君たちが幸せでさえいれば   作:fgoすき

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遅くなってすみません…


4話

後藤さんを虹夏に預け、受付をしてるリョウのもとへ向かう

傍から見ると容姿端麗、クールビューティーなリョウは受付向きなのだ

 

「よ、お疲れ」

「お疲れ」

 

リョウの横に座り一息つく

ある程度販売のピークを過ぎたからかあまり客の数は多くない

決して気まずくない沈黙がその場を包む

距離が近くないと出せないこの空気がとても心地いい

しかし、珍しく隣のリョウがこちらをチラチラと覗いている

 

「どうした?」

「なにもないよ?」

「それならいいんだけど」

 

表情や行動から考えていることがわかりづらいリョウではあるが

何か違和感を感じる

先程と変わらずばつが悪そうな顔でこちらを覗くリョウ

 

「言いたいことがあったらいいな

それで何か悪いことを思ったりはしないよ」

「むむむ…」

 

そんなに言いづらいことなのか

リョウが話し出すまで考えてみるが

中身の入っていない箱に手を入れてまさぐっているように何も見つからない

 

「新はさ」

「おんおん」

「ぼっちをすごい気にかけてるよね」

「そうだな、知っての通りコミュニケーションが苦手そうだから

サポートしたほうがいいと思って」

「そう」

 

それだけ?

いや、この言葉の中に真意が含まれているんだろう

まさか…

 

「俺が後藤さんに首ったけにでもなると思ってるのか?」

「…」

 

その言葉を聞いた瞬間そっぽを向くリョウ

 

「かわいいね~リョウちゃんは」

「別に、私の世話をしてくれる執事がいなくなるのが嫌なだけ」

「執事が撫でまわしてやろうか?」

「それはいい」

 

普通に断られた

そんなことを不安に思っていたのか

俺の幼馴染はかわいいなあ

こんな女の子を彼女にできる彼氏は幸せ者だろう

将来の彼氏に少し嫉妬する

 

「俺の一番はいつまでもリョウと虹夏だから安心しろ」

「それならいい、虹夏と新がいないと誰も世話をしてくれないから」

「将来世話してくれるやつが見つかるまでは面倒見るよ」

 

その後バイトが終わりいつも通り虹夏との散歩の時間になった

珍しく先に帰らなかったリョウもいるので久しぶりに三人での帰路だ

 

「珍しいね~、リョウが一緒に行くなんて

何かあったの?」

 

リョウが待っていてくれたことがよほど不思議だったのだろう

虹夏が怪しいものを見るような顔で尋ねる

 

「別に、そろそろ虹夏が寂しがるかなって」

「わたし!?そりゃ一緒に帰るのは楽しいけどそれにしたって珍しいよ」

「まあいつものリョウの気まぐれだろ

猫みたいに気まぐれだからな」

「にゃん」

 

手で頭の上に猫耳を作り、鳴きまねをするリョウ

 

「ぐぬぬ、絵になるのが腹立つ」

 

そんなくだらない話をしながら

恐らく寂しくなったのだろうなと考える

本当に猫みたいなやつだ

ここ最近自分の都合で二人に構えてなかったな

いつかは離れるとはいえ、二人に寂しい思いはさせたくない

そんな、背反する思いを胸に秘めながら二人にある提案をする

 

「最近三人で遊べてないし、今度休みがかぶった時どこかに出かけないか?」

「お、いいじゃんいいじゃん!!」

「え、外に出たくない」

「じゃあ虹夏、二人で行くか」

「うん!リョウは置いて二人で行こう!」

「え…」

 

ぱっと日が差したようなとてもまぶしい笑顔に表情を変えうなずく虹夏

リョウは外に出かけたくないと言うけど誘わなかったら誘わなかったで拗ねちゃうからな

断った瞬間に二人で行くと言ったら多分来るだろ。なんだかんだ俺たちといるのは好きだろうし

予想通りすぐに行かないことを許容されたことに愕然としているのか、口をポカンと開けて思考を停止している

その姿でさえも映画の撮影中かのように絵になっているのだから顔の良さは反則だなと思う

横にいる虹夏は俺の思惑に気づいているのか、口を手に当て声を出さないように笑みを抑えている

いつもからかわれる側だからリョウにやりかえしができることが面白いのだろう

その証拠に頭の上にあるドリトス部分が持ち主の気持ちを表すようにブンブンと揺れている

 

「私がいないと寂しいだろうから一緒に行ってあげもいい」

「ん?確かに寂しいけどリョウを付きあわせるのは悪いから大丈夫だ。写真送るから家にいてくれていいぞ」

「いや…それは…」

 

俺の反応が悉く予想外なのかあたふたしているリョウ

いつものクールな性格が消滅してしまったようで、そこにいつものリョウの影はない

ほかの人ではあまり見ることができないリョウの姿を見ることができる事に軽い優越感を抱きつつ虹夏に目を向ける

満足そうな顔をしているのでそろそろ許してやろうということだろう

自分の気持ちを正直に言い出せず、硬直しているリョウに顔を向ける

 

「冗談だよ、リョウさえ平気なら一緒に来てくれるとありがたい」

 

その言葉が嬉しかったのか、口角がわずかに上がり足取りが軽くなっている

 

「仕方ないから行ってあげる

ご飯はおごりで」

「一個だけな~」

「リョウ!調子に乗って甘えないの!

