俺には夢がある   作:衛鈴若葉

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神の宴前のヘスティア様が大乱舞する回。


鍛冶師

「アームストロングくん!!」

 

地下の研究所。

地下水路の一角を貸し切って地下二階くらい掘って丸ごと研究所にした。

そこにはアームストロングが助けたファミリアに所属してないサイボーグはここの地下二階が住居となっている。

そして地下一階は研究スペースとアームストロングとリリルカの個室に店舗スペース。

そしてアームストロングが現在いるのはヘスティアとベルには絶対に立ち入りを禁じている研究スペース。

 

「…おい」

 

「相談したいことがあるんだけど!」

 

「ここは立ち入り禁止…」

 

「ベル君についてなんだけどさ!!」

 

机を思いっきり叩いて少し物が浮く。

精密機器がならんでいる室内。

ガラス製品も大量に並んでいる。

慎重に扱わなければならないものしか、この場には存在しないのだ。

だからヘスティアの出禁はもちろん、研究に興味を示さないであろうベル君も一応立ち入り禁止にしている。

まあベル君に関しては大型の無人機にはしゃぎ散らかす危険性も込みではあるが。

 

「黙れ」

 

「へぶぁっ!!」

 

まっすぐに、ヘスティアにたんこぶができるように、ゲンコツを落とす。

ここでヘスティアが暴れれば必ずしもなにかをぶっ壊す。

なのでとりあえずヘスティアをここからつまみだす。

 

「リリ」

 

「どうしました」

 

「このバカが走ってきた」

 

食器を洗っていたであろうリリルカに抗議の目線を送る。

止めてくれよと、そんな目線である。

そんな目線にリリルカはため息をついて。

 

「家事当番なので無理でーす」

 

「研究室に殴り込まれたら困るだろう」

 

「ですねー。まあヘスティア様も学習はしているでしょう」

 

「…まぁ確かにな」

 

過去にも研究室に殴り込んできたことはあった。

リリルカが来た直後辺りだっただろうか。

当時はCNT筋繊維の開発に躍起になって頃だったか。

リリルカの教育にも忙しかったため、ヘスティアに構ってやってなかったのも一因ではあっただろう。

しかし機械を一つぶっ壊し、ガラス製品も軒並みぶっ壊し。

研究が著しく遅れるようになったため、あの頃私はヘスティアにガチでブチ切れた。

そのせいでギルドからかなりの金額の賠償金が課され、ヘファイストスやウラノスからこっぴどく叱られたのはまだ記憶に残っている。

あのブチ切れようは否が応にも記憶に残る。

マジでウラノスの形相末恐ろしかったなアイツ。

市壁がかなりの規模ぶっ壊れたのはさすがにまずかったらしい。

後にも先にも上院議員が正座をするのはあの時だけだっただろう。

 

「さすがにやらないよ…」

 

「だったら最初から入ってくるな」

 

「だって呼んでも返事なかったじゃないか!!」

 

「無線を使え」

 

「あっそれがあった」

 

無線のシステムに関しては原作、メタルギアソリッドのものをそのまま流用している。

雷電が2でやっていた、耳小骨を揺らすナノマシンのやつである。

喋らなくても頭の中で完結できるあれだ。

あれならば集中してても応答できる。

 

「で?用事は」

 

「そうだよそうだよ!ベル君のことだよ!」

 

「早く言え」

 

イラつきながら応答する。

この時期は確か、ベル君のナイフのためにヘスティアが神の宴に行く時だったはずだ。

その相談だろうか。

 

「ベル君になにかあげられないかな!」

 

「与えられるものは与えているだろう」

 

「足りないものは、防具くらいですかね」

 

「防具!それあげたらいいかな!」

 

「サプライズでか?」

 

「うん!」

 

武器ならともかく、防具をサプライズは無理がある。

市販のものでもいいだろうが、ヘスティアが言っているのはオーダーメイドで作ってあげよう!ということだ。

どう考えても不可能である。

まあヘスティアは素人のため、仕方ない。

 

「無理だな」

 

「無理ですね」

 

「そんな!」

 

「武器ならともかく防具は服と同じだ。オーダーメイドなら本人にあったものを作る必要がある」

 

「でもサイズがわかってれば…」

 

「防具はそんなに甘くありません。戦闘スタイルでももちろん体格でも変わります」

 

「本人がいなけりゃそもそも始まらん」

 

「そっかぁ…」

 

分かりやすく落胆するヘスティア。

今のベル君には与えられるものは全て与えている。

あと必要なのは経験と防具、あとは仲間だろう。

であれば、とすぐに思いついたことをヘスティアに提案する。

 

「ヘファイストスに鍛冶師を紹介してもらえ」

 

「それいいですね!」

 

仲間も防具も調達できる妙案といえる。

ヘファイストスもヘスティアの眷属で私の後輩ともなれば安心して預けられる、と思う。

いざとなれば私からも頼めばいけるだろう。

あとヘファイストスお人好しだし。

 

「鍛冶師くんをかい…?いけるかなぁ」

 

「大丈夫だ。俺からの頼みということも言っておけ。場所はそうだな…【神の宴】でいいだろう」

 

「確かに時期近いね。服あったっけ」

 

「用意はしてありますよ。使うとは思ってませんでしたけど」

 

「ナイス。じゃあそれでいこうか」

 

「オッケー!」

 

決まりである。

ヴェルフくん仲間に入るか問題はこれで解決。

ヴェルフはヘファイストスが目をかけてる存在だし、まあベル君の主人公補正でいけるだろう。

彼の元にパーティメンバーは集まるものである。

私もリリルカを見つけたのは本当に偶然だったし。

もしかしてサポーターを探して歩いていた時にたまたまボロ雑巾になってリリルカが倒れていたのはベル君の主人公補正だった説。

 

