【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
「ブルーウォーターを使った拠点の管理システム構築は、もう少しデータ集めてから再調整するとして、COMP用の新アプリは、デバッグが終わったら一度どこかでテストしたいですね……」
暦が二月に移り変わってから数日、本土の方では寒気が厳しい季節だけど、蓬莱島の方は緯度の低さと結界の影響もあって過ごし易い――と言う訳でも無く、実のところ四季を感じられる様に、夏はそこそこの暑さに、冬も雪が多少積もるぐらいの寒さになる様、結界で気候を弄っていたりする。
そんな訳で、窓から銀世界を眺めつつ掘り炬燵に入り、空中に投影したホロキーボードを叩いてるのが、ここのところ拠点で過ごす際の基本スタイル。
まあ、子供達と過ごす広間は、結界や床暖房などで快適な室温に保っているし、影時間以外の時は子育てに専念している本体もそっちに居るんだけども。
「非殺傷設定の方は肉体にダメージがいかない様に、
今回のアプリ開発の元になったのは、先日の集会で少し話に出た、蘇生前提の模擬戦や鍛練など普通は出来ないと言う話と、非殺傷設定があれば便利じゃないか?と言う話から。
そこから非殺傷設定を技術的に再現するにはどうするかを考え、それを加えた模擬戦用のシステムを組み上げて行った感じになる。
「一対一の模擬戦用と言うか、遊び系のアプリですし……、外部解放区画の方でテストプレイヤーでも募集しますかね?」
デバッグ作業が一通り終わり、目的のアプリが出来上がったのは良いとして、流石に安全性が確保出来てない非殺傷設定のテストに、黒札を募集するのはショタおじが許可しないだろうと言う事で、蓬莱島に来ている一般ガイア連合員を対象にテスターを募集する事にして、報酬は危険性も考えてそれなりに色を付けるのが良いだろうか。
「まあ報酬の細かいところについては、受けた人と話して調整すれば良いですかね?基本は現金かマッカ、ガイアポイントのいずれか、他の報酬も相談によっては対応可能って事にしておきましょうか」
一応COMP用アプリで戦闘も含むと言う事で、蓬莱島内のガイア連合員用サイトから、探索ギルド所属者向けに依頼書を出す事にして、募集人数は二人か三人、とりあえず応募が二人になったら通知が届く様に設定しておく。
「依頼書はこれで良いとして、直ぐに集まるとは思いませんが、いつでもテストに移れる様、準備はしておきますか」
そうして、テスト項目のリストアップや万一の場合の準備などをしていると、予想外に早く応募者が揃ったとの通知が届く事になるのだが、それは少し後の話。
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後々になって思い返すと、あれを見つけられたのは私の――マリッサ・ドリズルの人生に置いて、メシア教徒に成り下がり私を洗脳した両親から逃れられた事や、逃亡先の日本での友と呼べる相手との出会いに次ぐ、幸運な出来事だったと言えるだろうか。
その日は、
内容としてはCOMP用に開発した新アプリのテスターと言う、ガイア連合に所属して以降、何度か見かけた事のある類いの物。
基本的にCOMPの所持者と言うか、サマナーとして悪魔と契約している事が受注条件になっている場合が多いため、素養が低いのもあって未契約な私はスルーしている案件なのだが、何となく気になって詳細を確認してみると、マシンスペックの関係でテストの際はCOMP自体も貸し出しするらしい。
「COMP用の新アプリなのに、スペック関係で動かん様な物を作ったのか?」
今は一緒に探索へ向かう友人との待ち合わせ場所へ向かう途中で、移動中の隙間時間に稼ぎになる情報を探していたのだが、目的とズレるがこれはこれで話のネタに丁度良いかと思い、詳細画面へ進む事に。
「おいおい、ただのテスターにこの金額とかマジか……」
依頼詳細の画面に表示されたのは、支払われる報酬が現金・マッカ・ガイアポイントのいずれかを選んだ場合にいくら支払われるか、通貨以外を望む場合は報酬内容の相談も可能な範囲で受け付けると言う事、テストするアプリが具体的にどんな物なのかと言った点が記載されている。
