【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
気が付けば2000年も日本国内的には大禍なく過ぎ去り、翌年2001年は早々からガイア連合山梨支部として動き回る年になりそうな予感がしてくる幕開けとなった。
大きな要因としては、メシア教による世界各地の小競り合いが紛争へと悪化した事、世界的な霊地の活性化による異界や悪魔の出現数増加、そして多神連合のエジプト神話群がやらかした事による連合防衛戦線の瓦解。
そんな世界規模の情勢変化も有る中で、発足時から勢力を拡大し続けている上に、オカルト組織としてのモラルが比較的高い事も有って、ガイア連合に注目しない裏の関係者などいないと言う話であり、日本としてオカルトを知る政治家なら利用しない手は無いのも当然な話と言う事らしい。
結果的に、何故かガイア連合が〝日本を代表する霊的国防機関として認定される〟何て事態になったのが2001年最初の出来事。
まあそうは言っても正式な書類などが発行される訳でもなく、以前からそれっぽい扱いを受けていたのも事実ではあるんだけど、今回は〝海外からの悪魔及びオカルト関連の水際対策〟と言う、完全に一民間組織が代表して携わる話では無い案件の担当者として、ガイア連合山梨支部がメシア教への対抗馬に据えられる事になった以上、正式にそう言う扱いをするとの宣言みたいなものだろうと運営陣では捉えている。
名目上は、メシア教との合同計画による空港などでの水際対策との話ではあるが、敵情視察という意味合いは多分に含まれているし、そこの認識はお互い様だろうとは思うけども。
「各地方の玄関口への各種結界設置は完了して、東京周りも根願寺と連携して終わりましたから、合同計画は一旦完了ですね」
「根願寺関連については、ブーストニキ*1が関係を深めてくれていたおかげでスムーズに行けましたし、日本に居るメシア教の内情も探れましたから、収穫自体はそれなりでしたね」
「今居る最大でレベル18の、しかも大天使ですら無い【アドナキエル】となると、戦後日本で色々とやってきた事に、それだけの自信があるのでしょう。高レベルは多神連合や世界各地での紛争に回している、と考えるのが良さそうですね」
「思ったより低いって感じるけど、修行場異界みたいな高レベル異界なんて早々無いんだし、こんなものと言われたら納得も出来るけどね。それにしても春の花見だと桜のイメージしかなかったけど、桃の花見ってのもいいわね。料理もお酒も美味しいし」
「思えば千代ちゃんと出会った時は高校一年だったけど、もう成人してるのよね~」
三月もそろそろ終わろうかという時期になって、ようやく大きな仕事が一段落し、ちひろさんも多少の時間が取れると言う事で、それなら久しぶりに集まって慰労会も兼ねた飲み会でもしようかと思い立ち、美波さんや千代さんの都合も付いたのが世間的には春休みの頃。
開催場所はいくつか候補はあったけど、結局周囲を気にしなくても良いって事で、私の拠点内にある果樹園の一角、蟠桃の花が咲き誇る場所に宴席を設け、春らしく花見と相成った。
「もうそろそろ第一回目のオフ会から七年になりますし、それこそ色々有りましたよね。千代さんは普通の一般人だったのに今では一端の修羅勢ですし、美波さんは修羅勢兼悪魔娼館の主、ちひろさんに至ってはガイア連合運営陣の重鎮ですし」
「それを言うなら、一番変化が激しいのはどう考えても瑞樹さんでは?香川の方の娘さん、今年で四歳でしたよね」
「だよね~、私も環境の変化って意味ならそりゃかなり変わったけどさ、それでも一戦闘員でしか無いわけだし、支部長組みたいな地域のまとめ役なんて柄じゃ無いから良いんだけど」
「三児の父で一児の母なんて状況になるとか、七年前の頃には想像もしなかったわよ。それこそ結婚したりとかは千代ちゃんが一番早いんじゃないかって思ってたぐらいだし」
「そこで自分が入らない辺りミナミィネキって感じだよね。美波さんは結婚願望とか余りなさげだけど、ちひろさんはそこんところどうなの?好きな人とか居たり?」
「少なくとも、終末を乗り越えるまではそんな事考える余裕もないですね。折角覚醒出来てもレベル上げに行く余裕も殆ど無いですし……。と言うか、琴音さんは瑞樹さんや綴さんとゴールインするからって随分と余裕そうですね……」
