俺には夢がある   作:衛鈴若葉

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【高周波セイクリッド・オース】
アーディ・ヴァルマ専用武装。
元の性能である非殺傷の片手剣なのは据え置き。
しかし殺傷もできるように高周波を流すか流さないか、その強弱も微調整できる。
仕掛け武器も一面もあり、この武器は二刀で使うことにより真価を発揮する。


怪物祭

外観は古き良き石造りの闘技場。

資材や檻の搬入口である裏口もまた、外から見える範囲はそうだ。

周りに溶け込むように作られた大きなシャッターを除いてだが。

シャッターの近くには当然に扉がある。

ここは従来のオラリオにもある認証システムが使われている。

ダンメモの水着のカジノイベントのあれだったりクノッソスへの鍵のアレだったりのやつ。

ほら、イベントだとデメテル様とフレイヤ様が尊い、あのボインヌ様だっけからか奪ったやつ。

そこから中に入るともう全てが様変わりである。

外とは世界が違うような、隔絶された空間のような。

中世とは程遠い、白い近未来の世界。

なんか私は近未来と言えば白いという印象があるのですごい無機質な感じに仕上げた。

モンスターは檻の中ですっかり縮こまっているようだ。

檻は強化骨格と同じやつで作ってるので壊れないし触ったら電撃ビリビリである。

大人しくなるのも当たり前だ。

ちなみに檻はトロッコみたいに転がせる仕組みにしてある。

取り外しも自由なので捕獲から調教までこれ一つで行える夢の檻と言えるだろう。

設計はアスフィとリリルカと私で頑張った。

うん、良くやれたものである。

あとは内装が変わっているだけでほぼ従来通りだ。

電子ロックがあるくらいだろうか。

今日はそれの点検だけなので割と余裕。

普段は義手やら義体やらの面倒を見てリハビリも付き合ったついでに機材の点検やらを教えて元の派閥に帰したヤツらに任せている。

なんか悪くなったものがあるなら教えてくれるので楽も楽だ。

……まあその場合はリリルカが出張る。

もはや機械関係もなにもかもリリルカが私より強くなってたりするがそこはいい。

だってリリルカは医者ではない。

なのでギリギリ義手とか義体は私のほうが得手だ!

まあそれはどうでもいいので。

 

「アームストロング!」

 

「…アーディか」

 

元気いっぱいの子犬の相手でもしよう。

天神乱漫な青髪の彼女は【アーディ・ヴァルマ】である。

本来ならば10年前、暗黒期に死亡している人間だ。

いやまあこの世界でもほぼ死んでたんですけどね?

MGS4の雷電的な感じでね、義体の実験台として使わせて頂きました。

で、何とか生き残らせまして人工血液やら人工筋肉やらの改良もして。

最終決戦時に万全完璧最強アーディちゃんとして活躍してもらいました。

なのでアストレア・レコードのストーリー自体はほぼ変わってないんですねこれが。

あ、ちなみに自爆したあの女の子も生き残らせました。

 

「久しぶりだな。検診はどうした」

 

一応、義体の調子やらを確認したいので月1で頼んでいる検診。

遠征で数ヶ月ダンジョンに潜る場合は遠征に行く前に来るように頼んでいる。

ダンジョンや職場でいきなり義体の挙動がおかしくなったら困るだろうというアフターサービスである。

 

「昨日アミッドのところでやったよ?」

 

「そうか。ならいい」

 

昨日であれば書類が回っていないのは仕方ない。

できればアーディに関しては私のところでやって欲しいが彼女にも事情がある。

その旨は伝えているので理解はしているだろう。

理由は下的なものではなく、単純にアーディの義体が初期型だからである。

 

「いい加減変えたらどうだ」

 

義体には日常生活用のものと戦闘用、特殊作戦用のものがある。

違いは上に服が着れるとか人体に近い質感だとか、色々である。

アーディも例に漏れず義体は二つだ。

問題は10年前に作った初期型、一世代型であることなのだが。

10年と短い時間ではあるが義体は進化している。

義体は人体と比べて劣化が早いのだ。

原作とは違うかもしれないが私ではどうにもできなかった。

なので周期で言えば一年か二年で変えるのが普通ではある。

それをアーディは10年だ。

初期型と最新型の違いは継続年数はもちろんあるが単純な馬力の上昇や軽量化、武装を載せられる数の増加に時速が速くなるなど色々と進化している。

なので変えて損はないはずだが。

 

「思い入れでもあるのか?」

 

作業しながらアーディに問う。

アーディの顔を窺い知ることはできないので言葉を待つしかない。

 

「うん。あるよ」

 

「なら残しておくこともできることはできる。お前には恩もあるからな、料金はかからん」

 

もちろんだが義体を変えるには専用の施設がいる。

一度サイボーグ手術すればある程度簡単にやることはできるがそれでも、だ。

義手や義足でも同じことである。

その場合は専用のスタッフをバベルの施設に置いている。

そこで義体の管理や保存なども一括で請け負えるようにした。

保管の料金や付け替えにも料金は必要ではあるがかなり安価に抑えている。

保管場所に関してはまだまだ余裕はある。

義肢や義体を必要とする人は多いことは多いがそこまで大人数という訳では無い。

中には腕をなくしても別に必要ないという人もいる。

だから少し増えても問題は無い。

 

「過去の義体をストックしているやつもいる。パーツの再利用ができるから返還してくれると嬉しくはあるがそこはそれ。顧客の要望には答える。あとは、その義体だともうガタが来ているはずだ。てかもう使えなくなっててもおかしくはない」

 

せっかく助けたのだから義体のガタで死なれるとかなり困る。

困るというか夢見が悪い。

シャクティやガネーシャ様が二度泣く羽目になるのも可哀想だ。

 

「心配してくれてる?」

 

「そうだと言ったら素直に変えるか?」

 

「どうしよっかなー」

 

「これで最後だ。さっさと変えろ。変なところで貧乏性を発揮しても何も得はしない」

 

ひとつ作業を終わらせて立ち上がる。

一つ一つにかかる時間そのものはそんなにかからない。

数は多いがまあ昼までには終わるだろう。

何も騒動が起こらなければヘスティア達と祭を回ることができる。

ここにいればひとつは防げるし、食人花程度ならば簡単に叩き潰せる戦力を警備に回している。

問題は無いので今は目の前の問題だ。

 

「どこに行けばいいんだっけ?」

 

「……覚えていないのか?」

 

えへへ…と絶妙に可愛い困り顔を私に見せる。

まあ、もう何年も来ていないから忘れていてもおかしくはないのか?

 

「祭りが終わったらここに来る」

 

「ありがと!」

 

「ああ。で、シャクティはどこだ?」

 

「ガネーシャ様と一緒にいると思うけど…」

 

「ならあそこか。お前は仕事に戻れ」

 

「はーい」

 

少し膨れ面を見せた後、アーディは去っていく。

この都市には美少女が多すぎる。

煩悩が刺激されないのはアームストロングの身体ゆえだろうか。

アームストロングって性欲は、ないのだろうなぁ。

なにぶん身体ナノマシンだし。

次は報告に、待つことか。

警備はいるが魅了には抗えない。

やり合うことになれば勝てるだろうか。

不安だが、やるしかない。

 

 

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