【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
第一回富士山オフ会は無事終わり、参加者の中から引き続き修行したい組を含めた霊能組織立ち上げ班が行動を開始することになった。
まずは手始めに、常駐する修行者と組織員のための施設建造って事で、エドニキを中心とした設計班がショタおじと建造場所やら規模やらの相談をしている間、ギルニキは富豪俺らと連絡を取り合って資金やら資材やらの調達、どちらも出来ない連中が荷物運びやらの雑用をこなす形で動き出した。
私も10歳の少女とは言え覚醒者なわけで、見た目的な理由から荷物運びと言った事をするのは憚られたけど、建設予定地の整備やらと言った方面ならそれなりに手伝えるわけで――。
「それじゃ行きますよー【マグナ】」
出来上がった設計図に合わせて基礎部分となる範囲を地変系魔法である【マグナ】を使い、地盤を固める様に凹ませる。
「……よし、範囲も深さも十分だな。そんじゃ木枠作ってくぞー」
「「おう!」」
安全第一のヘルメット被って現場監督と化したエドニキの号令の元、力仕事に名乗りを上げた修行僧――自分たちで名乗り始めた――が木材を担いで行くのを横目に、工事現場から少し離れた場所に用意された真新しい農地を確認しに向かう。
「生育は順調、というか毎日見て分かるレベルで成長しているのは育ちすぎな気もしますけど、書庫にあった資料を読む限りコレで良いんですよね。まあ神主からの指摘もないですし、収穫まではこのまま育ててみましょうか。【アクア】の水行から木行を活性化させる様にして【豊穣の祈り*1】っと」
五行相生で植物を活性化させて成長を促す様に【アクア】で生成した水を降り注がせ、農地一面に育つ薬草や果樹に霊力を注いで行く。
「後は何処から来てるか分からないけど、伸びてくる草を毟れば今日の世話は終わりですね。基礎工事の方でもそろそろ木枠が完成してるでしょうし、コンクリート練りに行きますか」
そんな感じで修行の結果習得出来た魔法を使った手伝いや生産素材の栽培といった方面で協力しつつ、自身の修行も行っているのが現在。
元々使えた魔法が【ブフ】ではなく【アクア】だった事もあり、メガテン的な属性魔法をそのまま練習するのではなく、五行や陰陽の方面から学んだのも良かったようで、霊力の属性変換だけでなく、スキルとして現れては居ないけど軽い増幅くらいなら可能になったし、【マグナ】の様な地変系も使える様になって良い感じである。
それと、自身の適性というか祖先の悪魔関連も多少は検討付けたと言うか、水に関連する存在をピックアップして繋がりそうなのが居ないか考えて見たところ、それっぽい感覚があったのが〝水の女神〟という括り。
水系なら龍神という系統もあるんだけど、そっちの方も何も感じないってわけじゃないが、本質に近いのは女神の方向なんだろうと思う。
そんなわけで、日本の水神でパッと思い付いたのが〝弁才天〟、まあ他にも色々居るのは分かってるんだけど、学芸神としての側面が少しでも作用してくれないかなという期待と、後は〝サラスヴァティ〟や〝アナーヒター〟といった他神話での水の女神と同一視されている点から、適性というか権能的なものを持って来れないかと言う試みをしている感じだろうか。
「おう来たな、いつもみたいに水頼むぜ」
「ここ、井戸からの汲み上げですからね。ある意味らしいとは思いますが【アクア】」
「様式美は感じるが、実生活で不便なもんは不便だってこったな。電気も水道もねぇから発電機や汲み上げ装置まで用意する必要があったからな……」
「掲示板使うために態々町まで行ってるとは思いませんでしたよね。神主的には式神や仲魔やらで何とかなるから、ネット環境以外では特に不便を感じてないみたいですけど」
「エドニキー!コンクリ練り終わったから流し込むぞー」
「おう!やってくれ!ここのコンクリが固まって問題無ければ基礎工事は終わりだな。まあコンクリはまだまだ使うから瑞樹ネキにも水の用意を頼むことになるんだが」
「今後を考えて大きめの設計になりましたからねぇ。それじゃコンクリの量も足りそうですし、私は行きますね」
