ヒャッハー!夏休みだァァァァァァァァ!!(残業が重なってテンションがおかしくなってる)
本日は連載開始からちょうど一年ですので、蛇に足を足してみました。
いつものあとがき含めて2万字オーバーの衝撃を食らえ!
○ 鍛冶師たちは今日も元気です
ゾル・オリハルコニウム。
稲郷九郎がこの世界にもたらした特殊金属である。
OG世界においては地球の内側にある異世界、ラ・ギアスより持ち込まれたもので。その硬度や靭性もさることながらある程度の自己修復能力まで備えている、このマブラヴ世界においてはその存在を知った素材の研究者があらゆるものを体中から噴出させながらのたうち回った代物である。
特に可動部分、摩耗する部分の多い兵器はこの恩恵を受けやすく。これを初めて関節に使用した戦術機であるゲシュペンストは驚異的な継戦能力を手に入れ、以降戦術機の関節部にはこれが使われるのが通例となった。
しかし相当に希少な金属、レアメタルの類であるためゲシュペンストに代表される第三世代戦術機のコスト高の一因ともなっており。全身の装甲がこれであるタイプSのコストたるや、1機で量産型のタイプRが中隊で買えると言われるほどである。
そんなゾル・オリハルコニウム製の装備の中でもとりわけて高価なのが武器、実体剣のシシオウブレードである。
最近行われた実験で判明した事実だが、ゾル・オリハルコニウム製の物同士がぶつかり合った場合、より高純度の物の方が勝つ。
武器であるシシオウブレードはその都合上、どんなものよりも高純度である必要があるのだ。
しかし工場製の物はその目的上常に品質は一定、加えて工業的な方法では一定以上の純度を越えられないことが判明した。
高純度にするためには不純物の取り出しが不可欠だが、融点まで溶かしても自己修復能力によってすぐに固まってしまい、不純物の取り出しが上手くいかなかったのだ。
鍛造による不純物のたたき出しも、高純度になればなるほど高まる修復能力にコンピュータの計算が追い付かず、一定の純度で頭打ちとなる始末。
悩みに悩んだ末に、九郎は専門家を頼ることにした。
すなわち、刀匠を。
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稲郷研究所、その一角。
最新鋭の設備が揃っているこの研究所において、唯一の例外がこの場所であった。
何せそこにあるのは時代錯誤の炉に槌、金床ばさみなど。
江戸時代にでも巻き戻ったのかと言わんばかりに使い古された物品ばかりだからだ。
そんな場所の一角で二人の男が言い争いをしている。
「何べんも言わすな!ここの打ち方はこうした方がな…!」
「それじゃ粘りが出ねぇだろうが!ここはこうすべきなんだ!」
「…またやってるよあいつら」
「しょうがねぇべ。職人に妥協なんか無ぇ。どっちもこれが最高の刀に必要だと思ってるから引きゃあしねえ」
「まぁ、それが坊主との約束だしなぁ」
ゾル・オリハルコニウムを持ち込まれた刀匠たちの反応は劇的だった。
今まで見たことも聞いたこともない未知の金属、それを使った実戦用の刀の制作依頼。
報酬も十分すぎるほど用意する、という言葉は右から左に突き抜けた。
戦場の主力が刀でなくなってからすでに百年以上。武家のおかげで未だに需要はあるものの、もっぱら観賞用でこだわれるのは見た目だけ。しかしその本分は武器のはずである。
なのに、自分たちが作ってるのは一体何なのか、そんな疑問を覚える者も多かった。
そんなところにやってきた実戦用の刀の制作依頼、それも初めて触る未知の金属付きである。
彼らはすぐに飛びつき、この金属に夢中になった。
不純物のたたき出しは刀匠の腕に依存するため、より高純度=刀匠としての腕の証明であったためだ。
当然刀匠たちの間では”あいつに負けてたまるか”という競争意識が働き、誰もが鍛冶場に籠り続けた。
そうして寝食を忘れてこの金属の研究に明け暮れた刀匠たちは、僅か一か月でタイプSの装甲を容易く両断する高純度のゾル・オリハルコニウム刀を完成させた。
古来から蓄積された技術に刀匠たちの経験からくる機械を超える超精度とカンが、コンピュータの限界を容易く踏み越えさせたのだ。
その結果を聞いた九郎は、彼らととある契約を結ぶことにした。
「これからも定期的にゾル・オリハルコニウムを提供する。代わりにあんたたちには持ちうる技術全てをぶち込んだ、戦術機用の刀を打ち上げてほしい」
この契約に当初、刀匠たちは難色を示した。
誰か一人ではなく刀匠たち全員で協力しての依頼だからだ。しかもそれぞれの秘伝なども大っぴらに見せることも契約に含まれていた。
先祖代々ずっと守ってきたものを見せるのはちょっと、という言葉に、九郎はこう返した。
「今俺が、現場の連中が求めてるのは一匹でも多くのBETAをぶった切れる、一人でも多くの命を守れる刀だ。安っぽいプライドにこだわって使い手の要望に応えられない駄作作って、あんたたちは刀匠の名とご先祖様に顔向けできるのか?」
その言葉は。
どうしようもなく、彼らの誇りを傷つけた。
『いいだろう、たかがBETAごとき百億でも二百億でもぶった切れる無敵の刀を打ち上げてやろうじゃないか』
その日、日本史史上初の刀匠ドリームチームが結成された。
何としてもあの小生意気なガキの鼻を明かすのだと、彼らはそれぞれの家に伝わる秘伝を惜しげもなく伝えあった。
そしてその技術の粋を集めて打ち上げられたのがシシオウブレードである。
”シロウトのチャンバラでも山が斬れる”と言わしめたその切れ味と耐久性は凄まじく、プラズマカッターとの切り合いをしたらビームごと相手を叩き切った、という記録が残るほどである。
しかし、彼らはその出来に満足できなかった。
「現状だと10万体も斬れば限界だろうね。全く億には届かないな?」
『上等だこの野郎!!』
以来、彼らはシシオウブレードの性能向上に明け暮れている。
なお今の限界は推定、要塞級斬り1億体である。
『ええい言い合いじゃらちが明かねぇ!こうなりゃやることは一つだァ!』
『応!試し斬り合いでどっちが先に折れるか確かめようじゃねぇか!』
『『いくぞぉ!!』』
「だからって鍛冶場でやる奴があるかァ!?演習場行け演習場!!」
「ああああ撃震持ち出してるから生身じゃ止められねぇ!誰か試験衛士か警備員呼んで来い!」
「退避ー!退避ー!!下手すりゃ折れた切っ先が飛んでくるぞォ!?」
今日も鍛冶場は大騒ぎ。
職人の仕事に妥協はない。
だから、この騒動も終わるときは、来ない。
○ 撃震・鍛冶式
撃震を鍛冶仕事用に改修した機体。
シシオウブレードを打ち上げるにあたって戦術機サイズの各種設備が必要になり、その一環で用意されたものである。
軍用装備のほぼすべてがオミットされ、何なら操縦席も直接視認して鍛冶作業をするために、前面は強化プラスチックに換装されて丸見えである。ついでに頭も取っ払われている。
また長時間の作業でバッテリー切れを意識せずに済むよう、普段は内蔵電源ではなく有線ケーブルによる外部電源で動いている。
