MUV-LUV大戦   作:土井中32

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大丈夫ですか皆さん?誰か他の方と間違えてませんか!?
とりあえず閲覧回数10万突破記念で閑話含めて3話いきます。


26話 後始末と魔改造

 

 

 

 

その後、特に問題もなく革命は成功した。

 

国家保安省は即日解体。

長年政権と政治を牛耳っていたドイツ社会主義統一党も解散となり、新たにハイム少将のもと、西ドイツへの編入を目的とする”東ドイツ再編委員会”が発足。

西ドイツ側と話し合いを続けている。

 

ゼーロウ要塞含むオーデルナイセ絶対防衛線は危うくBETAの突破を許すところだったが、急いで戻ってきた666中隊と革命成功の報を受けて援軍としてきてくれた西側戦力のおかげで持ち直し。

一週間にわたる攻防の末、撃滅に成功した。

……666中隊に先だって赤いアリゲートル率いる部隊がBETA群に突撃。派手に暴れたおかげで時間が稼げたらしい。

そのまま奥へと突き進んでいったため、彼女らの生死は不明だそうだ。

 

イェッケルン中尉と鎧衣課長に任せたシュタージ・ファイルとアクスマンの方も無事に片付いた。

 

原作通りアクスマンはファイルを手に入れ、アメリカの犬となることで権力者の地位に返り咲こうとしていたらしい。

もっとも、鎧衣課長の尾行に気づけずファイルの隠し場所まで案内してしまい。

あとはレジスタンスから借りた戦力と叔父さんがタイミングを合わせて突入。

情報が膨大過ぎて図書館のようになっていたファイルに火をつけて跡形もなく燃やしたそうだ。

 

それでもしぶとく逃げようとしたアクスマンだったが、叔父さんに退路をふさがれ、一騎打ちの果てに打ち首となったらしい。

……見ていたイェッケルン中尉によれば、アクスマンの撃った銃弾を切り捨てながら突っ込んでいったらしいが。

叔父さん、あんたもソッチ側か。

 

俺に関する責任問題も一応片付いた。

対外的には”母の故郷が二つに分かれて争っていることに心を痛めていた俺が、ドイツ出張をこれ幸いと利用。通信盗聴などをする中で東ドイツを良くしようとする者たちがいることを知り、彼らと接触するために輸送機を奪って自ら行方を晦ました”ということになる。

色々苦しいがこれで責任はほぼ俺のものだし、西ドイツ側も警備が抜かれたのは俺が敵に回ったから、と多少は言い訳が立つ。

護衛の皆さんの責任に関してはどうしようもないが、そこは俺にできる範囲内で便宜を図るつもりだ。

勝手なことした俺は処分として相談役として受け取っていた給料をほぼ全面カット。

将軍様の許可なしでの外出禁止が言い渡された。

謹慎じゃないのは”もっと働け”というわけだ。

 

BETAの撃退に成功した現在、666中隊は開店休業中だ。

いくらゲシュペンストが長時間の戦闘に耐えうるとはいえ一週間ぶっ通しの戦闘でいい加減メンテが必要だったし、なし崩しに使っていたがそもそも西ドイツの物だ。

返すのが筋ということで、メンテが終了したら西ドイツ側に返還される予定だ。

シュヴェルマーは元々急造機だったせいで防衛戦後はボロボロで破棄になったし。興味深いデータ取れたからいいけど。

タイプS?俺と一緒に帰る予定だ。

メンテは俺が担当して、今は叔父さんの乗機として護衛に加わっている。

……俺と入れ代わりで日本帝国から中隊規模のゲシュペンストがオプション付きで届く予定だけど。

これに関しては俺は何も言っていない。

将軍様と通信越しに勝手なことした謝罪とかはしたが、ゲシュペンストを如何こうする権限はすでに帝国の物だ。俺は何も言わなかった。

…ちょっとお願いはしたけど。

この措置は俺を守ったことへの感謝2割、表向き俺がやったことのドイツへの賠償4割、欧州戦線への支援4割、ということらしい。

ベルリンだけでなく絶対防衛線でも暴れまわったからな。圧政の象徴ともいえた国家保安省を一蹴しBETAからも国を救ったゲシュペンストはいまや東ドイツにとって希望の象徴そのものだ。あった方が国をまとめるのに都合がいいらしい。

