【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
タルタロス二百階、参考情報のP3では特に何かしらあったりしない階層なのだが、現実となったこの世界では、切りの良い数字と言う事に意味でも持たされているのか、ある意味特大の障壁が設置されていた事を知ったのは、四月に入ってからのこと。
その日もいつも通りに影時間に突入し、前日に探索した階層から溢れ出すシャドウをなぎ倒して進み、そろそろ影時間も半分を過ぎようかと言う頃に踏破階層が二百へ到達し、今までの流れから次ぎに大型シャドウが出現する二百一階まで到達出来るだろうか、などと会話を交わしながら階段を上っていった先は、他の階層とは明らかに異なる大広間になっていて、一歩踏み込んだ時点から
「すんごく嫌な予感がするんだけど?」
「タルタロスでこの音がしていれば嫌な予感もするでしょう。どの道確認はしないといけないですし、残り時間はまだ半分近くあります。撤退も視野に入れつつ出来る限り調査、可能なら討伐って所でしょう」
「鎖の音と言う事は、以前から可能性ってことで話してたシャドウですか?とりあえず転移ポイントを設置しておきます」
撤退した場合に備えての準備や消耗具合の確認も終わり、各種補助を掛けてから少し急ぎ目に大広間を進んで行くと、予想通りだけど当たって欲しくなかった存在が待ち構えていた。
「この音してたら、やっぱりコイツが居るよね。〝刈り取る者〟!」
「まずは解析ですね。各自回避重視で、湯乃葉はカーン系を剥がされたら張り直しお願いします。【アナライズ】!」
現れたのはぼろきれの様なコートを着込んだ両足の無い人型で、顔は布で覆われていて目だけがギラリと光を放ち、両手にハンドキャノンのようなサイズの銃を持つシャドウ、解析して直ぐに見えてきた情報は【死神 刈り取る者Lv99】という殆ど予想通りの内容。
しかし簡単に見えたのはそこまでであり、見せ札的な情報の先は刈り取る者の霊格に阻まれる。
「……やはり【刈り取る者】、と言うかこのレベルの
まあ阻まれたとは言え、レベル70を超える大型シャドウやレベル50以上の悪魔でも時折起こる状況で、対象の保有する権能が影響して通常のスキルでは見通せない程度の話。
私の【アナライズ】自体は権能に昇華出来る気配もないけど、そこは【天耳通】や【他心通】に【宿命通】を合わせれば、〝解析〟と言う行動を概念域に引き上げる事が可能な上、私の霊的起源が影響したのか【三昧常*1】が概念的影響を及ぼせるようになった事で、マグネタイトを扱う技術全てに軽くでも権能を乗せられるため、ちょっと手間取りはするものの調べる事自体は出来るのが幸いなところ。
そうして解析している間にも、【刈り取る者】からの初手【コンセントレイト】からの【メギドラオン】と言う熱烈歓迎を受け、最初からクライマックスと言わんばかりの戦場と化している。
「あー、コレやっぱりマカラ張った関係かな?でも張ってなかったら、ガードキル系とか弱点属性全体とかしてくるんだよね」
「まず間違い無くするでしょうね。それ系のスキル見えましたし」
「お、解析終わった?」
「ええ、なので『全体通達、対象は刈り取る者レベル99、弱点無しの破魔呪殺無効、状態異常も完全無効ですので、基本真っ向勝負になります。各属性のダインレベルを単体全体で使用可能な上、各属性のガードキルで耐性を消されるため、万能属性は仕方ないとして、物理魔法反射を維持しつつ削り切る方針で行きます』」
強敵との戦闘と言うことで、後衛かつ情報解析役として軽く作戦指揮を執る訳だけど、正直なところ軍神や戦神などの適性は無いため、念話を使っての情報共有と基本方針を出す程度。
後は後衛魔法職として削りつつ、近接組が全力で動ける様フォローするのが強敵相手のいつものパターン。
