MUV-LUV大戦   作:土井中32

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引っかかったなヴァカめ!こっちが最終話だ!
…はい、この話で完結となります。最初からこのオチで終わらせるつもりでした。
土井中最後の一撃、どうかよく味わってください。

それでは、本編どうぞ。




最終話 そして、また明日が来る

 

「壮観だな」

 

シロガネのブリッジから見える光景を見て、思わずつぶやく。

かぐやたちから報告は受けていたが、実際に目にするとよくぞたった6年でここまで揃えたものだと思う。

 

アーク級宇宙戦艦2隻、シロガネ級が3隻全部、ペレグリン級が実に50隻。

戦術機・宇宙対応型スコープドッグがそれぞれ1000機余り。

 

地球連邦軍宇宙戦力の3分の1がこの場に集結していた。

何よりすごいのは、あの日から今日までわずか三日しかたっていないということだ。

以前きぼうが帰還したときはハガネ一隻飛ばすのに四週間もかかったというのに。

 

「あの時と同じ轍など踏みはしないさ」

 

そう俺に話しかけてきたのは、ある意味この艦隊で最も重要な任務を受け持つ人物。

 

「暇そうだな、ジェームズ・マーシャル地球連邦大統領殿?」

「元、だよ。それに一瞬だけなうえ、今はアメリカ大統領でもない。どこにでもいるただのおっさんさ」

 

あんたをただのおっさんと言える人間は地球にはいないと思うがなぁ…。

そもそもこの艦隊、この男の護衛でもあるのだ。

 

火星への逆侵攻がひと段落し、ゾイドシリーズを投入しての残党処理とテラフォーミングが始まった後。地球連邦軍の目は当然それより先へと向けられた。木星圏、土星、さらに先の太陽系外部の観測・監視の重要性が叫ばれ、長期間の無補給・無整備での運用が可能なゾイドシリーズをベースとした観測機、

 

 

ZDS/UーSー01 ストームソーダーステルス(略称SSS)

 

 

を開発。火星以遠へと飛ばして情報収集に当たらせていた。

今回その内の1機が冥王星軌道のはずれで太陽系内に向かう所属不明の宇宙船団を捕捉、観測情報がゾイドネットワーク(ゾイドシリーズ専用のネットワーク回線。一部試験的に量子通信を使用している)を介して地球に届けられたのだ。

連邦政府は直ちにこれに対応することを決定、全権大使を接触させるとともに、攻撃的な存在であった時を想定し連邦軍に護衛艦隊を編成するよう命じた。

で、こうして連邦宇宙戦力の3分の1が護衛として編成されたわけだ。

ペレグリン級巡洋艦だけでなく虎の子のアーク級まで派遣するというのは戦力が過剰すぎる、という意見もあったが、地球人の宇宙人に対するイメージとして真っ先に思い浮かぶのがBETAのため、どうしても平和的な存在、という予想に懐疑的にならざるを得ない。

そういう意味では全権大使がマーシャル大統領というのは納得の人選だ。

地球連邦設立の立役者であり話し合いの余地があるならまず話し合おうとする人格者。

それでいて理不尽にはきっぱりとNOを叩きつけられる人間でもある。

何より死なないし。

 

護衛艦隊もいざ戦闘となったら地球圏にたどり着かれる前になんとしても叩き潰すため、艦艇のみならず宇宙軍の主力たるガーリオンⅡを筆頭とした最新鋭機にベテラン、精鋭ばかりで構成されている。特にオペレーションGONGを生き延びた連中が多くて、覚悟のキマってる奴らばかりだ。

 

「とはいえ、錬鉄戦隊まで投入するのはやり過ぎじゃねェかなぁ…」

 

錬鉄戦隊。

 

新たにワープドライブを搭載したシロガネ級のみで構成される連邦軍統合参謀本部直属の広域遊撃部隊。

艦載機もDGGシリーズに量産型凄乃皇・終式と言えるヒュッケバイン・Mk-Ⅲで充足された1個大隊。量産が始まったばかりのエルシュナイデや生産が続けられているゲシュペンストMk-Ⅲだけでなく、いまだ準特機級戦力であるゲシュペンスト・タイプSに乗るはBETA大戦を戦い抜いてきた猛者ばかり。