当初は通常の戦術機と同じ操縦システムで動いていたが、鍛冶師たちから”もっと直感的で、0.001ミリ以下の精度で動かせるようにしてほしい”との意見が上がったため、装着式モーショントレーサーへと換装された。
…たまに意見の相違で熱くなり過ぎた刀匠たちがこれで試し切り合いをして白黒つけようとするため、外部からの緊急停止手段の設置が真剣に検討されている。
○ シシオウブレード
当初はゾル・オリハルコニウム製の戦術機用の日本刀を指す言葉だったが、後にゾル・オリハルコニウム製の刀剣全般を指す言葉となった。
高純度であればあるほど金属としての強度を増すゾル・オリハルコニウムだが、一定以上の純度にするには自己修復によって常に位置を変動させる不純物を正確に叩いて打ち出す必要があり、コンピューター制御ではこの変動速度がコンピュータの計算能力を上回ってしまうため一定以上の純度にすることができなかった。
しかし先祖代々受け継いできた技術と長年の経験から瞬時に導き出されるカンによる刀匠の精錬はそれを可能とし、機械制御を上回る高純度のゾル・オリハルコニウムの製造を可能とした。
そのうわさを聞き付けた西洋剣を作っていた鍛冶師たちが合流し、ゾル・オリハルコニウム製の刀剣を打つ専門部署”100億ぶった斬り隊”が設立された。
隊内ではそれぞれの技は余すことなく教え合うことが大前提であり、彼らの至上目標は名前通り”BETAを百億斬れる刀を打ち上げること”である。そのために彼らの研鑽に終わりの文字はなく、日々打ち上げられる刀剣の性能は上がり続けている。
そうして打ち上げられるシシオウブレードの性能は下手な光学格闘兵装を上回り、達人が振るえばビームごと相手をたたっ斬るほどであった。
当然剣術に覚えのある者はこれを求めたものの、伝統的な日本刀の鍛造を戦術機サイズで行うというあまりにもコストと手間暇のかかる仕事であること、最低でも所属する刀匠の半分を納得させる出来でないと出荷を認められないゆえに年間の製造数は10振りにも届かず、所属する刀匠全員からその出来を認められた”真打”など数年に一振り出るかどうかという貴重ぶりである。
一時期は欲しがる者たちを集めた武術大会の景品となる有様で、2001年現在でも”真打”が与えられるのはそれ相応の腕と功績を積み上げた者のみである。
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○ またの名を文化爆弾
「…なんだこれ」
「段ボールの、山?」
その日。
凄乃皇・終式のオーバーホールのため稲郷研究所に来た武と純夏が見たのは、そこら中に山積みされた段ボールの山であった。
割と広いスペースを持つ研究所の3分の1が埋まるほどに積み上げられたその段ボールの山に困惑する2人に、声をかけてきたのは本来ならここの主であり、今は出入り禁止にされているはずの男であった。
「おう、武と純夏か。そういえばオーバーホールの予定だったな」
「九郎!出入り禁止じゃなかったのか!?」
「というか、この段ボールの山は一体…?」
2人の疑問に、九郎は何事もないかのように平然と答えた。
「この件を企画したのは俺だからな、一定の軌道に乗るまではっつー条件で期限付きで出入りの許可が出た。段ボールについては…中身見た方が早いな。開けちまっていいぞ」
責任者だという九郎の言葉を受け、困惑しながらも段ボールの1つを開けた2人が見たのは、更なる困惑を生み出すものだった。
「なんだ、これ…漫画に、ビデオテープ?」
「タケルちゃん、こっちはフロッピーディスクとCDーROMだよ。タイトルは…MUVーLUV!?」
まさか、という思いと共に2人が漫画やビデオテープのタイトルを見れば、そこにも同じような文字が並ぶ。
「く、九郎?これは一体…」
「簡潔に言うなら、原作メディアミックスの詰め合わせだな。つまりお前らの1周目と2周目+外伝系の詰め合わせ」
「「なんでだよ!?」」
「心配すんな、キャラクターの名前や顔や性別なんかは変えてある、プライバシーに関しては最低限守られてる。BETA回りは全部事実だけど」
「「突っ込みたいのはそこじゃねぇ!?」」
2人の抗議に、九郎は一から説明することにした。
「俺たちの世界に関しては何とかBETAからの防衛がかなう算段がつけられたわけだが、隣接する並行世界群に関してはいまだBETAに地球を奪われる寸前まで追い込まれている世界ばっかりだ。ここまではいいか?」
「九郎さんが観測してた他の可能性、だよね」
「で、その中にはお隣の世界へと進出したBETAも存在する。正直同一世界の連中だけでも手に余りかねないのに、並行世界からの襲撃まで考慮してたら物資も戦力もいくらあっても足りねぇ」
「…本当に土木機械なのか?BETAって」
「俺もそう思う。とにかく他の世界群には早急に自分の世界のBETAに勝ってもらって、並行世界からの襲撃に備えてもらいたいわけだ」
「ああ、なるほど。並行世界を橋頭保としてこっちの世界に攻め込んでこないように、周辺世界を壁の代わりにしようってことか」
「でも、それとこの段ボールの中身とどんな関係が?」
2人のその疑問に、九郎は1つの質問で答えた。
「この世界群において、BETAに勝てない最大の問題って何だと思う?」
「「人類が人類してるから」」
「…うん、まあ、それもあながち間違いじゃねぇな」
二人の即答に相槌を打ちながら、九郎は自分の考える答えを話す。
「追い詰められて余裕がないとか、自分にとって都合のいい面しか見てないとか細かく見れば理由はいろいろあるんだが、要するに想像力が足りなくて視野狭窄起こしてるのが最大の問題だと思うんだよ」
「あー確かに、G弾の多重起爆による重力異常とか、00ユニットのODL交換時の情報漏洩とか、もう少し頭働かせてれば防げたんじゃって思うことは色々あるね」
「あとからあれこれ言うことはできるけど、確かにもっと早く気付けたんじゃないかってのは多いな」
「だから考えた。じゃあ足りない視点をこっちで補ってやればいいんじゃないかってな」
その言葉を聞いて、九郎が何を考えているか二人は気づいた。
「もしかして、この段ボールに詰め込まれた娯楽の山を並行世界にばら撒くつもりなの!?」
「なるほど。事前にその可能性があると知っていれば防げる可能性は高まるし、そうなれば各作戦の成功率も高まるよな」
「BETAの存在を認知する60年代あたりを狙ってばら撒く。1つの世界あたり段ボールを100個もばら撒けば黙殺の可能性もだいぶ減るだろ。重要なのはそうなる可能性がある、と気づかせることだからな」
「いや、でもそれならなんで娯楽の形でばら撒く必要が…?」
「そっちの方が興味引けるだろ?道で拾ったクッソお堅い文章の羅列なんて誰が好んで読みたがるよ。ついでにBETAの侵略を受けてない世界に間違ってばら撒いても、作者不明の娯楽で片づけてもらえるしな」
2人にとっては全く予想外の方法での支援方法であった。
