【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく 作:緋咲虚徹
無事に魚宝アナザの繁殖に成功し、食王エア*1の再現も完了した次の日の事、連合のデータベースに情報を上げた時から催促された事も有り、山梨第一支部の食堂棟へとやって来ていた。
「おう、ようやく来やがったか。早速
「ジャンニキは相変わらずですねぇ、まあ勿体ぶるつもりもないので良いですけど、これが魚宝アナザを再現した物になります。ノッキングしてるので活け締めの状態ですけどね」
『おおぉ~~!!』
食材の仕込みなどで使用する厨房にて、
それぞれが浮かべる感情は様々だけど、その目が物語るのはただ一つ、
「何匹かは持ってきてますので、全員で調理することも出来ますけど、この中で時間加速が出来る人はどれぐらい居ます?」
「あん?調理限定での時間短縮ならそれなりに居るが…………。つまり、コイツを調理するなら最短でも
「原作を再現した方が概念強度も上がって効果や味が良くなりますからね。時間の流れが異なる世界で調理するでも良いんですが、私達なら調理中の対象のみを時間加速させた方が早いですし」
「探求ネキ質問!そう言うってことは、時間加速に専念する奴と、調理工程を進める奴に別れた方が良い感じ?」
「そうですね……私は創り主ですし、経験と技量的にジャンニキなら一人でも全工程を熟せるでしょうけど、基本的には分担して調理するのが良いと思いますよ。まずは私とジャンニキで担当を別けて、一回通しで調理しましょうか」
「ま、食材を無駄にするのは御法度だわな。おっし、そんじゃ一匹捌くぞ、やり方は一回で確り覚えろ!」
『応っ!』
「時間加速の補助道具も用意してますから、不安があるなら使って下さいね」
原作において最初は60万年掛かるとされた調理工程は、一人の料理人によって65年と劇的に短縮されたものの、それでもなお調理の大部分において
手順について説明するまでも無く、見ただけで捌き方を理解したジャンニキが適切に調理を行い、それに合わせて私が必要なだけ時間を加速させ、見学者にも分かる様に説明もしながら丁寧な作業を続けていく。
1年かかる工程を1分程に加速して調理すること計65分、魚宝アナザを食材として使用可能にする特殊調理が完了する。
「自分で創っておいて何ですが、難易度高くし過ぎましたかねぇ……」
「調理しながら
「当初想定していたより難易度高いみたいですし、少しでも底上げした方が良いですか。それに、見た感じ旨味の波動に当てられて我慢しきれない様子ですし」
「そりゃ、ゴクッ、我慢しろってのが無理だろ!ゴクッ、さっきから涎が止まらねぇ……」
厨房に居る料理系黒札の内、ジャンニキに次ぐレベルの者達はまだマシな様子だが、レベルが下がっていくに連れて、調理され食材として食べられる様になったアナザに、意識が釘付けにされているのが分かる。
このままでは調理に取りかかるのも無理だろうと言う事で、予定を変更して魚宝アナザの試食を行う事にして、まずは手早く食べられる様にと刺身にして配る。
「では食材に感謝を込めて、頂きます」
『頂きます!』
一つ摘まんで、まずは何も付けずに口へ運ぶ。
魚肉らしい舌触りを感じた直後に旨味が迸り、さながら爆弾が弾けたかの様な衝撃が、口内から全身へと広がっていく。
それは味の移り変わりとも違う、同時に複数の味が広がりながらも、本来なら衝突し合うはずの味一つ一つを個別に味わい噛み締め、そうかと思えばいくつもの味が折り重なるハーモニーが奏でられ、味がぶつかり混ざり合ってマリアージュが生まれ出す。
二切れ目には醤油を付けてみると、一切れ目以上に重厚で多彩な味の博覧会が広がっていく。
まるで、世界に存在する旨味の全ては此処にあるとでも言うかの様に、一口毎に、一噛み毎に新しい旨味の発見が連鎖する感覚は、今までに創り出してきた食材の中でも一番の衝撃と言えるだろう。
「おおぉ!正に爆発的な美味さ!」