参謀本部の命あらばどこであろうと跳んでいき、該当戦域の味方の援護から電撃戦で敵の中枢を叩き潰す特攻までなんでもござれの地球圏最強部隊。

こいつらまで投入するとなれば、最初から殲滅する気満々に見える。

 

「威圧感マシマシなのはどうしようもねぇよ。向かってきてるのが宇宙船なのは分かってるけど、目的もどの程度の技術力を持っているのかも不明なんだ。刺激しないよう最小限の戦力で行ったら舐められて、むしろ戦闘になる可能性だってある」

 

そう俺のつぶやきに答えたのは、強化服に着替えた白銀だった。

先年正式採用された00式衛士強化服を着ている。

 

今までとあまりデザインの変わらない、ピッチリスーツを。

 

宇宙空間にも対応できるよう気密も強化して、マッスルスーツとしての身体強化機能や耐久性の向上、着替えの手間の簡便化なども盛り込んだ連邦軍歩兵装備のスタンダードとして開発されたんだが、なぜかデザインだけは変えられなかったんだよなぁ。

羞恥心を麻痺させるためというのが主たる理由だったが、もう戦時中とは言えない状況になりつつあるのに。

 

「まあ、だからこそ俺にお呼びがかかったわけだしな。未だに地球圏で俺以上に未知の技術に対する知見のあるやつはいないし」

 

時間をかければ解析できる人材は多いのだが、今必要なのは現場で即座に解析できる”話の分かる”技術者だ。

流石にこの分野で俺を超える奴はまだいない。

下手すりゃ新たな異星人との星間戦争勃発の可能性ありとなれば、引退した人材だろうと引っ張り出さないわけにはいかなかったらしい。

 

「ところで、待機室にいなくていいのか?衛士は準待機命令出てるはずだろ?」

 

機体かパイロット待機室で待機する命令が出てるはずなのに、なんでブリッジに上がって来てるのか。

 

「いや、待機室にさっきまでいたんだけどさ、純夏たちが延々と呪詛を口から吐いててちょっと居づらくて…」

 

あー、結婚式ぶち壊されたもんなぁ。後日またやる予定組むことになったとはいえ、当初の目論見ぶち壊されたんだからそりゃ怨嗟も口から出るわな。

ちなみに元207B組は全員第一大隊所属である。つまりヒュッケバインMk-Ⅲに乗っている。

TーLINKシステムとの接触は禁止してなかったかって?もう意味ねぇよ。

 

 

一緒に(当然エ○ゲな意味で)寝たら記憶の受け渡しが起きましたなんてどう対策しろってんだ。

 

 

一応記憶の受け渡しは特に関係の深かった人間にしか起きないようだが、話を聞いた時点でいろいろ諦めた。もうなるようになれと。

香月ですら遠い目してたからな。多分あの時二人して宇宙背負ってたんじゃなかろうか。

結果として危惧していた負の因果の流入は起こらず、前世の戦闘経験がプラスされた彼女たちは地球圏でも指折りのエースに躍り出たわけだが。

そんな彼女たちにロックオンされた宇宙船団の皆様にはご愁傷さまと言うしかない。きっと戦闘になったら地獄を見ることになるだろう。

 

「まあ、その恨みつらみは戦うことになったときに思いっきりぶつけてもらおう。こっちは向こうの都合に合わせさせられただけだしな」

「実際のところ、どう思う?侵略だと思うか?」

 

白銀の言葉に、俺は近くの端末を借りてSSSが送ってきた静止画を表示する。

 

「見た目からは戦闘用の装備と判断できるものはないが、隠してる可能性は否定できねェ。そもそも宇宙を渡るにあたってデブリ破砕・防御用に何か積んでなきゃおかしいし」

 

まあ、白銀が聞きたいことはそこじゃないんだろうが。

 

(どう見てもそっくりだもんなあ、一周目の世界の第五計画で、バーナードに旅立った移民船に)

 

細かい違いはあるが、大体の形はそっくりだ。

もしかしたら向こうの世界からやってきたんじゃないかと考えてるのだろう。

 

「ま、接触してみりゃわかるだろ」

 

同じ地球人ならある程度価値観も常識も通じる。出会って5秒で戦争開始ってことは多分ない、はず。

仮に戦うことになっても原作のそれと同じであれば戦力も科学力もこっちが上回ってる。大した被害もなく鎮圧できるはずだ。

 