 

そんなわけで666中隊は実戦部隊としては休業中だが、整備班はゲシュペンストの整備で地獄の忙しさだ。

どうせ回されてくるゲシュペンストは666中隊で使うことになるんだし、練習としてちょうどいいとマニュアル渡して実地で整備方法を学んでもらっている。

開発者自らに教えてもらうなんて贅沢この上ないはずだが、連日続く常識を木っ端みじんにするゲシュペンストの中身に疲労困憊のようだ。手は抜かないけど。

 

で、手すきになった衛士たちはつかの間の休息、というわけではない。

 

「おらー、動きが鈍いぞー。カタログスペックぐらい出してみろー」

『『『無茶言うな!!』』』

 

叫びながらもおっかなびっくり演習場を歩き回る戦術機たち。

現在、彼らはバラライカの操縦に必死だ。

もちろん唯のバラライカではない。

 

『クッソ、ほんとにバラライカ以上に動きやがるし!』

『着ぶくれしてるだけにしか見えなかったのに…』

『元の感覚で動かしたらひっくり返りますね』

「実際ひっくり返ってたしな」

『うっさい!仕方ないでしょ感覚が全然違うんだから!』

 

いやーあれには爆笑したわ。何をどうしたらひっくり返った状態からブレイクダンスになっちゃうのか。

跳躍ユニット全開でぐるぐる回ってるから誰も止めに入れないし。

腹が痛すぎて外部からの強制停止スイッチ押せなくて、後で整備班に怒られたけど。乗ってたアネットともども。

そんな感じで着ぶくれしたように見えるバラライカに悪戦苦闘する666中隊。

まあ、それが目的なんだけど。

 

「ほらほら、がんばれー。お前らの苦労が他の衛士の生存率に直結するんだからなー」

『ええい、分かっているから少し集中させろ!』

 

Migー21+PA バラライカ・パッチアーマー。

 

それが666中隊を振り回しているバラライカに暫定でつけられた名前だ。

通常のバラライカに追加装備を装着。見た目は着ぶくれしたF-4系にしか見えない。

が、実際には追加装甲に見えるのは唯の鉄板ないしカーボンの板で、その下にはゲシュペンスト開発のスピンオフ技術であるアークスラスター(電力を推進力に変える装置)が取り付けられている。

機体の動きに合わせて増設したスラスターが噴射。重くて動きが鈍いという第一世代機の欠点をスラスターの推進力で補う、というのがパッチアーマーの目的だ。

全身に取り付けられたスラスターのおかげで多少の重量増を補って余りある機動性、運動性を獲得。カタログスペック上は原作の第三世代機である不知火に匹敵する。

アークスラスターを採用した結果電力消費量が増えて稼働時間はかなり減少したが、背中側など被弾しづらい場所に追加のバッテリーを装備することで解決した。

 

各部スラスターの噴射管理はTC-OSに換装することで解決している。マザーボードごとの交換にOSの転換訓練が必要だが、旧OSよりも性能ははるかに上だし、パッチアーマーなしでも恩恵は十分得られるから問題ないだろう。

何よりこいつの最大のメリットは”F-4系ならほぼ無改造で取り付けできる”という点だ。

ヨーロッパ戦線ではF-5系列もかなりの数が稼働しているが、人類全体を見れば最も多いのはF-4系だ。

これは原作オルタネイティヴが始まる2001年でも変わらず、マイナーチェンジを繰り返しながらいまだに使われている。

内部構造から手を入れるなど最新技術で強化されているが、それでも性能はせいぜい第2世代どまり、というところだ。

 

だが、パッチアーマーはF-4系であればどの機種であっても取り付けでき、なおかつその性能を第三世代級まで引き上げることができる。

現在ですらポンコツになりかけている初期型F-4が、F-14を上回る最新鋭機級に化けるのだ。

それでいてパッチアーマー自体は爆砕ボルトで緊急時には投棄可能になっているから、破損して機能を停止してもその場でパッチアーマーを捨てて通常のFー4として戦闘は続行可能だ。

