MUV-LUV大戦   作:土井中32

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ひゃ~く万回、ひゃ~く万回!

閲覧回数百万回ですよ皆さんありがとうございます!
残業したり映画館行ったりグレンダイザー見逃したり核バズとミサイルとメイス背負ってガンプラしばき倒したりしててめっちゃ時間かかりましたが、百万回記念で5話連続投稿です!

ちょっと早いですがクリスマスプレゼントを食らえ!
…すっかり季節外れな話ですが。



EX3 オーバーヒート

 

 

この世界において、人類はBETAに勝利した。

しかしその代償は決して少なくはなかった。

 

度重なる核兵器・劣化ウラン弾の使用、BETAによる資源回収活動による地形の変化。特に最終決戦においてはヒマラヤ山脈が消し飛ぶなど、環境への影響は計り知れないものがあった。

放射線汚染についてはゾイドシリーズを投入することである程度解決のめどは立ったものの、地形の変化はどうしようもなく。

特に真っ平らになったヒマラヤ山脈の影響は、世界中に波及することが確実視されていた。

 

 

------------------------------

 

 

夏である。

ヒマラヤが消し飛んだことで日本の四季などにも影響があるのではと言われていたが、とりあえず夏が暑いことに変わりはないようだ。

…午前中から30℃を超えてきてるのはやばいどころの話ではないが。気温ではなく室温が、という部分が。

 

「…ねぇ、聞いてもいいかい?」

「なんだよ?」

「なんでエアコン点けないんだい?」

 

うちに来るまではびしっと決めていたスーツをYシャツとパンツ一丁になるまで着崩し、うちわで必死に涼を取りながらハイネマンが問いかけてきた。

恥も外聞もない格好だが、現在我が家の室温は35℃を超えてなお上昇中。家中の窓に扉を開けっぱなしにしてなおこの有様である。

この状況でクソ真面目にスーツ着てたらそいつは自殺志願者だ。恐らくM気質の。

かくいう俺もTシャツ一枚に短パン一枚だけという、客を迎えるような恰好ではない。

確かにハイネマンの言う通り、エアコンをつければ解決するはずの問題なのだが、現状それは無理である。

その理由を、俺は無言で指差した。

 

 

真ん中から凹んでひしゃげている、エアコンの室外機を。

 

 

「…何したら金属の塊がああなるんだい?」

「イング、息子がチャンバラごっこで木刀振り回してな、間違ってブッ叩いてあの有様だ」

「子供の膂力で普通ああはならないだろう」

「息子に剣を教えてるのは俺のじいちゃんで、ゼンガー・ゾンボルトの師匠だぞ?あの二人だったら木刀でも真っ二つにしてただろうから、まだまだ未熟なんだなと俺は思ったけど」

「比較対象がおかしいことに気づいたらどうだい?」

 

多少の損傷なら自分で直すんだが、流石にあれは無理だ。

電気屋に頼んで交換することになったが、どんなに急いでも明日になると言われてしまった。

向こうは最優先で対応しようとしてくれたが、今の俺は(一応は)一般人である以上、特別扱いはこちらから丁重に断った。

一日ぐらい何とかなるだろう、という見通しは甘かったと反省しているが。

なお罰としてイングは今月お小遣い無し、3時のおやつも没収である。

めっちゃ泣いてたがやったことがやったことなので叱らざるを得ない。

 

「いや、電気屋に頼まなくても地下の研究所から一つ借りればいいだろう?それか研究所に避難するとか。流石にこんな状況で律義に研究所に入らない約束を守ることもないだろう」

 

確かに地下にある関係上、研究所の空調はテロ対策の意味もあって複数系統が存在し、この炎天下でも快適な環境を約束してくれる。

 

いつもなら。

 

「間の悪いことに、今日は空調の一斉点検の日でな。動いてるエアコンなんて今日ここには一つもないのさ」

 

なので今日は研究所も夏真っ盛りである。

地下に詰めてる連中もこんな日ぐらい休めばいいものを、”マッド死せども研究は止めぬ”とかほざいてうーうー唸りながら研究にいそしんでいる。

おかげで休む気満々だった香月も研究所に詰めざるを得ず。今頃所長室でふて寝でもしてるのではないだろうか。この暑さで寝れるかは知らんが。

 

「つーわけで、今この家で涼を取る方法は二つしかない。風を起こすか、冷たいものを口に突っ込むか」

「間の悪い時に来てしまったものだね」

 