「お疲れさん。料理の方も修行兼ねてやってるんだったか?昼食楽しみにしとくぜ」
午前中の作業は概ね終わったのでエドニキに挨拶してから厨房というか土間というか、昔話にでも出てきそうな調理場へと足を運ぶ。
一応霊的な意味を込めた料理をし易くするためってのはあるらしいんだけど、修行僧含めた料理担当にとっては使いづらくて不満な場所で有り、宿舎の完成が待ち望まれている理由の一つでもある。
「ジャンニキ*2、今日も勉強させてもらいに来たよ」
「手洗いは終ってんな?んじゃ神主からリクエストがあった今夜のカレーを仕込んでるから、そっちを手伝ってくれ」
この人は【堕天使 ニスロク】の【悪魔変身能力】に覚醒したデビルシフター或いはアウトサイダーと呼ばれる能力者で、変身できる悪魔の能力や知識などから料理長とも呼ばれるようになった人。
元は修行僧として神社に残った人の一人で、料理当番を順に回していこうって話になり、回ってきた順番で料理をしている最中に覚醒したと言う経歴の持ち主であり、私はよく知らないけど料理漫画の人物に似た外見なのだとか。
更に言うなら、料理中に覚醒なんて状況から、どんなことが切っ掛けになるか本気で分からないと修行僧達に思わせる結果となった人でもある。
「了解、タマネギのみじん切りからかな【ガル】、そんで【アギ】」
外側を剥いたタマネギを鍋の上に放り、疾風系魔法の【ガル】で二玉分をみじん切りに、その後は【アギ】で鍋を熱しながら炒めていく。
「調理道具が揃ってりゃそっちを使うべき何だろうが、魔法で代用できるならそれはそれで霊的な意味が出てくるのが悩みどころだな……。煮込む分の下拵えは終わってるから、その調子でもうちょい火を通しとけ」
自身の分の調理を進めながらも、私を含めた料理当番な修行僧に指導してるジャンニキは流石料理長といったところか、灰汁取りの合間などに手捌きを見て学び、カレーの仕込みが終わったら今回の私の学習時間は終了なので、ジャンニキの作った昼食を受け取って食堂へ。
昼食は正午から二時間の範囲で済ませるのが現状のルールになっているため、時々妙に混んでしまう事もあるけど、今日はどうやらそういうわけでもなかったみたい。
「瑞樹ちゃんも今からなら一緒にどう?」
「構いませんよ。それにしても美波さんが13時過ぎに来るのって珍しいですね」
「書庫で見つけた資料が難解でねー、途中で区切ると良くなさそうな気がしたからちょっと時間掛けた感じ」
「へぇ、どんな内容だったんです?」
「ふっふっふ、なんと房中術の手引き書だったのよ!」
「何というか、生き生きしてますねぇ。にしてもここにあったって事は陰陽術の系譜的に道教系です?それとも密教系?」
「どっちも、更に言えばカーマ・スートラに関するのもあったわ、まあ流石に翻訳本だったし、ウィッカとかの西洋系の方は見つからなかったけどね」
「道教系は気になりますし、昼食終わったら私も読みに行こうかな……」
「私は密教系からカーマ・スートラの方に手を出してたし、瑞樹ちゃんが道教系読むなら後で意見交換しましょ」
「いやお前ら、飯時に何て会話してんだ」
何か凄く疲れた気配を漂わせた霊視ニキが声を掛けてきたが、ふと周囲に視線を向けると微妙にもじもじした修行僧組が居心地悪そうに料理へ向かい合ってるのが視界に入る。
あ、美波さんの興奮した気配が霊力として周囲に漏れてるのか、色気というか淫気に近い性質持っちゃってるから、そりゃ止められる人が居るなら頼むか……。
「あら霊視ニキ、興味があるなら実践兼ねてお相手するけど、どう?」
「済まんがそんな気分になれんから遠慮する。それより、そう言う話するなら男の居ない場所でやってくれ、未覚醒組に美波ネキの気配とその会話は毒だろう」
「気分じゃないなら仕方ないわね。でも房中術は元々心を重ねて気を高め合い、肉体を越えて精神での和合を目指す真面目な学問でもあるのよ?」
「でも美波さんはエロゲ的な房中術も積極的に研究するんでしょ?」
「もちろん!そう言う瑞樹ちゃんは学術方面?」
「前世含めた年齢は兎も角肉体年齢がコレですからね、確か内丹術の側面としての房中術もあったはずですし」