「人を送る、のは因果情報の流出入が起きるからだめか。普通に技術情報を送っての支援とかは」
「それ使って内ゲバしないと思えるか?」
2人は考え、秒で答えを出した。無理だな、と。
「娯楽なら想像力を鍛えるきっかけになるかもしれないし、高々段ボールを100や200送り付けた程度で因果の流出入も起こらねぇだろ。何より他の方法より圧倒的に安全で安い」
「…もしかして、娯楽業界にテコ入れしてたのって」
「家族でマ○パしたかったのも本当だぞ?」
割と前から計画されていたことにため息をこぼしつつ、しかし武は1つの疑問を問うた。
「段ボールの中身も計画の概要も理解した。でも1つ肝心の問題がある。因果導体もなしにどうやって並行世界に干渉するんだ?」
「あ、そっか。タケルちゃんもう因果導体じゃないから並行世界を観測したり跳んだりできないんだ」
「もしかして、サイコドライバーならできるのか?」
「できなくはないが、お前らをこの計画につきっきりにさせるのはいろんな意味でもったいない。だから別のを使う」
「別の?」
そう言った九郎が指さした先にいたのは――
――水槽に閉じ込められたイカだった。
何やら不機嫌そうにビッタンビッタンと触手で水槽を叩いているが、まるで牢獄の如く頑丈な水槽は小揺るぎもしていなかった。
「タケルちゃん、あれって確か…」
「九郎の家で飼われてるペットのイカ、だよな。確か名前は…」
「クックック。心配するなよ”スーパーゼスト(笑)”くゥん。君はこれから数多の世界を救うヒーローになるんだぜェ?まあその過程で幾度となく確率の霧に戻されるから下手するとイカ以外の何かになるかもしれんが。運が良ければ元の姿に戻れるかもなぁ?もっと酷い姿になる可能性も否定できんが。クゥックックック」
凄まじく悪そうな笑顔でイカに話しかける九郎に、2人は何も言えなかった。
…なお、スーパーゼスト(笑)が元の姿に戻った場合、問答無用で拘束されてパワードスーツによるオラオララッシュを叩き込む準備が万全の態勢で準備されていることを知っているのは九郎だけである。
○ スーパーゼスト(笑)
稲郷家の庭に落ちていたイカ。現在は水槽で飼われている。
当初は帰ってきた九郎が(煮ても焼いても食えないなら揚げてやる!と言って)イカフライにして食おうとし、逆に飼い殺しにして一秒でも長く屈辱を与え続けたい子供たちと稲郷家初の親子喧嘩の原因となり、すったもんだの果てに飼われることとなった。
なお、決まり手は急所への頭突きだった模様。
名前については候補として挙げられた「ク○外道」「超人ストーカー」「厄介ファン」「成り損ない」「それも私だ(笑)」「うっかりゼス兵衛」などロクでもないものから本人(本イカ?)が選んだ。
飼われ初めて数年が経つが、未だに存命の不思議なイカである。なお、正体については言わずもがな、である。
今回は白銀のようにパッチワークではなく単体で転生を繰り返していることから引き寄せる因果を想定しやすく、また引き寄せる心配が少ないとして選ばれた。
並行世界の観測・段ボールをバラ撒くための穴を作り出すために香月とマッドたちが開発した怪しげな機械に突っ込まれ、機械の起動中は確率の霧に戻すために電撃を浴び続ける羽目になった。
この後研究所中の段ボール箱が無くなるまで酷使されることとなる。
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○ 迷宮の迷い子
西暦2023年。
突如として出現したハイヴとBETAによって蹂躙された世界。
日本政府は民間軍事会社”イモータルズ”を組織し、これの対処へと当たらせた。
そんな世界に、彼らはやってきてしまった。
「…あにさま、ここどこ?」
「凄乃皇は横浜だ、って言ってる。全然そうは見えないけど」
日本の半分以上がBETAの手に落ち、それでもイモータルズと国防軍によって何とか抵抗が続けられる中、BETA勢力下の横浜にて戦闘が観測された。
その確認をするため、現地に急行したイモータルズが見たものは。
無数に散らばるBETAの死骸の山、その上に佇む一機の見たこともない戦術機の姿であった。
「そこの戦術機、所属と官姓名を明らかにし、こちらの誘導に従え!応答なき場合は敵性とみなさねばならん、繰り返す、応答せよ!」
『あ、唯依おばさんだ』
『あれ、でも今産休中じゃなかったっけ?』
「おばさん!?産休!?」
現場で多少の混乱があったものの、件の戦術機はイモータルズの指示に従い。
誘導のままに、イモータルズ旗艦デウカリオンへと降りたった。
そして、更なる混乱が振り撒かれる。
「イング・稲郷です。10歳です」
「イルイ・稲郷です。8歳です!」
「こ、子供だと!?」
「こんなガキンチョどもが、BETAどもをぶっ飛ばしたっていうのかよ!?」
「…あんたたち、一体どこから来たの?」
「「あ、嫁ぎ遅れ先生」」
「誰が嫁ぎ遅れよ!?」
「え、でもまりも先生にも先越されて一時期荒れてたし」
「まっどの人たちにもそう言われて揶揄われてたし」
「…まりも?」
「し、知らない、私は何も知らないわよ!?というか結婚!?私が!?いったい誰と!!」
「「教え子」」
「教え子!?」
しばらく混乱が続いたが、何とか立て直して尋問が行われた。
その結果はイモータルズにとって、いやこの世界にとって驚愕の物だった。
「BETAの撃退に成功した世界!?」
「火星まで取り戻したって本当かよ!?しかも90年代にだと!?」
「…可能性としては確かにありえたのだろうけど、まさかその世界の人間と直接対面するとはね。向こうの私は元気かしら?」
「元気だよ、いつも死にかけだけど」
「まっどの人たちが毎日何かやらかすから、その鎮圧と謝罪行脚でいつも走り回ってる。リ○タンがぶ飲みしながら」
「…元気っていうの、それ?」
そして明かされる、子供たちの事情。
「父親が整備中の機体に興味本位で乗り込んだら、突然起動して空間転移が起こった、と」
「父さんほぼ引退状態だけど、これの、凄乃皇・終式の分解整備は父さんじゃないといまだに無理なんだって。迎えはちょっと無理じゃないかな。同一空間じゃなくて並行世界に飛ぶのは父さんもさすがに想定外だと思う。何とか自力で帰らないと。…かえら、ないと」
「…怒ってるよね、ととさま。乗っちゃダメって言ってたのに」
「母さんも今回は止めてくれないよね…あああ帰るの怖いいぃぃぃぃ…」
「典型的な悪いことしたガキどもだな」
「悪事の規模がひどすぎるけどな」
「なんにせよ、彼らが乗っていた戦術機含めて放り出すわけにもいかん、うちで預かるしかないな」
イモータルズ預かりとなった凄乃皇・終式と子供たち。そして凄乃皇を調べて、技術者たちは打ちのめされる。
「光学兵器が標準搭載…?」
「対光学機能もこんなに充実してる…もう重光線級が束で襲ってきても怖くないぞこれ…」
「光学砲と実体剣で武装した遠隔制御兵装?この数を同時コントロール可能な衛士がいるのか?」
「重力衝撃波を光線状にして撃ち出すライフル…?」
