など様々な物を作り出して居たらしいですね。まあ一神教勢力とかの弾圧や魔女狩りとかで失伝してるみたいですけど」
この辺は以前、槍ニキの式神であるバゼットさん*3に西洋系技術を順に教えて貰っていた頃に聞いた話で、正しく技術と知識が伝承されていた頃の錬金術は、現代で様々な機器を使って造り出す化合物を、魔法術式により化学反応させて作り出していたそうで、錬金術の秘奥に到達した術者は、卑金属から黄金を作り出す事も出来たとか。
ちなみにこの錬金術の秘奥ってのは、卑金属を魔法術式で分解し、元素と金属の概念から術者にとって価値のある物へ作り替える技法の事らしく、当時の価値ある物が基本的に黄金だったと言うだけで、他の貴金属を作る事も可能だったらしい。
実のところアトリエ式錬金釜でやってる事は、この素材を分解して再構築する魔法術式を研究発展させ、魔導設備として構築した物で、ある程度のマグネタイト操作技術と素材が有れば、錬金術で簡単にアイテムを作成出来る様にしたのが、実態だったりする。
「そんな感じで、量子物理学関連の研究も兼ねて、魔法術式の改良とかに手を付けてたわけですね。去年の秋頃までは余り進んでませんでしたけど」
「オカルトの総本山みたいな組織になってるのに、先端科学の話が出てくるって何なの……?」
「私なりに【神足通】の実現方法を模索した結果ですかね?タオ系技術の到達点として〝神通力〟の体得は目標の一つですし、まずは神通力の入り口に当たる【神足通】で可能になることを挙げていったら、量子の概念と符合できる部分が結構有りそうって事で、研究を始めた感じです。結果的には霊格が足りなかったって事みたいですけど、去年の秋頃には体得出来ましたし、量子の概念との親和性も高いみたいで、出来る事の範囲が一気に広がった感じがあるんですよね」
「その出来るようになった事の一つがアトリエ式錬金釜、と言う事なんですね……」
「【神足通】のための研究だったのに、結局体得してからの完成になってしまいましたけどね。まあ感覚的な部分を、理論立てて理解を深める役には立ちましたし、完成品も色々使える感じに出来たので良いんですけど、っともう無くなりましたか。それなりの量あったつもりでしたけど……」
「あれだけ美味しかったら直ぐに無くなるのも当然じゃ無い?私も綴さんも【食没】習得出来たからいくらでも食べられるし、次はガッツリ食事っぽい感じのが良いな!」
「まあ今夜も影時間で消費する訳ですし、追加で作りますか」
そうして話し込む内に、実演で作ったハニーパイや追加で出しておいたお菓子が無くなった辺りで、琴音さんから追加のリクエストをされ、今度はミートパイなどの惣菜系をいくつか錬金して行く。
ちなみに、こうしてアトリエ式錬金釜で再構築して作成した場合でも、使用する肉によって味や効果が変化するのは普通に調理する場合と同じなんだけど、再構築する際にあえて味や効果を均一に、と言うか定型化させる事も可能になっており、そうして一定の効果に抑えて再構築する事で、投入した素材の質量と概念量などの影響から、出来上がる数が増える何て特性もあったりする。
まあゲーム的に言うなら、通常作成だと素材のレアリティは完成品の品質に関わるだけのところ、分解と再構築をする関係から、素材の種類やレアリティ等に応じたポイントへ変換され、ポイントの範囲で品質や個数などに振り分けて完成させる事が出来ると言った感じになるだろうか。
多分技術としての真価は、一点物のハイエンド品の作成ではなく、製造部で生産してるそこそこの品質の消耗品を大量生産するような、制作時間と言う短縮し難いコストを削減出来る部分にあるのでは?とも思うので、その辺も技術部にアップした論文には書いておいたけど。
「――とまあそんな訳で大量生産も可能なんですが、今日のところは純粋に味を楽しむって事で、種類を多くする感じで作っていきますね」
「肉の種類だと、マグロ豚とチーズラビットに牛豚鳥、後は普通の市販品?」
「一般流通してる市販品は概念的に軽くて使用に向かないですし、ポークポテトやベーコンの葉辺りの肉系植物をいれて、七種類と言ったところですね。まあ牛豚鳥は部位毎に分けたり、合い挽きとしてブレンドするならいくらでも種類は増やせますけどね」
「そう言うものなんだ……。そういや肉の種類で思い出したんだけど、瑞樹ってガララワニみたいな肉食系食材って創らないの?掲示板だとその辺のトリコ食材の再現希望って多いけど」
「トリコ食材ってのは、お二人の前世で刊行されてた漫画に出てきた設定でしたっけ?」
「そそ、グルメ漫画で美味しそうな食材が大量に出てくる作品。【食没】もトリコに出てくる技能だし、今瑞樹が大釜に投入してる食材も漫画に出てくる食材を再現した物だね。ん~言葉で説明するより、実際に見せた方が早いかな?確か瑞樹って記憶から念写してたよね?」
