VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ   作:なみん

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前回のあらすじ

世の中ね、顔かお金かなのよ


俺のタンス、黒い服多くなりがち

 

 善は急げという事で適当な店で防具を買う事になった。やっとファンタジーっぽくなってきたよね。あまり油断できない状況だけどワクワクしてしまう

 

 

「まあ理由は分かるっすけど、あんまり可愛くないのは嫌なんすけどね……」

 

「まあまあ煮付けさん、暫くの辛抱なので頑張りましょう!!」

 

 

 煮付けの言う事も分かる。せっかく顔の良いアバターに受肉したんだからそら顔は隠したくないよね。すごく分かる

 

 

「でも顔のせいで目を付けられたんだからしょうがないよね。いつか帝国潰すって事でここはどうか……」

 

「おっ、潰すっすか? 良いっすね。早く殴りたいっす」

 

「怖いよ」

 

 

 マジで思考が世紀末過ぎる。もしかして中身ヤクザだったのかな? そんな事を考えていると武器屋に辿り着いたようだ。

 

 

「やっと着いたっすね」

 

「よし、じゃあさっき言った通りの物を探して、手に入れたらギルドに行こう」

 

「了解です(っす)!!」

 

 

 と言うやり取りがあったのが少し前の話。防具だけでもかなりの出費だったので武器は流石に買わなかったが、まぁ目的は顔と体格を隠す事なので別にいいだろう。その気になれば俺達の能力だけで何とかなるはずだ。俺にはあの大剣もあるし

 

 

「よし、じゃあ行くよ」

 

 

 少し大きめの扉を開け、冒険者ギルドへと入る。中はやはりと言うべきか、厳ついおっさんばかりで少々むさくるしかった

 カウンターへと向かう間、おっさん全員の視線が俺達に突き刺さる

 

 

「やはり、顔を隠しておいて正解でしたね」

 

「でしょ? 俺は異世界転移物の小説をいっぱい見てきたけど、顔の良い女は100割絡まれるからね。今もこうして隠し切れない美女オーラのせいで全員がこっち見てる」

 

「いや、多分アタシらの恰好がヤバいんだと思うっすけどね……」

 

 

 そんなことはあるけどそう言う事にしておけ、美女なのは本当なんだから

 

 

「ようこそ、冒険者ギルドへ。依頼ですか? それとも登録ですか?」

 

「三名登録で」

 

 

 俺達を見ても動じてない受付嬢。ほら見ろやっぱり俺達の姿は変なんかじゃない。少し待っていると、受付嬢が受付用紙を持ってきた

 

 

「では、ここに記入をお願いします」

 

「はい。ごめんなさい文字がわかりません」

 

 

 ミミズみたいな文字が並んでる用紙を見て、俺は反射で言ってしまった。だって分からんのだものしょうがない

 

 

「……では私が代筆致しますので、お名前をお願いします」

 

「セクマです」

 

 

 そんな感じで言われた事に応答していると、俺の登録が終わったらしい。名前と戦闘技能だけで良いのか、結構ガバだが元が救オンラインとか言う訳わからん名前だしこんなものなんだろう。

 俺の分は終わったので、煮付けともにょの登録が終わるまで待機しつつ周りを見ると、まだ俺達を見ていた。どんだけ見てくるんだよ

 

 

「おい……あの大剣」

 

「ああ……鬼神のにそっくりだ」

 

「おいおい、嘘だろ? もう引退して長いって話じゃ」

 

 

 なにやら俺の大剣が気になる様子だ。なんだよ鬼神て。面白そうな話してるじゃない? もっと聞かせてよ

 

 

「帝国広しといえど、あんな馬鹿みてぇな剣持てるのは鬼神しか居ねえよ。本人か、あるいはその関係者か知らねえがな」

 

「はっ、どうせハリボテだ。俺が試してやるよ」

 

 

 変な男が大股で歩いて俺の所にやって来た。なんだよ、結局顔隠してもこうなるんなら意味なかったかもしれない

 

 