ただ正直な話、アプリの内容どうこう以前に、提示されてる報酬金額の方に意識が集中していたのだが。
なにせ蓬莱島に来てから格段に増えた稼ぎで計算しても、数ヶ月分になりそうな額が表示されており、こんな依頼を出せる依頼主が何者か?と言う疑問の方が強くなった訳で……。
「マリッサ!」
「うおっ!ああ、ペリーヌか」
「ペリーヌか、ではありませんわ。スマホに夢中になって、集合場所を素通りしてましたわよ?」
「おっと、そりゃ悪かったな」
「貴女のそう言うところはいつもの事ですから、もう諦めましたわ。それより、熱心に見ておりましたけど、何か気になる内容でも有りましたの?」
「ああいや、いつも探してる依頼とは毛色が違う奴なんだがな、COMP用のアプリのテスターにぶっ飛んだ報酬設定してる奴がいたもんでな」
声を掛けて来たのは、蓬莱島へ来る切っ掛けとなった日本へ来て知り合った友人であり、今日の探索へ一緒に行く相手でもあるペリーヌ・クロステルマン。
なんでも、サンジェルマン伯爵を祖とする錬金術師の家系だとかで、本人も錬金術での生産活動を主な仕事にしている職人系らしいんだが、〝錬金術士としては、物作りだけで無く素材の採取も行えないといけませんわ!〟だとか言ってる変わり者だと、親父さんが言ってたっけか。
まあ自衛手段の延長として、戦えるのは悪いことでも無いって話で、親父さんの方も納得してたし、私が知り合う切っ掛けになったのも、初めて異界探索へ行く事になった際の護衛として、ペリーヌに雇われたからだし……。
「そんな驚くほどの額を提示してる依頼なんて有りましたかしら?」
「追加されたばかりなんじゃないか?七倉瑞樹って奴の依頼だ」
「ちょっとお待ちなさいマリッサ、依頼者のお名前、何と仰いました?」
「ん?七倉瑞樹だな。ほら、この画面の奴」
「…………島主様じゃありませんの!黒札で蓬莱島の主ですわよ!」
「は?マジか?!何でこんなとこに依頼出してんだ??」
「住んでる場所の所有者の名前ぐらい覚えて置きなさいな。兎も角、島主様が態々探索ギルドに依頼を出した理由は分かりませんけど、黒札からの依頼ならその金額だろうと不思議でも無いですわね」
「つまりは金持ちの道楽ってとこか?まあステイツだと珍しくも無い話だし、それなら分からんでもないが……」
「
金額から胡散臭く感じていた依頼だが、ペリーヌが言うとおり黒札の島主からの物って事なら話は別だな。
改めて二人で詳細内容を確認してみると、テストするアプリは対戦型の遊びを目的とした物らしく、最低二人応募が来た時点で一旦閉じるとの事。
また、遊戯用とは言っても術技を用いての戦闘形式なため、多少の危険性が有り、危険手当を含めた報酬を設定している事。
後は、拘束期間が早くて一日、長ければ一週間程になるとの事だが、報酬金額を考えれば一ヶ月掛かると言われても飛びつく奴の方が多いだろう。
「……私はこのまま応募しようと思うんだが、ペリーヌはどうだ?」
「奇遇ですわね。私も今自分のアカウントで依頼のページを開いてるところですわ」
「オーケー、応募終わったら今日の探索行くか」
「貴女の歩きスマホは余り良い習慣とは言えませんが、今回はとても良い結果を引き寄せましたわね」
と、そんな事があった日の翌日、南国なのに雪が降り積もる中、私達は二人揃って建設途中の大型施設へとやって来ていた。
年明けから建設が開始され、着工から三週間で外観からは殆ど出来上がってる様にも見えるこの施設は、ペリーヌによると島主様のポケットマネーで造られてるらしく、今回のテスター募集の契約確認の場所として指定されたのも、そう言う関連からなのだろう。
まあ昨日の今日で呼ばれるなんてのは想像してなかったが、昨日の昼頃に応募して、その後に行った素材迷宮の探索終了後には、既に契約等の確認を行う日取りの連絡が届いていたのを考えると、いつでも可能にした時点で、翌日早速と言う可能性に思い至らなかった私達が悪いのだろうか?
