【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
時間潰しの掲示板を閉じれば、日付変更の三十分ほど前、毎度の事だからこそ確りと準備の確認を行っていく。
「あ、そうだ。最深部探索用に守護桃貨*1のバージョンアップしましたから、こっちも持っておいて下さい」
「了解~、今度は御札?」
「守護桃貨の方は概念レベルや権能ぐらいに強度が有ると、即死無効とは行きませんからね。この〝冥府の守護霊符*2〟なら、よほど特化した即死貫通の概念でも無ければ無効化出来ますし、万一の場合も身代わりになりますから保険として数枚は身につけると良いですよ」
「そう言えば二百四十五階辺りから、何度か単体即死が通る場面もありましたね。アイテムとして投げれば防げますが、篝火から離れると休み無く襲ってきますから、消費アイテムとして使うのは焼け石に水ですし、使った後次ぎを取り出す前に即死飛んで来ますし」
「なので今回は、複数所持しても効果が発揮されるのは一つずつにしてますので、連続で貫通即死が飛んでくる様な場面でも大丈夫なはずです」
新しくチーム共用として開発した装備兼消費アイテムを配り、各々の装備や収納場所なども確認して、諸々の準備が終われば、程好く時計の針が午前零時を指し示す。
慣れ親しんだ影時間に切り替わった所で、さっさとタルタロス二百五十階へ続く階段前の篝火に転移し、階層移動した後、壺中天地からそれぞれの機体を取り出し乗り込んでいく。
「各種チェック完了、まずは入り口で綴さんの灯台設置確認からだね」
「実験結果的にまず大丈夫でしょうけど、警戒だけはしておきましょうか。二百四十九階までと同じとは限りませんし」
「こちらも合一完了。霊力の感覚も問題無いですから、いつでも行けます」
綴の準備完了に続いて、久遠や湯乃葉にアイギスからも完了の返答が来たところで、取り出した篝火灯台に専用の火口を使って綴が火を灯す。
以前に実験した時よりも煌々と放たれる光を見るに、どうやら目標とする効果は発揮されている様子で、これなら本格的な攻略を再開出来るだろう。
「大丈夫そうかな?場所が大きく変わったから、反応も何かしら変化するかと思ったんだけど……」
「今のところ前の階層との経路が繋がって、ここに直接転移可能になっただけで、これまでと同様の状況ですね」
「安全地帯と楔の役割が出来てるなら、とりあえずの問題は無いって事で?」
「そうですね。後一つか二つ設置して、変化などが無いか様子見してみましょうか」
「オッケー、それじゃ綴さんを中心にして進もうか、松明としての役割も込められてるんだよね?」
「はい、前までと同じで進むべき方向は何となくわかりますから大丈夫です」
と言う事で、篝火灯台の光が届く
まあ際限無くシャドウが襲ってくるのは、タルタロスだといつもの事なので驚きもしないし、超機人によってサイズ差補正も軽減出来てるため、戦闘自体は特に問題も無く二つ目の篝火灯台を設置し終わったのだけど……。
「んー、これやっぱりシャドウが強くなってない?や、正確にはタフになってるって言うか……」
「あー、篝火のセーフゾーンを重ねた時みたいな?」
「そうそう、前の階層程露骨じゃ無いけど、地味に手応えが重いと言うか、密度が高くなってる気がするんだよね」
「光が強くなれば影が濃くなるって話でしたっけ?篝火のセーフゾーンを繋げる様に設置した数が多くなると、篝火を破壊出来るシャドウが出現して大変でしたよね」
「影響範囲ギリギリで設置する様にしたのはそれが理由ですからねぇ。ただそうなると、その内灯台が破壊される可能性も有りますか」
「とりあえず三つ目設置して、今よりタフになってれば変化してるのは確定、篝火破壊まで行くかは要観察ってとこだね。別に一カ所で強い光って訳じゃ無いから、パターンも違う可能性有りそうだし」
琴音が気付いた様に、若干体力が多く倒し難くなってる巨大シャドウを薙ぎ倒しながら、篝火灯台設置による変化を考察していくと、思い出されるのは、セーフゾーンを繋げる様に篝火を設置した際、近距離に幾つも光源が出来た事により、【刈り取る者】クラスの強ボスが出現した事だろうか。
