【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「さて、他の客は居ないですし、自動収集している情報の整理でもしておきましょうかね」
カズマニキが半個室へ移動した後、今は他に客も来ていないため、つい先日入手した食材達に関してのデータで、味の概念に手を加えてフードとしての性質を向上させ、素材迷宮の最下層に出現場所を造った、三頭一鼎のその後の経過観察や、竜や龍の因子のみを集めて造ったドリー・カドモンスライムに、【ティアマト/レヴィアタン】から概念を抽出して組み込み、試作してみた【造魔 祖龍】の観測データを表示させていく。
【グガランナ/ベヒモス】に関しては、いずれエンドマンモスの再現が出来ないかと思いもしてはいるんだけど、トリコ食材に関しては、先にサラマンダースフィンクス*1を再現出来ないか研究している途中なため、着手するとしてもこっちの研究が一区切りしてからになるかな。
確かトリコのゲームで、ベヘモススフィンクス*2とか言う、体内でメロウサイダー*3を造り出すのもいたはずだし、合わせて研究しておきたいところ。
そんな感じで、現在進めている研究の内、経過観察が必要な情報を整理していると、しばらくしてドアベルが鳴り響き、これまた見知った相手が入店してくる。
「おや、イカネキいらっしゃい。久しぶりですね」
「こんにちわでゲソ、探求ネキ。半終末になってから海路関係で、宗像支部も忙しいでゲソからね」
「前回は豚骨関連で、新ハワイ島の養豚業者を紹介した時でしたっけ」
「表のガイアグループで養豚した分は表の流通が優先されるゲソから、支部の食堂や裏向けの店に回す豚骨まで手が回らなかった件でゲソね。養豚の加護があるだけあって、大量に消費する豚骨を安定補給出来るのは助かってるゲソ」
「大量に消費されていると言えば、霊格有りの豚骨を使ってる訳ですけど、供養とかしてます?」
「供養でゲソ?結界とかあるから大丈夫じゃなイカ?」
「都度【ハマ】とかで浄化してるなら問題ないですけど、数が多ければ、その分積もる塵も多くなりますからね。結界含めた自然浄化が間に合わない場合も有りますし、霊格有りの食材を使ってると、人の感情に触発されて怨念化する事も有りますから」
「あー、半終末で覚醒者も増えてるって話ゲソし、霊障呼び込んで異界に発展する様な事にならないよう、対策は考える必要があるゲソね」
「今特に何かしてないのでしたら、豚供養でもします?確か前世だと福岡の久留米で、十月二日の豚骨の日に豚供養してたみたいですし」
「今世が初福岡でよく知らないでゲソが、語呂合わせと儀式ってのは良さそうでゲソね。それについては福岡支部の方とも相談してみるゲソ。ま、それより前回から増えた商品の確認ゲソ、あっ序でに豚骨麺基本で肉盛りに仙豆味玉と、半チャーに餃子頼むでゲソ」
「そろそろ昼時ですし、話してたら食べたくもなりますね。自分の分も合わせて作りますか、替え玉はどうします?」
「一回目はバリカタで頼むゲソ」
最近の関係から養豚と豚骨関係の話が先に出てしまったけど、一区切りしたところでイカネキはカタログの確認へと移り、話している内に自分も食べたくなったため、注文された料理の用意に合わせて、自身の昼食も作る事に。
使う豚骨は、牛豚鳥・マグロ豚・生姜豚・蟹ブタと、これまで創り出してきた豚の要素を含むトリコ食材の骨で、これに昆布魚や各種野菜に、ジズの骨から取り出した出汁を合わせたのが、最近使っているこってり濃厚な豚骨スープ。
注文されたトッピングの肉盛りは、その時々で内容が変わる叉焼盛り合わせで、今回は加工肉植物の叉焼の葉と、牛豚鳥・マグロ豚・生姜豚・蟹ブタそれぞれから作った物、それから変わり種としてガララワニの叉焼の計六種類を三枚ずつ。
味玉は蓬莱島で育てている、最近霊鳥になってきた烏骨鶏の卵を、悪魔変身能力者御用達の仙豆醤油を使って味付けした半熟卵で、麺は霊能適応させたラー麦*4から製麺した細麺。