「もう何も言うまい……。ああでもあれだ、とりあえず美波ネキはショタおじを実践相手に誘うのは止めてやれ」
「ああそれね。今日見つけた内容からショタおじが逃げる理由も想像付いたし、流石に止めるわ」
「なら良いか、じゃ俺は午後の修行に行くとするわ」
「私達もさっさと食べて書庫に行きましょうか」
「そうね」
という事で手早く食事を終わらせ、二人で書庫へと向かう。
美波さんが見つけた本は少し奥まったところに保管されていたようで、まあ内容が内容だけに一纏めにされていたのだろう。
道教系統の本の内容としては、陰陽五行思想や内丹術と言ったものが話の主題ではあるが、それらと房中術を絡めた考え方や実践方法と言った内容になっており、一応の隔離がされているのは仕方のない話か。
ただ、内容自体はとても高度なモノで、それこそ転生を自覚している何て特殊事例でもなければ早々理解が追いつかない様な概念的考察もされており、正直どんな変態的天才ならこんなこと考えつけるのかと思うレベルである。
特に内丹術と房中術を組み合わせた丹法の一つ、肉体の接触を行わず意識のみで行う〝神交法〟に関する記述は、自身と相手、双方の意識を正しく捉えていなければならないことから、意識を知覚する方法やそのための知識や概念についての解説などもされている。
「陰と陽……、魂の在り方……、やっぱり【アナライズ】で改めて確認するのが一番かな?美波さん、ちょっと瞑想に入るので夕食近くになっても戻ってなかったら声かけて貰って良いですか?」
「ん?了解了解、声かけて戻ってこなかったらイタズラするからね」
一応美波さんに一声掛けて楽な姿勢を取り、【アナライズ】の本来見えないモノを見る能力を通して意識の内側へと知覚を向ける。
それはかつての胎内に居た時のように、肉体という五感ではなく〝第六感〟のみで知覚する〝魂〟の感覚、そして肉体を五感で確認するように、第六感で魂に触れて、見て、知覚する事で、その在り方を確認し、調べ、解析する。
一瞬の様にも際限なく引き延ばされている様にも思われる曖昧な知覚の中で、それでも理解出来た欠片を意識に刻み浮上する。
「ふぅ……」
五感を呼び起こすためあえて大きく息を吐き出し、空気を取り込み四肢に力を込めまぶたを開く。
どうやら夕食前には意識を戻せたみたいだけど、それでも夕暮れに差し掛かろうとするぐらいには時間が経っていた上、重さを感じるほど大量に噴き出した汗で服が濡れそぼっていた。
「お、瞑想は終わった?って、凄い汗だけど、大丈夫なの!?」
「ちょっと、待って下さい【アクア】」
肉体的には疲弊していても霊力を消耗しているわけではないため、とりあえずの処置として生成した水を飲み、水分の補給を行ってから、返答することに。
「汗かいて水分が不足したぐらいで、体調的には問題無いですね」
「それにしても瞑想していてそうなるってのは……。ああ、第六感の関係?」
「ですね、この内丹術関連で記述されている概念で魂の知覚に一歩近付けました。反魂の術関連の本だと、死体等から死者の魂を知覚する事を繰り返す修行が必要になってきますけど、自身の魂なら態々死体を探しに行ったり墓を暴いたり何てことしなくても良いですからね。まあ表面を少し認識出来たかどうか程度でこれだけ疲れるとは思いませんでしたけど」
「ふむ、んー?いや……、ぬぅ。今の私じゃ理解が届かないかなぁ」
「私の場合、一応生まれる前の胎内で覚醒して第六感により知覚を行った感覚を覚えていますから、受精卵の時からな神主程じゃないですけどね」
「えぇ?ショタおじのガバガバな前提に当てはまるケースが存在したの……?」
「とりあえず話の続きをするにしてもお風呂に行きません?流石に汗を流して着替えたいです」
「そうね。雨も降ってないのに全身びっしょりだし、今の時間なら札をだしておけば大丈夫でしょ」
という事で少し早い時間だけど汗を流しに行くと言うことで、流石に汗まみれで本を触るわけにも行かないため片付けを美波さんに頼み、私は着替えを取りに自室――美波さんと相部屋――へ。
この星霊神社は流石に富士山という火山の麓にあるだけあって温泉が湧いており、しかも霊験あらたかな霊泉という事もあり湯に浸かるだけで霊力が回復したり多少の傷なら癒えたりする効能付き。