今回もそう言うわけで、【三昧常】や【天耳通】などで概念現象化させ、【五行循環】を昇華させた【廻る七曜*2】で威力を増幅した〝森羅律奏*3〟の旋律を奏で、こちらに有利な戦場へと塗り替えていく。
「うわっ、クリティカル入ってるっぽいのに、殆ど隙が出来ないの勘弁して欲しいんだけど【真理の雷】!って、やっぱり麻痺しないか」
「コンマ単位でも動きが鈍るならマシというものだろう、【硬気功】【覚悟の挑発】【会心波】!」
「【軽気功】【硬気功】【物理ブースタ】【チャージ】……そこっ【雲耀の太刀*4】!手応えはありますけど、効いている感じは余りしませんね」
「ですが、大きな隙を作る事が出来ているであります。連携の起点と考えるべきでありましょう【精密射撃】【急所撃ち】【ワンショットキル*5】」
「デバフの通りが悪いと私が出来る事余りないわねぇ。まあカーンの張り直しと補助に回復が居る時まで待機と思っておこうかしら」
効果対象人数を増やした〝時繋ぎの腕輪〟で、【龍の眼光】や【獣の眼光】の行動増加を共有している事もあり、【刈り取る者】が一回スキルを発動する間に、一回か二回動けるぐらいの速度差もあって拮抗できていると言ったところだろうか。
【テトラカーン】や【マカラカーン】により、一定時間物理と魔法を反射状態にしているおかげで、弱点を突く様な一発で瓦解しかねない状況は発生しないものの、メギド系や【至高の魔弾】と言った万能属性攻撃を連打され、更にはドレイン系で回復される中、回復される以上に攻撃を重ねていく、削り合いの耐久戦が繰り広げられる。
どうやらコレまでの大型シャドウより大幅に体力があるのは間違い無い様で、更には物理防御や魔法防御もレベル相応に高く、【ランダマイザ】で可能な限り下げ、【ラスタキャンディ】で上限まで強化してようやく、見て取れるぐらいの消耗を強いることが出来ると言う辺り、伊達に【
そんなジリジリとした攻防が続いてどれだけ経ったのか、加速した認識時間の中での戦闘が続けば相応に相手の動きにも慣れるもので、多用してくる様になったドレイン系の攻撃を回避しつつの連携も決まる様になり、次第に削る速度が上がってくる。
「こっちで補助掛け直すのでテトラとマカラは湯乃葉に頼みます!【ラスタキャンディ】【メディアマイ*6】」
「わかったわ【テトラカーン】【マカラカーン】、一撃ぐらいは入れられそうね【ジオダイン】!」
「念のため試して見たけど、【真理の雷】も【ニブルヘイム】も効果無しとか、ホントに勘弁して欲しいんだけど!【ヨシツネ】に変更して、【軽気功】【硬気功】に【物理ブースタ】【物理ハイブースタ】【浸透勁】乗せて、【チャージ】からの【八艘跳び】!」
【刈り取る者】のパターンに慣れてきたからか、琴音が現状単体相手に最大火力を出せる攻撃にシフトし、反撃も回避も許さない八連撃を叩き込んで一気にDPSを加速させる。
「状態異常完全無効が無ければ、気絶させられる可能性もあってもっと楽だったんですけどね。【ランダマイザ】かけ直しで弱体延長っと、そろそろ次の全体が来そうですね、相殺余波に気を付けて下さい……【メギドラオン】!」
「術後を狙います!【物理ブースタ】【チャージ】【雲耀の太刀】」
「連携なら位置はココが良さそうだな〝剛波一閃*7〟!」
「おっけ、それじゃもういっちょパッシブや【チャージ】とかの補助乗せて、【八艘跳び】!」
「大技後のフォローは、私の仕事でありますな【精密射撃】【急所撃ち】【チャージ】【ワンショットキル】」
行動パターン含めた情報の蓄積から【刈り取る者】が発動する【メギドラオン】に同じ魔法をぶつけて被害を軽減させ、その直後に飛び込んだ綴を起点に、近接組の連携が刺さり大きく体力を削り取る。