「アハハ……みz「変化と言えば綴も大きく環境変わりましたがどうです?」ちょっ?!」
うっすらと青筋立てたちひろさんに見つめられ、ちょっと涙目になった琴音が助けを求める様な視線を向けてくるが、自業自得なのでしばらく放っておく事にして、ここ数年で環境が大きく変わった一人だろう綴へと話を向けて見る。
「私ですか?変化って意味ならやっぱり大学受験で上京してきた時ですね。瑞樹さんが居なければ生きていられたのかも分からないですし、以前は誰かに恋する事も誰かを愛する事も想像すらしていませんでしたから」
「そう言えば綴さんも普通に学生してたんだっけ、やっぱり一度死にかけると色々見方変わるよね~」
「あ、千代さんは確か通り魔強盗に襲われて、死にかけた後から覚醒修行などを始められた経緯でしたっけ」
「ガイア連合経由でオカルト関係には一応関わっていたけどね。あの時は家のパラスちゃんの事で頭がいっぱいになってたし、結果的に良い感じになったけどだいぶ無茶もした気がするわね」
「そりゃまあ最初から厳しい方の修行に突っ込んだんだし、それなりに無茶はしたと思うわよ?」
「無茶というなら美波も五十歩百歩じゃないの。瑞樹さんもそうだけど、覚醒後に厳しい方の修行も参加する何てこともしてたし」
「おや、私の方にも飛び火しましたか。まあ綴は仕方ないとして、厳しい方の修行してないのはちひろさんだけですし、その感想も無理ない話ですけど」
琴音が圧を感じる程度には、色々と感情のこもった微笑みを浮かべていたちひろさんだけど、そこそこの圧を掛けたところで満足したのか、話の輪に戻ってくる。
それと同時に、先程ヘルプ要請をスルーした事への抗議混じりで、琴音が物理的に絡み付いてきたけど、まあいつもの事だし気にしなくて良いかな。
「ぬぅ、大きくて柔らかくて良い匂い……コホン。でも敵のレベルが上がってくると似た様な事態にはなるよね」
「その誤魔化しは流石に無理がない?とは言え、実際に攻略依頼で向かった先の異界で、毒霧の中を突っ切ったり何てこともあったし、燃やされながら反撃なんてよくある事だしねぇ」
「だよね、私も覚醒した後一通り受けたおかげで、片手が飛ぶぐらいなら回復しつつ戦えるし……って、花見の席で続ける話でも無いか。それより瑞樹、そろそろアレ出しても良いんじゃない?」
「琴音ちゃん的に待ちきれないだけでは?まあ楽しみにしてたのは同じですけど……」
「あら、また何か瑞樹ちゃんが食材でも創り出した感じ?」
「前々から研究していて最近形になった物ですけどね」
会場として用意した場所に設置した石窯やコンロを使い、適宜追加していた料理もあらかた無くなって、そろそろデザート系に移行するかというタイミングだった事もあり、琴音に絡み付かれた状態を透かして抜け出し、リクエストされた物の準備に取りかかる。
満を持してと言うほどもったいぶった訳では無いけど、式神や仲魔達も含めて全員に配ったのは、トリコでもトップクラスに有名な食材である〝虹の実*2〟。
最初の提供と言うことで、元ネタに習い冷やして切り分けただけ、と言うシンプルなものだけど、陽光を受けて輝く果肉から、蒸発した果汁で虹が浮かび上がる所は、正に原作通りの虹の実と言ったところ。
『頂きます!』
周囲へ漂う香りに誘われて溢れそうになる涎を飲み込む様に、無駄な言葉を発すること無く唱和した食材への感謝の言葉と共にスプーンを差し込むと、果物と言うよりゼリーかプリンかの様に掬い上げられる程柔らかく、掬い上げた体積に見合わないほどの重量が指に伝わる。
口に含むまでに蒸発した果汁、舌に乗せた瞬間、スプーンを引き抜き果肉を噛み締め、飲み込み食道を下っていくその時まで、瞬間毎に七色所でなく様々に変化していく味が駆け抜けていく。
五臓六腑にしみわたるとはこの事かと思う程に、一口毎に全身の細胞が活性化していく様な、力が満たされていく様な充足感が溢れ出す。
「――ふぅ」
言葉もなく一心に没頭した時間は、カランと響き渡る音と現実へ回帰する様な吐息により終わりを迎え、平穏が具象化した様な一時が流れる。
コレこそがメインディッシュだと言わんばかりの存在感を叩き付けた虹の実の実食が終わり、春の柔らかな日差しと周りを彩る桃の花に囲まれ、桃源郷も斯くやと思う時間にしばらく浸っていたが、流石にぼんやりとした時間が続いている事から、満足げな表情を浮かべる皆を横に、気分転換も兼ねた紅茶をカップに注いで配っていく。