 

完成後、パッチアーマーの権利はドイツ、ひいては欧州連合に譲渡される。

今回の件、対外的には日本帝国所属の俺が西ドイツに迷惑と損害を与えたことになるので、こいつの利権をもって欧州と帝国の遺恨はチャラ、ということで話がついたらしい。

帝国の戦術機はほぼゲシュペンストに更新されてるそうだから、帝国としては輸出以外の使い道がないしね。

俺に責任ひっかぶせることで警備の不備をチャラにしてもらった挙句、こんな大きな利権まで実質ただでもらったとなれば、しばらくドイツと欧州は帝国に配慮せざるを得ない。

 

……迷惑かけた賠償が必要なので、手すきの時間を利用してパッチアーマーの図面を引いたのだが。

こんなのどうでしょう、と試しにベルンハルトに見せたらそれがあっという間に欧州連合のトップ辺りまで持っていかれ、あれよあれよという間に正式な欧州連合全体を巻き込んだ開発計画に発展してしまったのだ。

将軍様からはきっちり形になるまで帰ってくるな、と言われる始末。

…俺が行方不明になったことで大掃除がより過激になったらしく、その後処理がまだ終わってないらしい。

設計図だけ渡して帰るつもりだったのに。自業自得とは言え、あいつらをちょっとぐらい煽っても許されるよね?

 

まあ、後から考えてみれば。

OS変更による再訓練という問題はあるが、二線級の戦力がいきなり最新鋭機に化けるとなればそりゃあ誰だって飛びつく。

内部から改良となれば再設計、検証、生産ラインの変更など時間も金も恐ろしい勢いで吹っ飛んでいくが、現行機にこれをかぶせるだけで済むならそのあたりを別のことに使える。

パッチアーマーの肝であるアークスラスターも、完成間近のゲシュペンスト欧州生産ラインで作れるものだ。

ゲシュペンストの生産が軌道に乗るまではこちらを作っていれば無駄がない。

個人的な予定は狂ったが、いずれゲシュペンストに取って代わられるまで、繋ぎとして戦線を支えてくれるはずだ。

 

が、それはそれとして解決しなければならない問題がある。

”TC-OSにモーション・パターンデータを登録しなければならない”のだ。

同じOSを使っているゲシュペンストから移植、というのは性能差が激しすぎて無理。

機体に合わせたモーション・パターンを一から構築・登録する作業を、現在666中隊は行っているのだ。

東ドイツ最精鋭、そして今一番暇してる連中というのとTC-OSに東ドイツで一番詳しい衛士、ということでお鉢が回ってきてしまったのだ。

革命前に教導部隊に格上げしたのが、こんなところで裏目に出ちゃったわけである。合掌。

 

「まだそれほど経っていないのに、懐かしくなる光景だな」

 

演習場を見渡せる管制塔でヤジを飛ばしていた俺のところに、強化服姿のエルザム中佐がやってきた。

西ドイツで採用しているファントムにパッチアーマーをかぶせたタイプのモーション・パターン登録のため、現在この基地に出向している。

同じF-4系とはいえ、機体特性がかなり違うバラライカとファントムではやはりモーションにも違いが出るらしく、バラライカのそれをそのまま使うのは難しかったらしい。

この辺りは誤算だったが、だったら現在使われている全部のF-4系に対応したTC-OSを作ってしまおう、ということになった。

現在この基地はF-4の見本市状態だ。

他のチームがTC-OSに悪戦苦闘する中、既に習熟している西ドイツチームは随分進んでおり、他のチームを手伝う余裕があるほどだ。

次点が詰め込み教育した東ドイツチーム。こちらは自分たちだけで手いっぱいだけど。

イタリア?ようやく納入されたゲシュペンストの戦力化で手いっぱいで素人しか来てない。

俺の無事が確認されたおかげでようやく建設再開した欧州ラインから試しで吐き出された初期ロット、不具合の出る可能性が高いから経験者が付きっきりで確認してるらしいからな。