事前に連絡よこせばいいものを、毎回突然来やがるからな。

ちなみに昔取り決められた俺とハイネマンの接触禁止令はいまだに解除されていない。つまり今こいつがここにいるのは普通に違法である。

恐らくあらゆる方法で誤魔化してここに来てるのだろうが、今までの経験からすると今回はあと数時間で強面のスキンヘッドどもがこいつを回収しに来るのではないだろうか。

…個人的には彼との技術談議は楽しいので、バレない程度にごまかしに力を貸しているのは内緒である。

 

「つーか、嫁さん放っておいていいのか?ここに来てる暇があるならそっちをかまわなきゃダメだろ」

「その嫁に送り出されて来てるものでね。

 

”戦術機の鬼であるあなたに惚れたのです。私ごときを優先するぐらいなら己の開発欲を存分に満たしてください。その邪魔となる雑事はすべて私が排除して見せます。

あ、たまにでいいので私の相手もしてくださいね。あなたがキラキラした目で構想を語る姿はとても可愛くていつまでも聞いていたいので”

 

と、言われてね」

「割れ鍋に綴じ蓋、いや似た者同士か?」

 

半分以上惚気だよな、これ。麦茶がなぜか甘く感じる。

ひょっとすると俺と美沙もはたから見るとこんな感じなんだろうか。

 

しかし今日はとにかく暑い。おかげでいつもは部屋の温度が上がるほどに白熱する議論もまるで勢いがない。

暑くじゃなくて熱くなりたいのだが、この環境ではちょっと無理そうだ。

 

「あー、冷たい飲み物程度じゃだめだな、確かアイスがあったはずだが」

「僕の分も頼むよ、流石にこの暑さは堪える」

 

麦茶を飲み干してしまったので、冷凍庫の中を漁るため杖を手に立ち上がる。ハイネマンに漁らせるわけにはいかんしな。

ちなみに美沙と子供たちは一条の実家に避難させた。今頃着せ替え人形にされて目が死んでるかもしれないが、この暑さの中にいさせるよりはマシだろう。

俺も一緒に行くつもりだったが、出掛ける寸前でハイネマンが来てしまったので残って対応することにした。

腐ってもアメリカ最高の頭脳だからな、粗略に扱うと本人はともかく要らん外野が騒ぎかねない。

 

「しかし暇そうだね。MkーⅡ量産の件で多少なりとも忙しくしてるかもと思っていたんだけど」

「MkーⅢならともかく、いまさらMkーⅡのことで俺が噛まなきゃならんことなんてないからな。製造ラインどうするかでお偉いさんたちは頭抱えてるらしいが。かくいうそっちも”ランドリオン”の大口契約決まったって聞いたが」

「個人的にはあれを戦術機とは言いたくないんだけどね。どうやら向こうのニーズとかみ合ってしまったらしい」

「しかし世の中何が起こるか分からんな。まさか地球製の兵器が宇宙でベストセラーになるとは」

「AFMM同盟が接触して来た時は、誰もが地球最後の日かもしれない、って覚悟したぐらいなのにね」

 

AFMM同盟。

 

アンサラウム関連のあれこれがようやく落ち着いてきたころにやってきた彼らを、地球連邦は万全の態勢で迎えた。

 

展開できる戦力の8割を投入する、という厳戒態勢で。

 

まあこれはしょうがない。前回(アンサラウム)前々回(BETA)を考慮すれば、三度目の正直(平和的な接触)より、二度あることは三度ある(喧嘩売りに来た)に傾くのはどうしようもない。

しかも今度の連中はどんなに甘く、低く見積もっても科学力はこちらと同等、勢力は1対100どころではない開きがある。

先制攻撃できなければ勝ちの目すら生まれない、というのが上層部の共通認識だった。

正直全権大使をまたマーシャル元大統領が務めていて、会談の場に武装した対人部隊が同席するのを同盟側が許可しなければ(よく許可が出たものである。ほとんど喧嘩売ってるのと変わらないというのに)、焦れて暴発する奴が出ていたかもしれない。それぐらいの緊張状態に連邦軍は置かれていた。

 

しかし殺気立つ連邦軍とは裏腹に彼らは非常に紳士的で、嘲りも見下しもなく対等の立場としてこちらに接してきた。

そして彼らの目的は非常にシンプルだった。

 

「言い値で構わないし資材もこちらで用意する。だから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球製の兵器を売ってくれ!特にゾイドシリーズを!!