その時はシャドウの攻撃で篝火が破壊され、光源が減った事で更に強くなるシャドウとの、予期せぬ激戦が繰り広げられる事になったんだけど、それと同じ事が起きる可能性も考えないといけないって所だろう。
ただまあ、近くに固めてる訳では無いため、単純に強力な光源が原因となった前回のパターンと、今回の複数の光源により重なり合った影が濃くなるとの想定は、別の変化になる可能性も十分にある話。
そうしてある程度の予想を立てた辺りで、二つ目の設置箇所を霊感で感知可能な範囲の端まで到達し、三つ目の篝火灯台の設置作業を進めていく。
「設置中の襲撃はまあ二つ目の時と変わらないね~、火を灯した直後から体力が一気に増えたけど……」
「まあ状況的に、篝火灯台の設置数に応じてシャドウの体力が増加するのは確定ですが、問題はそれ以外ですけどね」
「出現するシャドウの傾向も変化している様でありますな。具体的には悪魔の名と姿を持つシャドウが増えたであります」
「ああ、前までは【剛毅 怨念の武者】の様な存在が曖昧なシャドウも多かったが、思えば二つ目を設置した後からは【刑死者 憤怒のキュクロプス】などの様に、伝承などで固有の名を持つシャドウを見かける事の方が多くなっていたな」
「つまり、篝火灯台の光に照らし出されて、明確な形が浮かび上がったって事かしらね?」
「シャドウの形が明確になったと想定しますと、出現するシャドウがより厄介になってそうですね……」
設置が終わって、灯りが届くセーフゾーンの範囲に残ってたシャドウも倒し終われば一区切り、道中あれこれ話して予想していた通りに、三つ目が灯った途端にシャドウの体力が増加するのを確認し、今後が若干不安になる情報が確定したのは、覚悟もしていたので問題無い話。
それよりも気に掛かるのは、出現するシャドウの傾向についてで、これまでだとP3に登場する様な【恋愛 肉欲の蛇】とか【戦車 邪悪の砲座】などの、名称は同じでも〝蛇〟がアナコンダやコブラだったり、〝砲座〟が迫撃砲や戦車砲だったりと、個体名では無く分類名の様なシャドウが大半だった。
二百五十階でも篝火灯台を設置する前までは、大きさこそ巨大になっていても出現するシャドウの種類に変化は無かったんだけど、二つ目の設置が終わった後からは特に、〝ヘカトンケイル〟や〝キュクロプス〟に〝ギガス〟と言ったギリシャ神話系の巨人種族名が増えたり、【刑死者 メドゥーサ】や【戦車 タロス】の様に、神話伝承に登場する固有名を持つシャドウの、出現頻度が上がっている様に感じる。
まあ今までの探索においても、悪魔と同じ名前を持つシャドウが出てこなかった訳じゃ無いんだけど、集合的無意識からの影響を受けるシャドウ異界だけあり、夢の中の様な曖昧なままで、それっぽく形作るシャドウの方が多かったのは確かなところ。
タルタロスの深層と言う、見方を変えれば集合的無意識の奥底へと進んでいる様な現状を鑑みるに、本来なら曖昧なまま漂う根源的な情報の海を掻き回し、
「シャドウが強く厄介になるとしても、攻略のためには篝火灯台を設置しないと始まらないですから、織り込んで対処して行くしかないですけどね。さしあたっては、固有名有りだと概念レベル以上の行動、或いは何かしらのギミックを持ってる可能性もありますか」
「ま、想定しすぎても足を掬われるし、結局出たとこ勝負な面も多いんだしね~」
休憩中にあれこれと考察もしたけど、最終的には琴音が言った様に、その時その場に合わせて対処方法を考え対応するしかないのも事実。
その辺であれこれと考えるのも切り上げ、再度隊列を組んで先へと進む事にしてしばらく、ボス補正でも掛かってるのかと思う程タフになってきているシャドウを倒しながら進み、固有名を持つシャドウについても、懸念した様な権能による領域展開やギミック戦闘の強制などは無く、問題無く次の設置距離まで進めるかと思ったんだけど、そうは問屋が卸さない様で――
「っ!新手が中距離にポップ!識別は【死神 ダイダラボッチ】で弱点無し*3の状態異常と即死無効、接触時に耐性貫通の即死効果、加えて接触範囲で威力最大になる【エナジードレイン】の領域持ちです」