「よお、そこのイカレた騎士様。アンタの剣でけえな、さぞ重そうだ」

 

「まあ、確かに少し重いですけど」

 

「へっ、少しねぇ……俺に持たせてくれねえか? ちょっとばかし力には自信があるんでね」

 

「いいですけど、落とさないでくださいよ」

 

 

 俺は背中から大剣を取り出して男に柄の方を差し出す。男が持つが、結構きつそうな顔してる。万が一落としたら大変なので少し支えてあげるか

 

 

「ほら見ろ、こいつは鬼神なんかじゃねぇ!! こいつは偽物だ!!」

 

 

 いきなり後ろを振り向いて叫ぶ男。なんすか急に

 

 

「アクアテラの英雄である『鬼神』に憧れるのは良いけどな、見た目ばかりじゃどうにもならねえってんだ。何が本物だアホらしい、どうせこんな剣中身スカスカのハリボテって決まってんだよ」

 

 

 お気に入りの剣をバカにするなんていい度胸じゃん? そこまで言うんだったら自力で持ってくれ

 

 ドゴォ!!

 

 俺が力を抜いたら、男は1秒と持たずに地面に落とした。その衝撃がホール全体に響き渡り、もう俺達を見てなかったやつも含め全員がこちらを見ている

 

 

「あ、すみません。この剣貰ったやつなんで、バカにされると凄いムカつくんですよ」

 

 

 男は口を開けたまま何も言わない。何とか言えってんだ

 

 

「で、ハリボテ落としちゃってますよ。申し訳ないんですけど拾ってもらっていいですか? はやく」

 

「え、あ、ああ」

 

 

 男が慌てて持ち上げようとするがびくともしない。大きなカブの本みたいに、必死にうんとこどっこいしてるようだが、当たり前だ。俺ですら少し重いんだぞそれ

 

 

「いや、持てないんだったら良いです。すみませんでした……まだ何か?」

 

「い、いや」

 

 ひょいっと持ち上げて背中にしまう。うーん、一回やってみたかったんだよねこういうシチュエーション

 

 

     *

 

 

 無事に全員の登録が終わったので、とりあえず宿に戻ることにした。本当はクエスト受けたかったんだけど、フィーエが心配だったので戻りたいとごねた。ごめんね

 

 

「ただいま。フィーエは元気?」

 

「ああ、昨日よりはな……なんだその恰好は?」

 

 

 元気そうで何よりだけど、俺達を見てちょっと引いてる気がするのは気のせいでしょうか

 

 

「いや、身バレ防止で顔とか隠したかったし」

 

「お前、ついに壊れたか……?」

 

「予算と相談した結果がこれだよ」

 

 

 俺達の服装は頭には騎士が被るような兜を被り、上下は皮の装備を装着して、その上からマントを着ている。でもこれだと細い首が見えっぱなしなので、首にはエリマキトカゲみたいなやつ(名前は分からないけど安かったから買った)。なるべく目立たないように兜以外は全身黒のおまけだ

 

 

「余計目立ってる気がするけどな」

 

「でも、リアルだと全身黒は地味みたいな話だったよ」

 

 

 だから目立つ筈がないのだ。どうですか俺の完璧なコーディネートは

 

 

「そうじゃなくて……リアルの話は分からないが、僕は凄く目立つと思うぞ」

 

「言い辛かったんで黙ってたんすけど、それってお洒落が分からないから無難な黒で、って全身黒になっていった結果地味って話なんじゃないすか?」

 

「え、煮付け俺の友達だった?」

 

 

 それね、昔言われたから凄い覚えてる。もしかしたらリア友かもしれない

 

 

「私は首のシャンプーハットがとても目立ってると思います」

 

「そうかな」

 

 

 そうかも。

 

 

「まあ、全員これで行く事にしたからね。フィーエも元気になったら買いに行こうね」

 

「マジかよ、絶対絶対やりたくないぞ」

 

 

 フィーエってマジなんて言葉使うんだね。それだけ疲れてるのかな

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