VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ 作:なみん
えっ
フィーエの言葉が頭の中でぐるぐる渦巻いている。えっ? 女の……えっ? おん……?
「だからか!! 納得がいったぞセクマ!! お前は僕を男だと思ってたから、VRの中身がどうとか言ってたんだな!?」
「え、いや、VRの女アバターは100割男ってワ〇ップで見た……えっ?」
まずい、処理が追い付いていない。女? 男だと思ってたら実は女の子で……でも女アバターって男なんだよね?
「それだと1000%じゃないか!! 適当言って……僕の事かわいいとか言ってくれたのも、男だと思って茶化していたんだな!?」
「いや、かわいいのはかわいいんだ」
「ま、またそうやって……~~~!!」
「とりあえずお互い落ち着こう? バルドさん達が感動の再開も忘れてこっち見てる」
「あ、ああ。そうだな……って、何でお前は落ち着いているんだ!! やっぱり僕で遊んでいるんだろう!?」
待って本当に落ち着いて。村中の人からゴミみたいな目で見られてる気がする
*
「あの時は自己紹介がまだでしたね。改めて、セクマと申します。って」
「せ、セクマ殿か、貴女に良く似合う良い名だ」
「……」
「ありがとうございます。という事でバルドさん、申し訳ないのですがマリアちゃんを連れて他の国に行こうと思うんです。いてっ」
「……」
「あ、ああ。それは構わないが……大丈夫かね? セクマ殿」
「いっ、まあ余程のことがない限りったぁい!! そろそろ蹴るのやめてほしいって思ってる!!」
「うるさい」
「おちついて……おちついて……」
「うるさい!!」
あれ以上は流石に近所迷惑だったので、バルドの家に上がらせてもらっている。そのついでに帝国から逃げてきた旨を説明しているのだが、拗ねに拗ねたフィーエにずっと脛を蹴られている
「俺も悪かったよ。でも凄いねフィーエ、強化されているはずの肉体なのに脛が痛いよとても」
「僕が男みたいに力が強いって意味か!?」
「違うちがイッッッッタ!!」
「ふん」
俺がとびきりの悲鳴を上げたのに満足したのか、フィーエはそれきり蹴ってこなくなった。やっとバルドと話が出来るよ……
「っぁあ、それでバルドさん、俺達は帝国以外の事は全く知らないので、心当たりがあればおすすめの国とかって教えてもらえますかね?」
「それなら、ニュータリティーが良いかもしれないな。少し遠いが、他国から干渉される心配もない」
「ニュータリティー……中立と言う意味だったか」
「結構安直な名前なんだね」
「元が救オンラインとかいう名前だし今更じゃないか?」
それもそうか。まずは目的地が決まった訳だ
「にしても英語まで分かるなんて流石フィーエたん」
「!? フンッ!!」
「ッッッア゛ア゛ア゛!?!? ……と、遠いと言ってましたけど、どれくらいですか……?」
見えた!! この子バリアで足を補強してる!! 賢い!! 痛い!!
「あ、ああ……どれくらいと言われても困るが、安全なルートならある」
脛に追撃を入れられた俺を見て顔を引きつらせているバルド。すんませんねえうちの子がね
「ここから南へ進むとアクアテラという国が見えるはずだ。まずはそこに入国するのが良いだろう」
「フィーエ、覚えた?」
「せめて自分でも覚える努力をしてくれ……」
「勿論、でも念の為ね。頼りにしてるから」
「……まあ、任せろ」
今回は話しかけたのに珍しく蹴られなかった。良かった
あ、バルドがこっち見ている。話を聞かないと
「アクラテラからシルワを経由して、そこから南西に進めばニュータリティーだ。これが一番安全だろう」
「南西とはまたアバウトなんだな?」
「あぁ、昔はナモナイスと言う国から直通の馬車が出ていたんだがな、魔獣により消滅させられたそうだ」
「え、なんもないっすじゃん」
「知っているのかね?」
「たまたま耳に挟んだだけだ。気にしないでくれ」
そうそう、煮付けのファインプレーでたまたま知っちゃったかんじだよね。フィーエはなんであきれているのだろう
「そのナモナイスとニュータリティーの距離は離れているのか?」
「いや、首都こそ離れているものの、隣国だったと記憶している」
「滅んだ国の隣なのに安全と言った理由はあるのか?」
「ニュータリティーがその魔獣を殺したからだ」
「中立国特有の武力という事か?」
「正にその通りだフィーエ殿。ニュータリティーは、国一つ滅ぼした魔獣をも物ともしない圧倒的な武力を持つ。他にも強国たらしめる理由はあるが、この理由一つでも納得出来るだろう?」
凄い、端的なのに話が通じてる。やっぱりフィーエって頭いいんだな。フィーエが居なかったら今頃もっと悲惨な目に合ってたんじゃないかって思ったけど、よく考えたら一日目結構やらかしてた
「十分だ。礼を言うよバルド殿。マリアちゃんを必ずニュータリティーに送り届けることを誓おう」
「娘の命も掛かっているとなれば、これくらい大したことはない」
確かに、こんな大男が顔をくしゃくしゃにして泣くくらい大事な愛娘だもんな
「それにしても、随分と詳しいんだな?」
「若い頃に冒険者をしていてな。色々な国を歩いたものだよ」
「なら、今聞いた情報は過去のものなのか?」
「ルートは私の過去だが、情報は現在のものだ。それを踏まえても、一番安全に進めるのはこのルートだと私は考えている」
「成程な……失礼した」
「構わんよ。慎重なのは素晴らしい事だ」
暇、俺にも分かるように説明して
背筋を正したままボーっとしていると、バルドがいきなり立ち上がる。びっくりするからやめてほしい
「改めてセクマ殿、フィーエ殿。昨日危険な目に合わせた非礼と、再び娘と会わせてくれた事のお礼をしたいのだが、いかがかな?」
「それはぜひおねがいします」
「おい、意味をちゃんと理解して返事したのか?」
わかんない、だってボーっとしてたから
僕がもっと頭良かったら、もっと頭良く書けてました