【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「さて、押しかけさせて貰ったメインの理由は頂いた情報の対価を渡しに来た事ですが、序でと言っては何ですけど、イズナちゃんがフィレモン式のペルソナ能力者と聞いたので、後々のために
九月も下旬に入った頃、宮城県は幼女ネキの拠点へと訪れ、一先ずの来訪理由――【螺旋丸】関連の情報を貰った対価を渡すためとの話を伝えたところで、もう一つの目的についても、隠すことでもないので合わせて話しておく。
まあ本人に直接では無く、保護者の幼女ネキのみにだけども。
「そうか、フィレモン式ならいずれペルソナの付け替えや合体なども必要になるものな。ところで、ベルベットルームへの扉は私も開けて入れるのか?」
「そうですね、幼女ネキはペルソナ使いでは無いとは言え、影時間への適性もありますし、デビルシフターの側面からアルカニスト方面の技術を習得出来れば、可能性はあるかと」
「アルカニスト?」
「メガテンのTRPGに登場する職業と言うか、クラスの一つですね。集合的無意識からペルソナを汲み取るのでは無く、タロットの大アルカナに沿って悪魔の力をペルソナとして形作り憑依させる、降霊術の一種を専門に扱う術者になります。デビルシフターが悪魔カードを突っ込んで変身先を増やす様に、ペルソナカードで憑依させる仮面を切り替える様な感じですかね?*1」
「ん?聞く感じだとペルソナ関連っぽいが、集合的無意識関連のベルベットルームとは、微妙にずれてる気がするんだが……」
「この場合の悪魔と言うのも、人の認知により形作られる外枠みたいな物ですし、アルカニストの方も人の精神が関わる点は変わりませんからね。精神と物質の狭間へ扉を繋げる技術にも応用が利く訳です」
「そう言う物か、まあイズナのペルソナに関しては、ノワールとかとも相談して決めるとして、とりあえず私がベルベットルームへ行ける様になっておくのが先だな」
「ワイルド以外は場所も共通*2ですから、一度行った後は扉を繋げる感覚を覚えれば直ぐですよ」
本題の合体技関係と、ペルソナ関連の話のどちらから進めるかと考えはしたものの、結局は当人に話すかどうかを保護者である幼女ネキ達に委ねる関係から、ペルソナ関係の話をさっさと終わらせる事に。
ベルベットルームに扉を繋げ、数度のトライで幼女ネキ単独でも繋げられる様になったところで、序での用事は一先ず終了、後は家族会議なりでもして、何とかするでしょう。
ペルソナ関連だと、スライムニキに話を聞きに行くのも良いでしょうし。
そうした細々とした話が終わり、ようやく本題の合体技関連の話に入ると言う事で、先に外で遊んでいたイズナちゃんや琴音達のところへと向かうと――
「あ、
「おっと、集中切らしちゃ駄目だよ~」
「あわわ!済みませんハム子ネキ殿!」
「おや、【壁面歩行*3】の鍛練ですか」
「ほぅ面白そうな事してるな!私も混ざるぞ!」
どうやら【螺旋丸】からNARUTO繋がりでの、技術鍛練も兼ねた遊びをしていた様で、体幹や筋力勝負な吸着術式による【壁走り】では無く、習得出来れば天井に張り付く様な忍者ムーブも可能になる、重力操作を含む上位スキル【壁面歩行】の方を教えていたらしく、集中力を切らして木の側面から落ちたイズナちゃんを琴音が抱き留めるところだった。
傍目から見て忍者修行の様な遊びだからか、幼女ネキも参加して十数分ほど経過して、スキル習得まで行ったところで、ようやく今回の本題へと入る事になる。
「さて、程好く準備運動にもなった様ですし、合体技に関する話を始めましょうか」
「よろしくお願いします。探求ネキ殿!」