「旨味が高まるぅ……溢れるぅ……」
「ああ、そうか、そうだったのか……。味覚とは、旨味とは……」
「わかる、わかるぞ!今なら俺にも分かる!世界はこんなにも味に満ちていたのか!!」
「ふむ……、新たな味覚の扉を開く効能も上手く働いているみたいですね。とりあえず、今有る分は好きに調理して食べて良いですよ。食べ終わったら特殊調理の実地に移りましょうか」
刺身一切れで壮大な衝撃を受けてる面々を横に、追加でにぎり寿司にしてみたり、スパニッシュオムレツの具材として使ってみたりと、色々手を変え品を変え調理してみたところ、アナザの圧倒的な旨味が全てを塗りつぶすなどと言う事も無く、調理により引き立つ香りに他の具材と織りなす変化が、また新しい味の発見をもたらし、千のレシピが有れば千の発見が有るのでは無いか?と思わせる程のポテンシャルを感じさせてくれた。
そうしてしばらくは、各々好き勝手にアナザを調理しては食べる事を繰り返し、一欠片も残さず食い尽くしたところでようやく落ち着きを取り戻す事になる。
「さて、十分に食べて、概念的味覚の開花やレベルアップした面々もいるみたいですし、そろそろアナザの調理を再開しましょうか」
「だな、んじゃ俺と探求ネキで監督すっから、二グループずつに分かれて取りかかれ!」
ジャンニキの号令に合わせて、取り出した二匹のアナザに、それぞれ調理担当と時間加速担当に別れて着き、調理を開始する。
日頃からジャンニキと一緒に食堂棟で腕を振るっているだけあって、一度見せただけの調理工程を間違う事無く熟していくが、時間加速に関しては専門と言う訳でも無いためか、用意した補助道具を使用してもなお、流石に1年を1分程に短縮とは行かない様子。
「調理自体は出来ていますし、時間が掛かるだけならまあ大丈夫ですかね」
「そりゃ時間加速自体、調理の補助で多少使える程度だからな。人数集めて仕込みに三時間から六時間ってぐらいまで行けりゃ十分だろ」
「まあ数日煮込む料理とか、下拵えに1年掛ける素材なんて普通にありますからねぇ。後は任せてしまって大丈夫です?」
「ああ?俺もこいつらも通しで確認したから問題はねぇが、何かあるのか?」
「いえ、そろそろバレンタインですし、アナザで開花する味覚に合わせたデザートでも作ってみようかと思いまして」
「つーと……アレか?アナザ創る経緯になったアダマントス合金木を、美味く食える様にするって奴か?」
「素材の能力が能力ですからね。美味しく食べられるなら効果向上させて、即死無効の耐性を得るぐらいは出来そうな気がするんですよね。上手く行けばアナザと合わせてレベル31以上の定番コースに出来そうですし」
「そいつぁ面白そうだが、【食没】の習得が前提となってんのはどうすんだ?」
「美味しく味わえてるなら、其処を取っ掛かりに吸収出来る様にするのも可能ですから、薬膳と言う形にでもしようかと」
「なるほどな、そう言う訳か……よしっ、二匹分有ればとりあえずは十分だろ。調理が終わったら、特殊薬膳の研究に移るぞ!」
『応っ!』
監督しながらのアナザ調理は問題無く進み、後は最後の工程を残すのみとなった辺りで、私が出張る必要はもう無いだろうと一声掛けると、どうやら個人的にやろうと思っていた事に興味を引かれたらしい。
結局最後の時間加速部分を手伝わされ、調理完了したアナザを保管した後、全員で特殊な薬膳料理――本来は人間が消化出来ず有害な物質も含め、霊薬として吸収可能にし、薬効を得られる様にする料理の開発に取りかかる事になった。
「そういや探求ネキ、消化出来ない物も吸収可能にするって話だけど、実際どうするん?」
「理論的には、仙丹で行ってる方法を基礎とした物になりますね。金丹などの仙人が作り出すとされる丹薬には、辰砂――硫化水銀などの有毒鉱物を使う物も多いですし、毒性を薬効に転じさせる処理は概念域に踏み込む物になります。一般的にはこの処理が理解されていないため、誤った知識による物とされていますけどね」
