【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
あらすじ掲載通り、ご注意並びにご了承下さい。
スライムニキの関連であれこれ物作りしてからしばらく、適宜レベル上げしつつショタおじに修行を付けて貰い、それでも基本は式神コア製作に追われる日々の中でも色々と変化はあるもので、まず驚いたのはアニメ制作会社のアル社長が山梨の、と言うか星霊神社の近所に本社を移転させるために動いていたそうで、宿舎の一部に仮のスタジオを用意してまで転生者社員を移動させたこと。
霊地にいるだけでも覚醒の確率は高まるからって事で、アニメーターの技量を式神造形に役立てつつ、宿舎の一角を仕事場にしている。
後、今世では前世の創作にいたキャラクターと似た外見や声質をしている人も多く、私を含め転生者にもその傾向が強いこともあって、前世の作品を再現する何て主旨の元、時折アフレコを頼まれたり何てこともあり、現金収入のバイトとしてそれなりの人気があったりする。
「そう言えばアル社長、⑨ニキ*1のこと気に掛けてましたけど、養子にでもする感じです?」
「藤原君のこと?一応提案はしたけど断られたわね。まあオタ社長*2と仲が良いみたいだし、ウチの大ちゃんも積極的に絡んで行ってるから、やり過ぎてないか様子見はしてるわ」
「ああ大妖精ネキ、確かに普段から一緒にいるの見ますね。まあ肉体は兎も角、霊体側が治りきってないのに無理しようとする悪癖がありますから、強制的に遊びへ連れて行ってくれるのはありがたいですね」
「それを言うなら瑞樹ネキも遊ぶ時間を取ったらどうなの?」
「え?真剣に遊んでますよ?物作りとか、術式の研究とか、
「あー、そうねー。趣味を仕事にしてる私らが言えた義理じゃ無いか……」
「それに、私が問題にしてるのは怪我が残ってる状態で無理してることで、体調が万全ならどんな修行してようが問題にしませんし出来ませんよ――」
「って、突然宇宙猫になってどうしたの?」
「神主に習って何とか形になった分身式神が過労死したみたいでフィードバック受けてました。とりあえず蘇生しに行くのでこの辺で失礼しますね」
「ホントに私らが言えた義理じゃ無いけど、体調には気を付けなさいな……」
なんてやり取りがあったりもしたけど、オフ会で仲良くなった縁もあって、差し入れ行ったりモブの声当ての代役することになったりとか、色々付き合いも続いていたりするし、その関係で技芸に関するいくつかの汎用スキルを習得する副産物もあったりした。
そうそう、回想の中でも思い出したけど、ショタおじが普段から使用してるフィードバック機能付きの分身式神を、私も一応のレベルだけど使える様になった。
やってる事としては、神主が低級式神に分類している一反木綿みたいな媒体を用いた式神に、形代としての役割を持たせて自身の魂を写し取った分霊のようなものを憑依、マグネタイトの実体化を行う際に魂の情報から人体構造を参照して構成し、目的の行動を取らせると言う影武者のような身代わりを作る術式から派生した物。
まず自身の魂を写し取るという段階で、魂の在り方を表面上――少なくとも人体構造情報として自身に類する存在であると定義できる物――だけでも把握出来てないと話にならないし、理解が浅いと分身として出来る事の幅も狭まるため、本を読んで内容を記録としてフィードバックするぐらいなら【リカーム】を使える様になった頃には可能になっていたけど、読んだ内容を理解した情報としてフィードバック出来る様になったのは式神コア製作が出来る様になった頃だし、分身側で簡単な魔法を使ったり初歩の消耗品を量産したりが出来る様になったのは最近のこと。
そう言えば、少し前に式神製造関連で、マグネタイトの実体化に関する難しさを解決するブレイクスルーが起きてたっけ。
「逆に考えるんだ。式神を実体化させるのに問題が多いなら、初めから実体を与えてしまえば良いんだと!*3」
「「そ・れ・だ!!」」