コシや伸びにくさのバランスが良い、基本となる茹で加減に調節した麺の上に、用意した具材を盛り付けていけば、豚骨ラーメンの完成となる。
炒飯は米に漆黒米を使い、具材はマグロ豚のツナ叉焼を角切りにした物と、ネギにドンパッチソード、いつも通りに烏骨鶏の卵を使い、風味付けに本味醂〝玄白〟を加えて塩胡椒で味を調え、あっさり目に仕上げる。
餃子はレヴィアタン・ベヒモス・ジズの合い挽き肉に、アーモンドキャベツやドンパッチソードなどの各種野菜と、薬味も兼ねた生姜豚のミンチを加えて混ぜ合わせ、パリッと羽根つきに焼き上げれば出来上がり。
「さ、出来ましたよー」
「おお、待ってた――と言うほど時間掛かってないでゲソね。兎も角、頂きますでゲソ!」
まずは一口と麺を啜り、こってりとした豚骨の旨味とコシのある麺の歯ごたえや風味を楽しんだ後、炒飯で軽くリセットしたら餃子を一口、トリコ食材ほどでは無いとは言え、レベル100オーバーなフード悪魔の肉だけ有って、霊的味覚をダイレクトに刺激する旨味が広がったところで、麺を啜ればさっきとは異なる味が響き出す。
叉焼に味玉、炒飯餃子と組み合わせを変える毎に、変化していく味のコラボレーションを楽しんでいれば、一杯分の麺なんてあっという間に無くなる物で、替え玉のバリカタを入れたら、今度は麺が伸びる前に一気に啜り上げていく。
ちなみに、ラーメンに使う中華麺を製造する際、アルカリ塩水溶液であるかん水を使う関係から、生麺状態だと少し酸っぱい匂いがするのだけど、このかん水は茹でている間にお湯に抜けるため、基本としている茹で加減は、かん水による雑味がラーメンのスープに溶け出し難い茹で時間でもあったりする。
そんな訳で、茹で時間を減らしたバリカタの様な麺は、伸びやすく、かん水の雑味がスープに混ざりやすいため、一気に食べきるのが良い食べ方らしい。
「ラーメンを味わうなら基本でゲソが、バリカタの食感はどうしても止められないでゲソね」
「私は前世だとハリガネかバリカタでしたけど、今世で自作する様になって比較検証したら、前世だとまともに豚骨ラーメンを味わってなかったと気付いた時は、流石にショックでしたねぇ。まあ硬麺の食感も好きなので、何回か替え玉して食べちゃうんですけど」
「具材や他と合わせて楽しむなら、ゆっくり食べられる基本かやわが良いゲソね。と言う訳で、次は「何か暴力的な豚骨の香りがするんですけどぉ?!」ゲソ?」
一回目の替え玉まで食べ終わって、二回目を用意しようかと言ったタイミングで、何と言うか慟哭めいた声が聞こえてくる。
「カズマニキ、何か相談です?」
「相談しに出てきたのはそうだけど、そんな事より俺もその暴力的なラーメンを食わせろ下さいお願いします!!」
「それは構いませんけど、トッピングとかの種類もありますから、カタログの後ろにあるメニューを見て選んで下さいな」
「おー、カズマニキも来てたんでゲソね。とりあえず替え玉、基本で頼むゲソ」
「なら私も同じにしますか、用意とかで多少時間使いますし」
そんなこんなでラーメンを啜るカズマニキが落ち着くまで、スープを継ぎ足しながら替え玉を繰り返し、十数玉ほど食べ終えた頃には、イカネキと私の食事量にドン引きする男の姿があった。
「何処にそんだけの量入ってんだ……?」
「悪魔変身能力者ならこの程度普通じゃなイカ?」
「私は【食没】で全て、栄養と言う名のマグネタイトに変換して蓄えてますから」
「えっ、これ俺がおかしいのか??」
「霊能者を一般常識で語るのが間違いゲソ、そう言う意味なら、おかしいのはカズマニキの方じゃなイカ?」
「あ~……」
「まあそれは良いとして、食事前に言ってた相談したい事って何です?」
「おっとそうだった、カタログにある〝ダイオラマ魔法球*5〟について何だが、内部環境も元ネタみたいに、色々分けて連結とか出来たりするのか?」