「じゃあ試着します?」

 

「うん!ドレス着たい!」

 

「戻っていいか?」

 

「ダメだ!ボクのドレス姿を見ろ!これは主神命令だぞ」

 

「はいはい」

 

ドレスにテンションが上がっているらしいヘスティア。

リリルカはドレスを取りにいき、ヘスティアはぴょんぴょん飛び跳ねている。

いやー、幼女である。

すんごく、とんでもなく幼女である。

正直女神らしく見た目は整っているのでオシャレをしたらとんでもなく映えるだろう。

ドレスもとんでもなく似合うだろうし。

正直、見たくないと言えば嘘になる。

 

「…さて、一旦出る」

 

「えっどうしてだい!?」

 

「着替えるんだろう。裸見られたいのか」

 

「あ」

 

テンション上がりまくって思い至らなかったようである。

顔を赤らめている、正直可愛い。

 

「終わったらリリに呼んでもらえ」

 

「はーい」

 

地下室は随分と改装した。

変わらないのは地下室から出た廃教会の中くらいだ。

ここは意図的に外観や内観を変わらないようにしている。

地下室への入口だけは私が通れないため拡張してある。

補強はしているが、廃教会には廃教会の良さがあるのだ。

ここでなんか晩酌をすると雰囲気がすごくいい。

酔えないけど。

 

「あれ?」

 

「ベルか」

 

思えばもう夕方である。

ひび割れた箇所から赤い日が差してきている。

もう帰る時間かと少し髪の濡れたベル君を見る。

 

「入らないんですか?」

 

「中でヘスティアがお着替え中だ」

 

「そうなんですか?これからお出かけとか」

 

「【神の宴】に行くからな。ドレスを試着している」

 

「ドレスですか!?神様が…」

 

「想像がつかないか」

 

確かにヘスティアには貧乏なところが良く似合う。

なぜかは分からないが。

 

「はい。神様はお美しいので」

 

「…ああ、そうか」

 

ベル君が貧乏くさいとか思うはずもなかった。

この子は純粋だ、ヘスティア様も普通に敬っている。

なので美しさもこの子には最大限に映っているのだろう。

 

「疲れたか?椅子にでも座っておけ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ボロボロの長椅子だけれど。

そもそも私ずっと立っているから譲るものでもないが。

 

「神様のドレスかぁ…!どんなのでしょうね!」

 

「どうだろうか。まあリリの選んだものだ。間違いはないだろう」

 

「リリが!これは期待大ですね!」

 

「まあ、そうだな」

 

仮にも女神のドレス姿だ。

ベル君の反応が正しいだろう。

私としては普段がだらしない、バイトしている、ヘファイストスに叱られている、そんなところを視認しまくっているためどうにも神という認識は持てない。

働いているだけマシだがヘファイストスの世話になっていた頃は本当にろくでなしだった。

ヘファイストスが持て余して私に頼み込んでくるくらいにはろくでなしであった。

 

「どんな感じだろうなぁ」

 

普通に女の子が好きでハーレムとかいうアホな夢を抱いているベル君だ。

女の子のドレス姿など純朴なベル君は期待しまくっていることだろう。

正直ベル君が羨ましい。

 

「オラリオは楽しいか?」

 

「へ?はい!もちろん!みんな優しくって毎日楽しいですよ!」

 

「【アストレア・ファミリア】とリリに絞られているだろう。それはどう思う」

 

「確かにキツイですけど……色々身について楽しいです!」

 

「そうか。それは良かったな」

 

一瞬遠い目をした気がするが問題ないのだろう。

両手に花だろうし多少キツイくらいがちょうどいい。

 

「そうか。リオンとはどうだ」

 

「リューさんとですか……?たまにダンジョンについてきてくれますね。あと一緒に食事したり買い物にも行きます!冒険者のノウハウも教えてくれます!」

 

「順調らしいな」

 

「順調?そうですね!」

 

全く、異性としては意識してないようだ。

アイズのことも英雄としてしか見てない節があった。

リューさんのこともそういう目でしか見てない可能性が大である。

まあそこはリューさんが押して押せば問題ないだろう。

頑張って入籍してしまえリューさん。

 

「そろそろだな」

 

拡張した地下への引き戸。

それが開かれて、リリルカが姿を現す。

 

「リリ!」

 

「ドレスアップ完了です。二人とも、どうぞ」

 

「はい!」

 

「やっとか」

 

「どうぞ」

 

「はいはい」

 

既にベル君は地下室に行ったらしい。

目を輝かせたベル君はかなり、速い。

リリルカに従って私も地下室への扉をくぐる。

 

「どうだいベル君。いいだろコレ!」

 

「お美しいです神様!」

 

たしかに美しい。

童顔で低身長で、幼女らしくない特徴といえば胸だけのヘスティアがドレスを着て様になっている。

普段は穴だらけの訳の分からない服らしきものを着ているヘスティアがドレスを着て様になっている。

 

「アームストロングくんも見なよこれ!いいだろー。ふふーん」

 

「確かに様にはなっているな。だが、発言と行動が幼女だ」

 

「ふふーん。それが神ってもんさ!」

 

「何言ってんだお前」

 

変なところで威張るヘスティア。

ヘスティアをおだてまくるベル君。

それを苦笑いで見守るリリルカ。

そしてため息をつく私。

 

「満足したら着替えろよ」

 

「へへーん。ドレスなんて久しぶりだなー!」

 

本当に癪だが。

似合っていることは間違いない。




基本的にこんなわちゃわちゃほのぼのを書いていたい今日この頃。
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