「主題は十四代目の技術についてだったか?何やら話しぶり的に、【螺旋丸】の性質変化とはだいぶ違うみたいだが」
「そうですね。まず私なりの解釈と分類として、合体技は大体三種類に分けられると考えています」
まずは合体技に関する考え方だけど、前提として、合体後は一つの術技として成立している物についての考察で、スパロボの合体技的なコンビネーション系統は対象外な事は先にあげておく。
一つ目は主体となる術技と同属性、または別属性の術技を組み合わせる〝共鳴型〟で、合体魔法と考えたら、まず思い浮かべるだろう系統。
わかり易い例だと、火に風を合わせて火炎旋風を作り出す様な感じで、ファンタジー系の創作によくある、主体とした属性の効果を相乗させ、一段か二段上の効果を発揮させるタイプになる。
二つ目は二種類以上の異なる術技の特性をそれぞれ残しながら、効果を乗算する〝融合型〟で、【螺旋丸】に性質変化を組み込んだのは、この系統に分類される。
例としては、【アギ】と【ハマ】を合わせて〝浄化の炎〟とした場合、火炎属性と破魔属性をそれぞれ持ちつつ、悪魔の種族として【幽鬼】や【屍鬼】などの〝不浄〟に類する対象への特攻効果を持つ様に、単体でそれぞれ使うよりも高い効果を得られるが、その代わり合体技として成立させるには、高い技量を要求されるタイプになる。
三つ目は二種類以上の異なる術技を合わせ、元の術技とは異なる特性を発揮する〝昇華型〟で、NARUTOだと水+風の【氷遁】や土+火の【溶遁】と言った血継限界、有名どころだとダイの大冒険に登場する、メラ系とヒャド系を混ぜ合わせた【
なお、当初幼女ネキからの資料が送られてきた理由の、P3に登場した〝ミックスレイド〟に関しては、そもそも術技を元にして合体させている訳では無く、ワイルドが宿す特定の組み合わせのペルソナが呼応して、特殊なスキルとして発動可能になる物のため、合体技とは別系統の技能になる*4。
「まあ分類と言っても被るところもあったりしますから、傾向の違い程度の意味ですけどね。で、今回の本題である十四代目ライドウの合体技は、主に融合型の技術になります」
「そう言えば火炎属性を纏った回転斬りで、【焔魔撃斬】とかもあったな」
「【ジャックランタン】とかの、火炎属性が得意な悪魔との合体技の一つだね。十四代目と言うか、当時の葛葉だとポピュラーな技術だったみたいなんだよね、悪魔の得意な能力との合体技」
「そうなんですか?ハム子ネキ殿」
「そもそも悪魔と契約したり、召喚して使役するってのが高等技術で、使える術者もそう多く無かったってのはあるけど、
「やっている事的には、術技同士を合わせる合体技っぽく無いですけど、契約している悪魔との
と言う訳で、軽く結界を張って周囲からの目隠しと影響を出さない様にして、【
「今回は、先に幼女ネキが例に挙げた【焔魔撃斬】で行きましょうか。【アギ】系を使える悪魔と契約していれば可能な合体技ですから、湯乃葉との契約で使えますので」
「悪魔の種族による制限は無いのか?」
「そこは現実だからと言う部分ですね。文献にも簡単な合体技の対象は霊格の低い悪魔の名前が載ってますが、より上位の霊格を持つ悪魔が下位の技を使えないって事は余りないですよ。基本的に霊格の高い悪魔と合体技を使う場合、最も効果の高い技が必要な場面ばかりなので、下位の合体技を使う事がほぼ無いだけですし」
「私の場合なら、火炎と電撃、呪殺系統はいけるわね」
「では行きましょうか、【焔魔撃斬】」
続いて自作の刀を取り出して構え、封魔管を通して湯乃葉と繋がる
幼女ネキやイズナちゃんからも工程がよく見える様に、丁寧に手順を踏んでゆっくりと、しかし淀みなく力を融合させて【焔魔撃斬】――火炎属性を纏った回転斬りを放つと、燃え盛る炎の轟音と共に、標的として創り出した岩の上部が切り落とされ、溶断された断面は瞬間的に溶け固まった事で、硝子の様な状態を見せる。