ちなみにこの紅茶は、一度乾燥させた虹の実の皮を一欠片入れて香り付けしたお湯を使い、フレーバーティーとして入れたもので、果汁程ではないけど確りとした甘味と芳醇な香りが加わり、紅茶の風味と混ざり合って、ある種デザートにも思えるものになっていたりする。
「あ~良い香り、虹の実のインパクトは凄かったけど、凄すぎた気もするよね」
「何か、気が付いたら一時間ぐらい経ってたわねぇ。トリコの再現食材は結構食べてきたけど、格別だったわ」
「私は研究途中のを色々食べてきてるのでマシでしたけど、それでも完成した虹の実を最初に食べた時の感動は一入でしたね」
「まさか漫画と同じように涎が溢れそうになるとは思いませんでした……」
「ちょっといろんな意味で危険な果物だよね。後、流石に短期間に何度も食べようとは思えない程に衝撃的だし」
「今確認してみたら、虹の実食べただけでレベルが三つ程上がってたんですけど、実は結構な神話体験になってたりしませんか?これ……」
「まあ私のレベルが80後半ぐらいになってからようやく完成した物ですし、色々加味して考えるとむしろ控えめな結果じゃないですかね?とは言えちょっと予想外の事ですし、後で色々調べて見ますけど、今ちひろさんを確認した限りでは悪い影響は出てないですし、大きな問題は無いと思いますが」
何か釈然としない気配を漂わせているちひろさんだけど、普段から修行する余裕も無いと嘆きつつ、式神を遠征させているちひろさんのレベルが上がったのなら、思わぬ拾いものと言った感じである。
そんな感じではあるんだけど、食べただけで霊格が上がるとの事態は流石に予想してなかった訳で、ちょっと農業部の方にも連絡して調査する必要が出てきたけど、それはまた後での話かな。
考えて見れば色々と試した結果として、最終的に〝何かのタネ*3〟を作る様な感じでアトリエ式錬金釜に各種素材を投入し、量子単位で概念を付与しながら種を創り出したことで、ようやく成功した品種と思えば然もありなんと言ったところでしょう。
「うわっレベル80とか超えてるんだ……。私少し前に30超えて修羅勢呼びされる様になったけど、やっぱりまだまだ何だねぇ」
「色々認識がずれてますよ千代さん。レベル30は十分高いですからね?ここに居る私と千代さん以外50超えてるのがおかしな話で、連合内でも30超えは多く見積もっても三割程度ですからね?」
「修羅勢呼びされる面子が意識するレベルの壁は30と50ですけど、新人とか大勢が意識するレベルの壁は10と30ですし、30超えてまだまだと思えるなら千代さんも修羅勢の一員ですね」
「それは喜んで良いの?」
「良いんじゃない?この界隈、レベルが高いにこしたこと無いし、一定以上レベルが無いと出来ない事も色々あるもの」
「だねー、私なんて特に付け替えるペルソナの種類に直結するから、レベル上がればわかりやすく出来る事も増えるし、50超えた辺りから概念系も対応出来る様になってきたし」
「なるほどねぇ……。あ、そうだ、今思い出したんだけど、さっき絡み付いてた琴音ちゃんから抜け出した時、おかしな事なってなかった?こう、当たり判定が消失したみたいな感じで」
「千代さんが言った通り、一時的に当たり判定消してすり抜けただけですよ?っと、まあとぼけるのは置いといて、原理はちょっと違いますけど、美波さんの〝クズノハ式回避術*4〟と同じように干渉不可状態になった感じなので、当たり判定消失も間違いじゃないんですけどね」
「私の場合、召喚術を応用した特定動作による存在座標のずらしだけど、瑞樹ちゃんのは量子力学的な存在の有無を切り替えてるんだっけ」
返答の途中から胡乱げな視線に変わっていったため、真面目な説明も付け足した訳だけど、実際どうやっているかと言う細かい理論部分を抜けば、当たり判定消失状態がわかりやすい例えだったりする。
理論部分の話をするなら、美波さんのは特定動作の間0.1次元ぐらいズレた場所に自身を送り、動作の終わりに元の場所へ送還している様なもので、そこに居る様に見えていても、実際は同じ次元上に居ないため、通常の方法では干渉出来ない状態になる技術。
