【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
やらかした【
一応書類だけは智ニキへ先に渡しておいたけど、島内での産業計画などもあるだろうし、その辺のすり合わせなども考えつつ、今は蓬莱島で飼育しているマグロ豚や新しく創り出した生姜豚*1の飼育を任せられないかと思っていたりする。
後、異界の方で蟹ブタ*2も飼育してくれるなら尚良しと言ったところだけど、こっちについては食欲界でもそれなりに繁殖出来る戦闘力があるので、可能ならと言った程度だけども。
と、そう言った話を智ニキを通してやり取りして、向こうの代表者が話し合いしている間の手持ち無沙汰になったのが昨日のこと。
「――と言う事で、契約呪法アプリを作っている時に思い浮かんだアイディアを形にしてみました」
「暇が出来た経緯はわかったが、そもそもホビー部に来た理由が不明なんじゃが?」
「それは作ったのが、デュエルディスクだからですね」
「「なに?!デュエルディスクだと!!?」」
「幾つか作ってきてますから、テスト参加は歓迎しますよ」
「「よっし!」」
山梨でも趣味人が集う一角にあるホビー部にて、基本的にいつも研究開発に余念の無いワイリーニキ*3と話していると、
取り出したのは、デモニカのコア部分と専用のデッキホルダーを一体化させたベルトに、儀式道具としての側面も持たせた盤面と、悪魔との戦闘も想定してカード状に成形した霊符の収納場所、ホルダーに入れたデッキを元に各カードの情報を霊符カードに付与した後セットする、デッキ部分をまとめた腕装備の二つを一組にした装備。
「デモニカの呪殺などを一回肩代わりする性質を利用して、ライフポイントが残っている間は直接ダメージを受けない仕組みと、オーバーキルされた場合でも一回だけは機能停止を代償に防ぐ機能を持たせましたので、普通にカードゲームとしてプレイするのも可能です」
「ん?普通に……?」
「デモニカの性質を、と言う事は、やはりデモニカの亜種で、悪魔との戦闘を想定しておる訳じゃな?」
「ペガサスニキ*4が【伝説のカード*5】を作ってたでしょう?で、掲示板でその話が流れた際、終末後にカードの精霊へ祈りながら特攻する、悲しいデュエリストが出たりするんじゃないか?と言う書き込みを見つけまして、それなら実際にデュエルで悪魔と戦える様にしようかと思い付いた感じですね」
「そういや【伝説のカード】は、ちょっと前にホビー部主催で行われた一般参加有りのホビー大会の優勝賞品だったな。ワイリーニキ達も【伝説のパーツ】やら【伝説のチップ】やら作って賞品にしてたし……」
「ああ、サイカネキ*6が悪役ムーブする前にホビーアニメ展開起きたやつな。アレはその後の展開も含めて素晴らしい大会だったし、ソリッドビジョンシステムが無かったのが惜しいぐらいだったんだが、このデュエルディスクがあれば、次は大迫力のデュエル大会が開催出来る上に、俺のレッドアイズデッキで悪魔とも戦えるって訳だな!」
「カードの強さは使用者かデモニカの高い方のレベルに合わせた強さになりますから、カードの数値が高くても実際の威力はレベル相応な点は注意が必要でしょうね。後はゲームプレイやボス戦、防衛戦向けの決闘モードと、異界探索など通常行動時用の探索モードを搭載してます」
決闘モードは、発動者よりレベル10上の相手までを、ゲームルールに取り込む事が可能なバトルフィールドを結界として展開する物で、タッグバトルの場合は、発動者側の合計レベルに20を加算したレベルまでが対象となる。
また、発動中は移動出来なくなる上、ゲームルールに沿って必中や直接攻撃なども発生するようになる代わりに、相手側の戦闘可能な悪魔を五体までに制限したりも可能なため、拠点防衛やボス戦などに向いたモード。
探索モードは、召喚数が最大三体、魔法や罠カードのセット数も三枚でフィールドカードを使用出来ない代わりに、ゲームのターンに縛られず、手札が五枚以下であれば好きなタイミングでカードを引いて、上位召喚やカードの発動を行う事が可能な物で、場面に応じて柔軟にカードを発動する事で異界攻略にも対応可能にしたモード。