「と、こんな感じですね。練度が低いと、斬撃の軌道に沿って火炎属性で燃やす程度ですし、ダメージも物理相性の斬撃がメインになるので、物理耐性での軽減や【
「おおっ!凄いです探求ネキ殿!岩の断面が溶けてガラスみたいですよ
「流石の技量と言うしかないな。にしても、二属性同時というのは良いが、結局は物理攻撃の枠になるのか?」
「技量と練度を高めて、確り霊力と悪魔の属性MAGを融合させられれば、斬撃の物理と火炎の魔法が重複する二重属性になりますよ。軽減や無効化するなら物理と火炎両方の相性が耐性や無効以上必要になりますし、【
「なるほど、流石に全盛期のヤタガラスや葛葉が用いてただけはあるってことか。あ、質問なんだが、合体技使えるのは封魔管を経由する場合だけか?」
「悪魔召喚プログラムで契約している場合でも一応は可能ですね。ただまあ連携が取れないと難しいので、信頼関係とか戦闘経験とかの積み重ねと技量が余分に必要になります。封魔管なら
「でもって、悪魔との契約ラインを使っての合体技が出来るなら、他の契約でも出来るんじゃ無いかって試して見たのがあるから、次は綴さんが実演かな?同じフィレモン式のペルソナ能力だから、イズナちゃんは確り見ててね」
「わかりました!よろしくお願いします、綴殿」
「イズナちゃんの糧になれる様頑張りますね。ただ、範囲が大きくなりそうなので、近付きすぎない様に注意して下さいね?ペルソナ、【塔 ヨシツネ】!」
私と入れ替わりに進み出た綴の周囲に、標的の岩を複数創り出して結界を更に強化し、これから発動する合体技の影響が外に漏れ出ない様に対策を取り、準備が出来たことを伝えると、綴が実演の準備に移る。
今回綴が付けたペルソナ、【塔 ヨシツネ】で発動可能にした合体技は、吹き飛ばし効果のある広範囲物理攻撃を術者の周囲へ放つ【震天大雷】と言う技。
使用可能になる契約悪魔として文献に載っていたのは【トール】と【ヨシツネ】の二種*5で、合体技の内容的に力の強い悪魔であれば、他にも使用可能になるかと思われる話だけど、その辺は調べたい黒札が調べるだろうって事で。
兎も角、本来なら悪魔としての【ヨシツネ】との合体技だけど、心の海に在る同じ【ヨシツネ】と言う形から概念を乗せたMAGを取り出し、霊力と混ぜ合わせる事で合体技を構築する。
「【震天大雷】!」
トリガーとして綴が技名を告げるのに合わせ、綴を中心として衝撃が走り、周囲に用意した岩が砕け吹き飛んでいく。
吹き飛ばされた岩の破片や放出された衝撃が吹き荒れた後は、綺麗に地均しされた様な地面が広がっていた。
「おおっ!幾つも有った岩が綺麗に砕けてます!ペルソナが悪魔の名前を持つところから、力を引き出しているのですね」
「ペルソナが悪魔の名前と形を持つのも、
「出来るだけ抑えて発動してみましたけど、まだ味方を影響から除外するのは難しい感じですね。しばらくは巻き込まない程度に離れてる時用ってところです」
「ま、【震天大雷】辺りの広範囲合体技使うの何てタルタロスぐらいだろうし、巻き込み関連は追々で良いんじゃない?綴さんは今まで単体か、前方中範囲ぐらいの技が基本だったし、勝手の違う技術だと時間掛かるでしょ」
「う~む、仲魔との合体技だけでなく、ペルソナから引き出した力とも合体技できるのか……。となると、デビルシフターの悪魔でも同じ事が出来るか?いや、私自身が変化してる訳だから、流石に無理か?」