「ダイダラボッチなのにアルカナが死神?って思ったけど、なんか妙に半透明だし、アレってシシ神様イメージされてない?!」
「確かシシ神様って、ケルト神話のケルヌンノス*4がモデルになってるって話しもありましたっけ、終盤の演出的に死神ってのも納得出来ますし、領域関係はその辺の認識が影響した感じでしょうか」
「どうやら厄介な事に、周囲のシャドウも【エナジードレイン】の対象となっているでありますな。牽制も兼ねて削りを入れるであります。バレルセット*5、【至高の魔弾*6】」
絶えず襲撃してくるシャドウを殴り倒しながら、綴が感じ取る向かうべき方向へと進んでる所に、また新しくシャドウが一体湧き出てくるのを感知して情報を共有。
対処に時間が掛かるほどに、際限無く体力を増やし続けかねない特性が見えた所で、遠距離攻撃をメインにするアイギスが万能属性の魔弾を撃ち込み牽制し、その間に近距離に残っている交戦中のシャドウを処理して、【死神 ダイダラボッチ】の対処へと取りかかる。
「シャドウも対象のエナドレとか勘弁して欲しいんだけど!」
「まあまあ、琴音ちゃん落ち着いて、倒す端からシャドウが追加されますし、まとめて焼いてる間も回復され続けてますけど、それでも順調に削れてはいますから」
「対処出来てる事と面倒かどうかは別だし、それになんか嫌な感じがするんだよね……」
「その予感はビンゴしたみたいですよ。感知範囲ギリギリから新手のシャドウが追加、識別は【塔 レギオン】で弱点は電撃、状態異常と即死無効はいつも通り、限界数は不明ですが増殖能力を確認、多分何処かに中核となる個体がいるとは思いますが、感知範囲を埋め尽くす勢いで急速に増えてます」
「何?宇宙空間と類似した場所だからって、今度は宇宙怪獣でも出てきたの?!」
「ハハハ、見た目はそのままSTMC*7ですよ!既に認識可能範囲は敵が七分に黒が三分、なおも増加中って所です」
「私達も超機人には乗ってますから、スパロボなら何とかなりますね。原作ならバスターマシンが欲しくなりますけど……」
「うわぁ……。際限無くエナドレする領域持ちと一緒に出て来るのは駄目でしょ」
「うーん、こうなってくると【ハルマゲドン*8】が欲しくなりますね。あいにく該当するペルソナの用意が無いので無理ですが……」
「〝審判〟のアルカナは瑞樹が適性有るけど、〝悪魔〟のアルカナは瑞樹も綴さんも適性無いし、私の方で【悪魔 ルシファー】を用意する感じになるかな~。で、いずれの話はそれで良いとして、今はどうする?元々の予定だった篝火灯台設置による変化は確認出来たし、撤退ってのも有りだと思うけど」
「でも、琴音ちゃん的には暴れ足りない感じなんですよね?面倒に思ってるのも確かだとは思いますが」
「流石にバレるか、ここまで面倒な敵が揃ったら、逆にぶち倒したくなるからね!」
「でしょうね、それではいつもより出力上げていきましょうか。先が何所まで続くかわからないですし、篝火灯台は設置出来るだけ設置しておきたいですからね。【マハアクアバリオン】固定、概念掌握、霊体外装編纂・接続、術式兵装展開、【
シャドウを含めた周囲全てから【エナジードレイン】する上、触れるだけで即死する【死神 ダイダラボッチ】に、際限が有るのかわからない程に増殖する【塔 レギオン】と、ピンチでは無い物の対処が確実に面倒な状況で、面倒だから撤退するとの選択は、却下だろうと確認し合う。
それこそ対処方法が無かったり、消耗が激しい方法しか無いのなら兎も角、ちょっと普段より探索後に疲れを引きずるだろう程度の手札を切るのに、躊躇う理由も無い話。
手始めに異界籠もりの序でに開発した再現技術【
「展開直後は薄いので気を付けて下さいね。私はレギオンの対処とトドメの準備をしておきます」
「オッケー!そんじゃ雑魚も多いしレギオンはまだ遠いから、まずは【明けの明星*11】!」
「私はダイダラボッチをメインに行くとしようか、公から頂いたスキルを習熟するのに丁度良い巻き藁でもあるしな。【九曜天翔*12】!」