 

「初期開発の時は随分と騒がしかったしなあ。チーム解散してまだ一年たってないはずなんだが」

 

そんなことをぼやく俺をガン見する斯衛の連中を無視して中佐と話す。

ようやく居場所の判明した俺を警護するために寄越された連中だが、例の護衛を撒いた件がことのほか重く受け止められているらしく、俺の一挙手一投足から目を離さない。

…あの時警護してた連中、責任取って切腹しようとしたらしいからな。将軍様に止められたらしいけど。

 

「腹を切ったところで人類にも帝国にも何の益にもならぬ。恥と思うならば最期のひとかけらまで人類のために戦って尽くせ」

 

…と、言われたらしい。

現在は自主的にシミュレーターで缶詰だとか。

警護を撒いた俺に責任があるんだから、帝国に戻ったら謝りにいかないとな。覚えておこう。

 

「しかし君は毎回何かを引っ搔き回しながら現れるな。私を呼んだ時しかり、東ドイツの革命しかり、今回の開発計画しかり」

「好きでやってるわけじゃないんだけどなー。今回なんか置き土産のつもりだったのに、がっつり関わることになっちまったし」

「仕方あるまい。OS側で各機種に合わせたモーション調整をオートで行うようにするなど、生みの親たる君でなければ短期間ではできまいよ」

「マニュアルに実物あるんだから、死に物狂いで解析して覚えりゃいいのに。対BETA最前線をこの目で見れたから、いろいろと思いついたものを早く形にしたいんだけど」

 

どうせこの後F-5系用のパッチアーマーの開発が始まるのだろうし。ここで苦労することには十分意味があるはずだ。

 

「ワーカーホリックは相変わらず、か。こちらに残されたのは少しでも休めということではないのか?」

「人の心の光、ってやつをかいま見れたんだ。休んでる暇なんかあ」

 

「寝ろ」

 

首筋に何かが撃ち込まれ、直後俺の視界は暗転した。

 

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「流石に強引過ぎないか?」

 

睡眠薬を撃ち込まれ、インペリアルロイヤルガード(斯衛)の腕の中で眠る少年をしり目に、それをやった本人に声をかける。

 

「こうでもしなければ休息など取らんのだ。現に今俺が眠らせるまで38時間も活動していた」

 

変わり身の人形でごまかしてずっと作業していたらしい。

……前より症状が悪化している。

 

「東ドイツの革命が思いのほか心に響いたらしい。それが却ってよくなかった。人が一つにまとまれているうちに何とかしなければ、と強迫観念に囚われてしまった」

 

友の顔は曇りっぱなしだ。

 

「将軍殿下も帝国から離すことで物理的に何もできない状態にして、強制的に休む時間を与えたかったようなのだが。結局それもうまくいかなかった」

 

帝国から離したというのに、今回のように結局彼は仕事をしてしまっている。

悩む友にかけられる言葉は少ない。

 

「ならば、我々にできることは一つだ。一刻も早くBETAをこの星からたたき出すこと、それしかない」

 

そのために我らも死力を振り絞らねばならない。

本来なら、身を削るのは私たち大人でなければならないのだから。

 

 

 





悪い見本として残されることになったブレイクダンス(映像)
アネット「( ゚Д゚)」

整備班「全身にスラスター生やしたせいで整備がすこぶる面倒になった。訴訟」
九郎「全身にスラスターあるのはゲシュペンストも一緒だから、まあ予行演習みたいなもんだ。できるうちに苦労しとけ」

運動性は劇的に上がりましたが、マザーボードとOSの交換以外中身はほぼいじってないのでセンサー類などはそのままです。データリンクだけは追加されてますが。
重量増加で最高速度や航続距離もやや低下。
後にコンフォーマルタンクを増設されたタイプが登場するかも?
あるいはシュヴェルマーのデータを参考に跳躍ユニット4つ乗せとか。

オリ主暴走中。鉄は熱いうちに打てな感じでまたバラバラになる前に少しでも先に進めねば、と心が急ぎまくってます。
…理由はそれだけではないですが。
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