とりあえず軽く説明しながら取扱説明書も渡して一通り話も終わり、
「ふむ、霊符カードはペガサスニキが【伝説のカード】を作る過程で改良した技術じゃったと思うが、それともちと違う感じがするな」
「デッキホルダーから情報概念を転写可能にする加工を追加してますので、普通の霊符カードよりは費用が掛かりますね。まあ多少効果が落ちるのを許容するなら、購買部で売ってる霊符用の和紙でも使える様にしてますが」
「収納場所に紙を突っ込めば、霊符カードにする機能まであるのは盛りすぎな気もするがな。このスペックだと製造部で量産は出来んじゃろ」
「霊符カードに付いては別途用意するのも可能な仕組みにしてますから、そこは量産したい人の方で調節して貰う感じですかね。拘る人用にオプションパーツにする感じでも良いですし、カードにする素材に拘れば効果を上げる事も出来ますから」
「なるほどのう、今使ってる購買部の和紙でもそれなりの強さにはなりそうじゃな。それにしても、普通にデュエルしてる分には関係ない話じゃが、ゲームが進むに連れてデモニカのレベルも本人のレベルも上がって行っておるな……」
「流石は
「偉業による霊格の上昇がここまで働くのも凄い話じゃがな。っと決着が付いたな」
そうして話している内に勝敗が付いて決闘モードが解除され、
最後の方は互いにディスティニードローしたり、霊符カードがデッキホルダーに無い新しいカードへ変化して創り出したりと、何処のカードゲーム世界かと言いたくなる様な光景が繰り広げられていたけど、〝デュエルディスク型デモニカ*7〟の試運転としては十分なデータを得られた感じ。
まあ形状なども含めて改善点はいくらでもあるだろうから、その辺はこれから感想を聞き取ってからと言ったところ。
「探求ネキ!このデュエルディスクって買い取り出来ないか?」
「開口一番それですか。それは試作品ですから素材も最低限の物ですし、本格的に装備として運用するなら注文は受け付けますよ?」
「お、そいつは有り難いな。デュエルで消費したコイツのライフポイントは時間経過とアイテムの消費で良いんだよな?」
「デモニカによる外付けHPみたいな物ですからね。減った分は自己修復かアイテムや回復術式で戻りますし、機能停止した場合も一定量の電気か、マグネタイトを供給する事でも復活出来る様にしていますので、蘇生系のアイテムなどが無い環境でも大丈夫な仕様になってますね」
「取説見た感じコアの移し替えは普通に可能だし、側の方に拘るのはもっとレベル上げて良い素材集められる様になってからだな。それより霊符カードの素材の方が先だろ、同じデッキを使い込む程にカードのレベルも上がるってのは、付喪神化したセツニキのトランプみたいな感じって事だろうし」
「認識的には付喪神化したトランプで間違い無いですね。使い込んで付喪神になったら、デッキホルダー内のカードが霊符カードと一体化するので、相性の良いカードがあったなら既に付喪神化してるかもしれないですよ」
「「マジで?!うわっマジだ!!」」
「真面目にカードゲーム世界の様な話じゃな……」
「大量の情報を転写していると言うのもありますし、相性は霊質的な適性関連でもありますからね。その内相性の良さで手札の引きが変化するスキルとか生えてきそうですが」
「ふむ、相性と霊質適性か……。各種ホビー大会用のアイテムは作り終わった所じゃし、今度は悪魔とも戦える霊装としての研究を進めていくのも良さそうじゃな」
「霊能関係は実利より、相性が物を言う場合も多いですからねぇ……。実戦に耐えられるホビーがあると助かる黒札も多そうですよね」
相性の例として、銀時ニキ辺りは霊質的に刀系統が得意な割りに、よほどの業物でも無ければ真剣より木刀の方が強いという相性を持っていたり、修羅勢の中には刀剣よりツルハシの方が強いとか、投擲用の鉄球よりその辺の石を投げる方が威力が出たりと言った現象が確認されていたりする。
「儂もそう思うんじゃがな。今でもレベル30まで使える装備は売りに出しておるし、特注なら50近くでも対応可能じゃが、ホビーの括りと言うだけで余り売れておらんのが現状よ」