「そうですね。綴さんなら神主からも許可貰ってますし、見せても大丈夫ですね。ちょっと久遠に持ってきて貰いましょうか」
普通に作るよりは短時間で済むと言っても数分はかかるわけで、大釜に各種肉系素材を投入しつつ、アトリエ式錬金釜の特性だとか、投入した素材の詳細についてなどを話していると、食材繋がりからトリコ食材再現シリーズに関する質問が投げ込まれる。
ちなみに、金札の綴さんも交えて前世トークしている事に関しては、そもそもガイア連合山梨支部と言う集まり自体が、互助サークルみたいな寄り合い所帯で、厳密な箝口令なんてしてない*4ってのと、念のためショタおじに確認を取った上、黒札以外に対して許可した情報以外を伝えられないように契約して教えたと言う経緯。
まあ前世関連の話をしたとは言っても、流石に山梨第一支部へ行ったりは出来ないけど、その代わり拠点の一室を書庫にして、巌戸台支部にも置くわけにいかない前世関連の書籍――主に過去視や念写などを用いて作成した漫画や小説――を自由に読む許可を出したため、最近だと前世関連のネタもある程度理解出来るようになったみたいなのは、良かったのかどうなのか……。
「それで、ガララワニとかを創らない理由でしたっけ?実のところ、創ろうと思えば可能な感じにはなってるんですよね。畜産に向かないので、研究した後は増やさず食料にして終わりにしてますが」
「えっ、つまり瑞樹達だけで美味しい物楽しんだって事?!ずるい!!」
「ずるいも何も、食用可能なのかを含めて調べないと研究として区切りにならないじゃ無いですか。それに増やさないのは増やす場所が無いってのも理由ですし」
「場所が無い、ですか?瑞樹さんなら巌戸台支部の異界ダンジョンとかみたいに、何とでもなるかと思うんですけど」
「綴さんが言うように、単純な空間としての場所ならどうとでもなりますけど、問題は肉食生物を繁殖させるための餌とか食材にする時の難易度とか、そっちの方ですね。基本的に獰猛なので管理者にも相応の強さが求められますから、余裕を持って対処出来るレベルで、畜産に専念しようと思う人なんて早々居ないですからね」
「ちなみにガララワニだと、どの程度のレベルが必要な感じ?」
「一人で対処するなら20前後、複数人なら10~15あれば安全に管理出来るかと思いますね」
「瑞樹、頼まれた漫画持ってきたぞ」
念話で用事を頼んでおいた久遠が丁度良く到着したので、二人が読んでる間に錬金をさっさと済ませ、序でだからと呼んでおいた湯乃葉も交え、早めの夕食も兼ねて食べる事にし、出来上がった各種パイや飲み物を机に並べる。
「何かグルメ漫画と聞いてましたけど、早々から戦闘ばかりなんですね。やってる事は狩猟なんだろうと思いますけど」
「料理漫画じゃ無いからね~。調理関係の話もあるけど、基本的に珍しい食材とか危険な食材とか取りに行って食べるって内容だし」
「なるほど……。でも確かに、こんな感じの肉食生物なら、畜産として管理するのは難しそうですね」
「さ、出来ましたから続きは食べながら話しましょうか。湯乃葉も丁度着いたみたいですし」
「今日は錬金食なのねぇ。コレはコレで美味しいから良いけどね」
「それじゃ頂きます。って事で、ん~ミートパイの一体感が凄い!焼きむらとか、場所による濃淡とか無いから、味のアクセントは落ちるけど、大量生産技術って事なら比較対象は冷食とかコンビニ弁当系だし、十分過ぎるよね」
とまあいつも通り、早速とばかりに手を伸ばした琴音さんを皮切りに食事が再開し、話題の方も先程まで居なかった二人に説明しつつ再開する事に。
「結局のところ肉食系食材、と言うかこの場合は戦闘力の高い食材になるんだろうけど、ガララワニとかはお蔵入りにするの?」
「将来的には何とかしたいってところですね。今のところリーガルマンモスの再現を大目標にしてますし、元ネタの描写的に大量の餌が必要になりますから、いっそのこと生態系構築出来るぐらいの種類を創って、一つの異界にまとめてしまおうかと考え中です」
「それって、香川に造ったSUMダンジョンみたいな感じですか?」
「魔界植物とかも大量に配置して資源回収可能にするのは同じですけど、異界として設定する時にある程度何とかなるとは言え、植物から草食肉食と生態系が連鎖する規模と数は必要になりそうですし、想定した感じでは大陸規模の大異界を構築する必要がありそう何ですよね……」
「それ
「なので、将来的にって話に戻るわけですね。いずれ何かしらの原因により終末へ突入するでしょうから、その後にでも造る予定で、今のうちに配置する各種生物の研究を進めてる感じです」