とは言えこの温泉も一カ所だけ――ショタおじしか居なかったから複数維持する必要がなかった――なので、利用する時は男女に時間を分けて使うのが現状のルール、もう一カ所用意するかと言う話もあったけど、それなら宿舎が完成してからそっちに引っ張った方が良いだろうという事になったり。
「流石に16時ぐらいだと誰も入ろうとはしてないですね、札をだしておいて先に体洗いますか【アクア】」
霊視で周囲をある程度知覚できる事もあり、目を閉じて全身丸洗いして、髪の方には美波さんと一緒に作った霊薬仕様の整髪料を使用した後、髪が湯に浸からないよう結い上げる。
それと、丸洗いした際に抜けた髪の毛は色々と使える霊的素材なので確りと回収してわかりやすいところに置いておく。
「お待たせー、私も丸洗いお願いして良い?」
「良いですけど、美波さん自分でも出来る様にするって言ってませんでしたっけ?」
「練習はしてるけど、そもそも攻撃以外に使える程霊力の操作に慣れてないのよね。瑞樹ちゃんのそれだって独学とは言え何年も続けた結果でしょ」
「まあそうですけど、神主の指導があれば私程度なら直ぐですよ。じゃあ洗いますねー【アクア】」
目を閉じて佇む美波さんに、私も使った神主謹製の霊薬石鹸を少し溶かした【アクア】を纏わせ、手洗いするように全身隈無く動かしていく。
「んぁ、あっ、そこっ!んんっ!!」
「はい、終わりましたよー。余韻楽しむのは良いですけど、後は自分でやって下さいね」
「はふぅ……。全身を同時に撫で回されるのは強烈よねぇ。それにしても前より快感が強かった気がするわね、私も多少は技量上がってるはずなんだけど」
美波さんの抜けた毛を私のとは別にまとめていると、余韻に浸るのを終わらせて後処理を始めたところで、微妙に納得いかない感じの声が漏れ聞こえてくる。
「それってもしかしたら神交法の影響が少し出たのかも」
「さっき読んで実践してたやつ?房中術関連と考えればまあ分からないでもないかしら」
「多分魂と意識への理解が進んだことで、霊力操作による肉体への接触が一部意識側まで届いたんじゃないですかね?」
「なるほど?さっきのが和合による法悦の端緒って可能性もあるのね」
「意識してやったわけじゃないので、あくまでも可能性ですけど、昨日の今日で変わった部分と言ったらそこぐらいですし」
「やっぱりもっと実践したいわねぇ、本読むだけじゃ理解出来ないことが多すぎるわぁ……」
「どうしても陽の気が必要になりますからねー、私も前世は男でしたけど今は女の子ですし、現在覚醒してる男性陣はそれぞれやること多くて頼めないですし、未覚醒相手は相手側に問題起きる可能性もあるから神主に止められるでしょうし……」
「覚醒者が増えるまではお預けってのは分かってるけどねー、頭で理解していても実感が伴わないから身に付いてないって技術が多いのも事実なのよねー」
ゆったりと温泉に浸かりながら吐き出すのは不満と言うほどではないけど、ままならない現状への悩み。
「一時的にでも陰の気を陽の気に変換する術式を探すか、或いはそれを補助する道具でも作れないかエドニキに相談してみます?百合百合する道具を作るって話になりそうな気もしますけど」
「それが良いかもねぇ、一時的に生やすとか出来ればTS系転生者の一部は喜んでくれそうだし、私は前世も女だったから生えてる状態ってのに興味もあるけど」
「そう言えばTS系って数的には少ない方でしたね。オフ会の時もアル社長のところぐらいしか見かけなかったですし……。あ、オフ会で思い出しましたけど、千代さんどうしてます?ちひろさんはギルニキの補佐で時々神社まで来るから話せてますけど」
「千代ちゃんは普通に学生してるわね。ショタおじから簡易式神は購入してたけど、高校中退してオカルトにってのも難しいでしょうし」
「まあ現状、そこらに悪魔が居る様な状態じゃないですからねぇ。んー私も携帯ぐらいは持つべきですかね、ここ禄に電波入らないですけど」
「充電も一苦労するし、今はまだいいんじゃない?宿舎が完成したら回線引くからネット環境も改善するし、外を動き回るわけじゃないなら当分はパソコンあれば十分でしょ」
