【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
オフ会の初日も終わり、参加者を迎えに行ったりの手間も無くなった事で神主にも余裕が出来たようで、二日目は朝から覚醒組にも座学をしてくれる事になった。
「さて、座学と言ったけど内容的には範囲が広いからね。とりあえず聞きたいこととかある?」
まあ始めた直後からこっちに主導権をぶん投げてきたもんだから、どうしたモノかと霊視ニキやカヲルニキに視線を向けてしまった私は悪くないはず。
二人もそれぞれと私の間で視線を彷徨わせてたし。
「じゃあ今回も俺から意見を出すか、掲示板でも書いたが霊視以外の異能を使える様になる可能性ってどれぐらいあるんだ?昨日一日戦闘訓練してもらって多少動きが良くはなったが、メガテン的な物理系スキルの習得も出来なかったわけだが」
そんでまあカヲルニキは特に意見もなさそうな気配を出してたし、私は昨日一日書庫で本を読んでたことで知識欲も少し落ち着いてるのもあって、霊視ニキに質問権を渡したところ、やっぱり切実な面があるのか何度か掲示板に書き込んでいた様に、習得出来る異能についてを尋ねることにしたみたい。
「おけおけ、なら異能に関する基本的なところからいこうか。そもそも他の参加者が行っている〝覚醒〟っては、〝霊的素質〟を目覚めさせるための修行なんだよね。そして〝人間の霊的素質〟ってのは個人個人でバラバラなんだ。例えば炎系が得意だけど他は殆ど使えないとか、大体は使えるけど一つの属性だけは全く使えないとかね」
「人間のって態々入れるってことは、メガテン系列的に同じ名前の悪魔は基本的に同じ能力みたいな感じです?」
「メガテン的に言うならシリーズ毎にレベルとか細かい違いがあるみたいに、種類や名称が同じなら能力の系統は大体同じだけど、地域の伝承とか他の悪魔と混同されると多少変わる事もあるって感じかな。でまあ人間って括りなのに、霊的素質の個体差がある理由って何かを考えて立てた仮説なんだけどね、ぶっちゃけ僕ら人間は大なり小なり〝祖先の悪魔の欠片と人という肉の器〟の混ざり物なんじゃないかと思うんだ」
「つまり霊視ニキは〝霊視〟系統の能力が高い悪魔の力を受け継いでいるから、覚醒時に適性の高い霊視能力を獲得したってことかな?」
「基本的にはその解釈で良いと僕も思うよ」
「まて、基本的にって事は何か別の要因があったりするのか?!」
「別の要因というか、覚醒する時の状況によっては霊的素質が変化したり歪んだりする可能性はあるよ。所謂成人の儀式とかで目的の異能に覚醒し易くするのはいろんな部族でやってることだし、日本でも昔の風習には一部そう言う類いのがあるしね」
「ぬぅ……神主、俺の祖先に当たる悪魔に見当が付けば、そこから習得出来そうな能力が分かるという事か?」
「それも間違いではないってぐらいかな?霊的素質から習得する能力ってのは、記憶をなくした剣豪が剣を握った瞬間、剣の振り方を思い出すみたいな感じだけど、剣を振れる身体能力があれば少しの練習で別の武器の扱い方も覚えられるし、そうした技術としての習得も可能だね。後は霊的素質と関係ない技術でも確りと練習したら覚えられるものもあるよ、絶望的に噛み合わない技術もあったりするから絶対とは言えないけどね」
「あ、神主質問。さっき祖先の悪魔って言ってたけど、複数の神話とかで同一の存在として混同されてたり習合させられてる悪魔が祖先だった場合って、神話毎の微妙な差異も含めて適性を受け継いでたりするの?」
「うーん……、それに関してはどちらとも言えないかな。僕が言ったのもあくまで仮説だし、ただ可能性が無いわけではないとは思うよ。神話や伝承が変化することで悪魔の能力が変化するのはさっき言った通りだし、悪魔側が人間の信仰によるMAGの奪い合いとして同一存在みたいに見せる事もあるからね」
「じゃあ次は僕が――」
と、そんな感じで座学というか、神主に疑問を投げて解説して貰うみたいな講義を午前中行って貰ったら、昼食を挟んで午後からはそれぞれに別れて修行するとの流れで修行期間はあっという間に過ぎていき、残り日数もあと二日となった頃、ついに最初の覚醒者が現れる。
「覚醒できたのは嬉しいんだけど、覚えたスキルが【マリンカリン】ってどういうことなの?」
「まずはおめでとう美波さん、何か以前にも増して色気が凄いけど……」