私の方は【神足通】による応用技術の一つで、仏教や道教などの書物に記されている〝神足通〟により可能となる事柄と、量子の挙動による類似点から実現したもので、自身を量子論的なミクロの性質へと変化させ、量子の波動性による存在の重ね合わせから、存在の有無を自身の観測による収束のみに限定し、他者の観測による収束を無効化する技術。
「私の方は権能混じりで再現性が低いですし、理論化された技術としては美波さんの方が上ですけどね。【サバトマ】使えるなら習得可能、と言うのは大きいです」
「う~ん、説明聞いても良くは分からなかったけど、結局一時的に当たり判定消してすり抜けただけってのが、はぐらかしてる訳でもなく、そのままだったってのは理解したわ。まあ権能どうこう言ってる様なレベルだと、私が関係する事はなさそうだし、分からなくても困らないだろうけどね~」
「そうでも無いですよ?元々レベルと言うか霊格が上がると言うのは、〝権能〟に関する能力が向上しているとも言えますからね。レベルに応じて出来る事が増えるってのも、その能力の範囲や質の段階が上がった事で、出来る事が増える様なものですし」
まあ〝権能〟と言われてもピンとこないかもしれないけど、ものとしては〝スキル〟が次の段階へ至ったものと考えるのがわかりやすいだろうか。
そもそもこの世界において【アギ】等のスキルと言うのは、名称を唱えたり思い浮かべる程度の一工程か、または自動で発動し続けられる程に馴染んだマグネタイト制御技術の事であり、ある意味テンプレートや総称とでも呼ぶ物。
そのため、例えば【アギ】だと、マグネタイトを用いた〝火炎属性単体対象で、術者の魔力により威力が変化する小規模術式〟の総称となり、該当する範囲のものであれば、鬼火や狐火にファイアボール、果ては精霊の火でも地獄の炎でも分類上は【アギ】となる。
術者がマグネタイト制御技術に習熟し、ほぼ無意識でもテンプレート化された術や技の発動、或いは術式の変更などをさほど意識しなくても、テンプレートからカスタマイズしながら発動可能な段階が、〝スキル〟として習得した段階になり、この〝スキル〟発動による結果が概念的な影響を及ぼす程になり、それに習熟した先が〝権能〟と言った感じになる。
ちなみに、この概念的な影響については、術や技として行使されるよりも、異界のギミックとして存在する場合の方が馴染み深いことから、〝概念現象〟と呼称される事もある訳だけど、つまりは〝この異界内では、水は燃える〟の様な、影響範囲においての法則自体を変化させるレベルの力の事。
そして〝権能〟とは、所謂〝光あれと神が言ったから世界に光が満ちた〟レベルの概念現象を押しつけるもので、術者の影響下にある世界を定義する力とも言える。
「――とまあ色々言葉を重ねましたけど、言ってしまえば耐性を貫通して〝剣で首を落としたから相手は死ぬ〟を押し通す様なレベルの話ですね。ガイア連合基準でレベル50前後あれば権能の一つや二つ扱える段階ですし、千代さんもレベル上げてればその内使う様になりますよ」
「いや、そんな軽い話なの?それ……」
「黒札にとってはレベル上げる気があれば確実に届く範囲だし、軽い話なのは間違い無いと思うわね。まあそこまで行かなくても、相性が良ければ最初から多少は使える事もあるし、30超えたら可能性もぐっと上がるからねぇ」
「そう言えば、瑞樹がトリコ食材とか創れてるのも権能系スキルだっけ、何か結構前から使ってるってのは聞いたけど」
「ガイア連合の名称が決まった頃ですから、六年は前ですね。確かレベル15は超えてましたけど20には届いて無かったかと、思えばあの時*5思い付きで大根を改変させたのが切っ掛けで、【植物改変】スキルに目覚めたんですよね。一発ネタを閃いたぐらいの感覚でしたけど」
「一発ネタから流れに流れて、今や虹の実か~。そういや元ネタだと虹の実ワインとかあったけど、加工品って作ってたりするの?」
「とりあえずワインは最初に醸造してみましたね。元ネタと同じようにアルコール度数80ありますけど、それでもなお甘味の強いフルーツワインですよ。飲みます?」
話の流れで持ち出してみたら全員が手を上げたので、度数の高さもあることからオン・ザ・ロックで提供する。
「うわぁ、甘くて美味しいのに、度数高いのが分かるから一気に飲めないのがもどかしい……」