「いえまあ、島主様の様に多忙と思われる方が、翌日直ぐにとは考えませんわよ。普通は」
「だよなぁ。別段問題は無いんだが、一日ぐらい開けて来るかと思ったらこれだぜ?マジかと言いたくもなるよな」
施設に到着すると、話は通っていた様ですんなりと中へ通され、所々内装が途中となってる施設内を歩いて行く。
どうやら大きな工事現場と言う事もあって個別に結界が張られている様で、積雪が20cmになりそうな周辺とは事なり、大型施設の敷地内は過ごし易い程度に涼しい気温に保たれてるのは有り難いところか。
既にいくつか設置されてる案内板を頼りに、メールで指定された部屋へ辿り着くと、ペリーヌがノックして到着を知らせる。
「テスター募集の件で参りました」
「どうぞ、入ってきて下さい」
入室を促す言葉を聞いて扉を開くと、工事中の施設には似つかわしくない確りとした拵えのテーブルや椅子が並べられ、近未来系SFみたいな空中投影されたウィンドウで、何やら作業している黒髪の女性が奥の席に座っていた。
「初めまして島主様、今回テスターに募集しましたペリーヌ・クロステルマンと申します」
「同じくマリッサ・ドリズル」
「ああ、言葉遣いは別に畏まらなくても良いですよ。黒札でそんな事気にするのは、修行も禄にしていない一部ぐらいですし」
「お、そいつは有り難い。話の分かる黒札で良かったぜ」
「マリッサ!」
「ペリーヌさん、敬意は言葉では無く心ですよ。どれだけ正しい言葉遣いで着飾っていても、内心では欠片も敬意を持っていないなど良くある事ですし、相手を確りと見ていれば、どんな言葉でも敬意が籠もってるかどうかはわかる物ですから」
「はぁ、そう仰るのでしたら……」
互いに軽く挨拶を交わしたが、どうやら口調や態度はあまり気にしない様で、ペリーヌに全て任せる形にならなかったのは有り難い。
どうも私の態度と言葉が気に障るのか、依頼者と拗れる事も多く、そう言う場合にはペリーヌに頼り切りになってしまうのが悩みどころだが、そう簡単に性根が変わるなら苦労しないってな。
覚醒したおかげか、日本語の習得自体は苦労しなかったが、どうにも丁寧な話し方ってのはしっくりこなくて、英語で話してる時と似た口調に落ち着いたしなぁ……。
「さて、まあ知っては居るみたいですが、軽く自己紹介しておきましょうか。私が今回の依頼者で七倉瑞樹、黒札内では探求ネキと呼ばれてますね。名字だと他にも居ますから、呼び方は名前なり探求ネキの方なりで好きに呼んで下さい」
「それでしたら瑞樹様、と呼ばせて頂きますわ。
「じゃあ探求ネキって呼ばせて貰うぜ、私はマリッサと呼んでくれ」
「まったく、この子ったら……」
「では契約確認の前に、テストして貰うアプリについての説明をしておきましょうか」
そう言って探求ネキが軽く手を叩くと、SFっぽいモニターがテーブルの上に出現する。
「アプリの名称は
「いやいやいや、鍛練で死人が出るのがそもそも間違ってるだろ!?」
「霊能者にとって死の理解と蘇生の経験は、魂魄を強く鍛える手段の一つですよ?」
「あの、テスターと言うのは、その死にかける様な事も含めてと言う事ですの……?」
「ああいえ、テストのメインは【非殺傷設定】によるシミュレート機能の方で、肉体や精神へのダメージを最小限にしつつ、疲労状態や怪我による動作への影響をエミュレートする事で、実戦に近い模擬戦を可能にする事ですね。出来る限りの安全確認はしてますけど、私だと霊格の強度的にテストにならない物で、レベル50以下の人に試して貰って、データを集めると言った感じになります。まあ骨折ぐらいは起きるかもですが、その時は私が治しますし、そう言った危険手当込みの報酬と思って下さい」
「あー、私らもそれなりに戦闘は経験してるから、骨折ぐらいなら問題無いが……、その結構長い説明書いてる
「競技用アプリ部分は序での遊び部分ですね。【非殺傷設定】の安全性確認だけだと味気ないですし、それなら遊びながら修行できるような物があると良いかなと思いまして」
軽いノリで笑いながら言ってるが、【非殺傷設定】とか言う機能の話だけでも、何がどうなってるのかマジでわけわからないんだが、序での遊びや思い付き感覚で、競技用アプリを作るとか言うのも理解し難い話だ。
ちなみに、目の前に浮かんでるモニタに表示されている
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<基本理念>
一つ、命を奪い合わず勝敗を決するための契約であり、殺し合いを遊びに変えるルールである。