覚醒できたって事で修行体験組から移動してきた美波さんだけど、何というか覚醒スキルが魅了付与の状態異常魔法というのも納得な色気を放つ様になっていた。
「つーか美波ネキの変化が大きすぎて、俺らの存在ごとかすんでねぇか?」
「まあボクらは美波ネキに当てられて連鎖したようなものだしね」
そして、そんな美波さんの後ろでぼやいてるのは某鋼なエドニキと某絡繰りなフェイスレスニキ、どちらも見た目が似ているだけではあるけど、それぞれ覚醒したスキルは【魔法道具作成*1】と【霊薬作成*2】だそうで、微妙に錬金術師っぽさの有るスキルである。
「何はともあれ、初めての試みだったけど無事に覚醒者が出たのは良かった良かった。ぶっちゃけ今回の緩い内容じゃ一人もでないんじゃないかって思ってたぐらいだし」
「いや、何言ってんだこのショタおじ」
「普通覚醒修行っていったら最低数ヶ月から基本年単位のだからね?だから今回は修行体験って名目なんだし、というかショタおじって何」
「見た目ショタなのに実年齢も言動もおっさんだから、くっつけてショタおじだね。それで一応の成功例が出てきたのと、残り日数も少なくなってきたわけだけど、今後の予定って決まってるのかい?」
覚醒者が出たからという事で個別に動いていた覚醒組も集合したわけだけど、唐突にぶっちゃけた神主に霊視ニキがツッコミを入れて、至極当然な神主の疑問をカヲルニキが切り捨てて話を促す気安さに、思わず噴き出しそうになる。
「いやまあどう呼ばれようが良いけどさ……。それで、これからの予定だっけ?ギルニキと話して今後も覚醒修行については続けていくのは決定として、民間の霊能組織を立ち上げないかとの提案はされたね」
「仕事して生活費稼げるなら私は賛成。と言うか、それがなくても住み込みで働かせて貰えないか相談するつもりだったけど」
「瑞樹ちゃんはそうよね。私も今年大学卒業でギルニキの所に転がり込むか大学院目指すか悩んでた程度だから、立ち上げするなら参加するわよ?」
「民間霊能組織を作るってんなら喜んで参加するけどよ、そもそもそんな簡単に作っていいもんなのか?」
「エドニキの疑問はもっともだけど、そこに関しては特に問題無いかな。別に霊能組織として活動すること事態に許可が必要なものでもないし、オカルト関係だからそもそも表立っては当たり障りのない企業を隠れ蓑にすることになるし」
「俺も喜んで参加させて貰うが、ここで修行したり実践の場が用意できたりするなら言うこともないんだが、その辺はどうだ?」
「修行に関しては構わないけど、覚醒修行の人員も考えると泊まる場所とかが問題になるかな。実践の場については……僕がと言うか星霊神社で管理している異界があるから、そこを修行場として使える様に整備してみるよ。使える様になるまでちょっと時間掛かるだろうから、その間は周辺の霊障関係依頼を集めて割り振る感じになるかな?まあ依頼の精査だとかにも時間が掛かるだろうから、ある程度実力が付くまで修行したら依頼の難易度を調べる序でに実践ってところが現実的だろうね」
「僕も参加はさせて貰うけど、相談した内容も考えると日本各地を回っての調査員ってところになるかな」
「ボクももちろん喜んで参加させて貰うよ。【霊薬作成】スキルに覚醒したとは言っても作り方が分かるだけで、素材がないと作りようがないしねぇ。素材の収集とかは頼んでも良いんだろう?」
「お、それについては俺もだな、生産系は素材あってなんぼだ」
「薬草関連は幾つか畑で育ててるから世話の仕方も含めて教えようか、他の素材については普通の素材から作る技術磨いてからになるかな?フォルマとかマッカを扱うには基本的な技術を身につけてからだし、その頃には修行場の異界整備も終わってるだろうから、素材回収兼ねて実戦ってところが良いだろうね」
それぞれちょいちょい要望なりは出たけど、組織立ち上げと参加に反対する者はおらず、私達の様子を確認した神主――ショタおじの方が〝俺ら〟っぽいし内心はこっちで行くかな、兎も角ショタおじも考えがまとまったようだ。
「それじゃ反対意見も特にないみたいだし、ギルニキにも返答しておくよ。一先ずは星霊神社所属って事で進めて、ある程度形が出来たら組織名決めて正式に立ち上げってところかな」
ショタオジの決定にそれぞれが思い思いに返答を返し、ここから私達の新しい繋がりが始まった。
なお、その後オフ会最終日に、星霊神社の温泉と出される霊酒から離れたくない余りに覚醒した人*3もいたけど、それもまた〝俺ら〟らしいと言えばらしいのかな?
