【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
KSJ研究所とベジタブルスカイを作っていた一方、妊娠三ヶ月目である本体があちこち動き回るのは、余りよろしくないと言う訳で、実のところ本体は蓬莱島で瑞琴と過ごしており、依頼の方も含めた外回りは【木遁・木分身の術】で作り出した、常に感覚共有している木分身で、各地に出向いてるのが現状だったりする。
そんな三月のある日の事、共同依頼関係で試作したり、序でに思い付いて創ったりした結果、新しい酒も出来た事から、いつもの様にガイア酒造へと新作を届けに来たのだけど……。
「何か私が来る時、いつも居ません?ハクネキ」
「美味しそうなお酒の気配がするからね~、そりゃ待ち構えるでしょ」
「う~む呑兵衛……まあこれもいつもの事ですか。今回はトリコ食材の漆黒米と、それを参考に餅米版の銀白米*1を創ったので、餅米関連で新しく味醂を一種類、名前は〝玄白*2〟ですね。後、穀物の種類が増えたので、
と言う訳で取り出したのは、漆黒米から造った焼酎と餅米として創った銀白米を使った味醂*4と、BBコーンに漆黒米や銀白米を配合して、どう変化するかを確認するために醸造したウィスキーを何樽か。
ちなみにB3ウィスキーに関しては、アメリカで造ってる訳ではないため、向こうの市場ではバーボンと認められないみたいだけど、そもそもガイア連合山梨支部内で取引しているだけなため、気にしてる人はごく一部程度の話。
ガイア酒造としては、バーボンの製造法自体はある程度守ろうと言う事で、主原料にトウモロコシを51%以上使用している事、内部を焼き焦がした新樽で熟成させている事の二点は、最低限遵守する事にしており、それ以外の部分は霊薬関連の影響を調べたりもあって、結構好き勝手に変えて試していたりする。
まあ好き勝手しているとは言っても、ブランド関連は一応意識しており、B3ウィスキーの名称に関してだと、ガイア酒造規定の製法二点を守った上で、使用するトウモロコシの半分以上にBBコーンを使用しているのが条件となっている。
私としては、BBコーンを七割の他三割で配合した物が丁度良いと思うけど、BBコーンの割合が多いとその分エネルギー量も多くなるため、酒だけでお腹いっぱいになってしまうそうで、基本的にガイアポイントで交換可能なB3ウィスキーは、ギリギリの26%までBBコーンを減らした物が主流らしい。
「おぉ、味醂かー良いね、料理系や霊薬製造系との取り合いになりそうだけど。B3ウィスキーはいつものホワイトオークと琥珀楓?」
「それに追加で首領ドングリですね。琥珀楓の甘い香りとはまた違った、果物系の甘く爽やかな感じでしたけど、最低限寝かせただけの若い状態ですから、今後どう変わっていくかってところです」
「ほほぅ、それはそれは楽しみだねぇ。ああそうだ、新しいのも良いけど、〝紅露*5〟や〝
「造る時に自分で使う分もそれなりに造ってますから、個人でもう一度ってのは今のところしてないですね。基本的に新しい酒を造る方を優先してますし」
「ん~、それじゃ仕方ないか、もう一度飲みたくなったら依頼する様にって言っとく。何なら情報も酵母も買えるんだから、自分達で再現しても良いんだしね。この間もワインとブランデーが良い感じに出来たよ」
「良いですね。一本ずつ購入していきましょうか」
そう言ってハクネキが取り出してきたのは、首領ドングリの果汁を醸造したフルーツワインと、それを蒸留したブランデーの二本。
どうやら以前に持ち込んだ物と同じ工程でとりあえず造ってみて、今は工程の一部を変更したりして色々試しているところの様で、その中でも納得いく出来の物と言うことらしい。
ハクネキにお勧めされたお酒を更に追加で何本か購入してガイア酒造を後にし、序でに何処かに顔出しでもしようかと思っていると、事務方に居る木分身に、運営陣からの依頼話が持ちかけられている情報が伝わってくる。
「なるほど、増加していくだろう難民による治安悪化対策として、棲み分けや隔離も兼ねた離島を創る。と……」
場所は変わって山梨第一支部の一室、ここには結界や異界関係の技術を持っている人員が集められており、今なお続いている日本各地でのジュネス建設と、付随して行われているシェルターとしての結界構築による、居住可能な土地確保が何処まで可能なのかを話していた訳だけど、ある程度話が出揃い認識が共通されたところで提示されたのが、〝土地が無いなら創ろう〟と言う提案。
事の発端と言うなら、メシア教が世界各地で紛争を起こし始めた辺りまで遡る事になるが、年々日本へ避難してくる海外の霊能組織関係者の増加と、それに伴う裏関係の状況悪化は無視出来ない問題と言う事で、対策の一環に関する依頼の説明と会議が行われていると言う状況。