一つ、純粋な力量のみでの勝敗を否定し、多様な可能性を見出すための競技である。
一つ、美しさと信念を持って戦いを彩る事。
<基本ルール>
・決闘の美しさに名前と意味を持たせる事。
・名を与えた決闘術式の使用回数を開始前に提示し、提示回数以上の攻撃は行わない事。
・決闘術式の名と意味により力を発揮するため、意味の無い攻撃はしない事。
・決闘の間は、互いにアプリ内の【非殺傷設定】を通して攻撃を行う事。
・勝敗が決した後は、余力があろうとも負けを認める事。
・決闘の勝敗に、何かしらの付随事項を設定する場合、生死に関わる内容以外であれば、互いの了承の下締結可能とし、決着後には速やかに履行の上、互いに遺恨を残さぬ事。
・以上を原則として、決闘術式の命名と共に契約書〝スペルカード〟を作成する事。
・一試合のスペルカード提示数は、最大五枚まで。
・互いにスペルカードを発動し合い、より多く攻略した方を勝者とする。
・攻略数が同数の場合は引き分けとするか、攻略に要した時間で判定する。
・スペルカードの攻略は、決闘術式の全工程が終了するまでに、術者を守る防壁結界の破壊、または一度も直撃を受けずに回避・防御・迎撃による相殺をする事で達成となる。
・紙一重の回避による削りダメージは可とするが、防御や相殺の余波による削りダメージの合計が、計測された体力の半分以上となった場合は、自力で回復を行ったとしても攻略失敗となる。
・相手の力量において、攻略の目が無いスペルカードは御法度であり、その場合はスペルカードを宣言した側が、攻略された物として扱う。
・攻略の可能性は、アプリのシステムにより、攻略者の所持スキルや霊力の動きなどから判断する。
<スペルカード作成要項>
・スペルカードは、術者自身の霊力量を上限として作成し、作成に使用した霊力の二割を消費する事で発動可能。
・発動時に自動展開される防壁結界の強度は、使用する霊力量が基本となり、防壁に割り振れる量は最大で作成に使った霊力量の半分まで。
・防壁結界に使わない分の霊力が、攻略側を迎撃するための術技に使用される。
・スペルカードの展開時間は、使用する霊力量と防壁結界の強度により、基本60秒の最低30秒、最大90秒の範囲で構成される。
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うん、文章量的にこっちが絶対メインだろ!と言いたくなるな。
「掲示板で瑞樹様を結構な趣味人、と表現されていた書き込みは、こう言うことですのね……」
「興味のある事や思い付いた事に色々手を出してますから、趣味人と言われればその通りでしょうねぇ。説明を続けますが、先に言った通りテスト項目のメインは、アプリに組み込んでる【非殺傷設定】の安全性を確認する事で、その序でに競技として試して貰って、感想を貰えればってところですね」
「おまけが本命になってそうなんだが……。まあそれと【非殺傷設定】の安全性確認は良いとして、このルール見た感じだと、格闘技的な殴り合いってより、プロレスみたいな興行的側面のある競技って事か?」
「そうですね、霊能界隈だと多少の力量差は兎も角、ガイア連合が基準に使ってるレベルで20や30も差があると、まともな勝負にはならなくなりますから、ある程度実力差を無視出来る様にしつつ、互いに得られる物があるルールを目指した感じですね」
「テストする内容については分かりましたわ。危険手当込みの報酬で、万一の治療も瑞樹様に行って頂けるとの事ですし、私としては契約させて頂ければと思います」
「私も仕事内容的には問題無いな。後は報酬関係だが、通貨以外の報酬も相談可能ってあったが、例えば弟子にしてくれ、なんてのも可能なのか?」
「ふむ……」
「ちょ、マリッサ?!」
ペリーヌの慌てた声もまあわかるが、ここまでに話した感じだと、この程度の軽口は気にしないだろう。
まあ流石に弟子入りなんてのは無理だろうが、時間掛ければ稼ぐ当ての有る金銭なんぞより、時間掛けても得られるかわからない
「まあ探求ネキも忙しいだろうから、無理にとは言わないが」
「時間の方は特に問題無いですね。私は30体前後の分身が常に活動してますし、教導するだけならさほど力を割く必要も無いですから」
「分身……ですの?」
「ええ、こんな感じで」
そう言った直後、コミックみたいな煙が一瞬吹き出し、煙が晴れた時には椅子に座ってる探求ネキと、全く同じに見える人物がそこに立っていた。
「いや、NINJAか何かかよ……」