「敵味方識別型先制広域攻撃兵器…って何?」
「ブラックホールを生成して撃ち出す!?消滅までコントロール可能!?なんだこのトンデモ武装!!」
「というかなんだこの装甲!スーパーカーボンなんて目じゃない強度の上に自己修復能力持ち!?」
「トロニウムエンジンって何ですか?どうしてプロテクトがかけられたもう一つのモードがあって、そっちは超新星爆発も目じゃなさそうな出力してるんですか…?」
「…何なのこれ?」
「父さん曰く第一世代型恒星間航行決戦兵器。全力を発揮すれば単独で地球をチリにできるって」
「あまりに強すぎて制限かけられちゃったんだよね」
「「「当たり前だこんなバケモノ!?」」」
「でも10分の1程度に性能抑えた量産型が普通にあるのにね」
「「「量産型!?」」」
「高級量産機だから50機もないけど」
「こんなバケモノが、50機…」
「…解析してモノにできそう?」
「肝心なところはブラックボックスとプロテクトだらけですし、リバースエンジニアリングするにしてもウン十年かかりますよ。正直モノにする前に俺たちの寿命がくるか、BETAに滅ぼされてると思います」
「それでも取れるデータは取っておいてちょうだい。一つだけでもモノにできればこの世界も変われるわ。いい方向にね」
そして子供はじっとしていられない。
「僕たちも戦います!」
「全力は出せないけど、6割くらいなら!」
『専務、さすがに子供を戦場に出すのは…!』
「グラビトンライフル、シュート!」
『ええ…要塞級が群れで消し飛んでる…』
『しかもそこで終わらず最後方の重光線級まで吹っ飛んでるぞ…』
『…あれ見てもそう言える?』
『…最低限フォロー要員は張り付けさせてください。どんなに凄くてもまだ子供なんですから』
そうして、彼らとしばらくの間共闘し。
「テオドールさんが骸骨になってない…!?」
「向こうのテオドールさん、いつも骨と皮だけの姿なのに…!」
「何があった向こうの俺!?」
「あ、ユウヤさんだ」
「こっちでも唯依さんと仲がいいんだね」
「お前たちの世界でもそうなのか?」
「「うん、結婚したぐらいだし」」
「ブフウッ!?」
「うわきたねえな!?いきなりどうした唯依!」
「あ、武さんだ」
「やっぱりこっちでもキング・オブ・ハーレムなのかな?」
「待てゐ。なんだその妙な称号は!?」
「「だってお嫁さん30人超えてるのって武さんぐらいだし」」
「何してんだ向こうの俺!?羨ましくもあるが同じぐらい恐ろしい!!」
「「「「「「タケル(ちゃん)(さん)…?」」」」」」
「向こうの俺!向こうの俺の話だから!?」
たびたび混乱を引き起こしながらもついに、帰る時が来た。
「で、何か言うことは?」
「「や、約束破ってごめんなさい…」」
「ま、まあまあお父さん、この子たちのおかげで私たちはすごく助かりましたし」
「危険なことをしたんならなぜそれが危険なのかきちんと教えて、やってはいけないと叱る。親としての務めです。ましてや今回は事前に駄目だといったことをやってこの騒動ですからことさら強く叱らねばなりません。…気が気じゃなかったんだぞ、こっちは」
「はい…」
「もうしません…」
「九郎、もうその辺で。そういう点では九郎も昔やらかしたと聞いてますよ?」
「だから余計に強く言っといたんだよ!何で隣の国に拉致られた俺より酷いやらかしおこしてんだお前ら!?」
「この人もこの人で結構苦労してんだな…」
「あんなバケモノ作れる技術者だったらどこも欲しがるだろ。よくあの年まで五体満足でいられたもんだ」
「どっかで頭に電極ぶっ刺しとかならずにちゃんと結婚して子供までいるもんな。向こうは国際情勢そこまでギスギスしてねぇのかな?」
そして迷子たちは帰っていった。土産を残して。
「余計なイザコザにあんたの子供たちが巻き込まれないよう保護して色々骨を折ったんだし、その分のお代を請求する権利はあるわよねぇ?」
「香月専務、それは…」
「凄乃皇・終式の解析データだけじゃ不満か?どうせ調べたんだろ?」
「ブラックボックスとプロテクトだらけでほぼ解析できないうえにオーバーテクノロジー過ぎて全く役に立たないのよ!!最低でも原子炉が必要な兵器なんて戦術機に乗せられるわけないでしょう!?」
「…しょうがねぇな。戦術機用36ミリレールガンとパッチアーマーの設計図でどうだ。パッチアーマーは初期型Fー4でも装備すれば不知火に匹敵する運動性を得るぞ」
「買った!」
この世界の戦いは、ちょっとだけ楽になった。
ほんのちょっとだけ。
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○ 親も親で大冒険
やっぱりイカなんて使うんじゃなかった。
「勝手に凄乃皇に乗って空間転移した子供たちを追って転移したら、全く知らない場所に出ました、まる」
「誰に向かって言ってるんですか、九郎?」
「第4の壁の向こう側」
冒頭の通りいたずらしてどこかへ行ってしまった子供たちを追ってこっちも空間転移を行ったものの、跳んだ先に子供たちの姿はなく。
地球なのは間違いないものの、地形情報が完全に一致しない。
「座標見た時からまさかとは思ってたが、やっぱり並行世界かよ…目標座標とズレてるから、多分イング達はこことは違う世界に転移したはずだが。ズレた原因は…」
思わず後ろを見る。
サブパイロット席の後ろに増設された、水槽を。
水槽の中で必死に触手を横に振るイカを。
「…百歩譲ってこいつが意図的にやったわけではないにしても、親子の繋がりよりも強い力でこの世界に引っ張られたのは間違いない。原因を特定して解決しなきゃ、この世界からは離れられないだろうな」
「まずは情報収集ですね…ッ九郎!」
「レーダーに感あり、接近する物体。数4…速度とサイズからして、機動兵器か?」
まもなく目視可能になったそれは、確かに機動兵器だった。
もっとも、平和的な接触は無理そうだったが。
(胴体とそこに埋め込まれた頭、背面のトサカに武装と足だけのシンプルな構成、そしてバカみたいにデカいのと一糸乱れぬ動きから恐らく無人機…既視感あるなぁー、今世じゃなくて前世で。
…うん、既視感どころか名前まで覚えてるわ)
「美沙、戦闘準備。無人だから撃ち落していい」
「アレのことを知っているのですか?」
「
そうして俺たちは向かってくる無人機、”オルクスーラ”との戦闘に突入する。
それはそのまま、この世界での戦いに巻き込まれたことも意味していた。
『そこの機動兵器、応答してください。こちらは地球連邦軍所属のドライストレーガー、ドライクロイツ指揮官のミツバ・グレイヴァレー中佐です』
そして無人機をサクッと(美沙が)瞬殺した後、俺たちの前に現れたのは全長が2kmを超える巨艦だった。
…やっぱりかー。ここ、”スパロボ30”の世界だわ。
「九郎、どうしますか?」
「今は彼らについてくのが一番の近道だ。急がば回れ、って奴だがな。
…こちらは地球連邦軍軍事技術開発局、第13研究機関稲郷研究所所属のヒュッケバインMkーⅢ・タイプNTT。搭乗者は美沙・稲郷と九郎・稲郷だ」