感じる力的に後三割と言ったところだろうか、何だかんだ戦闘時間も長引いているが、ようやく終わりが見えてきたところで、不意に【刈り取る者】から感じる気配に一段と不穏な感覚が混じる。
「――!瑞樹っ」
「『湯乃葉テトラジャを!』【マカラブレイク】!」
「いきなりね!【テトラジャ】!」
「【死の魔弾*8】」
いち早く直感した琴音の警告に合わせ、効果が残っていた魔法反射を【マカラブレイク】で解除し、即死効果を一度だけ無効にする【テトラジャ】を発動させた直後、悍ましいほどの死の気配が解き放たれる。
【刈り取る者】が構えた二丁の銃口から重なり合う様に響いた六つの銃声と、加速された認識時間の中でもなお捉えきれず、弾道を空間に焼き付けた様な漆黒の軌跡が、被弾の事実を撃ち付ける。
魂を直接撃ち砕こうとする
「っ【メディアラハン】!」
「マカラは無し!回復お願い!被弾は無視で削り切るよ!」
魂にまで罅が入る様な死の概念痛を飲み込んで、権能を乗せた全体回復が効果を発揮するまでの時間を、奏で続けている〝森羅律奏〟による牽制で稼いでいると、どうやら回復が間に合った様で、復帰した琴音の号令により最終局面へ突入する。
【死の魔弾】が放たれて以降の攻撃は、全て耐性貫通の即死効果付きと言う地獄のような状況が展開され、最低限【ラスタキャンディ】と【ランダマイザ】に【テトラジャ】を切らさない様に維持しつつ、万一の保険として【メディアマイ】で継続回復しながら【メディアラハン】を連打して戦線を維持する事になる。
ゲームなら発狂モードとでも言いたくなる有様だけど、どうやら〝死神の権能〟を扱うのは【刈り取る者】でも負担になる様で、最初から使わない理由がわかるぐらいには、一撃毎に傍目で感じ取れる程の体力を消費しており、即死以外なら問題無いとばかりに、猛攻を加える前線組の活躍も有り、何とか戦線が破綻する前に【刈り取る者】を刈り取ることに成功する。
「お、終わり、ましたか……?」
「フォルマもドロップしてるし、無事討伐完了だね。あ゛~疲れた……」
「時間的にも気力的にもこれ以上の探索は無理ですけど、念のため【サマリカーム】掛けて魂の修復もしておきましょう。死の概念を何度も浴びる事になった訳ですからね」
「私とアイギスは影時間終了したら技術部でメンテナンスした方が良いだろうな」
「同意するであります」
「私も流石に、しばらくゆっくりしたい気分ね~」
こうして唐突に始まることになった死闘は幕を閉じ、またいつもの日常へと戻っていく。
とりあえず【刈り取る者】戦を乗り越えた事による変化としては、私も含めて強烈な死の概念を体感し乗り越えた事で、生と死に関わる一部スキルが概念域へ到達したり、経験相応にレベルが上昇したり、綴に至っては霊的資質の器自体が大きく広がる結果となったけど、一番大きな変化としては、琴音に埋め込まれていた鍵が戦闘の余波で完全に砕かれ、琴音の力の一部になった事と、【死神 タナトス】のペルソナを合体可能になった事だろうか。
まあ結果的にではあってもニャルの力を取り込んだと言う事から、ショタおじの検査が終わるまで星霊神社へ軟禁状態になった訳だけども。
「状況が状況だけに修行場異界にも行けないのはわかるけどさぁ……」
「その分書庫迷宮や鍛練場での修練に費やせると思えば良いんじゃないですか?まあ実践派の琴音にとっては窮屈なのはわかりますけどね。と言う訳で、明日には検査も終わるみたいですし、気分転換と前祝いも兼ねて新作持ってきましたよ」
「おお!……って、キノコ?」
「〝クリーム松茸*9〟と〝サーロインキノコ*10〟に〝ジューシイタケ*11〟ですね。【生物改変】が出来る様になってからずっと研究してましたけど、直ぐに毒性変異するもので、最近ようやくその辺の情報蓄積が出来てきて、目当てのキノコを創り出せる様になった感じですね」