「つまり、マネキンやダッチワイフ的な感じに目的のパーツを用意して、作りたい式神の姿に合わせて調節するってことね」
「この間納品された霊視ニキもにゃんにゃん(意味深)出来るかどうか聞いてたらしいですし、人型の式神が欲しい理由の半分は理想の嫁や婿なんですよね。つまり、書庫で見つけて細々と研究していた世継ぎ関連技術がついに、活用される時が来るんですね!」
「おい、ミナミィ……」
「どうしてこうなるまで放っておいたんだ!」
「いや、瑞樹ネキは割と最初からコレだったぞ」
「二人揃ってスケベ部だからね。しょうがないね」
「自分は関係ないみたいな顔してますけど、エドニキもスケベ部部員でしょう?一緒に道具開発したじゃないですか」
「オイッ、ヤメロォ!」
「と言うか、騒いでるやつも大概準部員でしょうに。兎も角、実体パーツの基礎理論構築に取りかかりましょう」
「ボクも含め拘りたい部分は有るだろうから、そこは拡張性を持たせる事でそれぞれ拘れるようにしたいね」
「つまり、人体として認識出来るギリギリのシンプルな素体を作るって事か」
「流用できるようにするなら、男女の骨格差は無くす方向になるか?」
「いや、概念的に考えるなら男女は明確に分けて作った方が良いだろ、式神のレベルが上がった時の概念強化に問題が出る可能性がある」
「そんじゃパーツ流用範囲の最低ラインは男女の性別で分ける感じだな、両性とか無性とかの特殊性癖分類はその都度個別で良いな」
「性差が顕著に出るパーツはそうするべきだと思うが、手や足に関しては共通でも問題無くないか?」
「確かに?なら手足の共通パーツ班と胴体や頭部の性別毎班で分かれて理論構築に入るか」
「「「おう!」」」
まあそうして出来上がった〝式神パーツ〟と、これを使った〝高級式神〟の注文依頼が殺到してデスマーチが更に酷くなったんだけどね!
ショタおじ的には式神のレベルを上げたり悪魔合体などで強化した方がコスト的にも時間的にも簡単じゃない?って感想らしいけど、現状悪魔合体出来るのショタおじだけだし、そもそも紙型の式神製造を十全に出来るレベルまで上がってる技術者が殆どいないからの代案で、素材や時間というコストの代わりに低レベル技術者でも製造に参加できるようになったのは、新規技術者の受け入れという意味でも悪くは無い結果だと思う。
とは言え、ショタおじが言うように自身のレベルを上げて出来る範囲を増やす努力はした方が良いと私も思うし、戦闘がどうしても苦手って人が居るのは事実だし理解も出来るけど、せめて式神と契約してのレベリング程度はするべきだと思うんだよね。
確かそれ関係で、ショタおじが修行場異界を式神のみでの探索も出来る様にして、戦闘が苦手でもレベルを上げられるようにする予定とか言ってたっけ?今は悪魔の討伐が含まれる依頼を受注する人優先で納品されてるから関係ないだろうけど。
その修行場異界も地味に調整というかバージョンアップを繰り返し、最近は探索慣れを防ぐためという事で不思議なダンジョン形式に変更されて日毎に構造変化するようになったり、覚醒したての初心者用に出現数やレベルを最低限まで抑えた訓練用異界、他にも素材回収用に特定の悪魔だけ出現する異界や、事前申請すれば大人数での集団戦が出来る異界なんてのも作られたりしている。
そんなわけで日々様々な異界が、修行場異界の中でサーバー分けみたいに簡易異界として作られては消されて、なんてしていれば時々変な挙動することもあるわけだ。
「ショタおじから連絡!昨日の集団戦と午前中に使ってた素材回収用の異界が合体事故起こした感じっぽい。今解析して解除中だからそれまで防衛よろしくってさ」
「道理で通路が微妙に広い……」
「系統が近い感じの悪魔ばっかなのもそういうわけか!」
「でもまあ、通路の広さが微妙な関係で気分はタワーディフェンスですね、コレ。次の補助蒔きますよー【タルカジャ】【ラクカジャ】【スクカジャ】」
「ああ、何か既視感あると思ったらそれか。第何波みたいにちょいちょい空白時間あるしな」
