VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ 作:なみん
あんま変な名前付けると身内以外の人とやりづらいよ
「お前達、止まれ」
門を通ろうとしたら、兵士っぽいやつが槍をこちらに向け、止まるよう命令してきた。俺達が何をしたって言うんですか?
「見ない顔だな。どこから来た」
「そんなもんないっす」
兵士の問いにサラッと答える煮付け。それはそう
それを聞いたフィーエが、呆れた表情で話す
「いくらなんでも、NPCに伝わるわけないと思うぞ」
「そう言われても、そんなの聞かれるって思ってなかったっすよ」
「それはそうだが……」
「てか、街に入るだけなのに、こんなめんどくさいの初めてっすよ」
言われてみればそうだな……。出身を聞かれるゲームってあまり見かけない。ストーリー仕立てならまだしも、ロールプレイが出来るゲームで出身地を聞かれたことなんて無いな。そりゃあ、そんなものはないとしか言えないよな
「ほお? ソナモナイスか。……そこから逃げてきたか」
「なんか通じたっぽいっす」
「嘘だろ?」
「煮付けさん、強運ですね!!」
どうやらソナモナイスと呼ばれる場所があったらしく、そこの出身と誤解してくれたみたいだ。運良すぎだろ
しかし、そこから逃げてきたってのが気になる。戦争中か何か?
「では、我々が保護しよう。安心したまえ」
「やったっす!!」
「……保護?」
喜ぶ煮付けとは正反対の反応を示すフィーエ。怪訝な顔で聞き返す。煮付けは多分よく分かってないけど喜んでるだろ
「何だ、不満か?」
「いや、不満と言うより、何故保護なのか気になっただけだ」
割と最初から不機嫌そうだった顔の兵士が、フィーエの質問でさらに不機嫌な顔になる。このNPC情緒不安定すぎるだろ
「我々が善意で保護してやると言っているのに、逆らうと? もしやお前ら、王国のスパイか?」
何故かスパイ判定され、尋問されそうになっています。何故。我々が質問しただけなのに、尋問すると? もしやお前、短気か?
兵士がおもむろに手を挙げる。それは、他の兵士への合図だったみたいで、あっという間に大勢に囲まれた
「おい、こいつらを連れて行け!!」
えっ、なんでそうなるの?
*
腰と腕を縄で縛られ、頭に袋を被せられた状態で歩かされる。正直、抵抗しても良かったんだけど、逃げられるのは俺だけな感じがしたので辞めた。どうせゲームだし何とかなるだろ
「止まれ」
「きゃっ!!」
しばらく歩いていると、急に止められた。頭の袋を取られたかと思うと、誰かの悲鳴が聞こえた(フィーエだろうか。いや、なんだそのかわいい悲鳴)。フィーエを見ると、牢屋に入れるために兵士が肩を押したみたいだった。いや人の扱い方が雑ゥ
顎をクイッと動かし、牢屋に入れと促す兵士に従い入る。
「へへ……お前らみてぇな上玉が手に入るなんてなぁ……。今日の夜が待ちきれないぜ!! キヒヒッ!!」
そう言った後、牢屋に鍵をかけ、付近にあった椅子に座りながら俺達をニヤニヤしながら見ていた
「これ、あれっすか、エ〇ゲのやつっすか」
「セリフを聞く感じそうですよね!!」
「んなっ……!!」
煮付けの言葉に肯定するもにょと、顔を赤くするフィーエ。何か、いちいちピュアすぎないか?
「だからか……」
「ん?」
「あそこの男もそうだが、門に居た男の目もいらやしかったからな」
納得した様子のフィーエ。いやらしかったかな? 俺男だからかあんまり分からんかった。でも同じ男の筈のフィーエには感じ取れたらしい
「あー、確かにキモかったっすよね」
「俺は分からなかったな」
「私も分かりませんでした!!」
煮付けも名前に反して女子センサーを搭載していたようだが、もにょは俺と同じだったらしい。仲間がいてよかった
「良くゲームで再現出来たな。運営はどこに情熱を注いでいるんだか……」
「凄いっすよね。もしかしてこの後皆エ〇同人みたいになるんすかね!?」
「何で嬉しそうなんだ」
それは嫌だな。俺も男なのに、誰が好き好んで男なんかとするかって話だ
「じゃあ、脱獄しようか」
「待て待て、こんな状態でどうやるって言うんだ」
どうやらフィーエさんは、俺の馬鹿力で吹っ飛ばされた事を覚えていないらしい。こんな縄くらいは秒でポイー出来るよ
「あれだけ人を飛ばせるなら出来るんじゃないでしょうか?」
「ん? ……ああ、そう言えばそうだったな」
「そうそう。俺なら紐をポイー出来るし、鉄格子もポイー出来るし、あそこでニヤついてる兵士もポイー出来るよ」
「擬音が多すぎる。まあ、それなら頼む」
「では早速」
手の縄を解かずに、両手で鉄格子を掴む。思い切り力を入れると、手の縄が勢い良く千切れると同時に、鉄格子がひしゃげた
「なっ、はぁ!?」
俺達を見ていた兵士のニヤケ面が、驚きの表情に変わる。まぁ、縄と同時に鉄格子曲げたらそうなるよね
俺は兵士に全速力で近付く。兵士は驚きのあまり、剣を抜くどころか声も上げられないようなので、ここぞとばかりに両手で頭を掴み、思い切り横に回転させた。これぞ死神の秘技、処刑である
しかし力を入れすぎたのか、頭が回る通り越してネジ切れてしまった。うわ、私の力強すぎ……?
「リアルすぎだろ……」
「もうこれリアルに異世界転移なんじゃないっすか?」
「だとしたらセクマさんは、人殺しってことになってしまいますね!!」
頬に付いた血を手で拭い、雑談をしている三人に向け、笑顔でサムズアップする。
「おお〜」
「凄いです!!」
「猟奇的すぎる……」
拍手をする二人と、俺を見てドン引きしているフィーエ。とりあえず、脱出する準備はこれで整ったって事だよな?