ちなみに、バーナード星系の存在は原作通り97年に発見されている。

61年に打ち上げられ消息を絶っていたイカロスⅠからの信号が届き、蛇使い座バーナード星系に極めて好条件の地球型惑星があることが確認された。

一部の連中は色めき立ったものの、光の速さで6年かかる距離というのは今の人類にとってあまりに遠い。

そもそも地球を取り戻して復興中。もうすぐ月奪還だ、という時期にそれより遠い星に移住なんて必要性も薄く。何よりイカロスⅠとの交信もすぐに途絶えてしまったために情報が限定的過ぎて確実性に欠ける、という結論に至ったのだ。

それでも将来的な移住候補地として情報は集めるべき、という意見はその通りだったので、SSSにワープドライブを搭載した後期型が完成次第情報収集のため旅立つ予定になっている。

 

「どのみち接触してみなきゃわからんことだ。とりあえず接触して話しかけて応えてくれれば万々歳。反応せず撃ってきたらぶちのめせばいい。ここでうだうだ言ってもしょうがねぇよ」

「相変わらず割り切っているね、君は」

 

やること明確だからな、俺の場合。

 

「…ところでさ、相談があるんだけど」

「断る」

「聞く前から断るなよ!?頼むよ、俺じゃどうにもなんないんだ」

「明確にお前が上官なんだからきっちり手綱握れよ。俺は知らん」

「片方は義理の親父だろ!?」

「片方はお前の義理の祖父さんだろ」

「羨ましい。私もそうしたかった」

「「マジでやめて(下さい)」」

 

そう、俺は何も知らん。

職を退いて止められる理由は(それでも止めようとした連中は説得した。拳で)もはやなしと連邦軍に入隊し(そもそも入隊できたことが驚きである。コネなど使ってないと言い張っていたが)、一兵卒から実力だけで尉官まで昇りつめて錬鉄戦隊に配属となったおっさんどもなど俺は知らん。

右肩が()に塗られたヒュッケバインMk-Ⅲ2機がクロガネの格納庫に収まっていることなんてこれっぽっちも知らない。

はっちゃけたおっさんどもに胃の平穏を脅かされるのは勘弁なのだ。

 

 

「いいんですか青空様、こんな離れた場所にいて」

「美沙様からマスターの護衛を引き継いでここにいるのでしょう?」

「えっと、その…」

「尻込みしてたらいつまでたっても関係を変えられませんよ!」

「美沙様からも言われたでしょう、”振り向かせられるものなら振り向かせてみせなさい。九郎の一番は絶対に私ですから”って。アタックするのは自由ってことですよ!」

 

…勘弁なのだ!

 

 

------------------------------

 

 

木星圏。

 

資源帯として有望ながらもいまだBETAの勢力圏であり、現在は情報収集と地球の復興・火星圏の安定化が優先され手つかずの領域。

 

その何もないはずの場所に、唐突に穴が開いた。

ワープドライブによって開けられた穴を通り、50を超える艦艇が木星圏へと一瞬で到達する。

 

「流石、アーク級の大規模ワープシステムだ。地球から木星まで一瞬とは」

「艦隊丸ごとワープさせられる超高出力ワープドライブだからな。香月はこれ作るのに随分と苦労してたが」

 

原作では40年ほどかかったものの、BETA創造主の元まで行ける船とワープシステム作ってたぐらいだ。マッドどもこき使えばこのぐらいのことはできるだろう。

もっとも今回の件に合わせて突貫でオーバーホールする羽目になったから、今頃研究所で死んだように眠ってるだろうが。

 

「しっかし向こうはさぞびっくりしてるだろうな。目の前に突然大艦隊が現れたんだから」

「それが狙いですからな」

 

そう、ワープした艦隊の前には、目的の不明宇宙船団がいた。

SSSがずっと監視していたので現在位置はリアルタイムで把握されていた、だからこんな真似ができたわけだ。

で、それを見ながら言った俺の独り言にそう返したのは、このシロガネを預かる三代目の艦長だった。

 

「不満そうだな、リー・リンジュン艦長?」

「戦隊の次席指揮官としては、このまま戦術機も展開してしまうべきだと考えておりましたので。司令には却下されてしまいましたが」

 

そう言って彼はこの錬鉄戦隊の司令官、北海銀斗提督を見た。

 

