読みやすくしようと試行錯誤しているため、書式がころころ変わるかもしれませんがご了承願います。
それでは、続きをどうぞ。
「リィズ?いるのか?」
仮設基地宿舎、リィズに割り当てられた部屋。
光線級吶喊から帰投した俺に、リィズが話しかけてきたのだ。
”夜、自分の部屋に来てほしい”と。
一瞬そういう意味かと勘繰ったが、リィズに限ってそれはない、むしろ義妹相手に何考えているんだと思い直し、皆が寝静まったころを見計らってここに来たのだが。
鍵が開いていたので入ってみれば、義妹の姿はそこにはなく。
「どこに……!?」
誰かが背中にしがみつく。
思わず振り払おうとし、視界の端に見えた髪の色から、それが誰かを悟る。
「リィズ…?」
しがみつかれたことにも驚いたが、背中に感じるこの感触は……!?
「お前、なんで服を脱いで!」
「お兄ちゃん」
こちらの問いにかぶせるように、震える声でリィズは俺を呼んだ。
「お兄ちゃんは、国家保安省と戦うつもりなんだよね?」
とっさに、言葉を返せなかった。
それだけで、リィズは察したらしい。
「怖くないの?お父さんとお母さんを殺した、人を人とも思わないあいつらが」
「……怖いさ。今も怖くてたまらない」
「なら逃げよう?今なら西側に逃げることだってできる。あの時よりも難しくないんだよ」
「ごめんな、リィズ。それを選ぶには、俺はこっちに残したくないものをたくさん作っちまった」
「…私は、お兄ちゃんに危ない事なんてしてほしくない。できるならここで縛り倒して、無理やりでも西側に引きずっていきたい。
でも、それじゃダメなんだよね?」
「もしそうするなら、全力で抵抗する。俺は戦うって決めたから」
――選ばないことを選んだ奴の手には、何も残りゃしない――
アッシュに言われたことだ。
大切な家族と再会できたことがうれしくて、俺は選択から目を背けていた。
今を壊すことが怖かった。
でも、このままじゃいけない。
根拠なんてないが、ここで選ばなければ全て失うような、そんな気がした。
「今まで逃げることばかり考えていた。これ以上失うのが怖かった。だけど、それじゃあ大切なものを守れない、そう知ったから。俺はリィズ、お前を含めた大切なものを全部守るために、戦うんだ」
「…強くなったんだね、お兄ちゃん」
今の全部を乗せた俺の言葉を聞いて、リィズが離れる。
「その強さと勇気、少しだけ、ほんの少しだけでいいから。私に貸してね」
「リィズ?」
震える体を抱きしめながら、リィズは俺を見る。
光のない、おびえた目で。
「国家保安省所属、ヴェアヴォルフ大隊中尉。リィズ・ホーエンシュタイン。
それが、隠してた私の秘密の肩書。
お兄ちゃんたちを陥れるために送り込まれた、スパイなんだ」
嘘だ、と言いたかった。
だが、ずっと一緒にいた家族だから、それが嘘じゃないこともわかってしまった。
「国境越えをしようとして捕まった時、私は自分を国家保安省に売ったの。
見返りとして、お兄ちゃんを釈放する条件で。
そこからは何でもやったんだ。
たくさん男の相手をした。
愛を囁いて油断させて殺した。
家族のいる人を拷問して壊した。
同僚を罠にはめて裏切った。
汚れてない場所なんて、どこにもない。
ヒトトシテヤッチャイケナイコト、ホトンドヤッチャッタンダ」
「リィズ、もういい」
壊れた笑顔で俺を見ながらそういうリィズを見て。
それ以上言わせたくなくて、止めようと手を伸ばした。
その手から距離を取りながら、リィズは言葉を続ける。
「だからね、お兄ちゃん。
私もう、ほとんど壊れちゃってるんだ。
リィズ・ホーエンシュタインっていう仮面をつけてないと、自分を保てないぐらいに。
それでもね、どんなに壊れても一つだけ、これだけは捨てることができなかったんだ」
ジッと、リィズは俺を見る。
これだけは絶対に本当なんだと、そう思いを込めるように。
「……私はね、お兄ちゃんが好き。家族としてじゃなく、男の人として」
「……リィズ、俺は」
「分かってる。お兄ちゃんにとっては、かわいい妹なんだよね?」
リィズが泣きそうな笑みを浮かべる。ほんの少しだけ。
「でも、私はそれじゃ満足できない。
同情なんかじゃもう我慢できない。だから」
恐ろしく艶のある笑みで。
散々苦労の果てに捕まえた獲物を見る目で。
「覚悟してね、お兄ちゃん。
イツカゼッタイニ、オニイチャンノココロヲテニイレテミセルカラ♡」
リィズは俺を見ていた。
-----------------------------
「……そうか。ホーエンシュタインがな」
誰もいない会議室。
アイリスディーナとイェッケルン中尉に、昨夜の顛末を報告していた。