「そうなると、何故か踊りながら補助蒔いてる瑞樹ネキがバフ系踊り子ユニットに見えてくるな」
「ほぼそのまま踊り子ユニット的イメージだから間違いじゃ無いですね。戦いを前にして踊りで鼓舞するってのは割とある話ですし、その辺の考え方と合わせる事で、単体対象の術を範囲対象にまで効果を高めてますから」
「そういやアル社長のところで歌やら踊りやら演技やらやってたっけ?」
「それにしてもタワディとか、途中にボス個体やラストに大ボスとか出てきそうだな」
「オイ止めろ!ってマジでデカいの一体来たぞ!」
「え?俺のせいなのか、これ……」
「多分本来の探索エリアで階層毎にいる強モブじゃないです?異界合体事故で強化率高そうですけど」
「まあ待ち構えてるところに一体だけとかただの獲物だがな!」
「「ですよねー」」
「っで、そんな中ちょいちょい念動使ってまでドロップアイテムを集めてる瑞樹ネキよ」
「いやだって勿体ないでしょ?素材回収との合体事故が影響してるのか分かりませんけど、中々出ない系のフォルマや無毒化された食用可能な肉も出てますし、以前ジャンニキに聞きましたけど、デビルシフター以外も食用可能な肉って適切に解体しないと手に入らない*4らしいので、何気に貴重品ですよ?」
「マジで!?なら確り回収して今夜は焼き肉だな!!」
結局その日はショタおじも巻き込んで焼き肉パーティしたっけ、異界の解析も確り出来たから希望者が多くなったら食肉回収大討伐とかクエスト告知して開催してたりするし、二回目以降はジャンニキも参戦して大活躍してるとか。
ちなみにその時回収できた悪魔獣肉は、ジャンニキの指導を受けながら燻製肉に加工して美味しく頂いたし、大討伐が開催される度に追加してるので、結構な量が保管されていたりする。
とまあこうして色々と技術や環境も整ってきたと言うか、覚醒者自体の数も少しずつ増えてきた事で覚醒者としての恩恵が増えた事も有るのか、触発されて緩い修行からショタおじ監修の地獄巡りに挑戦する人も増えたとかショタおじ言ってたかな?
基本的には十日前後も掛ければ大体覚醒するんだけど、中には本人の意識的な問題か霊的素質というか起源となる悪魔的な問題かで、中々覚醒に至らない人も居るのが悩ましいところだよね。
ああ、覚醒で思い出したけど、あっさりとペルソナに覚醒したスライムニキからの続報と言うか、専用装備の作成依頼*5があったんだっけ。
その時は、私が作った装備の実戦使用レポートや〝マヨナカテレビ〟関連での地域における被害状況、今後の予測などを含めた本職かと疑うレベルの調査資料や報告書を手土産に協力要請してきたから驚いたよね。
「――と、俺の守りや戦闘力が不安な状況なため、シャドウ異界攻略のために専用装備の作成を依頼しに来たわけです」
「これは面白い人材で間違い無いね!」
「というか、これだけプロファイリング出来るなら、普通一人でも攻略出来そうなものなんだけど……」
「ハ、ハハ……、ソウデスヨネ……」
「あ、ごめんね?悪く言ったつもりはないんだ」
「スライムニキはどちらかというと分析官とか文官系の適性っぽいし、仕方ないのでは?正直これだけの資料と報告書を用意できるだけで値千金ですよねぇ」
「瑞樹ネキの装備を使っての情報もあるから、きっちり人命救助出来るだけの装備を用意するよ」
「ありがとうございます!!」
「この資料で必要なレベルだと私じゃ手を出せないのが悔しいですね、まあ神主の作業を見て学ばせて貰いますが……。そう言えば思い出しましたけど、月光館学園の調査ってどうなりました?実在してるってのは、ネットで調べるだけでも出てきたから知ってますけど」
「んースライムニキと瑞樹ネキなら話しても良いか、そもそも月光館学園を調査することになった切っ掛けの時にいたしね」