「あ、幼女ネキの言う、変身先悪魔を使っての合体技も、理論上は可能ですよ。まあ試したのは、悪魔カードを使って力を引き出す感じですが、デビルシフターも悪魔カードを使って変身先を増やしたり出来ますから、同じ様に変身先悪魔の力と、術者本来の霊力を合わせられたらってところですね」
「そうか、なら練習してみるのも良さそうだな。折角変身先に【スサノオ】もある事だし、いずれ【天命滅門】でも使える様になれば、手札の一つになるだろうしな」
「切れる手札はいくら在っても困りませんからね。そうだ、序でに他のタイプの合体技も見せておきましょうか、知っていれば何かしらの発想の元になったりしますし」
「んー、別タイプって事なら、私のミックスレイドも見せて置いた方が良さそうかな?まあ今のところ一人で行うタイプが続いてたし、先に協力する方で行こっか。火炎属性は最初にしたし、今回は疾風で私と瑞樹の二人かな」
「標的出したら私から始めましょうか。【マグナ】っと、それじゃ行きますよ?ペルソナ【ガル】」
「オッケー重ねるよ、ペルソナ【ガル】!」
『【龍飛天翔*6】!』
と言う事で、今度はP2式の複数人で行う合体魔法を実演するため、私と琴音の二人で【ガル】を発動する。
同じ標的の岩を起点として、重なる様に同時発動した【
ものの数秒程で竜巻が収まった後には、削り潰され微細な砂の山となった岩だった物が残されていた。
「ただの【ガル】二発でこれか……」
「合体魔法の練度が低い状態でも、単純に【ガル】二回分の威力の七倍ぐらいになるし、練度が上がれば術者二人の技量に応じて更に上がって行ったからねぇ」
「それと、今回はペルソナ経由で合体魔法使いましたけど、簡易式神で試してみたところ、ペルソナ能力が無くても合体魔法は可能でしたし、霊力制御能力に特化させたら威力が更に上がりましたから、レベルの上がり難い金札やデモニカ利用者にとって、合体魔法は使い勝手の良い技術かもしれませんね」
実験内容としては、使用する霊力量と発動する術式を同じにした簡易式神を六体用意し、その内二体は魔力ステータスに当たる霊力の質に特化させて単発での威力を上げ、もう二体は技量に当たる霊力操作・制御能力に特化させて、発動場所や範囲などに寸分の狂いも出ない様にし、手を加えていない二体との威力比較をすると言う物。
基準となる二体の能力を魔力10・技量10、単発威力が5・合体後が72とした場合*7、質を上げて魔力20程にした二体では、単発威力が倍の10になった分、合体後の威力も基準の倍の144となっており、威力自体は上がっていても合体魔法の倍率に変化は見られなかった。
一方、制御能力を上げて技量20程にした二体の方では、単発威力は基準と同じ5だったけど、合体後の威力は倍以上の150程と、合体魔法自体の倍率に変化が生じる事が判明した。
結果として、合体魔法には単純な威力に直結する霊力の質以外にも、魔法同士を共鳴させ効果を引き上げる霊力操作・制御能力が重要で、技量が上がればその分威力も上がるため、地道な研鑽が実を結ぶ技術と言えるかもしれない。
多分だけど、P2式の合体魔法に関して技量の影響が大きいのは、P2だと魔法の威力は
まあ、イズナちゃんに前世関連の事を何所まで話して良いのかわからないし、この辺の細々とした考察は省くことになるんだけども。
「霊力の質は鍛練だとさほど上がりませんし、
「低レベル向け技術みたいに言ってますけど、確かペルソナ側と自身とで共鳴させて、瑞樹さん一人で発動可能にしてませんでしたっけ?」
「多少時間を掛ければ出来る程度*8ですよ。消費霊力量は抑えられますけど、戦闘で使える技術とはまだまだ言えないレベルですね。今のところ使う場面があるとすれば、代用の難しい効果で合体魔法を使う方が効率が良い時か、或いは固有スキルぐらいの速度で発動出来る様になるかってところです」
