VRMMOって聞いてたんすけどなんなんすかねこれ 作:なみん
桃白〇、柱無くても良い説
「迷ったかな、これ」
あれから無事着地出来た俺は、三人がいるであろう方向に向かって進んでいた。
方角は合っている筈なんだけど、ワンチャン迷ってる可能性だってある訳で。まぁあんなに豪快に人をぶっ飛ばしといて、合流できる確率は高いかって言われたら低いだろうし。状況的にしょうがなかったとは言え、大分無茶だったなと今になって思う
ずっと歩いていると、1つの集落に辿り着いた。手前の家の前に村人がいたので、その人に話を聞く事にした
「あの、少し良いですか?」
「はぁ、なんだよ……!?」
あからさまに面倒くさそうな雰囲気な男だったが、俺を見た瞬間目をかっぴらいて食い入るように見つめてきた。え、怖い何?
「変な物? とか見ませんでしたか? あ、ビームを見たとか、人が空を飛んでいたりだとかでも良いです」
何と言えば分からなかったので、とりあえず変な事がなかったか聞いてみる
「変って意味ではお前も相当変だな……。悪いが知らねえな」
そう言うと、話は終わりだと言わんばかりに建物へと入っていく男。にべもなくって感じだ。
というか、俺のこと変って言ったな。俺だって好きで変な訳じゃないやい
となると、他の人に話を聞くか……。とりあえず、見つけた人片っ端から話しかけていくのが良いかもしれない
*
「悪いが知らないねぇ」
「いや、知らねえな」
「すまんがな……」
いやお前ら知らなすぎだろ。人が空飛んでたら見ない?
本当に知らないのか、あるいは知ってて話さないのか。まぁ方角があってるからと言って、必ずしもこの上を通ったとは限らないか……
後者だったら嫌われてて笑う。いや笑えないよ
「そこの人、少し良いかな」
諦めかけたその時、自ら話しかけに来た人がいた。ああ、今までの対応を思えばそれだけで神っぽいなそれは
振り返ると、初老くらいの男性が立っていた
「いきなりすまない、私はバルドという者だ。困っているように見えたものだから声をかけさせてもらったよ」
バルドと名乗った男性は、俺が困り果てているのを見かねて話しかけて来たらしい。え、優しすぎる
「初めましてバルドさん。何か変な物とか見ましたか? 例えばビームとか、空を飛ぶ人とか」
「うーむ……それは分からないが、先程あちらの方でとてつもなく大きな音がしてな」
「詳しく聞いても?」
「音のした方を見ると、大きな岩が地面に突き刺さっていたのだ。何やら人影も見えたが、かなり遠いから詳しくは分からなかったが」
人影となると、もしかしたらフィーエ達かもしれない。これは大きな収穫だ
「なるほど、ありがとうございます」
「構わんよ。……最近は魔獣が増えているから、もし行くのなら気を付けなさい」
「魔獣ですか?」
この世界に来て初めてファンタジーな単語が聞こえてきたので、思わず聞き返した
「ああ、最近になってまた増え始めたそうだ」
どうやら魔獣そのものについて聞いてるとは思わなかったらしく、その魔獣とやらが増えている事だけ教えてもらった。いやまぁ、訂正するのもめんどいしいいか
「世界規模で増えているそうだ。その影響か、この村に限らず、帝国に納める作物の量が増えている……。それに今朝も魔獣の仕業か、山の向こうから凄まじい音が聞こえてきた」
山の向こうか。……山? バルドさん、もしかしたらそれ俺だぁ。俺は魔獣だった?
「そうだったんですね。ありがとうございます」
「気にする事はない。そうだ、少し食糧も持っていくと良い。」
「いえそんなそんな……情報だけで結構ですから」
聞いた感じ食べ物分けるのすらキツイんじゃないのか? 流石に気が引けたので断るが
「気にする事はない、ただの自己満足だよ」
そこまで言われちゃあしょうがないよね? 好意を無下にするのは良くないよね? うん
「ではお言葉に甘えて。……何故ここまでしてくれるのでしょうか? 貴方も相当苦しい状況だと思いますが」
「……私には二人の娘が居てな。似ていたのだ。貴女のその金色の髪と、赤い瞳が」
バルドが語り始めた。苦虫噛んだと言うか、もう口の中で苦虫飼ってるだろってくらいの表情。これだけで暗い過去なのが分かる
「忘れもしない、三ヶ月前だ。作物が育たず、我々が消費する分を含めても、帝国へ納めるべき量に達していなかった」
食べる分を入れても足りなかったって事は、それだけ少なかったのか、納める量が馬鹿みたいに多いのか、俺にはよく分からなかった
バルドは話が続ける
「作物を受け取りに来た兵士が怒ってな、私達を村ごと焼き払うと言ったのだ。それだけは辞めてくれと懇願した」
帝国の人も無茶を言うなと思いつつ、バルドの話に耳を傾ける
「なら条件があると奴らは言ってな……。よりにもよって、私の娘のどちらかを寄越せと言ったのだ」
「私は勿論拒否した。だが、村の皆はそれで済むならくれてやれと……。村の長である私にはその責任があると言って」
「私は最後まで抵抗した。だがよりにもよって、村の者が私を押さえ付けたのだ」
え、待って待って急に重すぎるんだわ、良いの? こんなぽっと出の奴にこんな話聞かせて。容姿がちょっと似てただけでこんな熱量で話されてもさ〜
「押さえ付けてきた者の中には、娘の恋人も居たのだ……。それなのに何故、娘の犠牲を許容できたのか……? 何故だ、何故……!?」
「おもぉ」
耐えきれずに思わず本音が出てしまった。いやまぁ、気持ちは分からなくもない気もするが
「……すまない。とにかく娘に似ていたのでな、娘の代わりという訳ではないのだが、どうも放ってはおけなかったのだ」
「なるほど。ちなみにもう一人の娘さんはどちらへ?」
「……それが、急にいなくなってしまったのだ……」
「あ、すみません……」
悔しさをにじませながら語るバルド。なあもう話題振ったら全部悪い方向行くんだけど。助けて誰か
「……と、こんな話をしてすまないね。お詫びも兼ねて、食料をあげよう」
「では有難く頂きますが、それでは私の気が済みません。何か出来る事はありませんか?」
こんな良くして貰って礼の1つくらいはしないと気が引けまくるからな。今なら何でもするぐらいの後ろめたさはあるよ
「……いや、その気持ちだけでも十分だとも。私の家に案内しよう。貴女は目立ちすぎる」
「いや、その必要はねえぜ村長さんよ」
バルドの前に、謎の三人組が立ち塞がる
「マアテウ、セカマ、レヤラ……」
そう呼ばれた男達は木の棒を持っていて、真ん中の男に至っては剣を持っていた
なんか分からんが、ここに来てからずっとろくでもない事ばかりに巻き込まれている気がする。やっぱ俺ってかわいいから目立つのかな?