MUV-LUV大戦   作:土井中32

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タグ追加したせいで何やったのかもろバレです。




20話 ○○○なユニット

 

 

『テオドールさん。なんですか、それ?』

 

カティアからの質問に、俺は答えられない。

俺も背中に背負うこれがなんなのか、いまいちよくわかってないからだ。

 

対重光線級に、とアッシュがこっそり作っていたものをもらったはいいが、マニュアルを読み込む前に防衛戦が始まってしまったのだ。

 

かろうじて使い方は分かっているが、テストなしのぶっつけ本番でどこまで使えるのかは未知数でしかなかった。

 

『シュヴァルツ8、それは使い物になるのか?』

 

アイリスディーナですら困り顔だ。

背面兵装担架を二つも潰して持ってきたものが使えないなど、これからおこる死闘においては邪魔以外の何物でもないからだ。

 

「大丈夫だ。戦闘に問題はない」

 

そうとしか言えないが。

 

『大丈夫だよ、何があってもお兄ちゃんは私が守るから。……そうだよ、あんなむしどもにもしゅたーじのはえどもにもゆびいっぽんふれさせないから♡

 

リィズについてもアッシュに言われた通り俺が責任を取ると宣言することでとりあえずみんな納得してくれた。

……時々リィズが小声でぶつぶつ言うようになったが。

俺が聞くと満面の笑顔で何でもない、と言われてしまうので不安だが、リィズを俺は信じることにした。

疑えば敵は見つかるが、信じなければ仲間はできないのだ。

 

そうこうしているうちに戦闘が始まる。

 

『ああー、倒しても倒してもきりがない!一体何匹いるのよ!?』

『口より手を動かせ、シュヴァルツ6!まだ始まったばかりだぞ!』

『でも、こうも終わりが見えないんじゃね。残弾持つかしら?』

 

中隊通信で愚痴を言い合う程度にはまだ余裕がある。

だが、アッシュの読み通りになったとすれば……。

 

『緊急通信!重光線級が出現!』

 

来た。

 

『総員傾注。これより我々は重光線級に対し光線級吶喊を行う』

『重光線級相手にですか!?』

『我々以外にだれができる?行くぞ、全機続け!』

 

味方砲兵部隊の攻撃を囮に、重光線級に近づく。

今も奴らの攻撃で、味方戦術機が数機まとめて消し飛んだ。

それを振り切り、俺たちは重光線級を狙う。仲間の犠牲を無駄にしないために。

 

『見えたぞ!』

『攻撃開始!クソッタレな一つ目共に、シュヴァルツェスマーケンを食らわせてやれ!』

 

中隊からの一斉射撃。

爆炎で連中が見えなくなる。

 

『やった!?』

 

アネットがそう言った途端、アッシュの声で幻聴がした。

 

――馬鹿野郎、それはフラグだ――

 

直後、爆炎の中から奴らが現れる。

 

『瞼で覆って照射膜を守った!?』

『いかん、反撃が来るぞ!全機退避!』

 

強烈な閃光が戦場を横断する。

かろうじて躱せたが、レーザーの余波で左腕が損傷した。

 

『お兄ちゃん、大丈夫!?』

『シュヴァルツ8、無事か!』

「機体に損傷はあるが、まだやれる!」

『緊急、BETA群後方に第2波!』

 

その通信に慌てて確認すれば、重光線級を含む第2波が迫ってきていた。

 

『大尉、ここまでです。撤退しましょう』

『ダメだ。ここで我々が引けば光線属種群の攻撃にゼーロウ要塞が直接さらされる。それだけは避けねばならん』

『しかし、すでに残弾がほとんど残っていません。近接戦闘でもどれだけやれるか……!』

『ク……!』

 

ここが、使い時か?

 

「まだ、手はある」

『テオドールさん!?』

「準備に少し時間がかかる。俺を信じてくれるなら、少しだけ時間を稼いでくれるか?」

 

準備に必要な時間は1分少々。その間俺は移動もできず無防備になる。

誰かが守ってくれなければ、こいつは使えない。

 

『もちろん、お兄ちゃんには指一本触れさせないよ!……でも、間に合わなかったら引きずり出してでも連れて逃げるからね』

『わ、私も、テオドールさんを信じます!』

『テオドール、できるんだな?』

 

アイリスディーナの確認に、俺は答える。

 

「ああ。成功すれば、あいつらを一掃できる」

『分かった。総員傾注。これより我々は遅滞戦闘を開始する。シュヴァルツ8に一匹たりとも近づけさせるな!』

『了解!』

 

中隊のみんながばらけて囮役を始める。

急いで俺も準備を始めた。

 

 

 

「オーバードウエポン、起動!」

 

 

 

