VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ   作:なみん

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前回のあらすじ

遠く(ゲームのキャラ)の他人より近く(フィーエ達)の他人


あまり人は殺したくないスタイル

 

 フィーエが俺たちを巻き込まないようバリアを展開すると、バリアがどんどん大きくなっていき、内側から建物を押していく。バリアの押す力に耐えきれなくなり、建物が崩壊した

 

 

「よし、大体の位置が分かった!! 射出するぞ!!」

 

 

 すかさずフィーエが捕らえられていた人達にバリアを貼り、その足元にもバリアを展開する。

 足元のバリアが彼女達を押し上げ、一瞬で遥か彼方へと飛んで行く。おいおい、ゴルフじゃないんだから人をヤード単位で飛ばすのはだな……

 彼女達が見えなくなったと思ったら、今度は遠くから怒号が聞こえてきた。どうやら、異変に気付いたらしい

 

 

「さて、今度は俺達の出番かな」

 

「腕が鳴るっすよー」

 

「この戦いが終わったら私、結婚します!!」

 

「誰とだよ……。地図を探して、早く逃げるぞ!!」

 

 

 その前に、死亡フラグだろって突っ込んであげてよ

 

 

     *

 

 

 

「グハァッ!!」

 

「うっわ、死んでない? 大丈夫?」

 

 

 曲がり角で兵士とごっつんこしそうになったので、思わず頭をどついてしまった。加減が効かないなりに加減したけど(ガバガバ)、多分死んでないはずだよな? 首は変な方向に曲がってないし、骨を折ったような感触もなかったから大丈夫大丈夫

 

 1人殴ったら警戒を強めたのか、後続の兵士達は俺達を取り囲むような陣形を取る。これ、あれじゃないすか。フィーエさんのバリアの出番じゃないか?

 

 

「フィーエ、あのバリアもっかい出来る?」

 

「……すまん、無理だ。多分あれを撃つと脱出の時に能力が使えない」

 

「あの極太ビーム凄かったっすからね〜」

 

 

 あ、ちゃんと能力の限界みたいなのがあるのね。それなら仕方ないか

 ジリジリとにじり寄ってくる兵士達を、四人背中合わせの状態で警戒する。

 

 

「とはいえ、ジリ貧だな……。最悪、そのまま逃げるのも手だが」

 

「折角なんで暴れて帰りたいっすよね」

「そうですね!!」

「いや、実感湧かないんだけど、多分俺達死んだら終わりだよね? なんでこんなやる気なんだ」

 

 

 生まれついての戦闘民族か何かじゃないと説明がつかないレベルの順応性だ。俺もゲーム感覚が拭えていないが、それでも死ぬと思うと少し怖い

 

 

「セクマさん、その剣でズバッと行っちゃうっすよ!!」

 

「無茶言わないでよ!? まだ覚悟完了してないんだから!!」

 

「慣れっすよ!!」

 

 

 慣れる時間は無かっただろ!! いやこっち来てから一回殺したんだけど、ゲームだと思ってたからかあまりショックではなかった。でもあの時の感触を思い出すと、どうにも殺す気にはなれない

 防戦一方ではいつかはやられるって分かってるし、かと言って反撃しようものなら、力も相まって下手したら勢い余って殺しちゃうよこれ。どうにも二の足を踏むというか、出来るなら殺したくない気がする

 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、正面の兵士2人がかりで向かってきた

 俺は剣は使わず、身体能力と勘に任せて左脚を横薙ぎに振るい、兵士の脇腹を蹴る。そのまま二人目も巻き込み蹴飛ばし、兵士の群れに送り返した

 

「ナイスっ……!! す!!」

 

 

 同時にフィーエ、煮付け、もにょの3人にも兵士が襲いかかっていた。俺は戦闘型だからともかく、3人は攻撃手段がないはず。守護らねば……

 

 と、思っていたら、襲いかかった兵士が遠くへと飛んで行った。おいおいゴルフじゃねぇんだから人をヤード単位で飛ばすのはだな……

 

 

「えっ、戦えるんだ!?」

 

「バフかけて殴ったっす」

 

「いるよねーそう言うキャラ」

 

 

 特にロールが決まってるゲームとかでいるよ。バッファーなのに自分で殴った方が強いとか、殴りが強いアコライトとか。

 

 

「となるともにょさんもそのタイプか」

 

「念の為にヒールを掛けながら反射で倒しました!!」

 

「つっよ皆チーター? プ〇アクションリプレイ使ってる?」

 

 

 恐ろしい。ワンチャン俺より強いのでは? 1番ヤバいのは、躊躇せずに敵をぶん殴った事だけど

 

 

「僕も自衛出来るくらいの余力はあるさ」

 

「ビーム以外にも攻撃手段あるんだ」

 

「規模を小さくして撃っても、威力は充分あったさ」

 

 

 口角上げながら笑うフィーエ。そもそもバリアの能力でビームってなんなんだよ。汎用性の塊か?