今回手土産に持ってきたのは三種類のキノコな訳だけど、地味に創るのが難しかった種類だったりする。
と言うのも、菌類自体が相当な数存在する上に、ちょっとしたことで変異するため、目的の性質を持たせたりキノコとしての構造を成立させるまでに、結構な基礎研究を重ねる事になったと言う話。
その地道な積み重ねのおかげもあって、変異の方向性や菌糸の成長などの制御が可能になった訳で、大変さの方向は異なるけど、虹の実と同程度には苦労した成果とも言える。
「なるほどそれで七輪と炭か、でまあ炭火焼きで屋外なのはわかるけど、集合場所が食堂棟で医療班とか含めて結構な数居るのはどゆこと?」
「菌類の再現食材、この場合は菌類を魔改造した結果の産物、と言った方が適切ですけど、高レベルならどうとでもなりますが、未覚醒含めて何処まで大丈夫なのか、と言った影響範囲を調べる必要があるからですね」
「ま、それにかこつけて、いち早く新作を食べてみたい奴も集まってるってこったな。とりあえず調査含めて調理する分貰ってくぞ」
「今回はジャンニキも参加ですか、食材はそっちの袋に分けて入れてますから持って行って下さい」
「ああ、るるネキ*12とかの修羅勢が居た理由はそれか~。新しいトリコ食材を使ったジャンニキの新作料理ならワンチャン狙ってくるのもわかるかな」
「さて、調査の方はテスターの依頼も含めて手順通り進むでしょうし、こっちは気にせず焼いていきましょうか」
炭に火を付けて、まずはクリーム松茸を一本そのまま網の上に載せ、火が通るのを待つことしばし、軽く焼き目が付いてきたところで二つに切り分け醤油を振りかけると、食欲をそそる暴力的な香りが立ち上る。
頂きますと唱和して一口囓れば、焦がし醤油と松茸特有の香りに、クリームの様に滑らかで濃厚な旨味が口一杯に広がっていく。
「ん~、この今まで味わったことない味覚の衝撃がたまらないね!」
「一応生食も可能なので刺身をわさび醤油ってのも良いですよ。次のサーロインキノコは流石に生だと脂が強いので、焼いた方が良いですけどね」
「まあキノコって基本的に火を通すイメージだしねぇ。っと、食わず嫌いもアレだから食べてみたけど、キノコの刺身も以外といけるもんだね」
「ものに寄りますから、食用可能ならどれでもとは行きませんけどね。おや、エドニキとアルニキも休憩ですか?」
「おう、昼飯時だからな。今日新作の調査するって話はみてたし、食えるなら食ってみたいってのは俺らなら思うだろ。後序でに、
「こんにちは探求ネキ、ハム子ネキ。相席お願いして良いかな?一応ジャンニキからそれなりの量買ってきてるよ」
「おおっジャンニキの作った炒飯とスープ?良いね!」
「相席は大丈夫ですよ。こっちの炭火焼きした奴も序でにどうぞ」
二人が持ってきたジャンニキの料理も相伴にあずかりつつ、焼き上がったサーロインキノコをお裾分けしたり、ジューシイタケやクリーム松茸をもう一度焼いたりしていく。
ジャンニキの料理は流石の出来栄えで、炒飯はクリーム松茸が主張しすぎない程度に存在感を示し、ジューシイタケから取った出汁と醤油を仕上げに使ったのか、米と卵と具材が絶妙に混ざり合い味と香りの一体感を引き上げている。
スープの方はあえてサーロインキノコを使ったのか、長時間煮込んだテールスープの様に、サーロインキノコの旨味とコラーゲンもたっぷりとスープに溶け出しており、出汁を取った後のジューシイタケのコリコリ感と、煮込んだ事でほろほろとした食感に変わったサーロインキノコの対比が楽しい一品となっていた。
「それぞれ単品でも美味しいのに、どっちもジューシイタケ使ってるからか、交互に食べると更に味のコラボレーションが広がる!何時までも食べちゃいそうで怖いぐらい、流石ジャンニキ……」
