VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ   作:なみん

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前回のあらすじ

それはぜひおねがいします


絶対は絶対なんだから絶対なんだよ

 

「バルド殿、こんなに頂いて良かったのか?」

 

「構わんよ、老いた私には使い道がないのでな。部屋が広くなって寧ろ好都合だとも」

 

 

 バルドから貰ったのは、キラキラした宝石と二振りの剣、おまけで袋三つ分の食料だった。フィーエに怒られたからよくよく話を聞いたけど、別にあの答えで良かったじゃんと思いながら同じセリフを吐いたらまた怒られた。なぜ

 

 

「それにしても、バルドさんってこんな大きい剣振り回してたの?」

 

「若い頃は力だけが取り柄だったものでね。それを振り回すしか能がなかったのだよ」

 

 

 なんかこのおっさん謙遜してるけど、俺の身長くらいの剣振り回してたってマジ? 俺ですら重みを感じるぞこれ

 

 

「へぇー……そんなに強かったんならあの変態三人組くらい一発だったんじゃない?」

 

「なんだその珍妙な三人組は」

 

「昨日助けられたと言っていたのはその話でな、マリアを連れ去った男達に危うく殺されかけたのだよ」

 

「殺されかけたって言ってもこの剣見たら信じられないよね?」

 

「ああ……と言うか室内で振り回すな」

 

 

 おっとつい振り回してしまった。俺もなんだかんだ男だからか、大剣ってのはどうにもテンションが上がってしまう

 

 

「大した事ではない。冒険者業にも慣れてきたかと言う頃に、足を負傷してしまってな。今ではまともに動く事も出来ないのだ」

 

「え、今膝に矢を受けたって言った?」

 

「言ってないだろ」

 

 

 やっべー、リアルスカ〇リムだ、テンション上がるな~

 

「それに、いくら許せない相手であろうと、同じ集落に住まう仲間、人間だからな」

 

「かっこいいけど、それで死んだら終わりじゃない?」

 

 

 悪いけど、俺がバルドなら胴体めがけてバスっと行っちゃうかも

 

 

「ははは、そうかもしれないな。だが、人を殺すというのは、自分の心を殺すに等しいのだ。無暗にするものではない」

 

 

 バルドって人殺したことあるのかな

 

 

「バルドさんって、人を殺した事ある?」

 

「おい、流石に失礼だろ!!」

 

「あるとも」

 

 

 気のせいかもしれないけど、部屋の中が随分寒く感じてきたな。バルドもなんかじっとこっちを見てきているし

 

 

「……始めて殺した時、どんな気持ちだったの?」

 

「さてどうだったか……あの時は必死だったからな。だが、罪と言うのはどれだけ逃げようとも逃れられないものだ」

 

「と言うと?」

 

 あまりよく分からなかったのでもう少し深堀してもいいですかね? あんまり時間もないけど、何故か聞かないといけない気がして

 

 

「私が気付いたのはソフィア、初めての娘が生まれた時だ。我が子を手に取った時、それは喜んだとも」

 

「私の手に感じる重みはとても軽い筈なのに、言葉では言い表せない程とても重かった。命とはいかに尊く、重く、眩しいものかを初めて知ったのだ。だが、それと同時に命を奪う事の意味を真に理解した。私が殺した相手にも、私のように我が子を愛していた親がいた。その親から子を奪ったのだという、事実を知った」

 

「「……」」

 

「眩い輝きを、自らの手で消したと知ったのだ。途端に、私の手が汚れて見えたのだ。それは何度洗おうとも落ちない穢れだった。私の手が、途轍もなくおぞましい物に思えたのだ」

 

 

 手を見つめるバルド。バルドの手を見た後、思わず俺も自分の手を見つめてしまった。

 

 

「……でも、やらなきゃやられてたんでしょ?」

 

「確かにそうかもしれないな。だが、やらないに越したことはない、ということだ。セクマ殿も、手はきれいな状態で繋ぎたいだろう?」

 

「……別に汚くても良いし、その方が好きな場合もあるし」

 

「ははは、そうであったか」

 

「多分そんな話はしてないけどな……」

 

 

 何だか無性に腹が立ってきた。どう考えたって悪い奴は悪い

 

 

「大体、そんな考えでいたらいつか悪い奴に殺されちゃうよ。とっても悪い奴は、そんな事考えもしないから悪い事をするんだよ」

 

「はっはっは、正しくそうかもしれないな。手の汚れと言っても、気になる度合いは人によって大なり小なりだろう。私は、途轍もなく潔癖症であったというだけかもしれない」

 

「うん、だから少しくらいは汚れても気にしない人がいるって事は忘れないでほしい」

 

「!……はは、そうであるか」

 

 

 大体、そんなの気にしないからフィーエとハグしようとして……えっ、女……? うっ、頭が

 

 

「だが、セクマ殿には穢れを知らぬままの手でいて欲しいと、そう思ったのだよ」

 

「……うん」

 

 

     *

 

 

 一瞬暗い雰囲気ではあったけど、結果的には色んな収穫があったな。特にこの剣、かっちょいい。絶対俺が使いたい

 

 

「ではバルド殿、これで失礼する」

 

「剣ありがとね。絶対大事にするから」

 

「うむ、フィーエ殿もセクマ殿も息災でな」

 

 

 挨拶も程々に、皆の所に戻ろうとしたんだけど、マリアがその場から動かない

 まあ、今生の分かれってわけじゃないし手紙でもやり取りするみたいだけど、長い事会えなくなるからね。寂しいって気持ちは分かる

 

 

「おとうさん……」

 

「マリア……」

 

「おとうさんたちは一緒にこないの?」

 

「ああ、母さんが心配だからね」

 

「だったらおかあさんも一緒に……!!」

 

「マリア、分かるだろう? 母さんは簡単には行けないんだ」

 

 

 もうね、この言葉聞いた瞬間マリアちゃんの目から涙ドバドバ。ついでにフィーエもドバドバ。俺だけがこの状況分かってない。何で一緒に行けないんだ? 聞きたいけど、フィーエに聞いたら殺される気がした

 

 

「後で母さんと一緒にマリアに会いに行くよ」

 

「ほんとう?」

 

「ああ」

 

「ぜったい?」

 

「絶対だとも」

 

「ぜったいのぜったいのぜ」

 

 

 いつまでやるんすかねこれ。絶対って言ってるんだから絶対に決まってるだろ。バルドが嘘をつくようなカスには見えないんだから安心しろって。とは、言っちゃいけないのはどんなバカでも分かる

 結局同じやり取りを何回もして安心したマリアちゃんとフィーエを両脇に抱えて皆の所に戻る

 

 

「へへ……早くこの剣を振り回したいよ」

 

「おあえほえいあいいあいおあーいあっあおああああああああ!!!!」

 

 

 なんて?




 メタいですけど最後のセリフはフィーエの


「お前それ以外に何も感じなかったのかあああ!!!!」


 です。禁じ手
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