「あー、それもそうですね。更に言うなら情報産業発展させた転生者連中が、そろそろスマホが欲しいとか言ってましたっけ」
「どれだけ技術進めるつもりだって話だけど、あると嬉しいのは確かよね」
「前世だと海外に流れた技術系の確保に成功したとかだったかな?まあ発展先が分かってて基礎技術にも力入れてれば進むのは道理ですけど」
「そろそろ上がりましょうか、のぼせそうなのもあるけど、男連中の修行がそろそろ終わる頃だし」
つらつらと取り留めもない話をしていればそれなりに時間も経つもので、確りと体も温まったところで温泉から出て扉に掛けてた札を外す。
序でに風呂場の近くで美波さんの淫気に当てられて倒れてる修行僧に【パトラ】を掛けて回復させ、美波さんの入浴も終わった旨を伝えに行かせたら夕食まで再度の読書タイム。
さっき温泉に浸かりながらちょろっと思い付いた事関連で、道具作成や性転換系の参考になる本が無いか探索したら、探せばまあそれなりにあるもので、良く考えるまでもなく世継ぎ関連は歴史の古い家系ほど重要な話であり、下世話なようでも色々と方策を考えた人々の努力を感じられる。
まあ見つけるだけで時間が来てしまったので読むのは食後という事になり、夕食は報告会も兼ねて覚醒組が集まり食卓を囲む。
ちなみに覚醒組と未覚醒組で分けてるのは、単純に全員集まる部屋の用意が面倒なのと未覚醒組が萎縮してしまうからで、覚醒による存在感の上昇が意識して無くても威圧になってしまうそうな。
「と言う感じで、宿舎建築の方は順調だな。配線やらがあるからモノが届くのを待つ必要はあるが、工期は当初の予定より短縮されるんじゃねぇかな」
「それは良かった。今回のオフ会参加者からも何人か覚醒者出たし、修行僧名乗ってる組からも順調に覚醒者は出ているからね。まあ普段の生活があるからここに残らないのも多いけど」
「じゃあ次はこっちかな、神主に言われた薬草や毒草の生育は私が見た範囲では順調だよ。実際のところは神主に確認して貰わないといけないから、明日にでもよろしく」
「となると俺の方だな、修行兼ねてショタおじに言われたキノコ類や毒虫系を樹海の方から集める仕事は今日で一通り終わったから、こっちの確認も合わせて頼む」
「了解、明日確認して問題無ければ生産系やりたい人で集まって、いくつか霊薬の指導しようか」
「それは嬉しい。ボクを含めた霊薬組はどうしても普通の一般素材しか使えないから、中々霊薬として成立する物が作れてないからね。ギルニキ経由で各地方のそれらしい素材を送って貰っては居るが、育て方の問題か或いはそもそも想定しているのとは別物なのかも分からないのが現状だ」
「植物系なら私の方で試して見るから、種が残ってるなら置いといてね」
「それなら修行僧組で世話する分も含めて、種や苗木を集めた方がよくねぇか?自給できる食料が増えればその分料理のレパートリーも増やせるぞ」
「なら出来上がった回復系霊薬を手土産に集めて貰おうか」
そんな感じで業務的な報告や連絡、やりたいことなどがあれば相談と言った具合に話し合いつつ食事が終われば片付けの当番以外は個人の自由時間。
いやまあ、ここで修行している事自体個人の自由意志ではあるんだけど、日中は協同体としてやることもあるからそう言った縛りがない時間ってことで、兎も角個人的な時間として書庫を利用する人も多くなる時間帯なわけで、夕食前に見つけた本を美波さんと読んでるところに丁度良く現れたエドニキを引きずり込んで意見を求めることに。
「美波ネキは分かるが瑞樹ネキもかよ。探究心が変な方向に進んでねぇか?」
「ぬ……。いや、前世男としての興味は否定しきれないけど、リカーム系技術習得のためってのが主目的だよ。私は」
「私は純粋なエロ目的もあるし、適性方面での霊力操作訓練に使うのも目的の一つだからねぇ」
「まあ、俺を含めた式神製造に興味のある連中にとっても有用そうだから手伝うのは問題ねぇが、それならフェイスレスニキも巻き込むか。ある意味生体部品っぽい方面もありそうだし、医療技術はあって邪魔にゃならんだろ」
こうした趣味の研究が今後の様々な技術に影響を与えていくのだから、何が功を奏するかはわからないものである。