食事が終わりイカネキがカタログの確認に戻ったところで、カズマニキに相談の内容を尋ねてみると、どうやら内部空間の仕様詳細についてとの事。
ダイオラマ魔法球は、原作ネタ同様に、外部と内部の時間倍率が異なる空間を構築している物で、異界構築や管理技能を持っていない場合だと、倍率を等倍から六十倍までの変更機能、付属の空間指定魔導具を使った建物などの内部取り込み機能が使えるぐらいで、内部環境の気候などは購入時に設定した物から変更出来ないと言ったところ。
まあこれに関しては、異界関連技術が無くても異界を個人所有したいと言う、黒札らしい要望――具体的には地方実家暮らしで、自由スペースが少ない学生系黒札など――から、各種術式で内部異界を安定させて悪魔の湧きを防ぎ、操作可能範囲を限定する事で、異界系統の素養が足りなくても扱える様に作った物。
なので、魔法球を作成する段階で、連結機能を組み込んでおけば、後から接続する事は可能だし、所有者が異界関連技術を習得したなら、個人で改造する事も可能になったりはする。
「――と言った感じの仕様になってますから、異界関連技術を習得していれば、個人で後から連結機能を付けるのも、内部環境を変えたりも可能にはなりますし、購入後に費用や素材の持ち込みで改造とかは受け付けていますね」
「あー、既製品も有るけどカスタムオーダーも可能なのか。となると、後の拡張性も考えて、最初は連結機能付きの生活空間仕様が良いか」
「カズマニキは個人シェルターか、生産拠点辺りが必要になった感じゲソ?」
「いや、仲魔との契約関係で自由に出来る土地……と言うか、好きな時に魔法の試し打ちが出来る場所を探してたんだが、序でに人目気にせずゆっくり出来る場所も有ればってとこだな。シェルター関係は山梨メインで活動してるし、両親用の権利確保が終われば十分だしな。まあ、最低限やっておくと決めた目標が終わったところで、個人的なあれこれを考え始めた感じだし、個人シェルターや生産拠点ってのも選択としては有りか」
「魔法球自体が壊れない様に各種防護を掛けてますから、内部時間を等倍にしてシェルター代わりにする人も居ますね。基本的には加速時間を使っての熟成や醸造など、時間の掛かる生産品の工房にしてますが、変わった使用方法だと、終末までの遅れを取り戻すための鍛練時間捻出とか、実時間では余裕が無いけど子供が欲しいからとかで、内部で子作りと出産まで終わらせる人なんてのも居ましたね」
「修行時間確保は元ネタ通りでゲソが、子作りなんてして大丈夫でゲソ?」
「余り歓迎したい理由では無いですが、時間加速した異界の中で生まれても〝人間〟として問題無いのは、証明されているんですよね。メシア教の人間牧場で」
これは国内外のメシア教による被害地域で確認された情報だけど、メシアンのペ天使が時間加速した異界内に作っている人間牧場で、信仰MAGの供給源として使える人間が生産されている以上、嫌な話だけど異界だろうと人の子が人として生まれる概念は、成立すると証明された事になる。
まあ異界内と言っても、概念的な交わりによる子作りでは無く、精子と卵子による受精で有れば、普通に人の赤子が生まれると言うだけの話だろうし、正直なところ情報があって良かったとは言いたく無い話だけど、大丈夫だろうと推測するのと、大丈夫だった結果が有るのではやっぱり違う物。
「うげぇ、創作ならそう言うネタでわからんでもないが、現実でやるか?それ……いや、メシアンならやるか。はぁ、まあ情報の出所は兎も角として、異界内部での生活に問題無いなら、やっぱ一つ二つぐらいは持っておきたいとこだな。最大加速で一日が六十日になるってのは、やっぱりデカいし」
「経緯はどうあれ、妊娠していて動けない期間を減らせるのは良い事じゃなイカ?私はそうでも無いゲソが、世継ぎ関係で子供は欲しいけど、妊娠期間の捻出が難しいって金札の話は聞くゲソよ」