「ほー、つまり消化出来ず毒にしかならない物を、概念的に消化可能な物と誤認させて吸収、定着させる訳か。んで、毒性による作用は他素材と合わせて薬効に転化させる、と」
「薬も毒も最終的な結果の良し悪しであって、本質は同じですからねぇ。良薬口に苦しと言いますが、苦味とは本来毒の摂取を避けるための反応ですし、劇的な作用をもたらす毒でも、目的の結果を得られるなら良い薬と言う訳ですね。仙丹などは強力な毒で一度破壊した後、他の薬効で再生強化する事で、肉体を造り替える物も多いですし」
「なるほど、今回の特殊薬膳は毒だと認識させずに美味しく食べて、目的の効能を得られる様にする感じか……」
と、そんな感じで疑問点の相談などもしつつ、それぞれ自身の得意分野で特殊薬膳の考案をしていたところ、何やら食堂の方から、飢えた獣の様な気配が嵐の様にうねり、波濤の如き空腹音が厨房まで轟き渡る。
「ジャンニキ!ヤバい!シフターとグルメの連中が嗅ぎつけてきた!」
「チッ、出る時は匂いも払う結界で漏らさない様にしたが、もう嗅ぎつけて来やがったか。探求ネキ、料金設定はどうする?」
「概念食材で調理技術も含めて安売りは出来ませんから、初回のお試しも込めてこれぐらいですかね」
「だな、てーと他の食材とも合わせて一品が大体これぐらいか?よしっ、アナザを使用した料理は元の料金に1万マッカ追加、初回限定で今有る在庫が切れたら終了と伝えてこい!」
「了解!在庫システムへの反映も終わってるみたいだし、序でに注文可能数のリンクもしとく!」
「つーこって新レシピの開発は一時中止、区切れる所まで終わらせて後始末終わった奴から厨房に入れ!」
仕込み時間中の厨房を担当していた、アナザの調理にはまだ加われないレベル帯の黒札が慌てた様子でやってくると、半ば予想はしていたが何処かから情報が漏れたか、匂いを嗅ぎつけたのか、美食に全霊を傾けるデビルシフターやグルメ系の黒札が、大挙して押し寄せてきたとの情報を伝えてくる。
まあ伝え響く気配と音からもある程度分かっていた事もあり、ジャンニキと手早く打ち合わせた後は、ジャンニキからの指示が発せられる間に木分身を出して厨房に向かわせ、他の料理人達も言われる前からレシピ開発の手を止めて保存や後始末に移っており、十秒と経たない内にメインの厨房へと移動していく。
「ま、アナザ二匹分ぐらいなら直ぐに消費されて終わるでしょうし、その間にこっちを終わらせておきますか」
調理手伝いに向かわせた木分身が忙しく作業しているのを、マルチタスクの要領で処理しつつ、こっちはこっちで特殊薬膳というか、アダマントス合金木を使ったデザートの製作を進めていく。
まず取り出したのは、バレンタインと言う事でチョコ菓子でも用意しようかと少し前に考えた際、食欲界のトリコ層にチョコの木とか創っておいて、カカオ自体は創って無かったと思い立って創り出したハートカカオ*2から精製したチョコレート。
このチョコに牛豚鳥のミルクから作った生クリームと、微粒子にまで粉砕したアダマントス合金木を加え、【アギ】の応用で軽く熱しながら、滑らかになる様溶かし混ぜ合わせる。
続いて長い事飼育してきた影響なのか、霊格が上がってきた気がする烏骨鶏の卵を使い、琥珀楓のメープルシュガーに、牛豚鳥のミルクから精製した醍醐*3を香り付けとして加えてカスタードクリームを作成。
最後に生チョコとカスタードクリームを、用意しておいたタルト生地へ層を重ねる様に敷き詰め、満月の様に淡い黄色のカスタードクリームを雲が覆う様に、ハートカカオとアダマントス合金木を混ぜ合わせたパウダーを振りかける。
「これでチョコカスタードタルトの完成っと、まあ物は出来ましたが仕上げはここからですけども」
今出来上がった状態のタルトでも、目指している即死効果無効の耐性を得られるぐらいの出来にはなっているが、より効果を高められるならやっておくべきと言うわけで、仕上げに
「死は安らぎの床である
されどそれは泡沫の微睡みであり、終わらぬ夜では無い