 

 

「アタシはフィーエさんが1番チートだと思うっすよ」

 

「わかる」

 

 

 なんで皆俺よりやれる事の幅が広いんだ。1番しょぼいの俺? そもそも反射って何? ヒーラーですら兵士を吹きとばせるのちょっと怖いよ

 ともかく、皆大丈夫なら大丈夫だろう。後は、地図を探すだけだ

 

 

「みんな大丈夫そうだからさ、少し離れてもいい?」

 

「どうするんすか?」

 

「いや、もしかしたら瓦礫の中に地図とか埋もれてないかなって。一応兵士の詰所だったんでしょ?」

 

 

「「「……」」」

 

 

 ハッ、とした様子の三人を見て察する

 

 

「おっけ、誰も気付いてなかったなこれ」

 

 

 いやまぁ俺だってさっき思ったんだけどね。だからそんなバツの悪そうな表情はしなくてもいいんだよフィーエ

 

 

「……少し探して、無さそうなら逃げよう」

 

「したらアタシらは兵士ぶん殴っとくんで、フィーエさんとセクマさんで探してもらっていいすか?」

 

「後ろは任せてください!!」

 

「えっ」

 

 

 このメンツの中で俺が1番戦闘向きっぽいのに、俺は地図を探すの?

 

 

「敷地内にだけバリアを貼る。バリア内にいるやつを倒したら一緒に探してもらえると助かる」

 

「「了解っす(です)!!」」

 

 二人の返事を聞いたフィーエがすかさずバリアを展開する。かなりの数の兵士が内側にいるが、そんな事はお構い無しに突撃して一人ずつボコボコにしていく煮付けともにょ。これもう俺いらない説ある

 

 

「でも、帰りのバリアとやらは大丈夫?」

 

「……ギリギリ大丈夫だ」

 

 

 ちょっと不安になること言うのやめてもらえますかね。そもそも、飛んでいる途中でバリアを張れなくなったら、皆ミンチにならないかな

 

 

「いや、バリア無しに飛んだら死ぬんじゃ……?」

 

「いや、耐える。耐えてみせる。僕を信じてくれ」

 

「そんな三木〇三みたいな……」

 

 

 まあ、本人がそう言うなら仕方ないが、一応ダメだった場合も考えないとね

 

 

「もしきつかったら言って。最悪俺が投げ飛ばすから」

 

「……すまない、無理そうだ」

 

「ん、分かった。でもどうやって飛ばす?」

 

「バリアで囲った後、セクマに蹴るか投げてもらえるか?」

 

 

 なるほど、完璧な作戦っすねぇ。俺が飛べないって事を除けばよぉ

 

 

「待て待て、俺はどうするの?」

 

「……自力で飛ぶ?」

 

 

 唐突にIQが下がるフィーエ。いやあの、ふざけてる場合ではあまりないかもしれないんですよ

 

 

「自力って……桃〇白ですら柱使ってたよ」

 

「たお……? 分からないが、お前はかなりの力だ。ある程度の距離は自力で飛べるんじゃないか?」

 

 

 滅茶苦茶ですこれ

 でも、今の状況を打破するにはこれしかないか。これ以上は悠長にしてられないし、何よりも今の激強フィジカルなら出来ない事もない気がしてきた

 

 

「分かった、その案で行こう。丁度あっちも終わったみたいだし」

 

「……すまない」

 

「どうして?」

 

「お前に負担を掛けてしまっているから……」

 

 

「大丈夫」

 

 

 俯きながら言うフィーエだが、今はそんな事言ってられない状況だし、仕方ないんじゃないかな? と俺は思う訳

 バリア内の兵士を倒しきったのか、二人がこちらに駆け寄ってくる

 

 

「あったっすか?」

「いや、すまないが見つからなかった。逃げるぞ」

 

「了解っす!! いやぁ久しぶりに殴ったっすねぇ」

 

 

 おい煮付けがとんでもない事言い出したぞ。「慣れっす!!」の意味が分かった。普段殴り慣れてる人だったんだ

 

 

「セクマ!!」

 

 

 フィーエを見ると、三人ともバリアを張った状態でスタンバイしていた

 

 

「準備出来たから頼む!!」

 

「分かった」

 

 

 飛ばす向きを確認し殴る体制に入ると、周囲を覆っていたバリアが消えた

 俺はすかさず、力任せに三人をバリア越しに殴って飛ばす。……良し、方角は完璧。後は俺が逃げるだけだ

 

 

「逃がすか!!」

 

 

 剣を持った兵士がこちらに突っ込んでくるがもう遅いぜ

 思い切り地面を蹴ると、予想していたよりも遥か高く飛んだ。え、こんなに飛ぶの? と思ってる間にもどんどん地面が遠ざかっていく

 これ、着地の時死なないかな?

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