「その手の話は出てくるでしょうねぇ。女性の黒札が余り子作りしないのは、子育ての大変さもありますけど、情勢的に妊娠出産している余裕が無いのも有りますし」
「んなこと言ってっけど、探求ネキって今第二子妊娠中じゃなかったっけ?」
「私の場合木分身で動けますからね。ただまあ、状況的に本体で動かないといけない感じも有りますから、一ヶ月ほど早める予定ではいますね。その事話したら、琴音が自分もと言い出して、九月には私の第二子と琴音が私と綴の間で一人ずつ、綴が琴音との子を出産した後、私との間でもう一人出産する事になったので、来月には子供が六人に増える予定ですね」
時期的に琴音の二学期が始まってるけど、そこは加速倍率を三百以上まで上げて、実時間一日で出産まで終わらせる方向で行く事に。
まあ半終末になった事で予想可能になった終末後の環境から、霊格が高いと人間同士の子作りよりも、概念的な神産みに近い現象となる可能性が高くなると推測される以上、気兼ねなく子作り出来る今の内にと思うのは、感情的にも否定出来る訳も無い話。
そんな訳で、私達の家族計画は急遽変更される事になったけど、それぞれの子を一人ずつ産んだところで、これ以降の子作りは終末後に落ち着いてから考える、と言う事で意見を擦り合わせたのが、実は今朝の事だったりする。
「一気に増えるゲソね……。しかし、機能限定でも六十倍って事は、子作りに限定しても上手く行けば六、七日で出産までいけるんじゃなイカ?」
「妊娠し易くする術も道具も有りますから、確り準備すれば産後を考えても七日で何とかなりますね。なのでまあ、地方の異界対策などで時間が殆ど取れないって場合でも、何とかなるって事で購入して行く人も居ますよ。カズマニキみたいな、時間を理由に逃げる男共の退路を断つために準備してる人も居ますが」
「ナ、ナンノコトカナー」
「専用式神って、自身が主人である黒札の子供を産めないですから、代わりとして良い感じの仲になった相手との子供を世話したいと思うパターンが多いんですよね。確か依頼先で助けた一般連合員でゆんゆんって登録名の女子高生でしたっけ?」
「ブッ!」
「カズマニキの年齢なら別に囲っても問題無い相手じゃなイカ?」
「そう言うイカネキはどうする予定です?やる事はやってるみたいですけど」
「流石に避妊はしてるゲソよ。たけるも、跡継ぎはある程度戦える実力が付いてから、って言ってるゲソ。特に半終末入ってから海路が危険になった影響も出てるゲソし、海洋系デビルシフターの私が抜ける穴を塞ぐ戦力は無いゲソ」
「たけるって、宗像の地方組織をまとめてる相沢家のか?去年の解放作戦でも仲よさそうだったが、確か今年中一になったばかりじゃなかったっけか……」
「愛の前に年齢なんて些細な話ゲソ」
そう言って立派に育った胸を張るイカネキは、親友の弟で年の差七歳ほどの少年と恋人になって、おねショタに目覚めた遍歴の持ち主である。
たける君に関しては、対人交渉能力や組織調整力と言った実務面の能力が高く、学力方面の地頭も良いようで、実力なんかは最低限覚醒していれば十分では?との話もあったらしい程の優良物件だそうで。
イカネキ的にも時間が許すなら妊娠出産も吝かではないらしいけど、地方の戦力的に抜けるわけに行かない情勢が続いている事もあってか、宗像――と言うより福岡全体の防衛体制が整うまでは見送り、という状態との事。
ちなみに私と件のたける君に関しては、私の闇市店にたける君とイカネキ二人で初めて来た時から、色々と鍛練用品や技術指導なんかをしている関係だったりするが、店に辿り着いた経緯というのも、好きな人といずれ生まれる子供を守れる様になりたいと言う理由からの物。
そのために努力している男の子を否定する様な、野暮は出来ないと言う事で、イカネキとしてもたける君が納得出来るまで子作りは待つ事にしているらしい。
と言ってもやる事はやってるし、プレイ用の道具とかも結構買い込んでいるみたいだけど、まあたける君の性癖がイカネキにアジャストされる分には問題無いでしょう、多分。