『…失礼ですが、稲郷研究所という名前の軍事技術研究所はこの世界には存在しません。あなたたちは恐らく』
「並行世界から来てしまった、だろ?既に認識している。詳しい事情や認識のすり合わせのため、そちらへの乗艦を希望する」
『承知しました』
そうして俺たちはこの世界で戦っていくことになった。
「へー、これが異世界のヒュッケバインかぁ」
「量産型を改造した試験機だがな。しかしこっちのヒュッケバイン、30だったか?メインのブラックホールエンジン見させてもらったが、ちょっといじれば再起動できるぞ。やっちまうか?」
「マジで!?やっちゃおうやっちゃおう!」
「艦長に一言相談してからにしろよ!?何かあったときどうすんだ!!」
時にちょっとはっちゃけ。
「こいつがモコナか…」
「ぷぅ?」
「あの、稲郷さん、でしたっけ。モコナをじっと見つめてどうかしたんですか?」
「いや、そういえば理不尽を押し付けるマスコット枠ってこいつが原初だったなーと」
「ちょっと、モコナのどこが理不尽を押し付けたっていうのよ!?こんなに可愛いのがそんなことするわけないでしょ!!」
(でもいくら地球世界が上手くいかなかったからって、一人の人間に責任も犠牲も全部押し付けて文字通りの”人”柱にするってのは理不尽そのものでしかないと思うんだよな。世界の創造主なら人間作ったのもこいつでそんなのに耐えられるはずがないとわかってたはずだし、やっぱりそのシステムもうまくいかなかったわけだし)
時に○ソみたいな神様と対面し。
「ッ!ッ!」
「な、なんかすごい暴れてませんかそのイカ?」
「僕たちがスーツを装着した途端に暴れ出しましたね」
「気にしなくていいです。ただの厄介オタクなので」
「イカなのにオタク…!?」
時に超人の系譜と出会い。
「稲郷博士!あなたは並行世界で様々な人型兵器を開発した世紀の天才科学者と聞きました!是非お話を聞かせてください!!具体的にはエンジンとか武装とか動力伝達の効率化とか装甲とか通信機能とかスラスターの効率的な配置とかマンマシンインターフェースとかあれとかそれとかこれとかあれもこれもそれもどれも」
「落ち着けエル!勢い強すぎだ!」
「そんな感じで突っ込んでって皆にドン引きされたでしょ!!」
「…エルネスティ・エチェバルリアだったか。その知的好奇心は大変結構、そういう人間は嫌いじゃない。だが何かを得たいならそれ相応の対価が必要だ。
「!!…これはうっかりしていました。では僕からは幻晶騎士の技術を提供します。そのまま使うことはできずとも人工筋肉の開発などに役立つと思いますが」
「分かった。機密もあるから話せる内容は限られるが、それでいいなら技術談議に付き合おうじゃないか。さて、まずは機体のフレームについてだが…」
「なるほど、ではこういう時は…」
「嘘だろ?あの暴走エルをうまく御してやがる…!?」
「むう…私よりエルくん理解してるみたいでなんか面白くない…」
「お?なんだなんだ、なんか面白そうなことしてるじゃないか」
「ああ、なんか楽しそうだ」
「ふむ、興味深いな。僕も混ぜてもらえるかな」
「おーっと!世界十大頭脳たる僕ちんも混ぜてもらおうか!」
「アストナージさん、甲児さん、アムロさん、雷牙博士も!稲郷博士、構いませんか?」
「ああ、俺も彼らとはそういった話をしてみたかった。よろしくお願いします」
「…で、時間も仕事も忘れて会議に夢中になって気が付いたらぶっ倒れていた、と?」
「「「「「「ご、ごめんなさい…」」」」」」
時にはっちゃけすぎてみんなで正座する羽目になり。
『さあ、どちらを選ぶミツバ・グレイヴァレー?地球に迫りくる小惑星、コースを変えればコロニーが犠牲になる。地球か、コロニーか。君はどちらを救う?』
『私は、私の選択は…!』
「艦長、そんな◯ソみたいな選択選ぶ必要ねぇよ。どっちを選んでも結論は一緒だからな」
『稲郷博士!?』
『勝手に割り込まないでもらえるかな?私は彼女に質問を』
「どっちを選んでも犠牲が出ること確定した質問をしてる時点で、てめえらに悪意しかないのは分かり切ってる。この問題に正解はなく、どっちを選んでも難癖付けて”地球人は愚かである”という結論に持っていきたいだけだろう?答えるだけ時間の無駄だ」
『では、君ならこの問題に何と答えるのかね?』
「決まってんだろ。
小惑星に風穴開けて、内側から木っ端みじんにするんだよ!!」
理不尽な選択に正面から抗い。
「なんだこの怪獣は!?メカの作りこみが甘い!!」
「ッ!ッ!」
「ギャー!?何よこのおっさんとイカ!?いきなり現れたと思ったら
「やかましい!こんな出来で正義の巨人に勝てるか!!いいか、こういう時はこうしてこうしてこうするんだ!!」
「グッ!?く、悔しいけどこっちの方がかっこいいし強そう…!で、でも負けない!この子は私の怪獣なんだからぁ!!」
「おーっと!専門はロボットですが創るとなれば黙ってみていられません!僕も混ぜてください!!」
「おお!?なんだなんだ楽しそうなことやってるじゃねぇか!オタク道となればこの蒼斧蛍汰に任せろ!」
「アカネ君の想像力が見たこともないほど高まっていく…!これはすごい怪獣が生まれそうだねぇ…!」
『くっ!なんだこの怪獣!?今までとはケタ違いに強いぞ!!』
『それでも私たちは負けない!行くぞ裕太!!』
「「「「いっけーキンググールギラス!グリッドマンをぶっ飛ばせ―!!」」」」
「ッ!ッ!」
「…で、怪獣の強化に手を貸してしまった、と」
「「「ご、ごめんなさい…」」」
悪堕ちして怒られ。
『なぜだ!?なぜおまえたちにはハーメルンの笛が効かない!!』
『異世界の機体への対策も組み込んだのにそいつらどころか、この世界製の機体ですら一機も操れないなんて!?』
「生憎、何やってくるか分かってればそれへの対処なんていくらでも思いつくもんでな。要は特定の周波数の音をブロックできればいいんだろう?なら常に逆位相の音を流し続けりゃいいだけの話だ」
「そういうシステムが組み込まれていると分かっていれば、対策を打つことぐらい九郎には朝飯前です。私の旦那様を舐めないでください」
『ならば正面から叩き潰してくれる!行きなさい、私のかわいい子供たち!私のために奴らを滅ぼすのです、その身が砕けても!』
「何が可愛い子供だ、使い捨ての奴隷の間違いだろ」
「親が子供に願うのはいつだって一つです!」
「「生きろ、生きて幸せになれ!!」」
「それすら理解できねェアバズレが親を名乗るな!!」
「あなたに母親を名乗られるのはひたすらに不快です。ここで終わりなさい、エヴァ・フォルツォイク!!」
親を名乗るク○女をぶん殴る。
この戦いを乗り越えて、子供たちにもう一度会うために。
俺たちは戦い続ける。
「…」
「…」
「おっかしいな。マジンガーZも真ドラゴンも無人のはずなのに、なぜか稲郷博士をガン見してるぞ」
「博士、心当たりは?」
(おいク○イカ!まさか目ェつけられたんじゃないだろうな!?)