 

 

 

…翻訳機の故障を疑って三回バラして組み直したぐらいには、ちょっと信じられない目的だった。

 

「まさか宇宙の果てからやってきた目的が、武器の買い付けとはな」

「文明も科学力も上回る連中が今更格下の武器を欲しがるとか、流石に予想できるわけがないよ」

「しかも無人機のAIに関しちゃこっちの方が進んでるとか、予想外にも程があるし。話聞いたら納得したけど」

「BETAという特大の失敗例のせいで無人機の研究・製造ができなくなって、それが結構長期になったせいでロステク化したってのはまあ分からなくもない話だね」

 

そのため彼らが使っている無人機は案山子の方がまだ役に立つ、というありさまで。

ゾイドシリーズのことを知った彼らが飛びつくのもそりゃそうなるよな、という話である。

 

「まあ有人兵器まで高く買ってくれるとは思わなかったけど。廃棄予定だったゲシュペンストMk-Ⅱ、新品とほぼ変わらない値段で売れたそうだね?」

「耐用年数はまだまだ余ってたけど、MkーⅢやエルシュナイデへの更新で行き場がなくなった奴がな。是非にと言われて中隊規模をオプション付きで売り払ったら、一週間もしないうちにどでかい大口契約の申し出が来た。大口すぎて最初冗談だと思ったけどな」

 

AFMM同盟の大使から告げられた言葉は

 

「10”億”機欲しい」

 

だったそうで、思わず「桁か単位を間違えてませんか」と聞き返したらしいからな、担当者。

間違いないと言われたうえ、完全にマジの目だったらしいが。

 

…ちなみに、ゾイドシリーズの発注数は桁が更に8つほど上である。

連邦側で必要とする最低限の数は確保しているが、それ以外は同盟が全て買い上げている。

1機でも多く確保するためなら相場の3倍ぐらい平気で支払ってるんだとか。

 

閑話休題。

 

「向こうにとっては必要十分な性能を備えていて、なおかつリーズナブルな値段だったらしい。要はコスパのいい兵器だった、てことだな」

 

高性能な兵器と言うだけなら他にいくらでも候補があるものの、コストパフォーマンスで選ぶとゲシュペンストに敵う機体はないらしい。

しかも試験運用した現場からは「もっとくれ!!」の一言だったらしく。

 

「欲しい機能が大体揃っているうえにクッソ頑丈で長期間の戦闘にも耐えられて設計的余裕まであるから現地改修も容易とか、こんなに痒い所に手が届く機体は初めてだ!」

 

と、現場からの評価はとんでもなく高かった。

当然これだけべた褒めであれば他の兵器もどうなのか、と色々購入して試し、そちらの評価も高かったそうだ。

そして試験を請け負った連中が他の部隊にもゲシュペンストや地球製兵器の素晴らしさを吹聴した結果、周りの部隊も欲しい欲しいと大合唱になってしまったんだとか。

 

思ってもみない超大口契約は経済界を大賑わいさせている。

逆に連邦財務部は頭抱えているが。

 

「10億機も作るための生産ラインなんて今の地球圏にはないからな。資材と金は向こうが提供してくれるが、生産ラインの増設はこっちでやらなきゃならん。工場用地と人員の確保、資材の搬入・製品の搬出経路の確立、それら全てにかかる予算の算出と予算案を連邦議会にかけるための根回し。それら全部にまつわる書類作業をゾイドシリーズの分もやるわけだ。

…財務部の入ってるビルは書類で埋まってるだろうな」

「この間のオリンドッグ、財務部側がとんでもない大暴れしてたのはそれが原因か」

「なまじ種目がアメフトだったのもよくなかったな。ボールごと殴る蹴るで得点取る気絶対ないってまる分かりだったし」

 

海兵隊式で鍛えられちゃったせいで悪夢を生み出したどこぞのアメフト部張りに酷い有様だったからな。

結局財務部のあまりの暴れっぷりに相手が恐れおののいて棄権したから勝ったが、連中うっぷん晴らしに暴れられるなら勝ち負けなんかどうでもよくなっているのではないだろうか。

いっその事”こちらの生産能力を遥かに超えてるので無理”と突っぱねられれば良かったのだが、同盟に加入した以上は協力する必要があるし、借りも作ってしまっているしな。

 