「リー艦長、これが戦時下なら貴官の意見は正しい。しかし今はまだ彼らとは戦争状態になく、我々の任務もあくまで護衛だ。彼らを威圧するために鼻先へのワープは許可されたが、これ以上は必要以上に刺激してしまう。最低でも向こうが撃ってくるまでは攻撃も艦載機の発進も許可できん」

「承知しております。万が一のため、カタパルト待機と第一大隊の隠密展開は許可していただきましたし」

 

連中の鼻先に出る前に木星圏手前に一度ワープし、そこで錬鉄戦隊第一戦術機大隊を降ろしてきた。

彼らが装備するヒュッケバインMk-Ⅲは、オプションであるAMクルーザーとドッキングすることで単独でのワープが可能だ。

いざ戦闘となれば彼らが長距離ワープでアンノウン船団を強襲、その間にこちらは部隊を展開する手はずになっている。

凄乃皇・終式もTTD起動許可を出して一緒に降ろしてきたから、下手すると彼らだけで終わるかもしれん。

 

「それで博士、解析の方はどうなっているのですか?」

「傍受した無線は大混乱中だな。何言ってるか分からんけど」

 

船団内の船同士で大量の電波…無線が飛び交ってるのが確認できる。

この時点で連中がBETA、或いはBETA創造主に近い存在である可能性はかなり低くなった。

手足であるBETAが量子通信使えるのに、親玉がそれを使わない理由がないからな。

もっとも傍受した内容は地球の言語に一致するものがないので現在解析中。この時点で並行世界から渡ってきた第五計画の地球脱出船団である可能性も消えた。

解析中のため彼らが何言ってるのかはまだ分からんが、それでも船の動きや無線に乗る声の上擦りようから相当に混乱してるのは間違いない。

 

「彼らがワープ技術を持っている可能性については?」

「SSSが追跡中も使える機会は何度もあったのに使わなかったし、こっちが鼻先に現れたことでこれだけ混乱してるんだから、持ってる可能性はかなり低いと思うぞ」

「船の性能については」

「スキャンして得られた情報から推進機関まわりにG元素を使っている可能性は高い。だが武装はあまりなさそうだな。SSSからの観測情報も加味するとかろうじてデブリ破砕用の実体弾砲が数基あるだけ、か?」

 

マジで移民船、て感じだな。何隻か戦闘に特化したとおぼしき船もあるが、違う点などミサイル発射管があるという程度でしかない。

正直、こちらの艦隊規模が十分の一でも一方的な虐殺になりかねない戦力差だ。

 

「推進機関まわりにG元素を使っている以上、G弾が飛んでくる可能性は否定できない。だがそれ以上の脅威が飛び出す可能性はほぼない、と予想するぞ」

「戦闘になれば、ほぼ間違いなく撃滅可能と考えても?」

「俺の想像を超えなければな」

 

とりあえず自分たちで何とかできそう、ということで艦長と提督の強張っていた顔が幾分和らぐ。

BETA対策の一環でML機関の研究も進んだからな。ラザフォードフィールド対策の応用で、もはやG弾も脅威ではなくなってしまった。

今更10発20発飛んできたところでへの突っ張りにもならん。

 

「ま、艦長たちの出番が来るかは俺たちが仕事を果たせばわかることだ。始めるぞ、社」

「はい、いつでも大丈夫です」

 

俺の言葉にそう返したのは、やたらとごてごてしたヘルメットをかぶった社霞だった。

オルタネイティヴ1でも問題になった異星存在と如何にコミュニケーションをとるか。

言語どころか生態すら違う可能性のある彼らとのコミュニケーション方法を解決できず、第一計画はとん挫した。

しかし知的生命体であれば思考しているのは間違いないので、テレパシーの類でイメージを伝えることは可能なはずである。

そうして行われたのがテレパシー能力者を人工的に生み出す第三計画、そしてESP発現体だ。

BETA相手ではほぼ意味がなかったが、ここに来て本来の役割を果たす時が来た、というわけだ。

幸運にも今回の連中は無線の類で連絡を取り合ってるので、傍受した内容を片っ端から言語解析にかけているのでそう遠くないうちに口頭で話せるようになるだろうが、流石に今すぐというわけにはいかない。