「些細な話は理解しますけど、状況的に防衛関連を梃入れするネタ探しですか?」
「序でに消耗品の補充とかも有るゲソけど、メインはそれでゲソね」
「地方の防衛つっても、一個人でどうにかなる話しなのか?」
「支部の一般連合員にも手が出せる範囲で、大量生産出来て効率の良い道具か、或いは数人で黒札の代わりが出来る様な、支部の戦力として計算出来る装備ってところでしょうね。基本的にはデモニカが今の主流ですが」
「デモニカなら、霊山同盟支部*6経由で買える分は買ってるゲソよ。補助金や専用のローン組んだりしてるゲソけど、物になっても上限30じゃ特記戦力になれんゲソ。まあ細々とした依頼は金札や銀札で対処出来る様になってきたゲソから、費用を捻出した甲斐は有ったゲソね」
「そういやデモニカなんてのも有ったな……」
「最近はデモニカも色んなバリエーションが増えてますけどね、本来のパワードスーツの延長で仮面ライダー型とか、武装を纏う系統のは大体派生で作られてますし、魔法少女系とかを目指してるグループがいたり、私もデュエルディスク型とか作りましたが。まあ宗像や福岡全体として、基本的な装備のルートは出来てるみたいですし、必要なのはもっと大掛かりな物ですかねぇ……。ちなみに、船関係の方は何処まで梃入れしてます?」
「新潟とか呉の関係で付喪神艦隊*7の一部に出資して、海上航路や海洋悪魔討伐の戦力に計上しているゲソ。一応支部専属の付喪神艦の確保には動いて居るゲソけど、未だ時間が掛かるんじゃなイカってとこゲソ」
「へぇー、福岡の方って今そんな感じになってんのね。そういや探求ネキの拠点って、どっかの無人島を改造した物って聞いた気がするんだが、防衛とかどうしてんだ?」
「私のところは仙境として位相をズラす結界を敷いて、専用の割り符が無いと見つけられない様にしてますから、直接船などで来れるのは割り符を渡してる智ニキぐらいですね。後は山梨第二支部や巌戸台支部に設置してある、ターミナルとかの転移装置で直接跳ぶぐらいしか、外部から来る方法は用意してないですから、太平洋に出没する悪魔の襲撃は今のところないですね」
「殆ど引きこもってる感じゲソか、海で漁する場合の対処はどうしてるゲソ?」
「私の場合は食欲界に世界中の魚介類も入れてますから、食べたくなったらそっちで獲ってますけど、そう言えば以前に智ニキから対抗手段の相談をされた事がありましたね」
その時に相談された内容としては、半終末になってから出現する様になった、数メートルから時には十メートルを超える事もある海洋系の悪魔に関しての話。
智ニキ自身は、新ハワイ島に作られているカマプアアの異界での悪魔討伐がメインな仕事で、漁に出たりするのは、厄介な悪魔が島周辺に居座ってる時ぐらいらしいんだけど、島民には漁師もいるわけで、そう言った人達が海洋系悪魔に遭遇する事が増えてきたってのが、相談された経緯。
出現する悪魔が大きくなりがちな事も有り、霊格的な問題も含めて普通の装備だと対処しきれないと言う事で、最初は戦闘用の船を作るのも考えたけど、新規に作る場合の費用を捻出するのが難しいと言われ、それなら大きな敵を相手にする目的で作った物として丁度良いって事で、役目を終えた超機人の試作機を手直しして渡したのが先月の事。
ちなみに渡した機体は、未覚醒者でも悪魔と戦闘可能にする事を前提としており、操作方法は思考制御による基本動作と、モーションパターン呼び出しによる戦闘動作を合わせた物で、機体カメラには霊視術式を組み込み、未覚醒者でもモニタに映る悪魔を認識可能、超機人自体の動力炉から生み出されるマグネタイトを使う事で、搭乗者が霊力を扱えなくても最低限の戦闘能力を発揮可能にしている。
まあ未覚醒者でも戦えはするだけで、十全に性能を発揮するなら覚醒者の方が望ましいのは当然の話だけども。
「――と言った経緯があって、
「メガテン世界で、何でスパロボやってんですかねぇ……」