「アンサラウム星系の奪還、主力を務めてもらったからなぁ」

「おかげでこっちは錬鉄戦隊を出すだけで済んだけど、向こうも苦しい台所事情で戦力を捻り出してもらった手前、向こうからのお願いは断りづらいよねぇ」

 

トロニウムの情報共有したからでもあるんだろうが、かなり骨を折ってくれたのも事実だ。

その代わりと言われれば、できる限り応える義務がある。

…なお、アンサラウム王国はトロニウムに関する権利の一切を放棄している。

王女様から聞いた話では”持っていても絶対ろくなことにならない”という意見で上層部の考えが一致し、ゾイドシリーズの納入と引き換え(なお、アンサラウム星系にいるゾイドシリーズの指揮権は地球連邦軍に帰順している。ここは地球側が絶対に譲らなかった)に権利を手放したのだ。

現在は軍事関係の一切を地球連邦とAFMM同盟に丸投げし、星系と王国の復興に勤しんでいる。

 

「えーと、確かここら辺に…て、これしかないのか…」

 

そんな雑談をしつつ、漁っていた冷凍庫でお目当ての物を見つけた。

…あることにはあったが、これをハイネマンに食わせていいものか…?

先に注意しとけばいいか。

 

「ハイネマン、先に言っとくが絶対噛み砕こうとするなよ。危ないから」

「口に入れるもので絶対に飛び出してはならないワードが飛び出したね!?」

 

でも実際危ないしなぁ。毎年けが人が出てるぐらいだし。

とにかくその危険物を渡すことにした。注意事項守る分にはただのアイスだし。

 

 

「なんだいこれ?あず、きバー?」

 

 

井○屋が販売している小豆味のアイス、あずきバー。

別名、”世界最強”のアイスである。

 

口に入れるものに絶対つきそうにない別名だが、こいつに関してはこの呼び名がしっくりくる。なぜか。

 

「毎年それを噛み砕こうとして歯を折られる奴が出てる」

「人が食べられるものでできてるのかいこれ?金属とかカーボンとかでできた偽物じゃなくて?」

 

食べ物ではある。一応は。

作り方がアレだが。

 

「パイクリートをかみ砕ける奴なんてそうそういないだろ?」

「なんで氷山空母が食べ物として売られてるんだいこの国?」

 

氷山空母。

 

イギリスが第二次大戦中に計画した文字通り氷でできた空母である。

水におがくずや紙を混ぜて凍らせたもの、パイクリートを主原料としており、氷でありながらライフル弾にも耐える高強度と不純物が混ざったことによる低融解性、なにより損傷しても水ぶっかけて凍らせるだけで直せるというお手軽さで割と真面目に検討されていたらしい。

当然のことながら原料が水なのでクッソ重くて動かし辛い・融けにくいとはいえ氷なので、どうやって氷点下の状態を維持するのか、それに必要なエネルギーの確保は、など問題点も多く。結局予算不足もあり企画倒れに終わった話である。

 

で、なぜかあずきバーの作り方はこのパイクリートとほぼ同じであり、アイスにあるまじき硬さを有している理由でもある。

瞬間的になら宝石を上回る硬さを発揮し、一説には戦車砲の直撃にも耐えられるとか。

なのに井○屋は何が不満なのか、更なる硬さを求めて現在も試行錯誤を繰り返し。

年々その硬さは増しているらしい。これ以上硬くしてどうするつもりなのか。既に鈍器として成立する硬さなのだが。

試しに軽く齧ってみたが歯型すらつかない。しばらくは舐めて柔らかくなるのを待つか。

いやーしかし硬い。間違っても食べ物の硬さじゃないわこれ。いっそのこと何か別の物に応用――

 

「――なあ、ハイネマン」

「どうかしたかい?」

 

多分その時。

俺たちは暑さにやられて、絶対に正気じゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あずきバー(これ)で戦術機創ってみない?」

「…いいねそれ」

 

 

------------------------------

 

 