ということで彼女の出番、というわけだ。

ちなみにまだ未成年である社が選ばれたのは、彼女より力の強い発現体がいなかったから。俺と同じく能力優先ということだ。

 

「思念波増幅装置起動、出力順調に上昇中。始めていいぞ」

「はい、プロジェクションを開始します」

 

本来社の力ではあまり遠くに能力を行使できないが。彼女がかぶっているヘルメットが外付けの思念波増幅装置に繋がっていて、こいつで能力を強化してプロジェクション、こちらのイメージを向こうの脳に投影する。

今回は軽い挨拶と何者か、何しに来たのかを問う。

今のところ向こうもその場に停止してこちらの様子をうかがっているように見えるが、さて…。

 

「…!反応がありました」

 

社の言葉に、ブリッジの緊張感が増す。

 

「彼らは、移民に来たそうです。故郷を侵略者に奪われ、この星系の第3惑星が自分たちの移住に好条件の星なので、そこに移り住むために来た、と」

 

ブリッジの緊張感がさらに増す。当然だ、彼らが移り住む気の星は、俺たちの故郷なのだから。

もしも武力侵攻を辞さないとなれば、こっちもそれ相応の対応をしなくてはならない。

 

「その星は我々の故郷であると伝えろ。力で奪う気なら戦闘も辞さない、ともな」

「侵略者に故郷を追われた、と言ったな。侵略者は知的生命体か?そして故郷はどこの星かも聞いてくれ」

 

流石にここはマーシャル大使も毅然とした対応を取った。

同時に俺も気になったことを聞くよう社に伝える。

下手をすると彼らを追い出した侵略者がここまで追ってくるかもしれない、相手を特定するためにも情報が欲しい。

今度は少し、間があった。

 

「武力侵攻の意図はない。話し合いで解決したく、場を設けてほしいとのことです」

「話し合いの場を設けることは承知した。して、稲郷博士の質問への答えは?」

 

社が一瞬、顔をしかめる。

 

「彼らが見せてくれた侵略者のイメージは、BETAそのものでした」

「…なるほど、いわば彼らはBETAに勝てなかった俺たち、というわけか」

 

原作の一周目のように、僅かな可能性に賭けて逃がされた最後の人類なのだろう。

船の形が似ているのも、G元素を利用した宇宙船という同じコンセプトゆえの収れん進化、とも考えられる。

しかしあの話とは違い、彼らの移民先には原住民が存在していた。しかも明らかに自分たちよりも強そうな。

彼らは今、絶望しているのだろうか。もしかすると自棄を起こしかけているのだろうか。

今のところは理性的な対応ができているようだが、場合によってはここで彼らは絶滅することになるかもしれない。

 

「で、どこから来たって?」

「この星系から6光年ほど離れた星だそうです。正確な座標は…」

 

6光年。

その言葉を聞いた瞬間、何人かの顔色が変わる。

そして社が続けて言った座標を聞いて、どんどん能面みたいな顔になっていく。

…恐らく、俺も同じ顔をしてるだろうなぁ…。

 

「…博士?顔色が悪いですが、心当たりでも?」

「心当たりも何も、つい最近聞いた場所だよ」

「…どこなのです?」

 

リンジュン艦長と北海提督の質問に、俺は一言で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーナード星系」

 

 

 

 

 

俺たちの戦いは息つく暇もなく、まだまだ終わらないらしい。

 

 

------------------------------

 

 

「イング、イルイ、そろそろご飯に…どうしたのですか、それ?」

「庭に落ちてた」

「まだ生きてるみたい、飼ってもいい?」

「…珍しいですね。二人ともそれ(●●)のことが、いえ九郎も含めると三人ともそれが大嫌いなのに」

「「その方が一思いに〆るより苦しめられるかな、ってなんとなく思ったから」」

「…九郎が、お父さんがいいと言ったらですよ。水槽は許可が出てからですが、とりあえず海水と餌だけは用意しないとですね」

「海水は実験用のが研究所にあったはずだから、まっどの人たちからもらってくる」

「餌はとりあえず魚の切り身でいいと思う」

「嫌いな割に妙に詳しいですね…しかし不思議なこともありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庭先に生きたイカが落ちてるなんて。それに目のような模様が2対もあるイカなんていたでしょうか?

