MUV-LUV大戦   作:土井中32

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お待たせしました(いろんな意味で)


16話 現れる亡霊

 

 

旧ポーランド領、グダンスク湾に浮かぶ艦船より、多数の戦術機が出撃する。

それに合わせて支援砲撃が行われ、湾岸に展開するBETAを掃討。

確保された場所から、地上部隊が展開していく。

大規模なBETA群の左右に展開し、徹底した十字砲火によって包囲したBETAをせん滅する戦術、アクティブディフェンス。

 

艦船群からのAL弾により重金属雲も規定範囲内に保たれ、光線級もその力を発揮できていない。

せん滅されるのも時間の問題だろう。”東側の出番なく”。

 

待機する666中隊員の顔色はよくない。

先ほどなどこちらに向かってきたBETA群を、上を飛び越えて向かったF-14がフェニックスミサイルで薙ぎ払うなど、明らかにこちらを”いないもの”として扱うような行動に出ているのだ。

面白いはずもない。

 

そんな中、テオドールだけが顔色を変えることなく、戦況マップを凝視していた。

(予想外のこと。この戦術において想定していないこと、それは何だ……?)

 

アッシュの”予言”を成立させないために、いったい何ができるのか。

戦況マップから、それを読み解こうとしていた。

 

しかし、その前に事態が急転する。

 

『ポーランド内陸部より、新たなBETA梯団を確認!数、に、2万以上!?』

『不味い!奴らの進路上には欧州連合軍の先鋒がいる!鼻っ面を抑えられるぞ!?』

「そうか、これか!」

 

アクティブディフェンスの弱点。

包囲殲滅戦術のため、”その外側からの攻撃を想定していない”ことだ。

少々の数ならなんとかできるだろう。

だがBETAにとってはその潤沢な数こそが強みなのだ。

通常愚策とされる戦力の逐次投入も、BETAが行えば死の津波と化す。

 

このままでは内側と外側からの逆包囲により、こちらがせん滅されてしまう。

少しでも数を減らすため、砲撃部隊が攻撃を開始するが――

 

『砲撃、光線級の迎撃により効果ありません!』

『艦艇群の射程外のため、AL弾による重金属雲を展開できません!』

『大規模増援群に含まれる光線級の数、推定200以上!?』

 

――大半が撃ち落とされ、効果を発揮しない。

 

「BETAを嘗めている、か」

 

アッシュが言っていたことだ。

確かにその通りだった。

誰もこの状況を想定できていなかったのだから。

 

だが、この危機を乗り越える方法は、まだ残っている。

 

『総員傾注』

 

中隊指揮官たるアイリスディーナが、中隊全機に通信をつなぐ。

 

『これより我々は、BETAの大規模増援群に対し、光線級吶喊(レーザーヤークト)を行う!』

 

そう。光線級さえ排除できれば、西側の火力をもって増援を叩ける。

だがそのためには、BETA群の真っ只中に突っ込まねばならない。

それができる部隊は、”西側にはいない”。

 

だが、666中隊(俺たち)にとっては当たり前にやってきたことだ。

上のほうで散々揉めたが、最終的には国連軍からの要請をアイリスディーナが独断で受諾。

増援の中で固まっている光線級の一団まで、米軍と欧州連合軍を先導することとなった。

 

「それで、ついてくる欧州連合軍ってのは?」

『欧州連合軍の切り札を投入するそうだ。もうすぐ合流するそうだが……』

 

切り札?まだ見ぬ精鋭でもいるのだろうか。

などと考えていたら。

 

『レーダーコンタクト。識別、欧州連合軍…て、なに、この速度!?』

 

真っ先に気づいたイングヒルトが叫ぶ。

遅れて確認すれば、その理由が分かった。

地表すれすれを時速1,000km、ほぼ音速でこちらに向かってきているのだ!

考えをめぐらす間もなく、それは視認距離まで近づいてきた。

 

見たこともない4機の戦術機。

力強さを感じつつも、どこか洗練された印象を持つフォルム。

球状の青い光を身にまといながら近づいてきたその小隊は、俺たちの目の前で”停止”して見せた。

1ミリも制動することなく、その場に。

他の3機が青く塗られている中、先頭にいるのはメインカラーが黒で、赤い縁取りがされた機体。

肩に描かれた紋章、どこかで見たような…?

 

『西ドイツ陸軍第00特務機甲師団所属、”ゲシュペンスト”小隊指揮官エルザム・V・ブランシュタイン中佐だ。よろしく頼む』

 

ブランシュタイン!

ドイツでは有名な代々優秀な軍人を輩出する名門だ。

東西分裂時に西についたと聞いていたが、こんなところで会うとは。

 

『東ドイツ陸軍第666戦術機中隊指揮官、アイリスディーナ・ベルンハルト大尉であります。中佐殿、今回はよろしくお願いします』

『こちらこそ、うわさに名高い666中隊と共に戦えるとは光栄だ』

『見たことのない戦術機ですが、アメリカの新型ですか?』

『いや、極東の友人が作り上げた人類の刃だ。配備が始まったばかりで、我らが西ドイツにも数えるほどしかない虎の子でね』

 

そう言って中佐は俺たちの前に出る。

 

『こちらのほうが火力も継戦能力も上だ、露払いは引き受ける。代わりにルート選択をそちらに任せたい。何分こちらはそのあたりの経験が不足しているのでね』

 

こちらを侮るでもなく、共に戦う仲間としてみてくれている。

どうやら西にもまともな軍人はいるらしい。

 

『了解です、中佐。では事前に話した通り、クシャシンスカ少尉とヴァルトハイム少尉は待機。残りは私に続け。クソッタレのBETA共に、シュヴァルツェスマーケンを食らわせてやれ!!』

『『「了解!」』』

 

 

 




出したぞ(短くてごめんなさい)

構想段階の一つに、アッシュが衛士として参加するというものがありました。
その場合高機動に体が耐えられないので、戦闘ヘリなどからかっぱらったロケットランチャーやミサイルを積載限界ギリギリまでポン付けしたなんちゃって攻撃機仕様のパラライカで加わる予定でした。
流石に無理筋すぎると没になりましたが。

いただいた感想に涙が出そうです。
やっぱり無理やりすぎて面白くないのか…
いっそタグにご都合主義とでもつけるべきか…?
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