実際、去年にはエジプト神話がやらかして、結構な数の難民が日本へ逃げてきており、どんな経緯があったのかは不明だけど、ブーストニキがその避難民の救出に動いていたらしく、当初運営陣が予想していた以上の数が日本までたどり着けたみたいで、難民受け入れに名乗りを上げた岩手*7と、救出に動いた関連からブーストニキの地元である丹後半島に別れて住んで貰う*8事になる事態もあった。
まあ避難してきたエジプト難民が別れたのは、撤退中も守護していた神々を主に信仰する人と、元々はやらかした神々を主に信仰していた人が、一緒の居住地というのも辛いだろうって事で、避難民の話し合いによって別れて移住する事になった話なんだけど、物理的な土地面積の問題も少なからずあったとの事。
それに、ここまで明確な感情的理由ではなくても、宗教的だったり土地柄的な国民性による問題と言うのはどうしてもある訳で、それならいっそのこと集落単位で移住出来る程度の島を用意して、そこに住んで貰おうってのが運営陣の判断。
世界情勢からの予想や占術による結果もあり、いずれ多神連合も日本へ避難してくるのはわかっているし、多神連合関係者が増えた時の会合場所としても、出島的な出先機関が有ると楽という事で、人工島計画が進められているらしい。
「さて、現状認識も一通りの説明も終わりましたし、ここらで質疑応答に移りますが、何か質問はございますかな?」
「人工島を造ると言う趣旨は理解するし、結界や異界の構築に行くのならいつもの事だから問題無いんだが、そもそもどうやって島なんて造るんだ?」
「ガイアグループの事業としてメガフロートの建設を行っておりまして、近々完成する予定ですが……」
「おお、そう言えばニュースにも取り上げられてたな――が?」
「昨年の事もあって改めて試算を出したところ、費用は兎も角として建造期間が圧倒的に足りない、との結果が出まして、なので今建造している分は一般人向けとして、霊能者向けには別の方法をって事で、島に関しては探求ネキに話が通ってると聞いているのですが、実際のところどんな状況です?」
「話が通っているって言うか、現在進行形で話を聞きながら、必要な場所に島を創ってる感じですね。後々多神連合との会合に使う事になる一つ目の島はそろそろ出来上がります」
今回の離島計画を担当しているプロスニキ*9に話を振られ、視覚情報の方が早いだろうと言うことで、私の端末を経由して、現地の木分身が撮影している映像をプロジェクターで映すことに。
後、話が通っていると言うか、実のところこの会議が始まる少し前の頃に、ちひろさんから地図や資料と共に十分な前金をポンッと渡され、可能な限り早くとの指定もあって木分身の一体を転移させ、さあ作業を始めようかと言うところで、別の木分身はこっちの会議に参加するよう言われたのが、ここまでの流れ。
なもので、ようやくどんな理由で島を創る依頼をされたのか、と言うのを知った頃には、既にほぼ島が出来上がっていた状況で、火山活動を休止させて流れる溶岩の熱を冷ましている光景が、先程まで計画について流していたプロジェクターを通して、投影されていると言う訳である。
「おお!流石に仕事が早いですな。と言う事で、探求ネキが必要な分の土台を創ってくれますので、上陸可能な温度まで下がった後は、結界や異界化することで環境を整えて頂く事になります」
「何と言うか、一人で全部やってしまった方が早いんじゃねぇの?って感じだな」
「お気持ちはわかりますが、何しろ作成予定の島数も多く、環境整備まで任せてしまうと経費の方が……。レベル30で可能な仕事をレベル60に頼むと、単純計算でも依頼料が倍になる訳でして――」
追加で挙がった疑問にプロスニキが経費などの数字を出して説明すると、一様に口を閉ざしていく。
まあ普通なら海底火山を噴火させて、島になるまで維持してとやってるだけで何時間もかかるし、仕事に拘束される時間の分だけ膨大な時給が発生するところ、今回は島一つ毎の出来高払いで請け負っているため、本来ならレベル100以上の霊能者を雇用すると考えると、表示額から更に何割か増えるぐらいの金額になるんだけども。
とは言え、その内の技術料だけで言っても、他の環境整備や結界などに支払う額と桁が二つ三つ違う訳で、ここに追加で時間給の発生する仕事まで依頼すると、費用が無駄に掛かりすぎるとプロスニキが言うのも、然もありなん。
「おおぅ、つかこれって、作業時間の見込みと時間給が抜けてねぇか?」
「一つ当たり一時間も掛からずに出来ますから、時給換算だと面倒なので出来高払いした感じですね。プロスニキ、霊能対策をしてない一般のカメラには映らない様に、との指定もされてましたので、一応霊能の無い一般人からも見えない様にして、人払いも追加してます」
