スティーヴン・アームストロングという男は有名だろう。
ゲーム作品である【METAL GEAR RISING: REVENGEANCE】に登場するラスボスであり、コロラド州の上院議員。
作中の出来事の黒幕であり【個人と個人の闘争によるシンプルな弱肉強食の世界】を求めて暗躍していた。
そんな彼は世間の印象とは真逆に弱者が嫌いである。
何故か弱者を助ける正義の味方だと勘違いされがちだが、彼はラスボスで悪役だ。
そんな彼の能力はシンプルに【衝撃によって硬化するナノマシン】によって体を硬化させてぶん殴る、蹴る、投げる、のみである。
なんか炎とか出しているがそこは彼の特殊能力とは一切関係ない。
恐らくメタルギア世界の政治家は炎を操れないとなることすら許されないのであろう。
2のラスボスに元大統領がいるが彼も炎を操っている。
そんなアームストロングは脳筋に思えるが以外にインテリな面もある。
嫌いな有権者を利用してのし上がり、超大型のメタルギアである【メタルギア・エクセルサス】も操縦してのけ、演説力もあり、政治家になれるほどに普通に頭もいい。
戦いは脳筋そのものだが意外な戦術も使うし、作中で使う策も隙を生じぬ2段構えだ。
終盤にぽっと出るいわゆる【ぽっと出ラスボス】と呼ばれる類の彼だが影が強すぎて大人気を博している。
そのため、彼のネタ動画も多く作られゲーム本編をプレイしなくとも知られているのだろう。
私は本編をプレイして彼のことが大好きである。
あと彼のエッチなシーンとか鬱シーンとかでいきなりぶん殴ってくるやつも大好きだ。
もちろん【ラスボス】として大好きなのだが。
さて、長々と話した。
ここは迷宮。
地下に深々と突き刺さった、絶望の母胎。
その30階層にて、二つの派閥が争っていた。
ひとつは正義の派閥、ひとつは闇の派閥。
【アストレア・ファミリア】が【
そして最後の手段である【火炎石】による生き埋めを【ルドラ・ファミリア】が実行しようとした時だ。
……はずであった。
奇跡的に【アストレア・ファミリア】の犠牲はゼロで【ルドラ・ファミリア】はほぼ全滅。
あとは【
一人は精神が折られ、一人は腕を無くし、1人は目を潰され、奇跡的に犠牲はゼロだが被害は深刻。
こうなれば、と全員が暗い覚悟を決めた。
そしてモンスターに吶喊を決めようとした、その時であった。
上からなにかが落ちてきた。
四肢がある、頭もある、モンスターである要素はなく。
若干生え際の後退したオールバックの髪型にスーツにメガネ。
とても冒険者には見えない出で立ちに聞こえるが大柄で筋骨隆々。
「正解だったな…」
メガネを指で押し上げ、モンスターに歩いていく。
「ダメッ!」
「チィッ!なんなんだアイツは!」
「おいなんだよ誰かいんのか!?」
「驚くのはこれからだ」
見たこともそして聞いたこともない。
上級冒険者にあんな男は、いない。
暗黒期を生き抜き、満身創痍とはいえ格上の【静寂】を打倒したファミリアでさえもここまでボロボロにやられた。
あの男に倒せるわけが無い、そう思い、叫び、走った。
しかし男はそれを鼻で笑う。
「「は?」」
「なんだ?この爪は」
敵も味方も蹂躙したあの爪が男に効かず、砕かれた。
そしてモンスターの腕があらぬ方向にへし折られる。
「なまくらだな……楽しめそうにねぇな」
勝てないと本能で感じるものなのだろう。
かのモンスターには役割がある。
ダンジョンを破壊した者をすべからく叩き潰す。
それだけのために生まれ、それに最適な能力を持って生まれた。
少し怯んだモンスターはニヤケヅラをうかべた人間を殺そうと再び迫る。
足を、長い尾を、再び最大の武器である爪を。
男に突き立て、殺してやろうと再び迫った。
「俺はスポーツマンだ!」
足をへし折る。