「…」(汗)
(目ェ逸らすな!こっちを見ろ!?)
「イカと見つめ合ってる…」
「でもすごい形相だぞ、そっとしておいた方がいいんじゃないか?」
…でも、帰った後が一番大変かもしれない。
○ ヒュッケバインMkーⅢ・NTT
ヒュッケバインMkーⅢの試験用予備機。新型TーLINKシステムの実験に使われていた機体。NTTはNEW・TーLINK・TESTの頭文字を取ったものである。
従来のTーLINKシステムでは実戦レベルでの運用にパイロットに高い念動力を要求していたが、新型ではより低い念動力レベルでもそん色ない性能を発揮できるよう、念動力の増幅装置が改良されている。
これにより理論上はLv3程度の念動力があればMkーⅢを動かせるようになり、評価試験が行われていた。
これはその評価試験に使われていた機体の一機であり、ツインコンタクトによるより低いレベルの念動力者でも動かせるかの確認のために使われていた機体である。
複座である以外基本性能は実戦配備された通常型とほぼ同等だが、空間転移した凄乃皇・終式を追うため空間転移装置に改造が加えられており、スーパーゼスト(笑)を装置に接続することで並行世界への転移を可能にしている。
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○ 陽光、再び
「プロミネンス計画、ですか?」
「そう、その計画への参加要請リストに君たちの名前が上がっていてね」
元、日本帝国技術廠。現、地球連邦軍軍事技術開発局第12研究機関。
そのオフィスの一角にて、巌谷大佐から俺、ユウヤ・B・篁は呼び出された理由を説明されていた。
「2.5世代機の新開発プロジェクト。そのテストパイロットとして君の名前が挙がっていてね」
「まず、なぜ今更2.5世代機を?今の最優先事項は第5世代機の量産確立と性能向上ですよね?」
この世界における戦術機の世代分けは、ゲシュペンストの登場によって大きく狂った。
第3世代機とされたゲシュペンストと第2世代機との間には、マリアナ海溝よりも深い技術格差と性能差があったからだ。
ゲシュペンストを本当に第3世代機としていいのか、という議論に数年が費やされるほど揉めたほどで、結局ゲシュペンストは第3世代機とされたものの、技術ツリー的には第6世代相当の機体である、というのが技術者たちの認識だ。
そのゲシュペンストの量産型であるMkーⅡ・タイプRとアメリカ製のガーリオンが第3世代機の双璧で、それぞれの改良型であるゲシュペンストMkーⅢとガーリオンⅡ、地球連邦軍としては初の正式量産機に採用されたエルシュナイデが第4世代。
そしてブラックホールエンジンに重力系兵器の搭載、ほぼ単独での空間転移能力を獲得したヒュッケバインMkーⅢが第5世代とされている。
しかしヒュッケバインMkーⅢは性能は折り紙付きながら整備性の悪さや乗り手に先天的な適性を求める点など運用に大きな制限があり、現在はこれらの解消が戦術機研究機関の最優先事項となっている。
ちなみに特機やDGGシリーズは番外扱いである。あらゆる部分が独特過ぎて世代分けなど不可能、という結論が出たらしい。
まあ長々と書いたが、つまるところ軍事的視点において現在の地球では、今更第2世代機の性能向上をする理由がないのだ。
「まあ、今回の計画は多分に政治的な理由が強くてね」
「と、いうと?」
「”アンサラウム王国”へ輸出するモンキーモデルの開発、というのが正しいかな」
…多分、俺はげんなりした顔をしていると思う。だって巌谷大佐が苦笑いしてるから。
アンサラウム王国。
一言で言ってしまえば、バーナード星系からの難民たちのことだ。
俺たちがバーナードと呼んでいた星系には原住の知的生命体、それも俺たちと同じヒューマノイドタイプ(とんでもないことに交配すら可能らしい。稲郷博士は意図的なものを感じる、と言っていたが今のところ真相は闇の中だ)が存在し、統一王朝たるアンサラウム王家のもとで繁栄していた。
しかし彼らの星系にもBETAが襲来。アンサラウム王国の軍事組織であるアンサラウム騎士団が対応するも、BETAの物量の前に敗退。
追い詰められた王国は最後の手段として、以前から移住先として目をつけていた太陽系第3惑星へと生き残りの一部を逃がすことにした。
彼らは60年にわたる苦難の旅を乗り越え、太陽系にたどり着き――
――初めての異星人である、地球人とコンタクトすることとなった。
ここまでであれば、小説や映画、漫画などで見つかるかもしれない展開だ。
…ただ、この後がとにかく酷かった。
詳細は省くが、とにかく彼らはやらかしまくり。
最終的に、連邦軍による武装解除が行われる事態にまで発展。
現在彼らは一切の軍事力を取り上げられ、連邦軍の厳重な監視下で実験用に建造中だったスペースコロニー内で生活している。
民間との接触は禁止。連邦軍内でも彼らに関する情報はかなり制限されている。やらかしの内容すら緘口令が敷かれるくらいに。
…なんで俺が詳しいかって?