「超力戦艦ヤソマガツなんてのが、過去に存在していた時点で今更では?」
「え?アレってマジで実在したの?この世界で??」
「過去視では十四代目ライドウが戦って切り倒してましたね。過去に存在していたならって事で、ロボ部が復活を目標に活動してるみたいですが」
「海洋関係を考えるとヤソマガツも気になるゲソけど、それより試作超機人の方が気になるゲソ、それって量産したりは出来なイカ?海上と海中で戦闘出来るなら、戦力増強に使えると思うゲソよ」
「あくまで試作機を改造しただけですからねぇ。量産を前提に設計を見直して、コックピット以外を装甲護符での代用のみに限定、使用素材は個別に変更する感じにしたとして……。多少前後するでしょうけど、一機辺りの費用はこんな感じになるかと思いますよ?」
「ぬぅ……悩ましいゲソね。でも、デモニカと同様に未覚醒者が覚醒する可能性も有るゲソ。うん、とりあえず福岡支部とも話をしてからまた連絡するゲソよ」
「では、一応量産可能な範囲でのスペックぐらいは詰めておきますね。生産用の工場を作る場合の費用とかは、何処までを福岡側で賄うかで変わるので、未だ要らないでしょうし」
「そういやロボってんなら、それこそロボ部が作ってる奴じゃ駄目なのか?前興味本位で見た値段より、探求ネキの方が高くなりそう何だが」
「あっちは陸地が基本で、海上は付喪神艦隊で対処してるゲソよ。艦艇はそっちで交渉してるゲソから、陸海空で使える汎用機は、一考の余地があるゲソね」
「そんなもんか、っと、だいぶ話し込んじまったか。魔法球で頼みたい設定とか考えるから個室に戻るわ」
何となくの流れでダラダラと話していたけど、元々の用事は済んでいたのを思い出したのか、カズマニキが席へと戻って行くのに合わせて話が区切られると、イカネキが改まった様子で口を開く。
「よし、カズマニキがいない内にいつものアイテムと、新商品の部分変化薬も十個程頼むゲソ、それからこれとこっちも良さそうでゲソね」
「相変わらず疑似産卵プレイが捗ってるんですね。触手と合わせてだいぶ性癖歪ませてません?」
「否定はしないゲソけど、たけるがそれで良いって言ってくれてるから問題無いゲソ。それより、近いうちに鍛練状況の確認もお願いするゲソよ」
「確認は構いませんよ。都合の良い日に連絡貰えば木分身送りますから、ではいつもの卵の種複数タイプと通常、大型をそれぞれ百個ずつに精力増強の丹薬も同数、追加で部分変化薬十個に小道具類ですね」
流石にカズマニキの前でエログッズとかをやり取りするのは嫌だった様で、二人になった所で毎度購入するアイテムと一緒に、先程まで話してる間に目星を付けてたらしい商品を注文するイカネキ。
「それじゃやるべき事はさっさと済ませるに限るゲソし、福岡支部長に話て来るゲソ。たけるの都合を聞いたらまた連絡するゲソよ!」
「毎度、またどうぞ」
毎度の事で慣れてるのもあり、受け渡しと入金をさっさと済ませると用事は全部終わったのか、退店していくイカネキを見送れば、イカネキが元気一杯だっただけに、店内がより静かになった様にも感じてくる。
「とりあえず豚骨の匂いは消して起きますか、それと実現するかはわかりませんけど、時間はありますし、量産型の設計もしておきましょうかね」
浄化術式で店内の匂いなどをリセットした後、気分転換も兼ねて霊薬香を煙管で吹かし、超機人関連の設計データを手元のタブレットに呼び出すと、コンセプトは量産型と言う事で、手直しした試作機をベースに、使用する素材や強度などを見直して行く。
現地で作って組み立て出来る方が良いだろうから、コックピットの大部分は機械生産可能にして、動力炉の五行器作成はそれなりに技量が必要なため、技術を学びたいって人が居るなら、
「そうなると、一つ一つ作るのは手間ですし、アトリエ式錬金釜で量産出来る様に、五行器自体も改良してみますかね……」