「そこらの政治家とは鍛え方が違う」
尾が吹っ飛ぶ。
「一緒に…するんじゃねぇ!」
そして腕が吹っ飛ぶ。
「俺がその気になれば大統領だって……!」
頭が掴まれ、引っ張られる。
「ぶっ飛ばせる!!」
顎に拳を叩き込みまた吹っ飛ぶ。
「上院議員を舐めんじゃねぇ!」
男が殴り、蹴ればあら不思議。
四肢も尾もないだるま状態のモンスターとなる。
「ほう?ダルマでも生きてやがる。再生機能はねぇか」
頭のほとんどはもう粉に還り、あるのは胴体のみ。
化石のような体を男は担ぎあげる。
これで【アストレア・ファミリア】は壊滅しなかったわけだ。
一件落着、ハッピーエンド。
若い少女たちはまだ青春を謳歌できるというわけだ。
すごく素晴らしいことだ、良きことだ。
この身体の主は正義の味方ではない。
だが今の主は私だ。
ならばこれはしっかり良いことだろう。
「いいことをしたねぇ」
「ああ。いいことをしてきた」
目の前に座るのは主神様である【ヘスティア】。
ロリ巨乳、ツインテール、ボクっ娘、などなど属性もりもりな処女神だ。
私はヘスティアの恩恵を授かって廃教会の地下室で今は二人暮らしである。
【ファミリア】には入っていないが私が助け、科学で命を救ったのが幾人かいる。
サイボーグが恩恵を授かれないのは誤算であったがまあそれはそれ。
今は仕事を頼んだため、この場は2人である。
「いやちょっと待っておくれ」
「なんだ?」
「君ってレベル1で、筋骨隆々だけど非戦闘員で科学者で、普段はこの部屋の下で研究してて、まあとりあえず非戦闘員だよね」
「そうだな」
「ならなんで30階層に行ってるんだい?」
「なんとなく」
「なんとなくでレベル1がそんな深いところに行かないでくれるかな!?」
「別にいいだろ」
「良くないんだよ!?何故か君が死ぬところは想像できないけどさぁ!」
「……」
「無言でサムズアップをやめなさい」
ほんとにもう…と頭を抱えて食べ終わった食器を流しにヘスティアは置きに行く。
そして水音が聞こえてくる。
皿洗い当番はヘスティアであるため当然だが。
CNT筋繊維の開発に成功しているため、色々と作っている。
義手や義足に義体、有人型の兵器。
【REX】や【RAY】などの巨大なものは場所の関係で作れてはいない。
あとは【AI】はまだまだ研究の余地がありそうだ。
私の世代では完成しそうにない。
あとは高周波ブレードだろうか。
これもまだまだだ。
既存の武器の性能を大幅に向上させられることは確実だが燃料が足りない。
携行してもっていけるのは限られている。
現場で補給できるものが良いのだがやはり魔石だろうか。
「アームストロング君?」
「ん?」
「また研究のことかい?もう一ヶ月は寝てないだろう」
「時間には限りがある。ならば進められるものは進めておきたい」
「それでもだよ。【なのましん】だっけ?それで疲れ知らずだって言ってたけど…」
「だから問題はない。お前は本でも読んで寝転がってろ」
「ボクもバイトしてるんだけどね」
「私の収入の何分の一だ?」
「言わないで」
「じゃあ地下に戻る」
何はともあれ、高周波は突きつめておきたい。
義手や義足ももっと高性能のものを用意したいものだ。
今でもゴライアスを背負い投げできるくらいには性能は高いが様々な性能のものを用意しておきたい。
【精霊】や【万能者】と連携すればまた何か性能を挙げられるかもしれない。
いずれ来る、必ず来る事件のためだ。
幸い時間はある、突き詰める時間の十分に。
鬱展開など、全て叩き潰す。
もちろん上院議員は全てを消し飛ばす強さを持ちます。
毎日筋トレしてますしVR訓練もしてるから当たり前だネ。
あと普通に身体の改造も追加でしてますしねこの人。
本格的に化け物だぁ。
それでも何故か恩恵は貰える。
不思議ですね。