帰ってきた稲郷博士の愚痴に付き合わされたからだ。
よっぽど酷かったのか、その日は普段禁止されている酒を思う存分飲みながら愚痴をこぼし続け、俺や親父、巌谷大佐などはそれに付き合わされたのだ。
そんなわけで又聞きの情報しかないが、あの稲郷博士があれだけ愚痴を吐きまくっていた相手にいいイメージが湧くはずもない。
「百歩譲って彼らを戦力化するとして、なぜ今なんです?バーナード星系、いやアンサラウム星系への逆撃をする前にまず太陽系の奪還が先でしょう?」
「機密指定されているため詳細は分からないが、どうも連邦議会はアンサラウム星系の奪還を急ぎたいようなんだ。太陽系の奪還を後回しにしてもね。しかしそのためには、形だけでも彼らアンサラウムの人間が参加しているという大義名分が欲しい」
「でも第3世代機以降の戦術機や軍事技術は提供したくない、というわけですか」
「あれだけやらかした連中に預けるのは不安が過ぎる、ということだね」
その結果がプロミネンス、2.5世代機の開発計画と。
確かに連中も人型機動兵器を有していたが、その性能は第2世代機に毛が生えた程度で、こっちよりも優れている点と言えば見た目のデザインが秀逸(騎士然としていて悔しいがかっこいい)な点と宇宙空間でも運用できる、という点ぐらいだ(その宙間戦闘能力にしたってゲシュペンストに圧倒的に劣る)。
アンサラウム星系奪還作戦が行われるとしたら主力はこっちが務めることになるだろうし、最低限それについてこれる程度の機体を連中に用意する必要がある、ということらしい。
「恐らく本命は第2世代機にパッチアーマーを付けた機体になると思うが、それはそれとして制限された技術の内でどこまで高性能な機体を作れるかの実験も兼ねてる。そうなるとその性能を引き出せるできるだけ優秀なテストパイロットを招聘したい、ということでね」
「それで、自分に?」
「ヒュッケバインMkーⅢのテスターも務める、うちで最も優秀なテストパイロットだからね」
大佐の言葉を聞いて考える。どうしたものか。
腕を見込んで呼ばれた、というのなら悪い気はしない。あえて制限された中でどこまで上を目指せるかというのにも興味はある。
が、プロミネンス計画が行われる場所が問題だ。
「アラスカ、ですか」
「政治的、軍事的な影響の少ない場所で、かつそれなりに設備の整った場所となるとそこしかなかったそうでね。参加する場合は単身赴任、ということになる」
「期間は?」
「旧世代機の改良とはいえ、戦術機の改修だ。それも複数機種のトライアル。どんなに早くても1年以内、ということはないだろう」
困った。これが正式な命令であれば否応なしに行くしかないのだが、今回はあくまで要請だ。受けるかどうかは自分で決めなくてはならない。
平時だったら恐らく受けただろうが、今は時期が悪かった。
「やっぱり心配かい?唯依ちゃんたちが」
「身重の嫁さんたち放り出して単身赴任なんて、そんな無責任なことはできませんよ」
唯依とクリスカがちょうど産休に入ったばかりなのだ。親父やママたちがいるとはいえ、精神的に不安定になるだろう時に仕事で2人の元を離れるというのは、流石に躊躇われた。
「計画が始まるのは2か月後くらいになるからね、それまでに決めてくれればいい。唯依ちゃんたちとよく話し合ってくれ」
「了解しました」
そう言って大佐のオフィスを辞す。まずは今日の仕事をこなさねば。
帰ったら親父たちにも聞いてもらおう。俺一人の問題じゃないからな。
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結論から言えば、当の唯依たちに背中を押されて行くことになった。
「こっちは心配するな、初産ではないんだ」
「大黒柱は大黒柱の仕事をしてこい」
そう言ってアラスカ行きに賛成してくれた。
全く、俺にはもったいないくらいにいい女たちだ。
まあ定期的に帰るようにはするし、毎日連絡も欠かす気はない。
それに一人で行くわけでもない。
「アラスカかぁ。ワクワクするねユウヤ!」
「イーニァ、今からはしゃぐと身が持たねぇぞ」
俺の秘書兼バディとしてイーニァも一緒に行くことになった。
彼女もうちのテストパイロット組でトップクラスの成績持ちだからな。文句は出なかった。
…多分、虫よけの意味もあるんだろうな。
はしゃぐイーニァを窘めたが、新天地で一体どんな機体が待っているのか、俺もワクワクしているのも事実だ。
早く乗ってみたい。存分にぶん回してみたい。俺たちの気分は既に、アラスカまで飛んでいた。
「さて、行くか」
「おー!」
…この時、俺たちは知る
狂暴ケルプに寝込みを襲われたり、北欧美人に揶揄われたり、チョビに毎日突っかかられることになるなんて。
その他の女性陣からも獣じみた視線を向けられるなんて。
男性陣からはタマ(意味深)を狙われるようになるなんて。
俺たちは、知る由もなかったんだ。
○ やらかしの軌跡 一回目、宰相
デスフォートレス「ギャオオオオオッ!!」
アンサラウム宰相「フハハハハハ!このデスフォートレスさえあれば、全宇宙は私の物だ!行けデスフォートレス!虫けらどもを皆殺しに」
ヒュッケバインMkーⅢ・クルーザーモード×36「フルインパクト・キャノン、斉射!」
凄乃皇・終式「ブラックホール・バスターキャノン、デッド・エンド・シュート!!」
デスフォートレス「やっぱギャアアアアアアア!?」
アンサラウム宰相「」
初接触の会合時にて。
アンサラウム王は残していく民に対する責任を取るとしてアンサラウム星系に残ったため、船団に乗っていた王族は王妃と幼い王女のみであった。
そのため実質的な最高権力者は宰相であり、彼は自分が王になる野心をここに来て表面化させ、地球側の大使団との会合中にクーデターを敢行。
ヴァルキュリア級に似た移動要塞デスフォートレスを切り札に地球連邦軍に宣戦を布告した。
しかしデスフォートレスは急行してきた錬鉄戦隊第一戦術機大隊と凄乃皇・終式の一斉砲撃によって瞬殺。
宰相自身はせっかく取れた休暇を台無しにされてイライラしていたターミネーターと元米国大統領にボコボコにされアンサラウム騎士団に引き渡された。
王妃以下アンサラウムのまともな連中は連邦大使団に対し平身低頭平謝りした。
○ やらかしの軌跡 二回目、貴族たち
悪徳貴族「同じヒューマノイドタイプの知的生命体であれば価値観も近いはず。ここは賄賂を送って懐柔を」
連邦大使団「どれもこれも価値はありますが、どうしても欲しいというものではありませんね」
悪徳貴族「な、ならばハニトラだ!行け!向こうの権力者を骨抜きにして言いなりの人形にしてしまうのだ!!」
ハニトラ要員「フフフ、お任せください。は~いお兄さん、私といいことしない❤」
武「え、俺?」
ハニトラ要員「私本当の愛に目覚めました!これからはタケルさまのために生きていきます!!」
悪徳貴族「」
接触して話し合いを重ねる中での一幕。
そもそもとして彼らは難民であり、船に持ち込める価値あるものにも限度があった。
船団内で最も価値あるものはエネルギー源であるG元素だが、自力で製造すらできる地球側にとっては重要ではあっても取引材料にはならず、元々星間戦争も想定していた大使団は覚悟ガンギマリな連中しかおらず、賄賂にも全く靡かなかった。
最後の手段として行われたハニトラも恋愛原子核へと引き寄せられて不発。逆に彼女から企みが露呈し、あえなく彼らは御用となった。
王妃以下まともな連中は土下座してひたすら謝った。
○ やらかしの軌跡 2.5回目、王女様
王女「アンサラウム星系奪還のためには、何としても彼ら地球の民の力が必要。例え私の身を捧げてでも、何としても地球の有力者の協力を取り付けねば…!
そう意気込んで会合に向かう船に密航したまではいいのですが、誰が有力者か分かりません…。
うう、お父様、どうか私に勇気を…!」
青空「子供…?なぜこんなところに、まさか向こうのスパイッ!?」
王女「ヒィッ!?」
九郎「待て青空。いくら何でも子供を使うのは目立ち過ぎるだろ。ここには大人しかいないんだぜ?
