【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
修行場異界深層、そこはショタおじの手によって造られ調整された下層までとは異なり、魔界から地上へと抜け出ようとする、悪魔達の坩堝。
魔界の瘴気とも言える
濃度の高いマグネタイトから発生するだけ有って、深層に湧く悪魔はもれなく権能を保持しており、ただその場に居るだけで、周囲の環境を自身にとって都合の良い空間へと書き換えるため、一日どころか数時間、下手したら分単位で環境が変化し、草原だった場所が数分後には、海になってたり何てことも良くある光景。
ガイア連合が誇る修羅勢と悪魔の戦闘は当然として、悪魔同士で争っていることも多々あり、有利な環境を押しつけようと権能が衝突する様は、正しく地獄絵図の様相を呈する。
「突然海が湧いたと思えば、【地母神 ティアマト】ですか……」
【輪廻写輪眼】の鍛練も兼ねて、深層に常駐する木分身で動き回る様にしてから数日、【圏境】で存在を周囲と同化させ、アンブッシュから一撃必殺する忍殺スタイルを基本として、それに対処出来る同格以上の悪魔を相手に、【輪廻写輪眼】を用いた近~中距離戦闘を重ねていたところ、噴煙を上げる火山が大波へと変化し、うねりと共に水平線の見える大海が出現したのを見つけたのが、数分前の事。
出現した悪魔の権能による領域と思われる事から、海に触れるギリギリの距離で遠目に確認したところ、見えたのが七つの頭を持つ巨大な蛇で、察知されない程度に調べてわかったのが、【地母神 ティアマト】として出現したらしい事と、レベルが大体120前後あり、少なくとも水撃か氷結のどちらか、或いは両方とも吸収するだろうと言った辺り。
「んー、他にも色々有りそうな感覚がしてますけど、キロ単位で離れていると流石に細かいところまでは見えないですね。【輪廻写輪眼】の補助効果的に不可能な距離じゃ無いはずですし、まだまだ鍛えないといけませんね」
創って急速成長させた影響で、魔眼を使った実戦経験が足りてないからこうしているため、修練不足は仕方ない事として置いておく。
それよりも、深層でも出現率が割と低めで、ポップすると割合遠くでも気配を感じ取れる事から、修羅勢が寄ってきては祭になる、巨大系悪魔の出現に居合わせた事だし、折角の機会なので後の確認用に記録準備を整え、正面から巨体同士の戦闘を仕掛けみる事に。
「さて、今は修練中ですから、まずはこれから行きましょうか。【須佐能乎】!」
【神足通】でティアマトの後ろへ転移した直後に【須佐能乎】を展開すると、私がイメージして構築した完成形態須佐能乎の姿――八卦法衣*1を纏い龍角を生やした女仙が出現し、反応して振り向こうとしたティアマトの、七つに分かれた頭の根元部分を殴り飛ばす。
『■■■■――?!』
「悲鳴と言うより鳴き声と言った感じですね。明確な言語を持ってない?少なくともティアマトの正式な分霊としては、認識されていないみたいですね」
殴った感じとして物理無効があるのは確定、見た目的にティアマトと同一視される事も有る、ムシュマッヘの要素を含んでる可能性も考えられるし、そうなると血液が毒液になってる可能性も考慮すべきだろう。
即座に【食いちぎり*2】や【アイスブレス*3】などで反撃してきたティアマトを、【須佐能乎】でいなしたり、防御しながら解析を続けて見えてきたのは、水撃と氷結の吸収は予想通りとして、万能以外全て無効な上、全状態異常無効も持っているだろうと言うこと。
全反射や全吸収じゃないだけマシと言ったところだけど、この巨体と蛇であることを考えれば、体力量が多い上に回復力も高いだろうとわかるし、普通ならレイド戦として修羅勢集めて、火力集中するのが一番だろう相手である。
「この見た目で【邪龍】の括りじゃないのは気になりますが、まずは【吉祥天*4】【黒闇天*5】っと、流石に【人間道】の補助込みでも無理ですか。なら【ランダマイザ】、〝桜華螺旋撃*6〟!」
まずは【人間道】の補助による接触時の耐性貫通効果で、行動阻害系の状態異常を強引に通せないかと、【吉祥天】と【黒闇天】を発動させる。
ちなみにこの二つのスキルは、同時に発動する事で認識時間を加速*7させ、因果の繋がりを瞬時に辿る事が可能な効果となっており、戦闘中であっても次の行動により至る結果を確認し、一度程度であれば行動内容を選び直す事も可能と言う、初見殺しにもある程度対処可能な、【万華鏡写輪眼】により発現した固有スキル。