「虹の実をそのまま食べた時とは温度変化も違うから、味わいも変わって面白いですね」
「おおぉ~、一口で酔い潰れそう。でも甘くて美味しい!何か、酔ってるのがわかるのに、まともな思考が残ってるのも変な感じ……」
「コレもいろんな意味で危険なお酒ねぇ。マッカやガイアポイントで買うとしたら、いくらぐらいになるかしら」
「最近は一マッカで一万円ぐらいでしたっけ?物が物ですし、底値でも五万マッカは付けないと怒られそうですね。まあ今回のは試作品って事でお土産にしましょうか、他にもジャムやドライフルーツとか日持ちするタイプのを作ってみたのがありますし。後、琴音は神酒だから大丈夫ですけど、普通のお酒を同じ様に飲んだら駄目ですからね?」
と言う事で、お土産に渡す物の話が終わり、今日のところは虹の実関連の追加は控え、持ち寄った市販のお菓子も加えて話は別の話題へと移っていく。
まあ話題自体は尽きないものの、酒の席と言う事もあってか出てくる話の七割五分ほどは愚痴な辺り、それぞれ色々と溜め込んでるのが良く分かる話。
特に最近は、海外でメシア教が原因の紛争も広がっている事もあって物価が上昇していたり、密入国者や観光客を装った反社会勢力によるオカルト事件が増えていたりして、いやいやながらもメシア教と合同で対策するなりの現状が見えてくるもので。
「やっぱり国外と繋がった反社会勢力って多いんですね」
「まともなところはきっちり筋を通す任侠って感じで、名家とも繋がりあったりして話も通せるけどね。正直表だって繋がって無いだけで、お金の流れとかでメシア系の企業に繋がってるマフィアとか、そこと取引してるヤクザとか私でもいくつか見かけたことあるぐらいよ」
「東京近郊だと昔ながらの組織ってのが余り残っていない分、反社会勢力や半グレに組織犯罪と、いくらでも湧いて出てきますからねぇ。日課の散歩序でに見つけたのは潰してますが」
「へぇ、態々そんな事までやってるのね。オカルト関係なら兎も角、普通の犯罪関係とかって面倒じゃ無い?」
「そこは警察関係に居る黒札通して証拠含めて送りつけてるだけですし、東京近郊の治安が悪化するとメメントスやタルタロスにも影響出ますから、ある意味支部長の仕事の延長みたいな感じですよ。散歩の序で以上に探し回ったりはしていませんし」
「それは本当に支部長の仕事なの……?」
「そんな分けないです。と言いたいところですけど、ダークサマナーの対応していれば必然的に後ろ暗い話になりますから、概ね何処の支部長でも大なり小なり、地元の犯罪摘発に助力する形になってますね」
「マジで?」
「嫌なことにねぇ。私だって地方依頼行った時にオカルト使った犯罪が絡んでて、その地方のヤクザ潰す手伝いするはめになった事あるし」
普通に表で学生もしている琴音と綴は基本的に関わらない事だけど、地方回りも良くする千代さんや事務方でそう言った情報が集まるちひろさんは言うまでもなく、美波さんも犯罪の温床になりやすい風俗関連で対応する事もある様で、悪魔娼館を作った事で多少マシにはなったそうだけど、未だにヤクザや名家()にダークサマナー系犯罪組織が裏に居て、契約やら子供やらで問題になることがあるらしい。
「まあ今日のところは、その辺の愚痴を適当に発散しつつ飲みましょう。お酒も肴もお菓子もまだまだ用意してますから」
『おー!』
その後はしばらくしてから場所を家の方へ移し、結局日が落ちるまで飲み会が続くことになったわけだけど、主にちひろさんのストレスはだいぶ解消出来たみたいで、飲み会を開いた甲斐もあったと言ったところ。
他の事務方や合同計画に参加したガイア連合員にも、有志でカンパして差し入れした酒や食材が好評だったみたいだし、縁の下を支えてくれる人達に感謝をと言うところで、虹の実とか新しく創った食材で仕事が増える事には目を瞑って貰えないですかね?
25mプール程の水量に果汁を1滴たらすだけでも全てが芳醇なジュースに変わるほどの高い果汁濃度が有り、蒸発した果汁は空気中に虹を作るほど。
果汁濃度の高さを活かし、高エネルギー食材として生み出された。また、その香りは食欲を強く刺激するため、取り扱いには注意が必要となる。
今話で描写した〝スキル〟〝概念現象〟〝権能〟関連については、拙作での設定となります。