…アンサラウム王国の王女様とお見受けしますが、一体どのような用向きでこの船に?」
王女「な、ど、どうしてそう思うのです?」
九郎「地球側の人員にあなたのような少女はいません。身なりもいいですし、会合に使う船に乗れるのは最低でも貴族からでしょう。後は半分カマかけです。さしずめ地球の有力者に協力を取り付けに来た、というところでしょうか?」
王女(ぜ、全部当たっている…)
九郎「その勇気には敬服いたしますが、大事な御身が行方知れずとなれば配下の者たちは気が気ではないでしょう。ここは素直にお帰り下さい。青空、王女様がここにいると向こうに連絡してくれ」
青空「承知しました」
王女「で、でも何の成果もなく帰るわけにはいきません!私は王族です、民たちのためにできることをする義務があるのです!」
九郎「ふむ。では地球の事情を多少お教えいたしましょう。今回はそれを成果としてお帰り下さい。あまり自分の事情を押し付けては、かえって相手への心証を損ねますよ?」
王女「!…わかり、ました。ご配慮、ありがとうございます。…あ、申し訳ありません、まだお名前を聞いておりませんでした」
九郎「九郎・稲郷と申します。この艦隊付きの技術解析官を拝命しております」
何度目かの会合の際の一幕。
この後九郎は王女様にあたりさわりのない程度の地球の情報を教え、アンサラウム側に引き渡した。アンサラウム側はまた謝ろうとしたが、子供のしたことだからと地球側は不問とした。
後で王女は九郎が地球の技術レベルを数百年引き上げた大天才であると知り、曲がりなりにも当初の目的を達成できていたことに驚きすぎて卒倒した。
○ やらかしの軌跡 3回目 アンサラウム騎士団
騎士団長「王女殿下が知己を結んだという男、地球一の科学者だというではないか」
参謀長「こっそり捕まえて奴の頭の中をそっくりいただければ、あんな連中に頼らずとも星系を奪還できるかもしれませんな」
諜報長「この際です。奴らの船も一隻頂いてしまいましょう。我々の船よりも高性能なようですし、人質がいれば奴らも迂闊には攻撃できないでしょう」
王女「正式にお招きいただき、ありがとうございます九郎様」
九郎「前回はそちらの船にお邪魔しましたので、今度はこちらにお迎えする番だった、というだけの話です。まあ王女様としては私との友誼を深める絶好のチャンス、というところなのでしょうが」
王女「ふふ、何でもお見通しなのですね。…私は王族として、民にとって最良の結果を得なくてはなりません。だから九郎様とのお話も、多分に政治を絡めなくてはなりません。個人的には心苦しいのですが…」
九郎「その幼い双肩で、あなたは国民という大きなものを背負おうとしている。ご立派です。その覚悟に敬服し、こちらも多少は譲歩してもいいとマーシャル大使から許可をもらっています」
王女「ッ!それは、本当に…!?」
九郎「とはいえ、こちらにも譲れない一線はあります。まずはこちらの提示できる条件を持ち帰ってもらって…」
騎士団『ヒャッハー!その船ヨコセー!!』
連邦軍『い・い・加・減・に・し・ろ・よ・貴・様・ら(怒)』
九郎・王女「」
シロガネにアンサラウム側の大使団を招いた際の一幕。
大使団が乗ってきた船には騎士団の人間が密航しており、シロガネを鹵獲するために白兵戦を仕掛けてきた。
しかし絶賛不機嫌継続中なターミネーターと厨房まで被害が及びブチ切れた最凶のコック、元斯衛や米国海兵隊、ロシアのスペツナズなどで構成された対人歩兵部隊やレッドショルダーによる猛反撃を受けて短時間で壊滅。
同時に動き出していたアンサラウム騎士団の戦闘艦も、戦闘が許可された連邦軍による全力攻撃によって消滅させられた。
特にアンサラウムの諜報部隊による九郎の拉致が進行していたことがバレてからの連邦軍の怒りは凄まじく、降伏信号を発した船ですらぼろ雑巾になるまで滅多撃ちにされるほどであった。
なお、九郎を拉致しようとした諜報部隊は青空と王女の護衛についていた”まとも”な騎士団員、駆け付けた元大統領と歩兵部隊によって排除された。
騎士団長という軍事組織の最高司令官が画策した言い訳の仕様がない武力作戦にもはや連邦軍は我慢の限界となり、アンサラウム側に武装解除を要求。従わない場合は全力を以て殲滅すると宣言した。
シロガネ奪取作戦で主だった上層部と戦力を失ったアンサラウム騎士団にこれを退ける力はなく、王妃も最悪の事態を避けるために無条件降伏を宣言。アンサラウム王国の船団は地球連邦軍の監視下に入った。
…いっそのことアンサラウムなどいなかったことにするべきだ、などと言う過激な意見も出たが、九郎の
「人のことどうこう言えるほど俺たち立派だったか?」
という意見や、マーシャル全権大使の
「BETAと違って彼らには考える頭と意志と通じる言葉がある。容易く見限って滅ぼすのでは、私たちはBETAと同類になってしまう」
といった説得によって虐殺は免れた。
降伏後、王妃とまともな連中は”どうか自分たちの首で勘弁を”と死に装束と首切り道具を持参で地球側大使団の前に現れたが、九郎の
「てめぇらの首なんぞこっちにとっちゃ一銭の価値もない。それだけの覚悟があるなら4度目がないよう今度こそ手綱しっかり握れ(原文ママ)」
の言葉で首が飛ぶ事態は避けられた。
○ 無双
騎士団員1『くそっ!いったいなんなんだこいつら!?』
騎士団員2『こっちは30機、向こうはたったの2機だぞ!?どうしてこっちが押されるんだ!!』
おっさんズ「「フッハハハハハハハっはァ!どうしたどうしたその程度かァ!このままじゃ勝っちゃうぞォー!!」」
騎士団員3『ヒィッ!?こっちきたァ!?』
騎士団によるシロガネ奪取作戦中の一幕。
クロガネより出撃した右肩を
そのまま艦隊戦の中に飛び込み、戦闘艦3隻を沈める大戦果を挙げている。
…なお、帰還後に戦隊指令直々に
「艦隊砲撃戦のど真ん中に突っ込む奴があるか!!」
と叱責され、一か月のトイレ掃除を言い渡された。
○ 急ぐ理由
九郎「…王女殿下。その首元のブローチ、手に取って拝見しても?」
王女「あ、はい、かまいませんが。…あの、お父様の形見なので、丁寧に扱っていただけると…」
九郎「承知いたしました。…この中央の緑の宝石、これはどこから手に入れたもので?」
王女「それですか?故郷で採掘されていたものです。このサイズの物はめったに出ませんので、王家に献上されたのですが」
九郎「…そうですか」
マーシャル「…間違いないのかね?」
九郎「手に取って確認したんだ、間違いない。王女様のブローチに使われている宝石は、トロニウムだ」
マーシャル「…由々しき事態だな。つまりアンサラウム星系ではトロニウムを採掘できるということか」
九郎「向こうはそういう使い方ができると知らないみたいだが、時間の問題だろう。それより問題なのは、そのアンサラウム星系が現在BETAの手に落ちているということだ」
マーシャル「最悪の場合、トロニウムで武装したBETAと戦うことになると?」
九郎「バグってない本来のBETAならありえないだろうが、バグってた場合は十分あり得る。そして現状俺たちにそれを確かめるすべはない」
マーシャル「SSS後期型の開発、急いでもらわねばならなくなったな」
アンサラウム王国船団を連れて地球に向かう途中の一幕。
この後連邦議会と連邦軍上層部のみにこの情報は開示され、アンサラウム星系奪還が急がれる理由となった。
ちなみに王女の持っていたブローチのトロニウムは、トロニウムエンジンを5機は作れるほどの大きさである。
次話は明日投稿予定です。