今回は接触状態からの【ドルミナー】で、睡眠状態に出来ないかと思ったけど、見えた先では一秒も経たずに回復しており、二度目は逆に吸収されて能力が上昇するのを認識したところで因果を切断。
搦め手で優勢を得るのは難しいとわかった事から、【輪廻写輪眼】で発現した【
打ち込んだ衝撃が掘削する様に内部へと浸透したところで、物理と射撃に万能の三重ダメージが爆ぜ、頭の一本が根元から吹き飛んでいく。
『■■■■――!!!』
思念だけを叩き付けてくる様な、怒りの叫びを発するティアマトを観察していると、数秒もかからず吹き飛んだ頭が再生し、次の瞬間海の底へと引きずり込まれる。
元々ティアマトの巨体に釣り合う大きさまで拡大した【須佐能乎】でも、膝丈まで沈む程度には水深があったが、そもそもティアマトの領域内へ殴り込んできた形であり、より自身に有利な環境へと変更するぐらいは、当然の権利として行えるのが権能というもの。
「まあ、海の中に引き込まれた程度で、優劣が決まる様な鍛え方はしてないんですが、ねっ!」
『??!』
「〝雷華螺旋撃〟!〝ザ・ワールド*9〟!」
とは言え、【神足通】の習熟が進んでる現在の私にとって、空気の有無や水の抵抗なんてのは阻害要因にもならない訳で、周囲の海水と共に音速を超えて襲いかかってくるティアマトに、カウンターで回し蹴りを叩き込み、勢いを大きく削ったところへ、今度は電撃属性の螺旋撃を打ち込んで勢いを殺しきる。
【神足通】の権能により、水中だろうと十全な足場を得て繰り出される反撃はそれなりに効いた様で、僅かに動きが鈍った隙に、未だ慣れが足りず一瞬の間が必要な時間停止を発動させる。
なお、技名を某スタンドから拝借しているのは、私のペルソナのアルカナが〝世界〟だからと言う理由と、時を止める能力としてわかり易く概念強化されるからとの理由。
「相変わらず消耗は重いですが、改善の傾向ありですね。やっぱり実戦で回数熟すのが一番ですか、【発勁*10】【崩拳】」
行動するだけで急速に霊力が消耗されていくのを感じつつ、ティアマトの各耐性を下げるために、限界まで【発勁】を絡めた打撃技のコンボを叩き込んだ上で、停止限界に合わせた吹き飛ばしの一撃を解放する。
「〝絶招・通天砲*11〟!」
震脚から始まる力のうねりを螺旋に束ね、打ち付けた瞬間の一点に合わせた拳の一撃は、ティアマトの権能領域を揺るがす衝撃となって、巨体を弾き飛ばす。
耐性などの解析をしていた時以外は、ティアマトの動き出しを潰したりカウンターで打ち落としたりと、ほぼ一方的に攻撃してきた訳だけど、殴り飛ばして距離の空いたティアマトを観察するに、削れた体力はせいぜい二割と言ったところだろうか。
流石に時間停止で消耗した霊力は、自然回復で賄える量では無いため、アイテムで回復と継続回復を付与して、体勢を立て直したティアマトと向き直り、仕切り直しからの第二ラウンドと構えたところで、空間を横殴りにする衝撃を受け、咄嗟に転移して大きく距離を取る。
『■■■■――!!』
『■■■■――?!』
「漁夫の利では無く乱入ですか、
深海の様相を呈していたティアマトの領域を塗りつぶす様に、荒野と呼ぶに相応しい大地を広げながら襲いかかる、四つ足の巨大悪魔。
互いに相手の力をいなす様な事をせず、真っ向からぶつけ合い暴れる様は、悪魔としてよりも獣の様な印象を受ける程。
「まあこっちを意識してないなら、今のうちに解析するだけですが……グガランナ?」
戦いに乱入しておきながら、私の事は完全に無視してティアマトへ猛攻を仕掛ける巨大悪魔を調べて見ると、まず見えてきたのは、悪魔が【神獣 グガランナ】として出現したと言う事。
確かに見た目的には牛の様な角がある四つ足の姿ではあるけど、それなら猪のような牙があるのはおかしな話だし、何より〝天の牡牛〟が、〝大地の権能〟を基礎とした領域を展開している事が一番の疑問点。
「ティアマトが居てグガランナが出現するぐらいなら、メソポタミア繋がりであるだろうとは思いますが、根幹となる権能がそもそも異なるとなると、軽く調べた程度ではわからない、何かがあると見るべきでしょうね」
