VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ   作:なみん

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前回のあらすじ

付いてる方がお得まである


クッキングバカ

 

 

「そういえば煮付けさんは食べられそうな木の実とか探してたんだっけ。いっぱい取れた?」

 

「いっぱい取れたっすよ。こっちに置いてあるっす」

 

 

 煮付けが指差したのは少し大きめの岩だった。よく見ると岩は器の形をしていて、中には色とりどりの木の実。いや急に文明レベル上がるなよ

 

 

「おお、いっぱいあるね。でもこの器は何? もしかしてどっかで買ってきた?」

 

「そんな訳ないじゃないっすか。そこら辺の石とか、ビームで巻き込まれて、ここまで運ばれてきた瓦礫をアタシが削って加工したんすよ」

 

「ああ、あれバリアだから原型保ってたのか。にしても削ったって凄いね」

 

「バフでゴリラになったら出来たっす」

 

「なんかもう俺いらない気するけどね」

 

 

 もうバフ掛けたら俺より強いんじゃないかな

 

 

「そんなことないっすよ? 能力使うと疲れるんすよね」

 

「え、二人もそうなの?」

 

 

 これフィーエも言ってたけどマジなのかな? 疑うわけじゃないんだけど、俺だって能力は結構使った。なのに疲れは感じていないんだけどな

 

 

「木の実って言っても食えるか分かんなかったんで、アタシが毒見したんすよ。そしたらまあまあ死にかけたんでもにょさんに回復してもらったんすよ。それを続けてたらもにょさんが疲れてきました~って言ってて。そう言えばアタシも疲れてるな~って」

 

 

 気付いたのは良いとして、木の実の調べ方ががアホすぎる。体張りすぎじゃない? 逆に言えば器の中にあるのは食べられるやつなのか

 

 

「今のアタシなら分かるっすけど、能力をいっぱい使ったフィーエさんの疲れ具合は半端じゃないと思うっす。そんな状況で一人で山に行ったんだから愛っすよねー」

 

「恋愛に引っ張りすぎでは? にしてもそうか、皆疲れてるのか」

 

 

 女子かってくらい恋愛にこじつけてくる煮付け。君は名前の割に乙女だよね

 

 

「え、 セクマさんも疲れてるんじゃないっすか?」

 

「いや、体の制御があまり効かない以外は特に何もないけど」

 

「チートじゃないっすか!!」

 

「どの口が?」

 

 

 お前らの方がよっぽどだよ。しかも俺、体感5割以上力入れると加減利かなくなるし

 

 

「まあ、そりゃあデメリットもあるか。そこは気を付けないとね」

 

「っすね。まあいざとなったらセクマさんに守ってもらうっすよ」

 

「あんま守る場面なんて来ない気するけどね……」

 

 

 むしろこのメンツだと、俺守られる側だからね

 

 

 

     *

 

「木の実は良いとして、獲物の肉なんだけど、解体ってどうやるか分かる人いる?」

 

 

 肉は確保したけど食べられないと意味ないからね。生で食べるわけにもいかないだろうし

 

 

「悪いが僕は分からないな」

 

「右に同じくっすね」

 

「右に同じくです」

 

「もにょさんの右は木の実が入った器だよ」

 

「ミギニオナジク!!」

 

 

 どんなボケだよもにょさん

 

 となると全員知らない感じか。念の為女達にも聞いてみるが、分からない感じだ。どうしよ……なんかそういう魔法とかないですかね?