直後、左腕が吹っ飛んだ。

 

『お兄ちゃん(テオドールさん)!?』

「予定通りだ、気にすんな!」

 

背中の兵装担架に装備していた物体が複雑怪奇な変形合体を経て、左腕があった場所に接続される。

 

それは、馬鹿みたいに巨大な大砲だった。

 

『不明なユニットが接続されました』

 

関節部から、すさまじい勢いで蒸気が噴出し始める。

 

『システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください』

 

アナウンスを無視してそのままシークエンスを進める。

 

管制ユニット内は真っ赤に光り、どう見ても正常な動作をしていない。

FCSにも影響が出ているのか、ロックオンができず手動で狙いをつける。

機体のあちこちからアンカーが射出され、機体を固定した。

これでもう、逃げることはできない。

 

(チャンスは、一度きり……)

 

有効範囲にできるだけ光線級が入るように、慎重に、かつ素早く狙いをつける。

異変に気付いたのか、BETAがこっちに集まり始めた。

 

(まだだ……まだ…)

 

あと少し。

あと少しで、光線属種群全てが有効範囲に入る。

 

重光線級が射撃準備に入った。

発射されるまで、あと何秒もない。

通信機ががなり立てるが、すでに耳には入っていなかった。

 

レーザーが発射される、その寸前。

有効範囲に全て、入った。

 

「ヒュージバーストキャノン、発射ァ!!」

 

直後。俺の目を、光が焼いた。

 

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「テオドール、返事をしろ、聞こえているか!?」

 

テオドールが持ち込んだそれは、とんでもないゲテモノだった。

戦術機を丸ごと巨大な大砲に仕立て上げ、しかも発射されたのはキロ単位で戦場を覆いつくす散弾の雨だったのだ。

濃密な光の雨を食らった重光線級は一瞬で消滅し、接近中だった増援の光線属種群も一匹残らずハチの巣となった。

 

その圧倒的な戦果と引き換えに、テオドールのバラライカは無残な姿となっていた。

左腕に接続されていた大砲は半ばから吹き飛び、機体は至近距離でばらまかれた破片でボロボロ。

今も機体各所から大量の煙を吐き出しており、まだ爆発していないのが奇跡のような状態だった。

今は半狂乱となったホーエンシュタインとヴァルトハイムが救助作業に当たっていた。

 

『お兄ちゃん返事をして!?お願いだから、私を一人にしないで!!』

 

『テオドールさん!!まだあなたに伝えてないことがあるんです、先にいなくならないでください!!』

 

がなりたてながらも二人は慎重に作業を進め、ハッチを取り外す。

 

そして。

 

『……こちらシュヴァルツ8。何とか無事だ』

『お兄ちゃん(テオドールさん)!!』

 

ふらつきながらも、五体満足なテオドールが中から出てきた。

 

「シュヴァルツ8、無事だな?」

『ああ、なんとかな。機体はおしゃかにしちまったが』

「戦果を鑑みればつりが出るほどだ、気にするな。それはそれとして後で説教だがな」

『勘弁してくれ…。ゲテモノとは聞いていたが、あんなのだとは知らなかったんだ』

 

まったく。誰だ、あんなものをテオドールに渡したのは。

……一人しかいないか。

 

「とにかく撤収だ。シュヴァルツ8は」

『『私が乗せます!!』』

「あー、そうだな。シュヴァルツ2、乗せてやれ」

 

二人が無言で抗議してくるが無視する。どっちに乗せても厄介ごとにしかならない。

 

『消耗が激しい。一度後方に戻るぞ。ベーバーゼー基地に戻って』

『大尉』

 

指示を妨げられる。

発言したのは、先ほどまでとは打って変わって表情の消えた彼女だった。

 

『国家保安省が、動きました』

 

 

 

 





アッシュ「…なんであいつ、限界出力でぶっぱなしてるんだ…?」

ヒュージバーストキャノン
アッシュが整備班を巻き込んでこっそり作っていた試作兵器。
内部にぎっちりと詰め込まれた散弾を電磁加速で撃ち出し、広範囲を散弾の雨で覆いつくすというもの。
必要なエネルギーは戦術機から供給されるが、通常出力ではまるで足りないため接続部位からハッキングし、無理やり全力運転させて賄うなどかなり危険な代物。
拳銃サイズでの試験は行われたが、当然ながら戦術機サイズでの発砲試験はされていない。
本来なら4,5発は撃てる強度があったが、テオドールが忠告の意味を取り違えていたために砲身限界を遥かに超える出力で発射、一発で大破した。
なお、材料はくすねた廃材である。
ようは電磁加速式のアルトアイゼンのクレイモア。加害範囲はあれの比ではないが。
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