仮称グガランナが暴れ回ってる影響で、ティアマトの方もこっちへの意識が薄れている事も有り、一旦【須佐能乎】を解除して疑問の解消を優先する事に。
元々七つの頭を持つ蛇の姿をしたティアマトが、【邪龍】では無く【地母神】の
「んー【写輪眼】系列の霊視解析能力もだいぶ馴染んで来ましたし、神通力と【吉祥天】【黒闇天】も合わせて、超越クラス相手でも多少は時短出来る様になりましたね。見えた結果は若干予想外でしたが」
漁夫の利では無いけど、巨大悪魔二体が互いにヘイトを向け合っているため、結果的にゆっくりと解析出来たし、何なら後から出現した方の、出現理由まで因果を辿って調べ上げる事まで出来た。
まあ、出現理由が仮称ティアマトに関連して、と言うのは予想出来てた事だけど、解析してわかったのはティアマトの
元々レヴィアタン自体が、メソポタミア地域の海に関連する神話・伝承から派生したともされるため、七つの頭を持つ蛇の姿を共通点とした二重存在として、出現したと言う事だろう。
そうなると、必然的に連鎖して出現した〝大地の権能〟を持つ、四つ足の獣についても予想は付く訳で、こちらも詳しく解析したところ、グガランナの
ここまでは解析情報として、二重存在だったレヴィアタンに合わせて、二者一対のベヒモスも、メソポタミア関連から似た要素を持つ、グガランナが二重存在として纏う
ただまあ、わからないと言うか、理解しがたい情報としては――
「何でこの二体が積極的に争ってるのかと思いましたけど、種族情報まで二重存在になってるとか、どんな要因が絡まればそんな事になるんですかねぇ。いや、まぁ……私が近くに居たのが影響してそうな気はするんですけどね?だからって、【フード レヴィアタン】なんてのが出現するのは、予想すらしてないんですが??」
うん、そりゃレヴィアタンとベヒモスで積極的に争うよね、と納得した訳だけど、ユダヤの伝承によると、世界の終末に際して、レヴィアタンとベヒモスは争い、相打ちとなって倒れた両者の肉は、終末を越えた人々の食物として供されるらしい。
それらの前提を元に改めて二体の情報を見ると、七つの頭を持つ蛇の悪魔は【地母神/フード ティアマト/レヴィアタン】、山の如き巨大な獣の悪魔は【神獣/フード グガランナ/ベヒモス】、となっているのがわかる。
種族として二重存在になってる事自体が珍しいのもそうだけど、それ以上にレヴィアタンやベヒモス程の有名どころが、フードとして出現している事が純粋に驚きである。
「あ、確証の無い推測でしたけど、因果を辿ればマジで私の概念が影響して出現してますね、この
もしかして、二重存在としてティアマトの
流石に其処までの思惑は因果を辿ろうともわからないが、食材の運命を背負った二体の戦いは、激しさを増していく。
なお、【吉祥天】単体の出力では、現在を起点とした可能性の一部しか見通せないため、必ずしも良い結果を引き寄せられる訳では無い。
その上、認識した二つの可能性の内、どちらか一方との因果を必ず結ばなければいけないため、場合によっては最悪の結果を招く事も起こり得る。
因果の結実は時の流れにより至る故に、因果を認識し干渉する事は、時の流れに干渉する事に通じる。
なお、【黒闇天】単体の出力では、現在に繋がる過去の原因しか見通せないため、因果を断ち切った先の未来が、必ずしも良い結果になる訳では無い。
また、災いが転じて福となる可能性も断ち切る事になるため、より大きな災いを招く事も起こり得る。
因果の連鎖は時の中に埋もれる故に、因果を認識し干渉する事は、時の流れに干渉する事に通じる。
【全体属性魔法】を乗せた【ヤブサメショット】を拳に収束し、螺旋回転させながら【崩拳】と共に打ち込む一撃。
ネタの参考元は某魔法先生の○華崩拳。
なお、極大化と言っても霊力操作が可能な範囲であるため、時間を掛ければ【天津甕星】を発動しなくても可能な行動だが、高速化する超越領域の戦闘では、時間を掛ける余裕が無い場合も多いため、同格以上の相手と戦闘する場面を想定した能力。
ちなみに、【吉祥天】と【黒闇天】の時間流干渉を同時に極大化すれば、停止した時間の世界へ踏み込む事も、可能となるが、相応に霊力の消耗も大きい。
積み重ねた功夫に応じて、低下させられる耐性の段階や種類数、一度に下げられる数を増やす事も可能。
〝○○ガードキル〟と同系統のスキルになるが、極めれば弱点の段階まで耐性を下げられる点が異なる。