 

 なんて現実逃避していると

 

 

「あの……」

 

声の主はマリアちゃんだった

 

 

「私、少しだけ聞いたことがあるのでその部分だけで良いなら……」

 

「何も分からないし、それだけでも助かるよ」

 

 

 マリアちゃんが教えてくれたのは、血抜きをした後に内臓を取り出すらしい。あー、なんかそれっぽいな

 

 

「それをやれば食べれそうだね。ありがとうマリアちゃん」

 

「いえっ、この位は全然です!!」

 

 

 マリアちゃんは優しいね。そういえばバルドの事とかまだ伝えてないな

 しかしマリアちゃんも相当疲れている筈だ。話すのは後でもいいかもしれない

 

 

「さて、解体と言えば刃物なんですけども」

 

「まぁ、少なくとも僕は持ってないし、件を使うしかないんじゃないか?」

 

 

 サンキューフィーエ。そらそうだ

 

 

「あ、でも刃物つくるっす~って煮付けさんが言ってましたよ!!」

 

「え? めちゃくちゃ気が利くじゃん煮付けさん」

 

「そう、アタシ実はイイ女なんすよ!!」

 

 

 噂をすればなんとやら。煮付けが石で出来たナイフを持って戻ってきた。結構長く、なんならちょっとした武器になりそうなくらいのサイズで使いやすそうだ

 

 

「本当のイイ女は自分で言わないと思うが……」

 

「まあまあ、とにかくこれで解体できるってものよ」

 

「その様子だと、自信があるみたいだな?」

 

「ふふん、フィーエさんよ……血は大の苦手」

 

「なんだよ……」

 

 

 甘いなフィーエ、こんな事が今後も起きないとも限らないだろう? ならば今の内に経験するのが一番いいんだ

 

 

「それで良く動物殺せたな……」

 

「いやだなあ、そこら辺の石ぶん投げた後、見ないように後ろ向いたに決まってるじゃん?」

 

「良く当てられたな!? 頭の一部がはじけ飛んでるから変だなと思ってたんだよ!!」

 

 

 まあ一頭目殺した時点ではじけ飛んだ死骸を直視したから意味ないけどね。その後は変なテンションで乗り切っただけの事

 

 

「早くしないと肉が血生臭くなるんじゃないっすか?」

 

「それはそう。じゃあ、まず頭を切り落として……ヒィィィィ!!!」

 

「どんな掛け声だ」

 

 

 バシュッ!!

 

 叫ぶことで気を紛らわしつつ頭を切り落とすと、石のナイフとは思えないほどスッパリ切れた。これ、廃材で作ったにしては切れ味が凄すぎないか?

 

 

「あれ?」

 

「なんか、地味じゃないですか?」

 

「地味って言い方なんか怖いっすけどね」

 

 

 折角切ったのに、切断面から出てくる血は少量。あれぇ? スプラッタみたいなのを予想してたのに、そんなだな?

 

 

「そう言えば思い出したんだが、血抜きって心臓の力を使ってやるんじゃなかったか?」

 

「え、そうなの?」

 

 

 どうやら心臓がポンプの役割をするらしい。それだ、絶対それ

 

 

「困ったね」

 

「でも、お肉は食べたいっすよね。そのナイフ作るのもめちゃくちゃ疲れたし、ご褒美欲しいっす」

 

「なら、セクマさんがポンプの代わりをやるのはどうでしょうか?」

 

「いきなり何言ってるんだもにょさん!? てかどうやって!?」

 

「そこはほら、だいしゅきホールドとかで……?」

 

 

 絶対ノリで言ってるよねもにょさん。でもまあやるしかないか

 

 

「えぇ~……やるけどさぁ」

 

「やるのかよ」

 

「出来れば美味しく食べたいしね。……ふんっ!!」

 

 

 ここで問題。加減の利かないゴリラが肉塊にハグした時、起こりうる現象を答えよ

 

 A.はじけ飛ぶ

 

 

 パァン!!

 

 

「きゃっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「おおおお!?」

 

 

 肉片があたり一面に転がり、周囲には血煙と血の匂いが充満する。あ、ダメだこれ意識飛びそう

 

 

「びっくりした……っておい、大丈夫かセクマ!?」

 

「セクマさんが死んだっす!!」

 

「ああそんな私のせいでぇぇぇ!!」

 

 

 薄れていく意識の中、最後に俺が思った事。それは

 

「俺達全員……クッキング……バカ……」

 

 

「「「……」」」

 

「訳分からんこと言いながら気絶するなーー!!」

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