「最近は収納系が出回ったのもあって、持ち運びに気を遣う必要性が減りましたしねぇ。初期の頃だと不審がられないからって事で、ビーダマンとかベイブレード、ヨーヨーとかも製造部で作ってましたが」
「メダロットやLBXは人形分類と考えるなら立派な霊能道具なんじゃがなぁ。ま、その代わり表の方では順調に売り上げが伸びてるがのう」
「玩具を玩具として遊んで、楽しんで貰えてるならある意味大成功では有るんですけどね。昨今の情勢的にそうも言っていられないのは悲しい話ですが」
「全くじゃな。まあホビーアニメも大概世界の危機が身近にあったりするから、なんとも言えんところもあるがの。だからまあホビーに攻撃力とかが有っても良いとは思うとるし、それなりに有用な物も出来ておるんじゃが、連合内での売れ行きはどうにも芳しくないのがなぁ」
「まあ〝俺ら〟的な感覚だと、コスプレ系ならまだ趣味と実益を兼ねてる感じですけど、ホビーは趣味全振りな認識でしょうからね。趣味だからこそ全力で技術などを注ぎ込むのもらしさだとは思いますが」
デュエルディスク型デモニカの方は良い感じにデータは集まっているけど、文字通り新しい玩具に群がっている状況のため、落ち着くにはもうしばらく時間が掛かりそうな気配もあり、さてどうした物かとも思う訳だけど。
「こうしてお茶を飲みながらデュエルを観戦するのも良いですが、ちょっと思い付いた事も有りますし、作業台借りますね」
「ほう、何やら面白そうな気配がするのう」
「さっき少し話題に出たベイブレードからマニ車*8が思い浮かびまして、回転させた分だけ経典や真言を唱えるのと同等の功徳を積めるとされる概念から、高速回転させるベイブレードに組み込んで、反復詠唱による概念強度上昇術式と言うのも面白そうかと」
「なるほどマニ車か、回転ならヨーヨーも良さそうじゃな」
「色々使えそうですから、汎用性のある術式にして色々組み込める様にもしてみますかね」
データ取り中の隙間時間では有るけど、思い付いたのなら作ろうと言う事で、ワイリーニキやデュエルの観戦に行ってなかった部員も集まって試作に取りかかる。
汎用性と拡張性を考えてシンプルに構築したマニ車式反復詠唱術式をテーマとして、各々が思い付くままに試作しては実験して、時には実験室自体が吹き飛びつつも新しい何かが生み出されていく。
結局デュエルディスク型デモニカのデータ取りと言う名のカードゲームをしていたメンバーも、ある程度遊んで満足したのかこちらにも混ざってきて、技術開発室のデータベースに新しい基礎技術とホビー部名義の新商品が誕生する事になったが、まあその場のノリと勢いで遊ぶのはいつもの事か。
「満足そうに頷いているのは良いんじゃが、デュエルディスク型デモニカは、儂らの方で開発を引き継ぐ感じで本当に良いのか?」
「私はその時思い付いたやりたいことをやるのが基本ですからね。一つに専念するのが得意な人に任せた方が、誰にとっても良い結果になるでしょう」
「それもそうじゃな。まあ儂らでは無理な製造依頼が来たら、探求ネキの方へ回すのは受けてくれると助かるがのう」
「そんな機会はそう無いと思いますけど、その時は受けますよ」
こうして思い付きからのホビー部訪問は幕を閉じる訳だけど、下層や深層に届いている修羅勢からの注文が多数投げ込まれる事になるのは、この数時間後の話しだったり――。
飼育の手軽さもあって庶民的な食材であるが、その単純な調理方法の分、料理人の腕前が直にものをいう。
高い運動能力のため身は引き締まっており、見た目よりも脂身が少なく、淡白な口当たりの中にも濃厚な旨味が凝縮されていて、まるで最上級の蟹を食べているような味わいから、この名前が命名されたとの事。
専用のデッキホルダーにカードを収納する事で情報を読み込み、デュエルディスクにセットした霊符カードへ構築した術式をランダム付与する事で、カードゲームとしてのルールを儀式に見立てた術式装置でもある。
なお、召喚出来る【式神】やトラップカードなどで発動する各種スキルの強さは、使用者自身かデモニカのレベルに依存するが、悪魔召喚プログラムを通しての契約をしている状態でもあるため、相性にもよるが同じカードを繰り返し使う事で、カード自体のレベルも上昇し、強くなる。