今拠点でも日常的に使用している五行器については、オカルト否定概念に思い至る前に作ってた物だけあって、製造には割と細かい調整が必要になってる訳だけど、物理もオカルトの範囲と認識して量子力学と合わせて考えると、機械的な演算・制御機能と動力炉本体を一つにまとめた、動力結晶的な形にする事も可能になってたりする。
そんな訳で、制御用の機械などがあってゴテゴテしていた五行器を、ボウリング玉程度の球体結晶に収まる様設計し直して、ファンタジー的な填め込めば動力炉として機能する、宝玉として作り直し、新式の宝玉型五行器*8を含めた量産型超機人の設計を書き上げる。
「散々やって来ただけ有って、とりあえずの形にするぐらいなら、さほど時間が掛からなくなりましたね。とりあえず福岡の防衛用で設計した訳ですし、開発名称は〝
出来上がった設計図は拠点の方に送っておいて、工房にいる木分身の私で試作し、問題が無い事を確かめたところで開発はさっくりと終わり、序でに改良した五行器を、旧式のと取り替える作業が新たに発生したけど、それは拠点にいる私の話なので置いておく。
「さて、そろそろ夕方になりますし、ここに来る客も増えてきそうですから、接客担当を増やしますか。と言う訳で湯乃葉も頼みますね」
「はいはい、わかってるわ。代わりに今夜の報酬は弾んで貰うわよ?」
「現物はもちろんですけど、本体が妊娠中ですし、分身で良いなら確り相手しますよ」
「それで構わないわ♪」
拠点の方から【サバトマ】で喚び出した湯乃葉も接客担当に加え、追加で喚び出した九十九式自動人形も合わせて配置が終わった頃、本日三度目の入店を知らせる鈴の音が響く。
「マスター、ビールと餃子、後焼き鳥の盛り合わせ頼むわ」
「ここは居酒屋じゃ無いんですが?」
「こっちはラーメン定食、醤油で頼んます」
「今日はカレーな気分だし、探求ネキ、ラビカツカレー大盛りお願い」
「やっぱり今回もこうなる訳ねぇ」
ドアを開けるなり料理の注文を投げかけてくるのは、毎度の常連になってる黒札連中で、具体的に言えば製造を主体にしていないスケベ部員。
いの一番に酒を注文してきたスタンクニキを筆頭に、エログッズはいつでも買えるからと、期間限定の飯処的な扱いになってるのは、気安さの表れだろうか。
「はいはい、酒を飲むのは良いですけど、盛るなら個室に行って後始末まで確りして下さいね」
そんなこんなで、夏の祭は半終末で有ろうとも変わらず、賑やかに過ぎ去って行く。
内部に設置する物は、地上から持ち込むか、資材を運び込んで一から作る必要がある代わりに、壺中天地と違い異界管理技能が無くても使用可能な道具。
また、設置型の道具であり、起動時に展開される結界が崩れた場合は、内部毎時間停止状態となり、外部干渉による被害から防護する。
機械的な演算や制御機能と、動力炉本体としての機能を一纏めにした球形の動力結晶体で、ファンタジー的な填め込むだけで動力炉として機能する簡便さが有り、出力としても旧来の五行器以上の性能を発揮する。
動力炉に宝玉型五行器、装甲・結晶筋肉・骨格は装甲護符により展開構築される仕組みで、元ネタの超機人とは異なり、自意識は搭載していないため自律性は無い。
拡張性や汎用性の有る量産機をメインコンセプトに、多様な場面で使用可能とするため、機体の大部分が装甲護符により構築されるシンプルな構造である事を活かし、機体を10メートルから30メートルの範囲で、5メートル刻みに縮尺を変化させる機能があり、重力制御による飛行能力と、空中での踏み込みを可能にする足場結界展開能力、空気や海水などの抵抗を低減する流体制御機能が搭載されている。
イカネキ現在二十歳頃の大学生、親友である相沢栄子の弟たける(13歳)と交際しているおねショタ系。
相沢家家長の長女千鶴については、嵐山悟郎と結婚済み、イカネキとたけるの間に子供が生まれたら、そっちに家長を譲るか、ぐらいの考え。
後、カズマニキは居酒屋のノリに付き合わされつつ、魔法球含めた色々を買い込み、