 

 

後で調べてみましょうか」

 

 

そう、俺たちの意思とは関係なく。

面倒ごとは、向こうからやってくる。

明日が来る限り、いつまでも。

 

 

 

 

 

俺たちの戦いは、これからもつづくのだ。

 

 





美沙「ちなみに名前はどうするつもりですか?」
イング・イルイ「「ク○外道」」
美沙「…もうちょっとマシな名前にしてあげなさい」


○アーク級宇宙戦艦

地球連邦軍が保有する宇宙戦艦。
全長1.2キロの巨体を持つ地球圏最大の戦艦である。
最初から艦隊旗艦として運用するために作られており、それに見合うだけの戦闘力を持つ。
OGに登場するオリジナルとの相違点は任意に分離・合体して運用するビーム砲艦が重力衝撃砲艦に変更されている点。
特に全ての重力衝撃砲を収束させて放つグラビトロン・オーバー・キャノンはトロニウム・バスター・キャノンに勝るとも劣らない威力を持つ。
衝撃砲・VLSや近接防御用の機関砲なども備えペレグリン級10隻分とも言われる火力投射能力を実現。
防御兵装としてEフィールドの他にテスラドライブの搭載によりブレイクフィールドも展開可能。装甲の厚さもシロガネ級を超える。
また空母機能も併せ持ち、2個連隊の戦術機と1個歩兵大隊のスコープドッグを搭載・運用可能。
高い情報処理能力による司令部機能すら備える。
実用化されたワープドライブも搭載されており、理論上は単艦で艦隊丸ごと恒星間ワープさせることが可能。
地球連邦軍最強の軍艦だが運用に必要な人員・コストも莫大なため、生産が始まって4年が経つがいまだ5隻も就役していない虎の子である。


○RTX-018 ヒュッケバインMk-Ⅲ

通称、量産型凄乃皇・終式。
初代ヒュッケバインに凄乃皇のデータを合わせて開発された機体。
TTDこそ搭載されていないがフレーム周りはほぼ同一、手持ち武装も出力は劣るが同じものを装備している。
動力源はブラックホールエンジンとプラズマリアクターのハイブリッド。
OG登場のオリジナルとの相違としてテスラドライブの標準搭載、マルチトレースミサイル装備部分のハードポイント化がある。
マルチトレースミサイルはオプション化されて搭乗する衛士や戦況に合わせて変更でき、代わりに予備弾倉や追加武装を装備することが可能。
単体ではやたら強い戦術機でしかないが、AMクルーザーとの連携によってその真価を発揮、準特機級の戦力となる。
地球連邦軍が量産している戦術機では間違いなく最強の機体だが、操縦するには最低Lv5の念動力適性を必要とするため生産数は50にも満たず、完全充足しているのは錬鉄戦隊の第一大隊のみである。


○AMクルーザー

ヒュッケバインMk-Ⅲ専用のオプションユニット。
単体では強いだけの戦術機であるMk-Ⅲを準特機級の戦力まで底上げする外付け強化ユニットである。
見た目はAMガンナーそっくりだが可変機構が設けられており、変形してMk-Ⅲが乗り込むことでAMボクサーに似た近接格闘強化形態”ウォーリアーモード”になる。
ウォーリアーモードでは接近戦能力が大幅に強化され、徒手格闘から専用武装”T-LINKバスターソード”を使っての斬撃戦まで幅広く対応。
クルーザーモードでは重力衝撃砲4門と多量のミサイルによる長距離からの広範囲攻撃能力、そして高速巡行能力をMk-Ⅲに付与する。
またドッキング中に限り空間転移が可能。距離は最大でも地球~月程度しか跳べないが、Mk-Ⅲの展開能力を大幅に高めている。
通常はAIによる無人制御だが、緊急時には有人での運用が可能。


○AMF-35 ガーリオンⅡ

連邦宇宙軍の主力戦術機。
ガーリオンを再設計した機体であり、変更点の多さから改修機ではなく別の機体として扱われている。
量産化に成功した第3世代テスラドライブ2基を搭載。空中戦や宙間戦闘ではデッドウエイトになりがちだった両足も大型ブースターと兼用となり、その機動性と高速巡行能力は地球で量産されている戦術機でも群を抜いている。
また動力部もプラズマジェネレーターに変更され、ガーリオンのネックだった光学兵装の使用制限も無くなった。
その圧倒的速度と高機動性を生かした一撃離脱戦法を得意とし、対応範囲の広い宇宙軍の主力として多数が運用されている。