「ハッ!?九郎がはっちゃけて暴走を始めた気がします!!」

「ん~やっぱり美沙は美人だから何着せても似合うわねやっぱり夏だし次はこれなんてどうかしら!!」

「子供がいる場所でなんてもの出してるんですかお義母さま!?」

「お母さん、このヒモみたいなの何?」

「イルイ!?え、ええとそれは…投石器、そう投石器です!」

「お着替えに投石器???」

「おばあちゃん、もうこの服脱いでいいよね…?」

「あらあら何言ってるのイングこの後アルバム用に写真撮るんだからまだ脱いじゃ駄目よそれによく似合ってるじゃないそのゴスロリもうずっとこっち系の服着ててもいいんじゃないかしら!!」

「僕男の子だよ!?」

「…」

「…」

「かぐやもつばきも無言で鼻血垂らしながら写真撮ってないでおばあちゃん止めるの手伝ってよォ!?」

「というか青空達はどこ行ったんです!?さっきまで確かにいたはずなのに!」

「青空叔母さ…姉さま達ならさっきみんなで出掛けたよ?」

「逃・げ・ま・し・た・ね!?」

(すまん姉様、イングにイルイも。私たちはもう疲れたんだ。せめて今日ぐらいは休ませてくれ…!)

 

 

------------------------------

 

 

一度決まれば後はとんとん拍子に進んだ。

二人で研究所に侵入し、マッドどもを説得(洗脳)して人員を確保。

連中暑さで余計におかしくなってたから、割と簡単だった。

 

爆睡していた香月(強化服と装甲兜を着ることで快適な状態作り出して寝てた。もっとよく眠れるように睡眠ガスを注入して、外界からの情報を完全に遮断しておいた)からIDカードを拝借し、セキュリティを掌握。

上手く警備員たちを誘導して一か所に閉じ込め、その隙に開発に取り掛かった。

 

「試したいのはどこまであずきバーで代替できるかだから、駆動系やフレームは既存の物で代用するか」

「ちょうどよくバラされてる撃震あるな。廃棄予定の機体?ますますちょうどいい、こいつを使わせてもらおう」

 

「博士、井○屋からあずきバーの板が届きました」

「早ェな。さっきの今だぞ?」

「電話したら”なにそれ面白そう。ぜひ手伝わせてください!”と二つ返事でしたからね。あ、請求書どうします?」

「香月ンとこに置いとけ。書類に混ぜときゃ気づかずハンコ押すだろ」

 

「やはり最大のネックはどうやって凍結状態を維持するかだね。機体の周囲を零度以下に留められればいいんだが、そんな都合のいい方法は…」

「なんだ、簡単なことじゃねェか。分子運動に干渉して止めちまえばいい

「何言ってるんです稲郷博士?」

「そうか、その手があったか!僕としたことがそんなことにも気づかないとは!」

「あなたも何言ってるんですハイネマン博士?」

「つまりここをこうしてこうやって…」

「いや、ここはこうした方がもっと効率が…」

「お~い、聞いてますか~?」

「聞こえるわけねェだろ、元俺たちのボスとそれについていける人だぞ?」

「…それもそうか」

 

「どうせだ、武器もあずきバーにしちまおう」

「いいねそれ、摩耗や破損しても凍らせて砥ぐだけで元通りだ」

「つーわけで氷を瞬時に砥ぐ方法検討してくれ」

「俺たち刀専門だぞ!砥ぎ師を何だと思ってんだ!?」

「なんだ普段”俺たちに砥げないものはねぇ”とか言ってるくせにできないのか?がっかりだなー」

 

 

ブチィッ

 

 

「上等だこらァ!やってやろうじゃねえか!!」

「よし釣れたぞ」

「なんて単純な…」

「職人なんてそんなもんだ。ちょっとプライド傷つければすぐ本気になる」

「手慣れてるあたりしょっちゅうやってたね君?」

「おかげでゲシュペンストの初期開発捗ったわー。捗りすぎてソフトの方が追い付かなかったぐらいだし」

 

「装甲代わりのあずきバーの板、表面磨いてピカピカにしちまおう!レーザーも撥ね返す鏡面装甲だ!」

「それだけじゃ面白くない、分子運動停止装置の効果範囲を広げて周囲を凍結できるようにしよう!範囲凍結攻撃だ!」

「のぼり立てようぜ!目立ってる方が敵が寄ってきて範囲攻撃に巻き込みやすい!」

「スピーカーもつけちゃおう!大音量で音楽流せば注目されて挑発もできて一石二鳥だ!」

「「アアアア楽しくなってきたーーーーーっ!!!」」

 

 

 