「ふむ……。代用が難しい効果の合体魔法ってどんなのがあるんだ?」
「そうですね、例えば氷結属性ダメージと耐性が無ければ確定氷結効果の【アイスブラスト*9】や【アイスクラッシュ*10】、電撃属性版で確定感電効果の【サンダーブラスト*11】や【サンダークラッシュ*12】、破魔属性や呪殺属性以外の即死効果を与える合体魔法で、火炎の【メガロファイア*13】、水撃の【メイルストローム*14】、疾風の【ストームナイトメア*15】、地変の【ヘルデザート*16】なんてのも有りますよ」
「あ、あの~探求ネキ殿?氷結と電撃確定状態異常は兎も角として、破魔と呪殺以外の即死効果は、もしかして【テトラジャ】の即死無効では防げなかったりするのでしょうか……?」
「イズナちゃんが知っている、或いは使用可能な【テトラジャ】が、破魔か呪殺による即死を防ぐ効果なら素通しになりますね。同じスキル名ですけど、【テトラジャ】には破魔と呪殺を防ぐタイプの他に、即死効果その物を防ぐタイプ*17も有りますから、こっちなら効果中は大丈夫でしょうね。破魔呪殺のみの方でも、即死対策関連の術式を修練する事で、即死効果自体を無効化も出来る様になったりしますから、自分の使える手札は確りと把握するのが大事ですね。まあ即死関係は状態異常からの即死コンボなんてのも色々有りますから、破魔呪殺の対策は基本として、身代わり系アイテムなどで追加の対策、なんてのも普通だったりしますが」
「相変わらずクソみたいな環境だが、それでも適応して行かないとな。イズナも気になることがあったら、さっきみたいに確り確認する様にな」
「はい!
「それじゃ次は私のミックスレイド行くよ。流石に攻撃系は影響範囲が大きすぎるから、補助系ね【インフィニティ】!」
P2式の合体魔法に関しての区切りが付いたところで、今度は琴音がワイルドとしての特性から、内包するペルソナ【太陽 ヴィシュヌ】と【永劫 アナンタ】を共鳴させ、心の海から浮かび上がるスキル【インフィニティ】を発動させる。
このスキルの効果は、
「と、ミックスレイドはこんな感じだけど、どう?」
「う~む、影時間適性は一応あっても、厳密にはペルソナ使いではないからなぁ。私からは普通のスキルとはちょっと違う感じがした程度だな。イズナやノワールはどうだ?」
「ん~と、何か二つのペルソナを同時に憑依しようとしてるみたいな感じがしました
「こちらも同じですねマスター、自身の異なる側面を同時に被せようとして、弾かれる様にスキルが発動された様に感じます。正直なぜペルソナが砕けてないのか不思議なくらいですが……」
「そこが愚者のアルカナであるワイルドが持つ特性の一つでしょうね。フィレモン式の確立した超自我による自己の多面性とは異なる、何者でも無いから何にでも成れる多様性、可能性の体現。ミックスレイドは柔軟で強靱な精神だからこそ、なせる技法と言ったところですね」
「まあハム子ネキ以外だとショタおじぐらいしか無理ってことか。そもそもワイルド特性が前提って事だし、ミックスレイドに関しては無理に試そうとしない方が良さそうだな」
「やってやれない事は無いと思うんだけどな~」
「ミックスレイドについてはこの辺で良いとして、融合型、共鳴型も見せましたから、後は昇華型ですね」
ミックスレイドに関しては、ワイルド特性持ち以外が使用出来る可能性も低いため、今回の実演も一応と言うだけの話なんだけど、琴音がちょっと拗ねた様に口を尖らせてるのは、共感して貰えない微妙な仲間外れ感があるからだろうか。
まあフォローは家に帰ってからするとして、合体技関連の最後の一つ、昇華型の実演準備に取りかかる。