「NINJA物の漫画を参考にして開発したのはその通りですね。まあ仙人の使うタオ系にも、【身外身の術】と言う分身を作り出す術がありますし、陰陽術にも同様の術がありますから、分身自体は珍しいと言うほどでも無いですよ」
「東洋の神秘ですわね……」
「分身して時間作れるってのはまあ良いとして、じゃあさっき考え込んでたのは?てっきり時間的に無理で、別の報酬を提示されるかと思ってたんだが」
「いえ、どの範囲からが弟子になるのかを考えてた感じですね。大概のことは教えられるだけの知識を蓄えてきましたけど、メインとなるとタオ系や陰陽術辺りになりますから、弟子と言った場合仙人を目指してるのかと思い浮かびまして、マリッサは何を学びたい感じです?」
「とりあえず言ってみただけで、具体的にどうこうってのは……。今んとこ学びの園では、出来そうな奴を目に付いた物から試してる感じだし」
「なるほど、専門にしてるのはまだ無い感じですね。ならまあ週に一度か二度、その時に聞きたいことを指導するぐらいなら、報酬の範囲ですかね。専攻したい分野が見つかればそれを重点的にしても良いですし」
「あ、あの!それでしたら私も弟子入りを報酬として希望致しますわ!」
「確かクロステルマン家は錬金術を継承している家系でしたし、錬金術メインでと言う事ですか?それともマリッサと同じ条件と言う事で?」
「マリッサと同じと言うか、戦闘や探索に必要な方面でお願い出来ますでしょうか?錬金術は学びの園で技術書を読んだり、実践して学べていますので」
「では、それぞれ週に一度、指導する日を二人で合わせるなら週二回、教える日を設ける形の報酬としますかね。教える内容は同じでも、それぞれ別の内容でも良いですし」
「こっちとしちゃ有り難いんだが、良いのか?」
「学ぶ意欲のある者に、知識や技術を伝えるために外部解放区画を創った訳ですから、教導するのは問題無いですよ。報酬内容も含めた契約書を作成しましたので、確認して下さい」
報酬に関しては思わず口をついて出てきた軽口だったのだが、結果として金銭では得られない、特大の報酬を引き出せた事になるのではないだろうか?
ペリーヌが直ぐさま乗ってきた事からしても、多分大当たりを引けたと考えて良いはずだろう。
後、渡された契約書の疑問点を聞いて、穴が無いか事細かく確認してしまうのは訴訟大国出身の性の様な物で、日本に来てからは、依頼者との契約で何度かキャンセルされる原因にもなったりした物だが、探求ネキによると悪魔との交渉や契約では当然の事らしいので、どうやらこれで怒り出したりする様なら、霊能関係の依頼者としては何か問題があると考えた方が良いらしい。
ペリーヌの方も契約関係だけは、細かく突いても当然としていたのは、そう言う意識があるから何だろう。
兎も角、契約書の確認が終わり、サインも書き込んだことで、正式に依頼が成立した事になる。
これが後に正式な弟子入りをして、師匠と呼ぶ事になる探求ネキと、私達二人の出会いの一幕。
・マリッサ ドリズル
半終末の騒動でアメリカから避難してきた難民の一人で、黒札的には東方の霧雨魔理沙とよく似た外見の人物。
一神教からメシア教に宗旨変えした両親により、人間牧場へ送られそうになった事で、家の金を持ち出して逃亡。
その際に家名は捨てており、現在名乗っている〝ドリズル〟は、
ちなみに、ファーストネームはグランマから贈られた名前なので、家名は捨てても名前は残した。
逃亡後は潜りの霊能者として、ストリートチルドレン紛いの生活や盗みなどもしつつ、生活基盤の構築をしていたが、クトゥルー召喚事件の辺りで、ネット上の情報などから大陸に居るのは危険と判断し、日本への避難船に乗り込む事になり、その後はガイア連合の人外ハンターに登録して、いくつか依頼を熟す中でペリーヌと出会い、蓬莱島へと移住する事になる。
危険察知能力とバイタリティに溢れた少女(15歳)。
・ペリーヌ クロステルマン
嘘か本当か、サンジェルマン伯爵に連なる錬金術師の家系らしいフランス貴族出身。
黒札的には某ウィッチとよく似た外見の人物で、電撃属性が得意。
メシア教による迫害から逃れるため、一族まとめて日本へと避難しており、現在はガイア連合への所属を経て蓬莱島に移住し、学究の徒として錬金術に邁進している。
何気にアトリエシリーズが大好きで、錬金術士なら素材の採取も戦闘も出来る様になるべきとの考えで、異界探索や鍛練なども積極的に行っており、そのアクティブさからマリッサと出会い友人となるに至った。
知識欲と行動力に溢れた少女(15歳)。
なお、現当主の父親は、職人ギルドの錬金術部門として、各種アイテム生産などにも関わっている。