「十分以上ですな。ああそれと、探求ネキの報酬については本人からも申告された様に人件費込みの金額ですね。ですので皆さんも気にせず依頼料を受け取って下さい」
「まあ、こっちとしちゃいつも通り仕事して、依頼料貰えるなら良いんだが……」
「島の問題が無いなら、次は結界や異界の方で聞きたいんだが――」
とりあえず、私が関係する部分と一番問題となるお金関係の話がまとまったところで、次の質問へと移るが、そこからは基本的に私が関与しない部分のため、意見を聞かれたら答える程度にして過ごす事に。
結局会議が終わる頃には、依頼された分の島を創り終わったため、各島担当者の確認が完了次第、残りの依頼料が振り込まれるとの確認をしてから退室し、島創りのために駆り出してた木分身と一緒に、依頼のため中断していた超機人建造のための各種合金木作りへと戻る。
合金樹を創り出した事により、かなりの嵩増しが可能になったとは言え、50メートル級の機体を建造するとなると相応の量が必要になる訳で、私の専用機を建造した際も、骨格に使用したアダマントス合金木を造るためのフォルマは、毎月しばき倒している【刈り取る者】のフォルマだけでは賄いきれなかったのが実際のところ。
結局は修行場異界の下層や深層で、死神系悪魔を探して回り、ドロップしたフォルマを集めて〝全人類の死の概念としての【ニュクス】〟と対峙しても、〝死に囚われない〟レベルまで概念強化出来る配合を探し、【刈り取る者】のフォルマだけを使った場合と遜色ないアダマントス合金木を、必要分量まで揃えるのに一番時間が掛かったと言う話。
実体として素材を用意すると言う意味でなら、結晶筋肉の方もそれなりに大変ではあったけど、こっちは試作した結果として、黒札や一般的なファンタジーに対する認識の影響も有って、幻想金属の〝ミスリル〟が良好な結果を出したのと、皆がショタおじに色々と布教した影響なのか、修行場異界に鉱脈が発生する事もあり、まとまった量を集める事が出来たのもあって、それほど苦労した印象はなかったりする。
そんな訳で、合金樹の樹皮とミスリルを混ぜ合わせたミスリル繊維を、結晶仙人掌と組み合わせて創り出した〝
「それぞれの要望に合わせた設計データは、リアルACの方でシミュレートして貰いましたし、後は各機体に合わせた装甲素材ですね」
確実に一番時間が掛かる上に、補修素材としても予備を確保しておきたい、銀晶筋肉とアダマントス合金木の生産が一区切りして、要望された機体性能に合う装甲素材開発の方へと意識を向ける。
さて、出せるだけの木分身を出して、神通力も使った合金木の最適な配合比率割り出しに、取りかかりましょうかね……。
極暑地域のマグネタイトを吸収し、栄養に変換して溜め込む性質が有るため、周囲のマグネタイト濃度が高い程成長が早く、火炎属性が強いほど栄養豊富に育つ餅米の品種。
生でもキャラメルのような粘りと甘さを感じられる程に糖度が高いのが特徴で、銀白米から作られた団子や餅は、艶めくような輝きを放ち、もっちりとした食感と切れの良い歯ごたえを味わえる。
濃厚でありながらすっきりとした甘さを持ち、栄養と旨味が凝縮された飴色の味醂で、薬酒の素材や調味料、そのまま飲用としても美味しくいただける。
バーボンの製法に合わせて、内部を焼き焦がした他の酒の熟成に使用していない樽に詰め、熟成させた物。
BBコーンの凝縮されたエネルギーが、〝飲む〟ではなく〝食べる〟と錯覚させる程の厚みをもたらしており、この酒を主食の代わりにする呑兵衛もいるとかいないとか。
トロリとした粘性と独特の風味や甘味を持ち、そのまま飲むのはもちろんの事、調理酒としても一味違った仕上がりを楽しめる。
メイプルの豊かな香りと優しい甘さが特徴で、光の加減により金糸のような輝きが浮かび上がる事から、錦楓の名前が付いた。
強靱なミスリル繊維が配合されたことにより、結晶筋肉自体の耐久力や出力、マグネタイトの保有量が増加し、ミスリルの特性により霊力の伝達速度も向上している。
品名としては、そのままミスリル・クリスタル・ティシューの頭文字からMCT。
別の三次にでも居そうな気がしないでもないけど、一応オリキャラの紹介
・プロスニキ
機動戦艦ナデシコに登場する会計・監査役で、プロスペクターと言うペンネーム的な名前しかわからない人物と、似た外見や能力を持つ運営黒札の一人、掲示板に登場する場合はプロスペクターか運営P。
ガイア連合への参加は組織名が決まった頃ぐらいで、立ち上げから携わっていたちひろネキを上司として立てているが、当のちひろネキからは代わって欲しいと常々思われている。
なお、それを理解した上で部下に収まっており、その方が動きやすいからと嘯いているが、自身が担当した計画の責任は確りと取る辺り、ちゃんと大人をしているおっさん。
原作でプロスさんと呼ばれているのに合わせて、プロスニキと呼ばれている。