「そう?なら調査した僕の方から説明しようか。まず、今から三年ほど前に神取グループの研究所関連での事件があったのは確認してるし、当時の記事では事故として処理されているのもある意味P3と類似した状況だね。ただ、事件の生存者は複数居たし岳羽と言う名前は確認出来なかった。それと、生存者の中に所謂ハム子の面影がある女の子の写真を見つけたからもしかして、と言ったところ。次ぎに学園の方だけど、こっちは影時間とタルタロスの両方とも存在する事を確認した。ただし、タルタロス内部への侵入は出来なかったから、さっき言ったハム子っぽい女の子が鍵になってる可能性は否定出来ない。今のところ分かってるのはこの辺だね」
「何とも微妙にゲームチックな……」
「つまり、現状では手の出しようが無いから、その女の子が月光館学園に編入するなりする頃まで監視するしかない、って事で?」
「そうなるね、影時間の拡張速度はほぼ無いぐらいに遅いから、当面は放置していても問題ない。と言うか他にやらないといけない事が多くて、手を出す余裕がないってのが本音だね」
「僕の方もN案件の調査が続いてるから、監視に張り付く訳にいかないしね」
「スライムニキも地元の対応で手一杯ですし、正直タルタロス関連だと原作主人公いないとどうしようも無いですよね」
「という事で、何とか監視するぐらいの余裕を得るためにも、まずはスライムニキの装備作成に取りかかろうか」
とまあそんな感じで、現状ペルソナ関連は手の出しようがない案件と、常に対処し続けないといけない案件に追われている感じらしい。
そんな最近有ったあれこれを思い返しながら歩いていると、それなりに見かけるショタおじの仲魔で【ネコマタ】の美玖さんが珍しい荷物を抱えているのが目に入る。
「おや、美玖さん珍しい素材持ち出してますけど地獄巡り用です?」
「あ、瑞樹ネキ、十一日目に突入したやつらが出たからそのためにゃ」
「明日で十一日目ですか、十三日目以降のってまだ受けたこと無いんですよね。明日も覚醒無理そうなら準備手伝いますので、十三日目から私の分も追加でお願いしますね」
「いや、ご主人様には伝えておくけどさ……、あんたも大概おかしいよね」
「そうです?もしもを考えると、安全に極限状態を体感出来るのは有益だと思うんですけど」
「ま、あんたはそれでいいのかもね。じゃ、あたしはこれ持ってくから、またにゃー」
そう言って去って行く美玖さんを見送り、ちょっと今後の予定が変更になるかもしれないため、その辺の関係に声を掛けて回ることに。
まあ、話をする度に〝何言ってんだコイツ〟って視線を向けられた事には物申したい気分もあるけど、それより今はショタおじの地獄巡りに向けた個人的な準備というか、より多くの成果を得るための研鑽に時間を当てることにする。
具体的には消耗品の量産とか農作業とかに分散していた分身式神を戻し、日課の作業だけはさっさと終わらせて、後の時間全てを使って書庫の資料解読や瞑想による第六感の鍛錬に費やす。
本を一冊読み終わったら解除してフィードバックさせる様に命令して、瞑想中にフィードバックが起きても揺らがず吸収出来る様に意識しつつ、次の分身式神を発動する流れを繰り返していると、どうやら件の人達は十三日目に突入することになったようで、その日から私も参加することになった。
お借りした⑨ニキの設定に関して、『【カオ転三次】DRUG FATE』様側がプロットを作成された時点以降に、本家様で更新された情報も含めた環境のため、周辺環境の違いなどからだいぶマイルドな設定(性格など)とさせて頂いています。
別世界線の可能性の一つと認識して頂ければ幸いです。
序でのオリキャラ紹介
・大妖精ネキ
アル社長の養子であり、見た目は東方の大妖精、前世今世共に女性で、前世の最終記憶が中学生ぐらい、今世が現在5歳という状況。
メガテンやペルソナ関連はほぼ知らないが、それなりにオタクだったこともあり見事にやらかし、施設に預けられた所をアル社長に引き取られた。
現在は前世で好きだった⑨と似た容姿なのに、兄や父のような包容力のある⑨ニキに惚れ込み、隙あらば絡み付きに行っている。
ちなみに、⑨ニキと遊ぶ中で覚醒も果たしており、覚醒したスキルは【シバブー*1】である。