…なお、俺たちが正気に戻ったのは、セキュリティを取り戻した警備員達(換気ダクトを通って所長室まで行き、香月を叩き起こしたらしい)によって鎮圧され、氷水に放り込まれて頭が冷えた時だった。

 

時すでに遅し、だったが。

 

 

------------------------------

 

 

今日も今日とて厳しい暑さに襲われている帝都。

しかし道行く人たちの顔に、暑さによる疲労の色は少ない。

 

彼らには、強い味方がいるからだ。

 

『皆様、お気を付けください。

戦術機が通ります。

危険ですのでどなたさまも距離を取り、近づかないようお願い申し上げます』

 

そんなアナウンスとともに、一機の戦術機が帝都を練り歩く。

撃震ベースの機体でありながら小豆色に輝くその機体は、周囲に冷気と風を生みだし帝都の酷暑から臣民を守っていた。

時折街頭やロータリーなどで立ち止まり、背中のコンテナを降ろしてアイスの販売も行うその機体を、帝都の者たちは親しみを込めてこう呼んでいた。

 

 

あずき大名、と。

 

 





ハイネマン「ところで暴走してるとき、”そうか、そういうことだったのか…!ゲッター線とは、光子力とは…!”とか言ってたけど、いったい何のことだい?」
九郎「」

正気度チェックに失敗して九郎は3日寝込んだ。
更にもう1日美沙とイチャイチャしてようやく正気に戻った。


○ 撃震・冷式

九郎とハイネマンが暑さに頭をやられた果てに作り出した撃震の改造機。
外観的には全体的に小豆色に光り輝いていること、頭部がツインアイに変更されていること以外に大きな変化はない。
しかしフレームや油圧系など稼働に必要な最低限の部分以外、全てがあずきバーに置換されているという、この先この機体以外現れないであろう唯一無二の(本当に食えるかどうかは別として)”食べられる戦術機”という狂気の機体である。
存在から開発理由まで何もかもがふざけているが、見た目に反してその防御力は高く、あずきバーで作られた装甲は至近距離からの120ミリ徹甲弾にも耐える強度がある。またその表面は丁寧に磨かれており、レーザーを跳ね返せるほどに光の反射率が高い。

本機は装甲を溶かさないために”分子運動停止装置”なるものを搭載している。
これは周囲の分子運動に干渉して停止させるという名前そのままの装置で、この装置の影響圏内にあるものは分子運動が徐々に鈍くなり、長時間影響範囲にいると結果として分子運動を停止=絶対零度まで強制的に冷やされてしまう。
この装置によって冷式の装甲は炎天下の外気中でも常に氷点下の状態を保っている。
またこの装置は影響範囲の調整が可能で、攻勢利用すれば半径数百メートルを絶対零度に凍てつかせることも可能。

武装は汎用兵装のほか、専用武装として冷式斬機刀を装備。
冷式斬機刀は一言でいえば、刀の形をした巨大なあずきバーである。

しかし見た目に反してその切れ味は抜群で、しかも刃こぼれしても水をかけて鞘に納めれば(鞘内部にある砥ぎ機によって砥ぎ直され)元通りの切れ味を取り戻す、極めて継戦能力の高い装備である。

総じておもちゃか何かのような外見の割に戦闘能力は高く、連邦軍でも一時期採用の可能性を模索されたものの。

・機体のキモである”分子運動停止装置”が、天才二人が熱暴走中に考えついて即興で作った物であり、開発中の資料がほとんど残っておらずまた作った本人たちですらどうやって作ったのか覚えていない、つまり再現性がない。

・”分子運動停止装置”が故障すればただのあずきバーの塊になり下がり、また装置を常に稼働させ続けるか、巨大な冷凍庫に保管する必要があるなどランニングコストが凄まじく跳ね上がる。

といった理由から断念された。
現在は稲郷研究所にてリバースエンジニアリングを模索されつつ、猛暑日には周囲の分子運動を鈍くさせる=気温の局所的変化による風を生みだしながら帝都内を練り歩いて暑さを和らげるとともに、のぼりと共に背中に背負った補給コンテナに入っているアイスを売って井○屋の売り上げに貢献(ほかのメーカーのアイスも入っているが、なぜかあずきバーばかり売れる)している。

なお、帝都民からは”あずき大名”とばかり呼ばれ、正式名称を知っている者は極めて少なかったりする。


SEED劇場版特別編見てきました。
何度見てもやっぱり面白いですね。
でも何度も視聴して余裕が出たのか、ブラックナイツを見て思ったことが一つ。

(一応ネタバレ注意)































こいつら、袋叩きしかしてないな?