ひとときの安らぎに包まれ、
目覚めの刻は今此処に」
ただ死を拒絶するのでは無く、死を受け入れるとも終わりとせず、死の安寧をひとときの微睡みと成し、微睡みから目覚める様に死の淵から生還する。
思いと願いを込めて
「ふむ、食堂棟などで販売するかは分かりませんが、仮に品名を付けるとしてもチョコカスタードタルトだと普通のと混同してしまいますし、ちょっと詩的であれかもですが〝闇夜に浮かぶ月の微睡み*4〟とでもしますかねぇ。普通にアダマントスチョコタルト辺りで呼ばれる事になりそうですが」
名付けも終わった〝闇夜に浮かぶ月の微睡み〟を六等分にして皿に盛り付け、一つ試食して味を確かめた後は、残りの材料分も作ってそれぞれ皿に取り分けて、皿毎収納し易く作った料理保存用の収納箱へと入れておく。
満足いく味のチョコカスタードタルトが出来上がった所で、使った道具などの片付けも終わらせて、仕込み用の厨房からメインの厨房脇を抜けて食堂へと向かうと、いつも以上に賑やかな光景が広がっていた。
具体的に言うと、アナザを食べられた人達と食べられなかった人達の、感嘆と怨嗟の声が響き渡っていると言う訳なのだが……。
「いやはや、在庫限りの宣言が出たのに、料理人へ詰め寄る情弱ニキ候補*5が未だに居るとは思いませんでしたねぇ」
「お、騒動の原因な探求ネキじゃん。アナザ美味しかったよ~」
「騒いでる馬鹿共はどうでも良いが、暢気に話してて大丈夫なのか?こっちまで飛び火するのは鬱陶しいから勘弁して欲しいんだが?ま、アナザは是非ともまた食べたい美味さだったがな!」
「アナザを使った料理自体も凄く美味しかったですけど、追加で頼んだ料理も今まで以上に美味しく食べられる様になりましたね」
「アナザは楽しんで頂けた様で何よりです。あと私の場合、そもそもあの手の連中には認識されない様にしてますからね。認識阻害を突破するなら、権能レベルの見鬼が必要ですので大丈夫ですよ」
食堂の一角で常連のるるネキと交流する機会の多い幼女ネキに、最近修行場異界の深層で話す機会が増えた人魚ネキの三人を見かけたので声を掛けると、騒動の原因扱いされた上に、面倒の種扱いされたのは遺憾なところ。
まあ基本的に、今騒いでいる様な面倒な手合いとは関わらない様、半終末前後辺りの新規加入者が急増した頃から認識阻害を常に掛けてるため、こうして話していても見つかる心配は無かったりするのだけども。
「そんな事もしてたのか。まあこっちに来ないなら良いか」
「んで、態々来たって事は何か用事?」
「メインは人魚ネキへの労いで、序でに味の感想でも貰えたらって所ですね」
「私ですか?」
「深層入り口での門番中も結構ストレス掛かってたみたいですし、件の依頼管理課とは部署が違いますが、私の分身も一体事務局に所属してますからね」
「謝らんぞ?」
「あれは依頼管理課の失態でしょう。ただのビジネスを権利か何かと勘違いしていた感じですし」
と言う事で、料理用収納箱経由で拠点の時間停止機能付き収納庫に送った〝闇夜に浮かぶ月の微睡み〟を、
なお、労い云々については、ガイア連合内外から替えの効かない類いの指名依頼が来ている人魚ネキが、修行場異界深層探索試験に合格したのを受けて、万が一があったら困ると勇み足した依頼管理課の事務員達により、人魚ネキの深層探索範囲に制限を掛ける話が通ってしまった件の事*6。
私を含めた修羅勢としては、万一の場合にはショタおじも居るのだから制限するほどでは無いのでは?と思う反面、星霊神社の寮暮らしでトラウマ持ちの黒札達にとっては、人魚ネキの子守歌が無ければまともに寝る事も出来ない精神状態な事もあって、万一どころか億が一でも失われる可能性を消したいと言う感情までは、否定しきれないところ。
その後、人魚ネキが自身で代替え手段を用意したのもあって、制限解除に反対をしていたのは、発端となった依頼管理課の事務員達ぐらいだったわけだけども。