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★富士山霊力修行体験オフ会報告スレ
1:名無しの転生者
ここは先日富士山で行われた霊力覚醒修行の体験オフ会の感想を報告し合うスレッドです。
それぞれの思い出を語り合いましょう。
未参加者も質問や疑問があればどうぞ、答えられるかは別ですが
オフ会開催の発端となったスレ
http://××××
今後のオフ会応募や開催日程などは↓
http://××××
2:名無しの転生者
立て乙&一週間お疲れ~
3:名無しの転生者
立て乙
4:名無しの転生者
立て乙
覚醒裏山
5:名無しの転生者
立て乙やで
覚醒ってマジ?
胡散臭くてスルーし取ったけど
6:名無しの転生者
マジ
と言うか行く前は三信七疑ぐらいだったけど、参加して認識がくるっと変わった。
本当の神秘体験ってのはああいうの何だな
7:名無しの転生者
殆ど信じてなくて草
まあ俺もそうだったんだけど
8:名無しの転生者
覚醒者出たと言っても百人以上参加して数人だろ?
確率低すぎない?
9:名無しの転生者
いや、神主が最初に説明してただろ
今回の体験オフ会はオカルトが実際にあることを体感するのが目的で
覚醒者が出ることは期待してないって
10:名無しの転生者
ああ、だから覚醒者出た時普通に驚いてたんだ
最初の説明なんて場の雰囲気に飲まれて聞いてませんでしたが?
11:名無しの転生者
聞いてあげて?
ともかく、今回の修行は普通数ヶ月から年単位で覚醒する方法らしいよ
体験だから緩くしたけど、本格的に修行するならもっと厳しい分覚醒し易い修行もあるってさ
12:名無しの転生者
厳しいってどれぐらい?
今回の体験だって座禅数時間とか暗闇体験で数時間とか、かなり厳しかったと思うんだが・・・
式神悪魔との交流は普通に楽しかったです。
13:名無しの転生者
悪魔と交流会だって?
ネコマタとニャンニャンしたのか!?
絶許
14:名無しの転生者
いやちゃんと読め、式神悪魔だ
神主の仲魔じゃなくて一反木綿の方
15:名無しの転生者
あ、ならいいや
16:名無しの転生者
草
それより、覚醒した人ってどんなスキル覚えたんだ?
17:名無しの転生者
生産系を覚えたのが二人でそれぞれ【魔法道具作成】と【霊薬作成】
【マリンカリン】覚えた女性が一人
最終日にもう一人出たらしいけど、そん時は帰り支度してたから俺は知らん
18:名無しの転生者
蠱惑的なお姉さんがエロゲ的な覚醒修行してくれるって?
19:名無しの転生者
あー、いや、でもなあ・・・
20:名無しの転生者
あれ?ネタだよな?
逆にマジで?(ドン引き
21:名無しの転生者
別にそう言ったのがあったってわけじゃないし、俺もその人が覚醒した場所に居たんだが
元々見た目からエロい感じの女性で、本人もその辺理解してるみたいだったんだ
ついつい視線向けてしまっても笑って許してくれる具合に
ただ、覚醒した瞬間はなんかサキュバスってこんな感じなのかって思うぐらいエロくて
22:名無しの転生者
男女関係なく色気に当てられて変な空気になってたぞ
修行監督してた神主が正気に戻して覚醒した人連れだしてくれなかったらどうなってたか・・・
23:名無しの転生者
そういやその後神主から説明あったな
覚醒直後は能力の暴走が起きる場合もあるから
素人が一人で修行するのはお勧めしないとか
24:名無しの転生者
修行方法教えてくれないのはそう言う理由もあるんだな
てっきり面倒なだけかと思ってた
25:名無しの転生者
あ、聞いてみたらそれもあるって
26:名無しの転生者
オイ!
27:名無しの転生者
実際オフ会で体験したから分かるけど、
体感しないと分からない類いの修行を言葉で説明するのって無理じゃね?
少なくとも俺は上手く言葉に出来ない
28:名無しの転生者
俺も
29:名無しの転生者
漏れも
30:名無しの転生者
ワイトもそう思います。
31:名無しの転生者
骸骨ニキは成仏してモロテ
(以下も雑談が続く)