「いや~勝てる気なんてさらさら無かったですけど、これあえて権能にギリギリ届かない、技術の極致と言えるレベルで留めてますよねぇ。料理の権能を使ってるから美味しい、何て言わせないと言った拘りを感じますね」
「だなぁ。まあジャンニキなら、必要なら権能でも何でも使って美味い料理作るだろうがな」
「そこは今回新食材の調査って名目もあるからじゃないかな。僕ら的には美味しい料理が食べられるなら、何でも良い話と言えばそうだけどね」
食事も粗方済んで話題も一区切りしたところで、もう一つの目的と言っていたエドニキが個人研究している、
エドニキが取り出したタブレットに表示された資料によると、結晶筋肉作成時に金属系統を中心に配合して試していた様で、ガイア連合山梨支部へ合流する前に義手義足となっていて、新しく生やすのが難しい黒札用の機械鎧として実践テストもしていた様子。
「とりあえず形になるだけはなったが、やっぱりネックは重量だな。覚醒でもしてりゃ何とかなるが、それでも物理系のステはそれなりに欲しくなる。俺らなら兎も角、現地民だとレベルも心許ねぇから一般販売って訳にもいかねぇしな……」
「重量と言う事なら、結晶仙人掌に霊木合わせて結晶筋肉にしてみるのはどうです?機械鎧のサイズなら強度的にもそこまで問題にならないと思いますが、ちなみに強度はこんな感じで、合成樹脂や化学繊維系だとこんな感じでしたね」
「ふむ、こんだけあるなら相性考えると悪くないか、合成系素材は純粋物理強度は兎も角、マグネタイトの通りが悪いってなると、未覚醒や一般販売向きってとこか。にしても機械鎧だと、どうしても金属なイメージになるのはいけねぇな。代わりに強度はそれなりのもんが出来た訳だが」
「確かに、この配合は重量の割りに強度と伸縮力のバランスが良いですね。義手や義足に使うとなると、無視しづらい程度の重さになるのがネックなのはそうですけど」
「それって瑞樹がちまちま作ってるロボに使えそうな感じ?」
「超機人の設定を元にオリジナル機体を作るって話だっけ、ロボ部の掲示板も一時期活発になってたね。予算不足で沈静化したけど」
「エドニキの試作データを合わせれば一応の形にはなりそうですかね?ちょっとデータ作って、リアルACのサーバでシミュレートしてみてからですけど」
アルニキの話に出てきたロボ部*13は、私が科学技術関連で色々お世話になってるシラカワニキ*14も参加している、名前通りにロボット好きが集まったサークル。
その中でも特に、趣味やら浪漫やらで巨大ロボを作りたい、或いは操縦したいと言う連中もそれなりに居る訳だけど、そこは物が10メートル前後から50メートル級、またはそれ以上の代物になる場合もあるだけあって、技術的にも予算的にも早々手を出せず、掲示板に屯していたり、ブーストニキのリアルACでロボ欲を解消してたりするのが日常だったりする人達のこと。
ただまあそれだけに、リアルACのサーバで行われているシミュレートは結構有用なデータが取れたりする辺り、趣味人というのは何時の時代どの分野でも侮れない話で、私がロボットを設計する際のデータにも、大いに役立ってくれていたりする。
まあ巨大ロボットを建造する予定と言っても、私の場合は装甲に〝装符〟こと装甲護符が使える上に、応用で骨格や結晶筋肉を構築可能なため、動力炉と制御装置各種に機体動作用の潤滑液以外は、装符用の素材と各パーツの構成情報が揃えば製造可能で、自分で素材を集める分を差し引いても、建造費用はかなり抑えられる見込みだったりするけど。
「そういやどんな機体作るつもりなんだ?設定だけは超機人を元にするってのは知ってるが」
「一応50メートル級の機体で、基本は術式の増幅と拡大、後は私の戦闘スタイルを補助拡張する機能辺りですかね。火器類は今のところ用意する予定が無いので、ロボ部には微妙な顔をされそうですけど」