標的として、今回は長さ十メートル以上の岩を創り出し、万一でも周辺被害が出ない様に結界も張り直して行く。
「結界を張り直すとなると準備も入念な感じだな。標的が細長い岩で、位置的に厚みを持たせるってところだろうし、貫通力の高い技か?」
「どんな合体技なのか、楽しみですね
「もったいぶるのも何ですし、早速始めましょうか。【アギ】【ブフ】合成、【
両手に最小威力で作りだした【アギ】と【ブフ】を混ぜ合わせ、対消滅させる事により発生したエネルギーを制御、標的の岩に狙いを定めて解き放つと、音も無く迸る閃光が、大気の分子すらも消滅させながら突き進む。
岩を丁度貫通した辺りで内包するエネルギーが全て消費され、一拍程の間の後、瞬間的に真空状態となった魔法の通った空間へ周囲の空気が流れ込み、大気の鳴動が轟き渡る。
「ふぅ、消滅させる範囲はちょっと想定を超えましたけど、制御の方はまずまずですね」
「おおっメドローアか!例題に上がってたからもしかしてとは思ったが、既に完成してたのか!」
「
「相性無視だし、威力も攻撃速度も有って強いけど、【マカラブレイク】とかの反射結界破壊効果は組み込め無いんだっけ?」
「元ネタにしたダイの大冒険の認知が強いからでしょうね。他の黒札にしても【
「そもそも反射とかを警戒せずに大技とか使いませんから、それほど問題でも無いですよね。時々反射張ったり、バフ積んだ状態で襲ってくるシャドウとかも居ましたし」
「相変わらずタルタロスは地獄なのか……。あ、いくら修羅勢候補と呼ばれているとは言え、流石にイズナはタルタロス攻略に参加させないからな?」
「いやいや、本人が望んでるなら兎も角、生まれたばかりの子を親の目の届かないところに連れてったりしないって、これでも私だって父親で母親になったんだから。まあ影時間適性が有って、レベル上げしたいペルソナ使いがいれば、レベルに合わせた戦い方の指導ぐらいはするけどね」
私が一回目の妊娠してた頃とか、今年の初め頃とかの一時期、タルタロスの間引き作業や攻略に加われるメンバー探しで、ペルソナ使いを手当たり次第に勧誘していた影響なのか、掲示板などの一部で〝妖怪タルタロス誘い〟何て言われてるのは本人も知ってる訳で、幼女ネキの釘刺しに苦笑を浮かべて琴音が言葉を返す。
「足掛け五年も掛かりましたけど、タルタロスの攻略はようやく目処が見えてきましたから、シャドウ異界関連行くならマヨナカテレビか、メメントスの方を手伝って貰えると助かる感じですね。まあ目処が立ったと言っても最深部だろう場所にようやく辿り着いて、探索再開する準備が終わったところなので、ここからどれだけ掛かるかはわからないですが」
「ああ、少し前にやる夫ニキの所でイズナの適性確認してきたし、必要があればあっちから声が掛かるだろ。少なくともマヨナカテレビなら、バックアップ含めて問題無いのはわかってるからな」
「そっちの伝手もあるならまあ大丈夫ですね。これ以上不確定な話をするのも何ですし、とりあえず合体技に関して、文献から掘り起こした内容と、私なりの解釈をまとめた技術書は置いていきますね。不明点とか有ったら、山梨なり蓬莱島なりに来て貰えれば、私の木分身が居ますので対応出来ますから」
「何か貰いすぎな気もするが、まあ貰えるもんは貰っとくか。それじゃ、後は合体技の練習だな!」
そうして幼女ネキの拠点訪問と合体技に関する話をして、技術指導と言いつつ半ば以上遊び倒した一日が賑やかに過ぎていく。
火炎属性と氷結属性の、相反する熱量を操る魔法を対消滅させる事で、物質を素粒子単位まで分解する程の高エネルギーを発生させ、放つと言う物。
属性耐性での軽減を受けない〝相性無視〟の性質を持つが、魔法ではあるため、【マカラカーン】による反射はされるので、注意が必要。