まあこの辺の事情はるるネキも知ってる事だし、幼女ネキに至ってはつい今朝方まで依頼管理課に立て籠もって、人魚ネキの探索範囲制限を解除する様に要求してた*7ぐらいだし、改めて語る程でも無いでしょう。
兎も角、そう言った事が有って先頃ようやく依頼管理課の事務員達も折れ、探索範囲制限要請が解除された事の祝いを兼ねて、試作品を提供しに来たと言う話。
それと、半年ぐらい前に人魚ネキの武器式神である睡蓮と文目が、基本素材をアダマントス合金木へ変更する際、苦いから嫌いと言っていたとの話を小耳に挟んでいたのもあり、折角なので食べて感想を貰えればと言ったところ。
「そんな訳で、【概念調理技術】を用いてアダマントス合金木を使用したチョコカスタードタルトが、この〝闇夜に浮かぶ月の微睡み〟になります」
「ほほう、流石に私でも無機物を食べた事は無いからなぁ……。どんな味か楽しみだね」
「あのくっそ苦い合金使ったわりに、香りは普通に甘くて美味しそうだな」
「あ、そう言えばアナザを食べてる事が前提な料理ですよね?睡蓮と文目は一口程度しか食べてないですけど大丈夫です?」
「一口程度でも概念的味覚は開花するでしょうから、問題は無いと思います。まあ駄目だったら【概念味覚拡張*8】のスキルカードもありますから、何とでもなりますよ」
「なるほど」
「相変わらず色々作ってるよね。ま、それより美味しそうなタルトなんだし、もう食べて良いよね?」
「ええどうぞ、私はお茶でも入れておきますので」
「じゃ、頂きまーす!ハムッ、ムグムグ……うーむ、凄く美味しいけど、何て言ったら良いんだろ、凄く表現に困る味してるね」
「チョコとカスタードクリームの甘さやほろ苦さは感じるんだが、それ以上に安心感と言うか、このままごろ寝でもしたくなる気分になる味だな……」
「ほろ苦さにアダマントス合金木の名残を感じますが、予想以上に苦味が抑えられてますね。睡蓮と文目はどうですか?」
「「ますたー!これ美味しい!」」
「スキルカードの追加はしなくても良さそうですね。味の方も好評みたいですし、これで決定にしますか」
表現は様々だけど、美味しいとの評価は一致している様子から、バレンタインに振る舞うデザートが決まった所で、ストレス軽減も兼ねて人数分の蓬莱熟茶*9を入れていく。
るるネキは食べる事自体がストレス解消の一つだから問題は無いとして、幼女ネキや人魚ネキはここの所ストレスを溜め込む状況だった事だし、美味しい物を食べてリラックスしてくれると良いのだけど……。
実が完熟して自然に落果する間際に調理を施し、地面へ落ちる衝撃で破裂しないようにした上で、内部の空気を一気に放出する事により、旨味を内部に閉じ込める事が可能な特殊調理食材。
正しく調理した実は、弾力感のある鉛の様な重さと肉の様な触感を持っており、食べると呼吸による酸素吸収量が増加し、新陳代謝や身体機能・自然治癒力などが数十倍に向上するため、エアの実を食べた直後から数日は、無呼吸で活動する事も可能になる程の効能を持つ。
霊薬の素材として高い効能を持ち、特に思いを伝えるための触媒とした場合、伝えたい思いを過不足無く対象へ伝える事が可能な効果を併せ持つ。
また、カカオ自体としても物理的、霊的、概念的に風味豊かな極上品となっている。
ハートカカオから精製したチョコとアダマントス合金木の粉末を加えて生クリームを練り込んだ生チョコと、牛豚鳥のミルクから精製された醍醐を香り付けにしたカスタードクリームにて、温かく優しい死の微睡みが表現されている。
このタルトを1ピース(6分の1)程余す事無く味わう事により、即死効果無効に準じる概念強度を得る事が出来る。
既に即死関係の耐性を有している場合、一度だけ概念強度を加算する事が出来る。
また、耐性貫通による即死を含め、死亡時には食事効果により一度だけ死亡を無効にして蘇生する。
この食事効果は発動されるまで、永続の加護として付与される。
概念的な味覚を知覚可能となり、食べた素材の力をより多く取り込める様になる。