防壁を展開した後は、影時間の移動中基本的に構築したままにしている、【甲縛式O.S.別天翠呪】での演奏を再開し、霊力操作の及ぶ範囲に入ったレギオンへと、電撃属性の衝撃波を順次送り込み、ダイダラボッチに近付く個体を出来るだけ外へと弾き飛ばしていく。
そうした私の行動直後に、まずは琴音が動き出して、【オルフェウス・改】に継承させた【明けの明星】で周囲全体に超特大ダメージを振りまき、続く様に久遠が新しく組み込んだスキル【九曜天翔】で、ダイダラボッチとドレイン領域内のシャドウをまとめて薙ぎ払う。
なお、【九曜天翔】については、掲示板で社畜ニキとか現場猫ニキとか呼ばれたりする、最近神奈川支部長に強制就任した黒札*13の、お目付役として副支部長となった相馬小次郎氏から頂いたスキルで、黒札のお目付役になるだけ有って、この副支部長の正体はデモニカを元に作成された造魔に、マサカド公の刀を組み込んだ事で復活した【英傑 マサカド】との事。
色々とやらかしてる社畜ニキとは言え、帝都に幾つか有る支部の一つを預かる身として、後基本的に深夜の影時間以外は時間的な余裕がある事から、帝都にある支部の代表として相馬小次郎氏へ挨拶しに行った際、民と帝都を守る一助になればと渡された経緯。
まあ礼儀としての訪問だったけど、贈答品に相応の物――彦名錦から醸造した神酒やヒノエ米などの米粉を使った菓子類など――を用意した返礼の側面もあるみたいなので、有り難く受け取り久遠に習得させた訳だけども。
「バフとデバフが二割増減のみで、カジャ系と競合するのは基礎状態だからでしたっけ?」
「まあ攻撃スキルですからダメージがメインで、バフデバフは序でですからねぇ。習熟すれば割合増減上書きから、段階増減の加算に発展させられるらしいので、久遠の言う習熟はそこですね。今の状態だと最大まで掛けた補助が弱体化しますし、なのでしばらくは適宜バフを掛け直す事になりますね。【ラスタキャンディ】」
「本来は公の固有スキルですし、十全に扱える様にするなら、相応に時間が掛かる訳ですか。久遠さんが新スキルの練習をするなら、私も巻き藁代わりにさせて貰いましょうか。紅炎*14に【フレイバリオン】を
「ふむ、核熱属性の八連撃ですか、もう一本紅炎作成して〝にとうりゅう*16〟させてみますかね?いえ、それより時空魔法の再現を目指すのも面白そうですか、〝クイック〟なら【獣の眼光】と似た様な物ですし、装備かアイテムで代用出来れば――」
「何か思い付いたんでしょうけど、油断はだめよ?」
「おっと、そうですね。考えるのは帰ってからするとしましょうか、湯乃葉はいつもの様に補助の掛け直しや回復などのフォロー、レギオンが電撃弱点ですから手が空いたら牽制する感じでお願いしますね」
「いつも通りなのは良いけど、このレベル帯だと特化でもしてないと状態異常がまず通らないのよねぇ……。〝
「あー、以前は妲己や九尾の狐のイメージに引っ張られての干渉とか、因果を引き寄せたりを警戒してましたけど、今なら何とでもなりますし、状態異常特化装備も有った方が良いかもですね。何所まで再現出来るかわかりませんけど、試すだけ試してみましょうか」
「楽しみにしておくわね。それじゃ今回は【惑わしの陣*18】辺りでも掛けておくわ」
「私も琴音さんに新装備かスキルを強請る流れでありましょうか……?いえ、今は戦闘中でありますし、帰還後に聞くべきでありますな。こちらは引き続き、ダイダラボッチの削りを行うであります」
久遠の行動で上書きされたカジャの張り直しをした所で、綴が異界籠もり中に編みだした技の実践鍛練として跳び出していく。
技名の元ネタは、某最終幻想五作目のジョブシステムで可能になる最強クラスの攻撃であり、武器を二本装備し、通常攻撃に魔法効果を乗せる〝魔法剣〟と、通常攻撃が四回に増える〝みだれうち〟を合わせた八回攻撃を叩き込むと言う代物で、武器一本で八回攻撃する合体剣技だと厳密には違う物になるのだが、そんな事言ったら元ネタは、前準備こそ有るけど特技でも無いただのバトルコマンド*19な訳なので、〝八回攻撃〟の要素で括れて、認知的に補正を得られそうな名称から、仮に付けた物らしい。
