VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ   作:なみん

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前回のあらすじ

メス堕ち系男子に堕ちる系男子


こうなりゃ仲間とか関係ねえ

 

 俺の自己啓発セミナーで元気を取り戻したフィーエたん……、もといフィーエと共に焚火の傍に寄る。すかさず皿いっぱいに盛られた肉を手渡す煮付け。皿って言うかただの瓦礫じゃねえか

 

 

「ささ、どうぞどうぞセクマさん!! セクマさんの分、いっっっぱいありますから!!」

 

「遠慮せず食べちゃって下さい!! あ、私は肉を焼きます!!」

 

「お、おお? ありがとう煮付けさん、もにょさん」

 

「止めた方が良いと思うけどな……」

 

 あり得ないくらい大きな声でまくしたてる煮付けともにょ。そして俺を止めようとするフィーエ。なんか怪しい雰囲気だな? 二人が何か企んでいるのか。まあ、死にはしないだろうから食べるんだけど

 

 

「……これってもしかして素手?」

 

「いやあ、すみません!! ちょっと疲れがピークなもので!! お箸までは作れませんでした!!」

 

「ごめんなさいセクマさん!! でも素手も新感覚で良いですよ!!」

 

 

 君達本当に疲れてる? 元気有り余ってる人の声量なんだけど……。仕方ないので焼けた肉を、素手で一切れ掴み口に入れる

 

 

「ん、ゴハッ!?」

 

「あーあ……。だから言っただろ」

 

 口に入れた瞬間、口の中が終わった。いや表現が分からん!! あまりのマズさに終わったという感想しか出てこないくらいマズい!!

 

 

「オエッ……!! お、まえたち……、何をした……?」

 

「いや、違うんすよ!! アタシらもマズすぎてビビり散らかしたんすから!!」

 

「多分血抜きが出来てないからだと思います。恐ろしやですね……!!」

 

 

 なるほどこれは血生臭さか……!! とにかくこの味覚テロを何とかしなければ……。水は、水はどこだ!?

 

 

「み、水……」

 

「木の実食べるっす!! 幾分マシになるっすから!!」

 

 

 煮付けから貰った木の実を口に頬張る。最初は味が混ざって本当に死ぬかと思ったが、少し経てば大分マシになってきた。ここに来て一番死が間近に迫っていた気がする

 

 

「死ぬ……、死ぬ……」

 

「大丈夫っすか……?」

 

 

 大丈夫に見えんのかよコラと言いたかったが、故意かそうじゃないかで話が変わってくるのでここはグッと抑える

 

 

「何とか……」

 

「良かったっす、本当に」

 

「……これ、皆食ったの?」

 

 

 煮付けに恐る恐る聞くが、煮付けは首を横に振り否定した。良かった、死ぬのは俺一人だけで良い。……な訳あるか。ずるいお前ら

 

 

「アタシ達三人は食ったっすけど、他の人達は食ってないっす」

 

「そうだったのか。多分これ食ってたら死んでたね」

 

「そうじゃなくても、何日も食ってないのにいきなり肉食ったら死ぬんじゃないっすかね?」

 

 

 ああ、なんか聞いたことあるな。煮付けが木の実をこちらに差し出しながら話を続ける

 

 

「なので、水っぽい木の実を少しずつ食べてもらってるっす。これで十分かは分からないっすけど、食わないよりましかなって」

 

「へぇ~。……所で、肉ってまだあるの?」

 

「あるも何も、まだ一頭分すら食ってないっすよアタシら」

 

 

 なるほど? まあとても食えたもんじゃないからね。でもさ、残すのは良くないと俺は思う訳。そこで俺は三人に提案をした

 

 

「日本人たるもの、お残しってのは許しまへんでスタイルが基本だよね?」

 

「いや、アタシイギリス人なんで」

 

 

 変な躱し方するなよ煮付け。俺の一言で全てを察したんだろう。でも逃がすわけないじゃない?

 

 

「郷に入っては郷に従え、だ。大丈夫だ皆で食えば怖くグフォォ!?」

 

 

 話している途中で煮付けから拳が飛んできた。クッソ、転んだ時より痛いぞ!?

 

 

「そんなに食いたくないのか!?」

 

「当たり前じゃないっすか!? それなら、肉を調達したセクマさんが全部食うべきっす!!」

 

「独り占めって嬉しいはずなのに嬉しくねぇ!!」

 

 

 大好きな肉なのに独占欲が掻き立てられないんだよパトラッシュ。おかしいよね。俺は諦めずに皆の説得を続ける

 

 

「でもさ、絆を深め合うなら同じ釜の飯を食うのが一番いいんだよ? だからほら……ね!?」

 

「そんなの良いっす!!絶対食いません!!」

 

「なら力尽くよぉ!!」

 

 

 言い終えるより先に煮付けに襲い掛かる。だが煮付けも予測していたのか、俺の鼻に煮付けの右膝が突き刺さる。

 

 

「いってぇぇぇ!?」

 

「力には力っすよ!!」

 

「とりあえず治しておきますね!!」

 

 

 煮付けの膝蹴りを食らい、呼吸し辛くなっていた鼻の通りが良くなる。どうやら治してくれたらしい。

 

 

「ありがとうもにょさん、優しいね」

 

「ヒーラーですから!!」

 

「それでも嬉しい。……よッ!!」

 

 

 煮付けは駄目だったが、純粋なヒーラーなら俺の動きは止められまい。どうか俺と食事をして(いけにえになって)くれ!!

 

 しかし、体が触れた瞬間、もにょがすごい勢いで後ろに飛び退く

 

 

「グヘェェ!?」

 

 

 ……のではなく、単に俺が吹っ飛んでいただけだった。

 

「能力使うと、疲れるんじゃ、なかったのかよ……」

 

「セクマさんごめんなさい、どうしても食べたくなくて……」

 

 

 ニッコリと笑うもにょ。いやいや、なんで皆こんなに強いんだ!? 俺は!?

 

 

 となると、もう頼れるのはフィーエしかいない。そう思ってフィーエを見る。目が合うと、苦笑いを浮かべた

 

 

「仕方ないな……。少しだけなら付き合うよ」

 

 

 女神だぁ……。今日からフィーエ教を立ち上げるか

 

 

     *

 

 フィーエも食べるならという事で、結局皆で焚火を囲みながら頑張って食べているのだが……

 

 

「ヴッ、ヴォエエエ!!」

 

「む゛り゛っ゛、む゛り゛っ゛す゛!! エ゛エ゛エ゛エ゛ウ゛ッ゛ッ゛!!!!」

 

「……」

 

「すまんセクマ……、僕もっ、もうっ……!!」

 

 

 この様である。沈黙一名、脱落者一名、人間性を捨て去った獣二名。全滅だ

 

 

「オエッ……。なあ、皆……」

 

「ェ゛ウ゛ッ。……なんすかセクマさん……?」

 

 

 倒れ伏す仲間たちと、高く聳える肉の塊という光景を見て心に誓う

 

 

「血抜き、覚えような……」

 

 

 そこからの記憶は、あまりない




なお、茶番の後に食材にごめんなさいして山に捨てました。野生の動物が何とかするんじゃないですかね。わかりません
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