「終末へ突入したら、ですか……。やっぱり防ぐ事は出来ないんですか?」
「私的には終末阻止のためにタルタロス攻略してる感じなんだけど、ガイア連合としてはペルソナ関係より、メシア教の方が終末に直結してるって考えてるっぽいよね」
「んー、メシア教が終末の引き金ってのは事実だと思いますけど、正確には一番被害を軽く出来そうな引き金がどれか、と言うのを探ってる感じですかねぇ」
「「へ?/え?」」
流石にパッとは理解出来なかったみたいで、二人して疑問符を浮かべている様子のため、ちょっと運営陣側の想定辺りを話せる範囲で説明することに。
そもそもの前提として、〝終末〟は防ぐ事が可能な事件ではなく、いずれ必ず訪れる事象であり、ショタおじの呼びかけに応じて第一回富士山オフ会に集まった人員で、互助サークル程度でも良いから繋がりを維持して力を付ける事を選択した者達においては、終末以降の
そこから、とりあえずどれだけの力を得られるのか、何が出来るのかを確認したり相談したりして、一先ず決めた最低ラインが〝食べたくなった時にファミチキを買えるぐらいの環境〟、努力目標として〝終末後も出来るだけ現代文明の恩恵を維持して楽しく暮らしたい〟と言う事になった。
こうして一応でも目標を決めた後、そのために何が必要かを考えた結果として、現代文明を成立させるために必要な産業や技術を集めたガイアグループが出来上がり、グループ系列が終末以降も存続できる事を条件として、目標達成が難しそうな終末案件が存在してないかの調査に、対処可能な終末案件の想定と、どんな準備が必要なのかの検討をしているのが、現在のガイア連合山梨支部と言うわけである。
ちなみに、ペルソナ関係の終末案件については、タルタロスが私と琴音さん、マヨナカテレビがスライムニキ、メメントスを承太郎ニキがそれぞれ担当して、終末案件の引き金になった場合の影響を削ぐ目的もあって攻略を進めている状況で、ガイア連合としてはペルソナ案件を重視してないと言うより、終末案件の引き金は一応見つかったため、他の引き金になりそうな案件調査に移っている感じだろうか。
「――と言った感じで、日本各地に発生した異界を攻略してGPの上昇を抑えているのも、準備が整う前に終末へ突入しない様にする時間稼ぎ目的で、未然に防ぐって話じゃないんですよね。ペルソナ関連の支援が薄いのは、そもそも関与できる人数がガイア連合でも少ないって問題の影響ですし」
「えっと、結局タルタロスを攻略しても終末は回避出来ないって事?そんでもって、攻略完了は特に期待されてないって事?」
「メシア教が存在する限り無理ですね。遅かれ早かれどんな経緯であれ、終末は起きることになると結論が出てます。後、タルタロス含めてペルソナ関連もそうですけど、終末案件は一つでも多く解消した上でコントロール可能な範囲で終末に突入するのが最善と想定してますので、攻略出来るにこしたことはないですが」
「つまり、終末の引き金が引かれた時に、他の引き金が連鎖しない様に数を減らしておくって事ですか?」
「そう言う事ですね。特にペルソナ関連は人の集合的無意識と繋がった特殊異界ですし、終末突入時に残ってるとどんな影響が出るか、まだ予想が立っていない状況ですから、そう言った点も調査している感じです」
「へぇ、そんな調査もしてるんだね……ってそっか、調査してたから封鎖箇所解除の条件調べる時に、あれだけ情報あったのか」
「まあ情報を集める事は出来ても、結局解除方法見つけてるのは琴音さんですから、サポートの範疇を超える程でもないですよ。それより六十四階の封鎖解除調査はどうします?そろそろ地固めの鍛練もレベル相応になってきたと思いますけど」
「私としては鍛練でもまだ伸びる感じがしますけど、瑞樹さんがそう言うのであれば構いません」
「こっちもオッケーかな?鍛練での実力向上もまだまだ出来そうだけど、若干伸びが落ち始めた感じも有るし、封鎖解除条件の発見にどれだけ掛かるかも分からないしね~」
「そう言われると、確かに調査を始めるのも考えるべきですね」
「では、次の満月から本格的に条件調査を始めましょうか」
こう言う話し合いの時には、基本的に聞き役に回る仲魔達も賛成したことで当面の行動予定が決定となり、後は特に仕事関連の話に戻ることもなく、和やかに食事の時間が終わる。
それにしても、最近は割とこうして拠点や巌戸台支部の食堂で食事をしながら会議したり、私の拠点に集まった時は温泉で色々と話をする事も多くなった訳だけど、ある意味コミュが上がったとでも言った感じなのだろうか。
大釜に刻んだ術式と錬金溶液の組合わせで構成されており、溶液に投入した素材を量子分解し、元素や概念をマグネタイトで再構築する錬金術の秘奥を補助する道具。