なお、合体剣技を編み出す事になった経緯としては、ペルソナからの影響で習得した【バイパースマッシュ】を活用出来る方法が無いかと考えた結果、発動回数八回で最大威力になる性質から、【八艘跳び】の確定八回攻撃の一撃毎に【バイパースマッシュ】を発動した事に出来れば、一行動で最大威力に持って行けて、100%属性の【バイパースマッシュ】を軸に、敵の耐性も気にせず全て切り捨てられる様になるのではないか?と思い至ったからとの事。
今はまだ【八艘跳び】と組み合わせた【みだれうち(仮)】しか形になっていないそうだけど、他の合体剣技を形にするのが当面の目標らしい。
そんな綴の八連撃が、武装の効果発揮のため付与された核熱属性と合わさって、一撃毎に威力を跳ね上げながら咲き乱れ、周囲に残っていたシャドウが一掃された所に、湯乃葉が奇門遁甲術式*20の【惑わしの陣】を展開し、こちらに有利な盤面を整えていく。
「おー、本能だけで動いてるって設定されてるだけあって、STMC姿のレギオンには効果的だねぇ。じゃ、私も巻き藁代わりに色々試してみるかな。STMC見てやってみたくなったの有るし」
「ダイダラボッチの方は久遠とアイギスが削ってますし、周辺は綴が【みだれうち】していて余裕ありますけど、何を試す予定です?」
「最大サイズで何所まで硬く出来るか試した遊球樹の実有ったでしょ?帰還術式入れて砲弾代わりにした奴。アレ使おうかなって」
「なるほどアレですか、ならこっちの準備と合わせて玉は私の方で用意しましょうか」
「あいあい、それじゃ装甲護符でバットを構築してっと、いつでもオッケー!」
「遊球樹の実に術式を組み込んで、後は威力上げに【雷遁・螺旋丸】を込めてっと、投げますよー」
「オッケ、ど真ん中!バスタァァーホームランッ!」
バットを構える琴音の機体*21へ三メートルサイズの遊球樹の実を投げれば、フルスイングされたバットがジャストミートし、快音を響かせながらボールが亜光速で打ち出される。
バスターマシンが無いなら技だけでもと言う事で、スパロボシリーズへ参戦した際に搭載された武装である〝バスターホームラン〟を即興で再現して見た訳だけど、イメージ補正もそれなりに掛けられたみたいで、一直線にレギオンの密集地帯へ飛んで行くと、触れる端から消し飛ばす様に突き進み、速度が落ち始めたところで内包したエネルギーが解放され、㎞単位でレギオンを消滅させて感知範囲に空白地帯を作り出す。
「思い付きの即興だったけど、結構な威力になったねー」
「タルタロス以外だと、修行場異界深層ぐらいでしか使う訳にいかない感じですけどね」
「まあロボ自体外で使う訳にいかないし、気にする事でも無いでしょ。それじゃ私は、戻ってきたコレで適当にノックしつつ暴れとくね」
「了解です。こっちの準備も進んでますから、後二、三ターン*22も有れば完了しますよ」
「ほいほい、了解っと」
内包エネルギーを放出して戻ってきた遊球樹の実を片手に、螺旋丸を込めてはノックで打ち出しながら、合間に範囲攻撃で雑にシャドウを吹き飛ばしていく琴音を見送り、レギオンを処理する準備の仕上げに取りかかる。
レギオン出現からの六ターン程の間に、増殖の核になる個体の位置は把握済み、感知範囲全域への下準備も宣言した二ターンの間に終わり、最後の動線をとなる場所へと攻撃を撃ち込みつつ、全体へ連絡を入れる。
「全体連絡、
「了解した、早速取りかかろう」
「わかりました。電撃耐性って事は、レギオンと合わせてって事ですね」
「なるほど、連鎖のラインね。始動は瑞樹がするだろうし、追加が来ないか警戒しておく~」
「私は【ヤブサメショット】で周囲全体の動きを制限しておくであります」
連絡直後には久遠が、続いて綴が動き、【発勁】による耐性破壊を行い、【ヤブサメショット】による急所攻撃で周囲の動きを縫い止めるアイギスの横で、想定外の事態に備えて琴音が警戒する中、全ての準備が揃ったのを確認し、最後のトリガーを引く。
「では行きましょうか。【天津甕星】【
近付いてくるレギオンを弾き飛ばしながら下準備をしていた旋律を変更し、電撃属性を乗せた振動が周囲へ伝播する性質の音を奏でると、目星を付けていた個体を始点として、無数のレギオンに施していた細工――受けた音の波動を増幅し、同じ術を付与された対象へ増幅した振動を伝播させる波動増幅術式――により、雷音の連鎖が轟き駆け巡る。