新くんも甘やかさないでよ~」

「今回はからかいすぎたから特別だよ、毎回甘やかすわけではない」

「永久契約のつもりだったのに違ったのか、残念」

「自分のご飯くらい買えるようにお金は持っておいてくれよ」

「私のロックな生き方だから仕方ない

バンドマンは基本異性に貢いでもらって生きる者」

「あまりにも偏見が過ぎるだろ、リョウがずっとそうなら

俺はロックが嫌いになりそうだ」

「それはない」

「それはないね」

 

二人でうんうんと頷きながら間髪入れずに俺の発言を否定するリョウと虹夏

その様子は自分の否定に圧倒的な自信を持っているようだった

 

「即答かよ…なんでだ?」

 

そんなことを聞くと二人は不思議そうにこちらを見つめる

それはまるで俺が何を言っているのかが理解できていないようだった

そんな顔をしながらリョウが口を開く

 

「今まで私と虹夏の好きなことや大切にしていることを新が嫌いになったことはないよ」

「悪いこととか何かしたら怒りはするけど否定そのものをされたことはないしね~」

「そう…だったのか」

 

それは今まで意識して行っていたわけではなく

ただ自分の中で二人の好きなことを否定したくないという思いが自然と表れていたものだったのだろう

意図せず二人を大切にできていた事実に少し誇らしくなった

 

「いや、でもやっぱり異性に貢がれて生きてるリョウは見たくないな」

「大丈夫、貢がれる異性は新一人って決めてる」

「いや、俺に彼女ができたり結婚したりしたらどうするつもりだ」

「それも大丈夫、新が付き合うなら私か虹夏」

「いや、そんなことはないだろ」

「私たち以外に女を作るつもりなのか、浮気者」

「え、そうなの!?新くん浮気者だ~」

 

盛り上がって俺を冤罪でまくしたてる二人

この二人に俺が勝てるなんてことはなく、魔女裁判にでもかけれられている気分だ

 

「まあ、今のところ彼女なんてできる予定ないし

しばらくリョウに貢ぐ異性は俺だけだろうな」

「それでいい、新からは一生絞り続けると決めている」

「勝手に決めるな」

 

そんな軽口を叩きながら歩くとリョウの家についた

その後暗くなった道を虹夏と二人で歩く

そろそろSTARRYにも着くころだ

 

「それにしても虹夏と二人で行くって言ったときのリョウは傑作だったな」

「そうだね、いつもの仕返しができて面白かったよ」

「でもね、新くん…」

 

突然俺の耳元に顔を寄せ、囁くように言葉を発する虹夏

 

「ほんとに二人で遊びに行ってもよかったんだよ?」

 

そう言いながら顔を離し俺の目の前に立った虹夏を見る

月の光に体を照らされながら

長い髪を風で揺らし、頬を朱に染めてこちらを覗く虹夏にはいつものような明るく元気な印象はなく、とても蠱惑的で吸い込まれそうなくらい魅力的に見えた

 

「お、おう」

 

突然の言葉に頭がうまく働かない

思考は雁字搦めになり、頭の中で糸が絡まりあったように何も考えられない

そんな俺をよそに満足そうな顔でこちらを見る虹夏

 

「じゃあ、ついたから

新くん、また明日ね」

 

そう言いながら帰る虹夏に声を返すこともできず

その場で立ち尽くしていた

しばらくしてようやく頭が働きだし、歩き出すことに成功する

帰っている途中でも先ほどの妖艶な虹夏が頭から離れない

頭の中を支配されたように、虹夏のことしか考えられなくなっていた

周りはとても静かで、まるで俺以外のすべてが眠ってしまっているようだった

 

 




リアルが忙しくなかなか執筆時間を取ることが出来ませんでした

あ、ぼっち・ざ・ろっくの6巻すごくおもしろかったです!
シラフのきくりちゃんかわいい!

次話はなるべく早く更新できるよう頑張るので
よろしければ感想、お気に入り、高評価などよろしくお願いします!
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