原作の事件ってだいたい原因わかってるから未然には防げるよね。
どうも、偽上院議員です。
私は今地下室にいます。
ヘスティア様とリリと、ベル君がいますね。
初対面と言えるでしょうか。
紅い瞳をすごく揺らして、体もガタガタ揺らして。
いやー、緊張してらっしゃるようで。
分かりますよええ、アームストロングが目の前にいたら威圧感そりゃすごい。
リリなんて漏らしたからねガハハ。
脅したつもりはなかったけど言動で怖すぎて漏らしたらしい。
怖いね上院議員。
さてさて、ベル君とはミノタウロスから助けたぶりですね。
逃げていってしまいましたのでそこを気にしてしまっているのでしょうか。
大丈夫ですね、私怖くないですよ。
てか正式に【ヘスティア・ファミリア】にいるのってリリだけだから私と話す必要性なくないか。
いや、実質的な団長私だからいるか。
「はじめましてだな」
「は、はい!!はじめましてベル・クラネルと申しますですはい!」
「…知っている」
すっごい混乱してる人が目の前にいると逆に落ち着く。
本当だったんですね、すごく冷静ですわ。
「自己紹介をしようか。スティーヴン・アームストロングだ。【ヘスティア・ファミリア】で世話になっている」
「は、はい!知ってます!すごくすごい方だとエイナさんが言ってました!!!まさかこのファミリアにいるとは思ってなかったです!」
「公表していないからな。次は、まあ支援についてはリリルカから聞いているだろう?」
「ええ、話しました。武器も支給済みです」
「ありがとうございます!」
「ナイスだ。一応支給したものを教えろ。さて、であれば話すことはひとつだな」
「言われると思ってました。まとめておきましたのでどうぞ」
「ん。クラネルでいいか。お前には【アストレア・ファミリア】に行ってもらう」
リリから受け取った資料を流し見しながら決まったことを伝える。
「へ?」
ほへー、リリらしいチョイスだなー。
初心者にはいい武器だ。
高周波で壊れないようにはしているが調子に乗らない程度の性能、すばらしい。
鎧は、まあギルド支給のもので十分だろう。
資金的にも余裕はありまくるし。
いずれは【ヘファイストス・ファミリア】とも交流は持たせたいところだが、それもまだ早い。
適当に連れていってやればいいだろう。
「【改宗】してもらう、という話ではない。我々は忙しい。ダンジョンで死んでもらっても困る。であれば鍛錬の場が必要、ということで依頼しておいた」
「【アストレア・ファミリア】って、大派閥の…!?それに…」
「美女揃い、いや美女しかいないファミリアだな」
ダンジョンに出会いを求めてしまっているベル君にとってすごく嬉しいことだろう。
まあ、男なら誰しも美女は嬉しいものだが。
それに今や【ロキ・ファミリア】に迫るほどの大派閥。
「向こうは受けてくれるだろう。どうする?」
そんな大派閥がただの駆け出し冒険者を育てる。
それがどんな状況を生み出すかは想像に難くないが、リューの恋を応援せねばならない。
だから、ここで受けてもらわねば困る。
それに私が助けてしまったのだ。
【レアスキル】の発現は保証できない。
故に、保険には保険を重ねる。
幸い【アストレア・ファミリア】の冒険者たちは原作のベル君に似た戦闘スタイルが多い。
いざとなれば私も超スパルタで訓練を施す。
あとは食事に休息、これらも緻密な計算の上で成り立たせることとしよう。
「…はい!僕、頑張ります!頑張ってアームストロングさんにも並んでみせます!」
「それでいい。強くなれ、少年」
「はい!」
なんか私にキラキラした目を向けているように見えたが気のせいだろう。
うん、きっと気のせいだ。
それはそうと承諾してくれて助かりますね。
リューさんと良好な関係築けてこれからの対策立てられるの本当に助かる。
さて、ベル君の育成面は問題ない。
武器は、少し頑張れば第一級の武器は与えられる。
自分で買ってくるにしても高周波加工でとんでもない性能に仕立てられる。
悩むのはまた別の外伝【ソードオラトリア】についてになる。
明確な死者が出るのあれが主なのでね。
「もういいか?」
「ええ。ベルとヘスティア様は戻って構いません」
「分かった…ボクいた意味あったかい?」
「あなた主神でしょう?一応ですよ一応。ほら、二人とも戻ってください」
「あっちょっと待ってください。今日あの、酒場に誘われてまして!」
「じゃあヘスティア様と一緒に先に行っといてください。少し仕事の話があるので」
二人の背中を押して強制的に退室させる。
彼女は既にLv2にランクアップしているのだ、割と余裕だろう。
「で、何の話だ?」
急を要する案件は今のところない。
期限はまだまだ余裕があるし、既に完成している案件もそこそこだ。
趣味もなんやかんやで楽しめている。
「お察しでしょう。仕事の話ではありません」
「だろうな。お前の主義にはもう慣れた」
リリが今日する分の仕事は既に終わっていることは確認した。
休日には絶対に働かない主義と同時に定時で仕事は終わらせる主義である。
となれば何の話だろうか。
「とりあえずベルのお話ですね」
「うむ」
「なぜ彼はファミリアに入れるようにと言っていたのですか?」
「前にも言っただろう。友人の願いのためだ」
「では【アストレア・ファミリア】に訓練を頼んだのは?」
「奴が【最後の英雄】になるからだな」
「……本気ですか?」
「本気だな」
「なかなか頭おかしいと思ってましたが…やっぱりおかしいですね」
「褒め言葉だな」
「まだ聞きたいことはあります。【疾風】様との会話ですね」
ベル君は英雄として大成する。
主人公であるが故に、そして思いを継いでいるが故に。
そして私はその思いを知っている。
二人に会い、対話し、対決し。
救えずに彼らの死を見守った。
だからこその責任感とも言えるだろう。
「【疾風】との、か。何を聞いた?」
「ほとんどは意味がわかりませんでした。詮索する気も起きませんが…一つだけ」
「なんだ?」
「絶対に死なないでくださいね。あなたが死ぬと私が成長できなくなる」
「そうだな。分かっているよ」
十分に成長している。
銃の扱い、CQC、私の助手になれるほどの知識と技術。
リリこそ、私より休み無しに働いていた。
今も、休日以外は8時間など目じゃないくらいには働いているだろう。
素材探しはサイボーグに頼める。
しかし、何かを作れるのは私とリリだけだ。
私もこれから忙しくなるし、そこで死ねばリリが過労で死ぬだろう。
「慰労といこう」
「そうしましょう。店は?」
「【豊饒の女主人】だ。さっさと行くぞ」
「はいはい」
原作イベントの1つがある。
是非とも見てみたいイベントだが…本当に起こるかは分からない。
そもそも私のガタイは目立つ。
何故だか【剣姫】やら【大切断】やらに興味を持たれている。
直接は見ればしないがリューさんと少し話せるだろう。
この世界でも、縁があったようでたまに手伝っているらしいのだ。
「忘れ物は?」
「お金も護身用のものも問題なく」
「ならいい」
リリは外出用に着替え、私もいつものスーツに着替える。
上着は着ずにシャツだけのラフな格好だが。
リリも小柄ながらにピシッと決まっている。
しっかりカバンも持って、忘れ物はない様子だ。
リリはもう何年もアームストロングの助手をこなしてるのでかなり雰囲気も変わっております。
なんやかんやでLv2になってますからねはい。
このリリがベル君に惚れるかな??惚れませんね。
弟みたいに見て気にかけるくらいでしょう。