感知範囲を埋め尽くしていたレギオンが、伝播する毎に増幅される電撃属性の波動に耐えきれず、次々と弾けながら一体残らず消し飛んだ所で、最後に残った一体へと波動が襲いかかる。
それは最早音とは言えず、空間その物を揺るがす破壊の一撃となって、瞬く間もなく【死神 ダイダラボッチ】が弾け飛ぶ。
「レギオンの数が多かったとは言え、準備し過ぎたんじゃない?」
「倒しきれないよりは、と思いましたけど、確かにもっと少なくても良かったみたいですね。術式の増幅と波の合成が思った以上に作用してましたし」
「音波系統の増幅術式でしたっけ?参考元のザグルゼム*24程は応用効かないって話でしたけど、増幅一点でも対多数なら十分そうですが」
「シャドウ異界の認知補正が掛かってるから、って所も多分にあるでしょうけどね。ま、手札が増える分には良い事ですし、ドロップしたフォルマなどの回収も終わりましたから、進みましょうか」
最早無意識に行ってる戦利品の回収をしつつ一息付けば、また新しく湧き出したシャドウを薙ぎ倒しながらの探索が再開される。
影時間突入からの経過時間もそれなりに過ぎてる訳だし、今日は何所まで進める事だろうか……。
ポケットなどに入れて身に着ける事で、降り掛かる死の運命を祓い除ける加護により、九死に一生を得られる可能性が高まる。
また、消費アイテムとして投げつける事で、死の運命から必ず逃れる事が可能となるが、寿命による正常な死を回避する様なものでは無い。
装備効果:概念レベル未満の即死効果無効、概念レベル以上の即死影響力半減
消費効果:権能を含む即死効果のある攻撃や行動を無効化し、逃走中の場合は安全圏までの逃走を確定させる。
ポケットなどに入れて身に着ける事で、降り掛かる死の運命を祓い除ける加護により、九死に一生を得られる。
装備効果:概念レベル以上の即死効果無効、権能レベル以上の即死系貫通効果による影響を半減。
消費効果:即死効果が発動した際、身代わりとしてアイテムが破壊される事により、死亡を無効化する。
なお、一部の存在に使用した場合――
(敵味方の行動1ターンを十秒程度と裁定)
防壁の耐久力は水泡カウント×1,000となり、防壁が破壊された時点で水泡カウントは0になる。
この権能が維持されている間、味方全体は次の効果を発揮する。
┣防壁を得ている時、自身が与える攻撃の最終ダメージが、水泡カウント×10%増加する。
┗防壁を得ている状態で攻撃に成功した際に連動効果が発動、霊力を水泡カウント×10%回復する。
なお、水泡カウントは最大10で、カウント上限時に防壁の展開が行われた場合、防壁の耐久力を1,000回復する。
※D2メガテンの【女神アナーヒター】が持つ【アクアグレイス】を参考にカスタマイズし、【
1ターン目開始時と自ターン開始時、連動効果が発動「3ターンの間、味方全体はHP1000相当の防壁を得る。」
自身が生存中、味方全体は次の効果を発揮「防壁を得ているとき、MPの自然回復量が1増加し、自身が与える魔法型ダメージが30%増加する。」
このスキルによるダメージは物理攻撃力に依存する。
攻撃成功時、1ターンの間、敵全体の攻撃力・防御力・回避と命中を20%ずつ減少させ、味方全体の攻撃力・防御力・回避と命中を20%ずつ増加させる。
※D2メガテンより
作中では狐の女仙である妲己が所持している。
陣の影響下に有る者の、霊感による位置認識をずらし、攻撃などの命中率を低下させる。
霊感に頼る度合いや霊力操作の技量、術者との霊格差などで影響力が変化する。
空間その物を対象としたギミックを敷設するため、ギミック自体を認識して解除しない限り、術の影響から逃れる事が出来ないと言う代物。
ペルソナQに登場する、対象単体を攻撃後に隣接する敵へ拡散ダメージを与える【ヒートウェイブ】の打ち方に、ジオ系魔法を組み合わせ、指向性を持たせた振動に載せて放つ事により、単体への威力と波動の伝播による複数対象への攻撃を両立させた融合型合体技。