○ATSF-01 エルシュナイデ

地球連邦軍として初の正式量産機に選ばれた機体。
設計ベースはDGGー05、SRXを構成するRーシリーズの1機であるRー1。
オリジナルであるエルアインスとの違いはより高機動性を重視した結果、背面ウイングユニットがX字型のスラスターウイングになっている点である。
連邦軍正式量産機としてハード側の調整なしで全領域での活動が可能となっており、今までに蓄積されたTC-OSの戦闘データが反映されていることも相まって新兵でもベテラン並みの機動を可能とする優秀な機体となっている。
特化性能ではゲシュペンストMk-ⅢやガーリオンⅡに及ばない面があるものの、ウイングユニットに搭載されたツイン・ビームカノンによる長距離砲撃戦からスラスターウイングによる高機動格闘戦まで、換装や調整の必要なく単体であらゆるレンジに対応可能な万能型の機体として急ピッチで配備が進められている。


○ ZDS/UーSー01 ストームソーダーステルス

惑星間単独長距離偵察を目的として開発された新型のゾイドシリーズ。シャドーフォックスの後継に当たる機体。
改良されてより効率の上がったクオンタム・ジャマーを搭載した翼竜型のゾイドで、武装こそ翼と頭部に備えたビームブレードとビームバルカンという最低限しか持っていない。
しかし代わりに高性能な観測機器と高いステルス性を持ち、単独で敵対勢力下に隠密潜入し情報を収集。見つかることなく、あるいは全速力で離脱し帰還することをコンセプトとしている。
後にワープドライブを搭載した後期型が登場。太陽系外へと旅立ち、地球人類に外宇宙の観測情報という貴重な情報をもたらした。
…余談ではあるが、試作機の中には制空戦闘を目的とした有人機が存在する。
無人型との比較検証用に作られたステルスも搭載していない比較的初期の機体だが、無人型との戦績は全戦全勝だとか。


○ 00式衛士強化服

連邦軍正式採用の新型衛士強化服。
従来の物と見た目は大差ないが宇宙服としての機能が新たに盛り込まれており、00式強化兜を装着するだけで宇宙空間でも活動が可能。また着替えの手間も簡便化され、強化服自体の耐久性も大幅に高められている。
強化服内は完全循環環境となっており、飲まず食わずでも最大1週間は生存可能。
マッスルスーツとしての機能も組み込まれ、従来の物よりも衛士の生存率を大幅に高めることに成功している。
連邦軍の基本装備として各兵科ごとにカスタマイズされたものが支給されており、連邦軍全体の作業効率の上昇や生存性の向上に寄与している。
…なお、開発者は従来の物からデザインの変更をしようとしたが、関係各所()からの強い反対によりとん挫したらしい。


バーナード星系が人が住めるほどに好条件の星なら、そもそも原住のバーナード星系人がいてもおかしくないよね!
そして原作とは逆にバーナードから地球に移住しに来ることもあり得るよね!
…真面目な話、10の37乗もいるらしいBETAが僅か6光年先にいないなんてそんな虫のいい話があるわけないよなあ、と土井中は思うわけでして。
アンリミテッドのエンディングも、下手するとタケルちゃんの夢の可能性すらあるなぁ、と。希望も救いもない話ですが。


とにかく完結です!これ以上は話が完全にスパロボになってBETAが空気になってしまうので。約一年ほどお付き合いいただきありがとうございました。

始めた当初は半ば勢いみたいなところがありましたが、ここまでたどり着けたのはひとえに拙作を読んで応援してくださった皆様がいたからです。本当にありがとうございました。
もうちょっと書いてみたいネタがあるのでもしかしたら番外がいくつか出るかもしれませんが、とりあえず完結です。

次回作に関してはやるかどうかすらまだ未定です。
処女作ということで反省すべき点もいろいろありましたし個人的に尻切れトンボが非情に嫌なので、オチまできちんと決め切れないまま投稿とかしたくないんです。
次に投稿するのは書きかけのはいふりかオリジナルか、はたまた構想だけはあるガンダムSEEDか。
とりあえずしばらくは積みプラとか漫画とかゲームにどっぷり漬かりたいと思います。

それでは皆様、また会う日まで!

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