「ああ、〝巨大である事〟が必要だから、巨大ロボットを作るって事か。SF的な反応弾とかの超兵器でも有るなら別だけど、想定が月サイズなら下手に火器類を作るより、術式の方が費用も抑えられて効率良さそうだよね」
「大きいことに意味?概念的な事だったりする感じ?」
「概念方面も含む話だな、仮にピクシーとダイダラボッチの〝力〟ステータスが同じだったとして、ダイダラボッチと同じ様にピクシーが持てるかってーとそうはならんだろ?その〝力〟を行使する側のスケールってのも影響する訳だ*15。つーこって、デカい奴にはデカいのをぶつけるって事だな」
「とは言え、現実的には巨大ロボットを使う必要があったり、その方が効率の良い場面なんて殆ど無いんですけどね。ロボットに乗って操縦したいってだけなら、リアルACの
「なるほどねぇ。ま、費用掛けて作ったとしても、置き場所も使う場所も無いんじゃ、確かに趣味の範疇だよね。楽しそうだし浪漫も感じるけどさ」
そうして追加でデザートも食べながら機械鎧や結晶筋肉、ロボについて以外にもいくつか話題を転々としたところで、デザートも食べ終わったエドニキ達が技術部へと戻り、琴音も今日の検査へ向かう時間になった事で別れた後は、拠点に戻ってエドニキから貰ったデータと合わせたロボの設計を進めていく。
趣味も兼ねた研究の後は、影時間になるまでの少しの間、普段は分身式神に任せている我が子、瑞琴の世話を本体で行う触れ合いの時間。
生まれの事も有ってなのか、産声を上げた直後には既に覚醒していた事も有り、どうやら本体と分身式神の違いを感覚的に理解している様で、分身式神の時も元気な様子を見せてくれるけれど、本体で触れ合う時の方がより楽しそうな笑顔を見せてくれる事も有って、少しでも本体で触れ合う時間を作る様にしていたりする。
まあそんな個人的な日常が終われば、いつもの様にタルタロスでシャドウの間引きを行う日常業務を熟し、就寝前の日課である分身式神の更新作業になる訳だけど。
「ぬぅ……。コレは、自衛官ニキのやらかしと言うしかなさそうですかねぇ」
思わずこぼれた呟きは、事務方に送り出している式神から還元された情報によるもので、それはガイア連合山梨支部全体に、善悪問わず影響を及ぼしそうな事態、自衛隊の五島陸将からのアポイントを求める連絡だった。
瞑想による集中と同時に観の目の様に広く見渡す相反する状態を常とするもので有り、修練が進む毎に知と精神に応じて効果も上昇する。独自設定スキル
一つ前に発動した属性の相生関係に在る属性に対して習得している全ての属性系自動発動スキルの効果が適用される。
二段階目:五行を循環した時点で付与された弱点が無くなり、破魔と呪殺に対して習得している全ての属性系自動発動スキルの効果が適用される。
最終段階:七曜全ての発動が行われた場合、以降の全魔法に対して習得している全ての属性系自動発動スキルの効果が適用される。
ヤブサメショットの習得に合わせて魔弾の旋律を元に改良し、陰陽五行の属性を乗せたヤブサメショットを順に放つ事を可能にした演奏儀式魔法。
知覚する敵に向けて放つ部分以外を演奏による動作で実行する仕組みを引き継いでおり、演奏中も霊力操作により魔法弾を留める事が出来るため、無駄打ちを減らして消費を抑える事も可能となっている。
また、この術を使いながら他の魔法を発動することが可能な仕組みも引き継いでいる。
概念域まで高まった斬属性の衝撃波。命中率が多少落ちる代わりに、当たれば概念的な会心の一撃となる。
そのまま食べても美味しいが、軽く焼いて醤油などをかけて食べると香ばしさが増して味わい深くなる。
程良い脂がのっていて、軽く熱を通すとより風味が増すため、網焼きなどにも良い。