「それで、ホーエンシュタインはなぜ今になってお前に正体をばらした?」
「俺のためなら、国家保安省も怖くないとわかったかららしい。俺を手に入れるための障害だと認識したら、恐怖がどっかに飛んで行った、とか」
「愛のなせる技、と言っていいのか、これは?」
流石のアイリスディーナもこれには眉間をもんで頭を抱えている。
「俺の命令なら何でも聞くらしい。だから自分をうまく使ってくれ、と言われたよ」
内心、複雑だ。
義妹を使うなど、国家保安省と何が違うというのか。
だが、リィズの協力は喉から手が出るほど欲しいのも事実だ。
「そもそもの話、ホーエンシュタインの話は事実なのか?壊れているというのなら虚言である可能性もあるのでは?」
イェッケルン中尉の指摘ももっともだ。
だが、そのあたりも想定済みだ。
「リィズもそのあたりは考慮済みだったらしい。聞かれればいつでも答えるそうだし、とりあえず知っている中でも喫緊で対策が必要な情報をくれたよ」
「情報?」
「リィズ自身は囮なんだそうだ。本命のスパイから目を逸らさせるための。そいつの名前も教えてくれたよ」
二人が顔を見合わせる。
「そしてもう一つ。国家保安省内で内紛が起こるらしい」
二人の顔が引き締まる。
「聞かせてくれ」
-----------------------------
当面、本命のスパイは泳がせることになった。
そいつには知られてもいい情報だけを流しコントロールする。
いざその時が来るまで踊ってもらうそうだ。
リィズについても、当面はそ知らぬふりで通すことに決まった。
知っているのは俺とアイリスディーナ、イェッケルン中尉、そしてアイリスディーナの副官のヴァルター中尉までだ。
他の面々には知らせないため、リィズにとっては辛い状況が続くことになる。
もっとも本人は
「皆が疑えば疑うほどお兄ちゃんの心はみんなから離れて私に近づくね!」
と笑っていたが。
なんにせよ、国家保安省の内部情報が得られるようになったのは大きい。
だが、それだけで戦えるほど奴らは弱くない。
もっと大勢の仲間が必要だった。
そのために俺とイェッケルン中尉はベルリンに来ている。
666中隊を実戦部隊から教導部隊へ格上げすることで国家保安省からの妨害をけん制するのと、さらなる協力者を探すのが目的だ。
結論から言えば、どちらもうまくいった。
教導部隊への格上げは多少揉めたが、イェッケルン中尉が上層部を説得して(と言うか脅して)通させた。
協力者に関しても、人民軍西方総軍のフランツ・ハイム少将が接触してきた。
あちらも今の国家保安省に牛耳られた東ドイツを見ていられないらしい。
有事の際には国家保安省と戦うために動くと確約してくれた。
ついでに、妙なことを聞かれたが。
突然見知らぬ誰かの声で話しかけられたことはないか、と。
どうやら国家保安省の内部情報を漏らしている奴がいるらしい。
突然電話なり通信がかかってきて、”狙われているから逃げろ、〇〇のところへ行け”などと言って切れるらしい。
明らかに怪しいが、実際その通りにして国家保安省から逃げおおせ、ハイム少将のところへ逃げ込んだ者もいるとか。
声の主は常にバラバラで、老若男女あらゆる声で警告してくるらしい。
中には国家保安省の人間の声もあり。
アクスマンの声だった時もあれば、ベアトリクス・ブレーメの声で警告された奴もいて。
なかには国家保安省長官エーリッヒ・シュミットの声だった、と証言した奴もいるらしい。
国家保安省も事態を把握しているらしいが、有効な対策が打てず疑心暗鬼で派閥間の連携も取れなくなりはじめてる、と聞いた。
逆利用も検討されたらしいが、常に先手を打たれて全くうまくいかず、国家保安省のイライラ具合はまれにみるレベルだとか。
どう考えても内部に協力者がいないとできないことなので、いつ魔女狩りに発展してもおかしくないほど殺伐としてるようだ。
一方こちらはそいつらしき声の手引きで民間のレジスタンスともつながりを得られ、人民軍内部の反国家保安省派のリストが漏れるのも防げたらしい。
…まさか、な。
ともかく大きな収穫を得て、今俺たちは町の食堂で一息入れているところだったのだが。
「失礼、相席よろしいかな?」
見るからに怪しいいでたちのおっさんが話しかけてきた。
「そんなに警戒しなくてもいいではないですか。私は、そう、微妙に怪しい男です」
訂正、すごく怪しいおっさんだった。
ルビコン行ってコーラルキメてみたい……
でも土井中はクソ雑魚……ブレードも当てられないクソ雑魚…
二次ロックも待てずにぶっぱなし、すぐに相手を見失うクソ雑魚…
いいんだ!土井中にはスパロボがあるから!!(最近やってない)