無人機、あるいは一般兵士による物量戦により相手を釘付けにし、対処能力が飽和したところを見計らって奇襲、少しづつ確実に戦闘力を奪い、どうやっても逆転できなくなるまで前には立たない。

…弱い奴が強い相手を倒すための戦術だよね、これ?
それだけの物量を用意したファウンデーションが凄いのであって、これで勝ったとしてアコードの方が優秀ってなるか?タイマンじゃ勝てないって自分たちで言ってるようなもんだぞ?

コンパスの戦闘力を評価し油断してないとも取れますが、言動考えると明らかに見下してるしなぁ…。
実際、物量が意味をなさなくなるとあっさり負けてますし。
タオとシュラはキラとストフリ追い詰めてますが、それは後方からの砲撃支援ありきという感じですし、そもそも2対1だし。
でもシュラをアスランが受け持って、マイフリの傲慢サンダーとデコビームで砲撃支援途絶えたらあっという間に負けてます。
シンとデスティニーに至っては4対1でむしろボコってるし。
ブラックナイツ側は機体は最新型で乗ってる奴もカタログスペックは上、おまけにお互いの心を読んで完璧なコンビネーションが可能。
これでいくら脊髄反射ゆえに心が読めないという相性の悪さがあるとはいえ、スペック上は劣っているシンとデスティニーを性能差でごり押しすらできないとか…。
挙句の果てにルナマリアとインパルスへのデュートリオン照射まで許して――

――ち ょ っ と 待 て。

デュートリオンビームはあくまでエネルギーの送受信システムで、インパルスに供給されたエネルギーはデスティニーからの持ち出し。
逆説的にシンとデスティニーはそれだけの余裕をもってブラックナイツと戦っていたわけで。
…つまりあいつら、インパルスを満タンにできるほどのエネルギー的余裕すら奪えなかったのか?これだけ有利な条件を積んでおきながら?
ほんとにこいつらコーディネーターより優秀なのか?

唯一タイマンでアスランと互角に渡り合ってたシュラは流石アコードと言いたいですが、こいつはこいつでなあ…。
”勝つことこそが俺の存在意義だ!”とか言ってる割にはアスランの奇策に引っかかったときに”神聖な戦いの場において”とか”卑怯者めが!”って、心を読むなんて特大のイカサマしてるお前が言うのかと。勝つために何でもするってんなら、相手だって何でもしてくるに決まってんだろって話で。
そもそも奇策に引っかかったこと自体、読心に重きを置いてることの証左だしなあ。1度引っかかった時点で対策されてるとわかるはずだし、そこで読心に頼る比率を下げれば2度目に対応できたかもしれないのに(まあここは相手から冷静さを奪ったアスランの作戦勝ちなんでしょうが)。
最終的に右腕を囮にしたことに気づけずトサカの一撃でやられるという、またもフェイントに引っかかって負けてますし(インジャ出現時に使えるサーベル全見せしてますが、唯一トサカだけは見せてない。最初からこれが切り札になると見越して隠してた可能性が高いかと)。

…何というか、初見殺しに特化した連中だったんだなあ。
敵は全て出会いがしらに確実に殺せていたから、生き延びられて対策される可能性に全く目を向けていなかった。
だからコンパスと2度目の戦闘になったとき、物量作戦ができなくなっただけで追い詰められてしまった。
ましてやキラ達はそういった自分たちが不利な状況を何度も経験してますから、格上相手に粘って一瞬のスキを突く、というのはある意味十八番。
しかも2戦目だから相手に関する情報もほぼ丸裸に近くて、これで初見殺ししかしたことない連中が勝てるわけもない、か。
本来ならスペック差でごり押しするはずが、思ったほどに開きがないのと実戦経験の差がそれを埋めてしまったんだろうなぁ。
初見殺しで格下いびってたんじゃそりゃ経験詰めるわけねェもんなあ…。
全員言動が幼いし、タオ君なんか終盤の言動が支離滅裂だし(欲しいといった相手を殺そうとして、傲慢な女だと貶し、しかし直後にあなたが欲しいと言う)。

…結論!何もかもアウラが悪い!


あ、次話は明日投稿予定です。

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