プロットが進まない…書いても書いてもこれ面白いか?と幻聴がする…たどり着きたい場所はイメージできてるのに、それを言語化できない…
あ、ストックはそれなりにあるのでまだ大丈夫ですよ?
控室に沈黙が満ちる。
俺が言った言葉が信じられないのだろう。巌谷少佐と護衛の皆さんは驚愕を顔に張り付けて動けない。
が、マーシャル議員は流石政治屋というべきか、すぐに顔を引き締めた。
「根拠を、聞かせてもらえるだろうか」
「最も大きい理由は、生産能力の差です」
「生産、能力?」
「BETAと人類の戦力生産能力。そこには圧倒的な不均衡が存在します」
何度も言ってきたが、BETAは機械だ。
作り出された時点で役割は明確で、そのためにまい進する。
疑問など挟まない。己が失われることなど恐れない。
質が上がることは滅多にないが、下がることは絶対にない。
それが、24時間365日休むことなく生産される。
対して人類はどうだろうか。
どんな役割が向いているか、訓練をしながら調べる。
それを伸ばすために、何年も訓練する。
そこまでやっても、一定の質に達するかどうかわからない。
死を恐れ、恐怖で動きが鈍る。
質はバラバラで、コンディションによっては上がることも下がることもある。
そして、生まれてから兵士に育成するまで、軽く見積もっても10年ではきかない時間がかかる。
「人間を資源としてみた場合、失った時のそれの回復にかかる時間はBETAのほうが圧倒的に早い。にもかかわらず、人類はそれをいたずらに消費することで意味のない時間稼ぎを続けている」
「意味がない、だと?」
「ありませんよ。現状を変える決定的な一打、銀の弾丸を人類は持っていない。ならばこの先にあるのは、徐々にすり潰されるだけの未来です」
俺の語った未来に思わず立ち上がりかけたものの、議員は声を出せない。
元軍人だという話だから、戦力の回復にかかる時間についても知識があるからだろう。
「ゲシュペンストを作ったのは、一人当たりの質を高めることで少しでも戦力をため込む時間を作るためです。そしてできるだけ早い段階で決戦を仕掛ける。俺はこれしかないと考えています」
「決戦?人類全員でかね?」
「甲一号目標、カシュガルハイヴへの乾坤一擲の奇襲。人類の全てをこれに賭けて成功させるしか、未来を切り開く道はない。俺はそう考えています」
またも部屋が沈黙で満たされる。
それを破ったのは、今度は巌谷少佐だった。
「どうやってだい?カシュガルハイヴの周りには他のハイヴもある。地上を行くしかない私たちではどう頑張っても奇襲する前に包囲殲滅されてしまう」
「地上を行かなきゃいい」
「空路はもっと厳しい。ゲシュペンストが搭載しているビームコートだって、重光線級一体の攻撃を防ぐので精一杯なんだ。空を行けば道中にいる全ての光線級から集中砲火を浴びることになる。どんなに光学障壁を強化しても現実的ではないはずだ」
「もっと上から行けばいいでしょう?」
言葉の意味が分からず思案気な顔をする巌谷少佐だが、マーシャル議員は気づいた。
「大気圏外からの、直接降下奇襲。それを考えているのだね?」
「軌道上にある物体を、BETAは攻撃しない。だからこそ俺たちは人工衛星の恩恵をいまだ受けていられる。ならば、軌道降下であればギリギリまでBETAによる攻撃を受けずに済むとは思いませんか?」
すぐに議員はその案を検討しだした。
「なるほど確かに、軌道上にある人工物が攻撃を受けたという話は聞いたことがない。射程距離的には十分狙えるにもかかわらず、だ」
であるならば、軌道上からピンポイントでハイヴ上空に放り込む方法さえ確立できれば、攻略部隊を消耗させずに送り込むことができる。
問題は残っているが。
「だがその場合でも、光線級の脅威は残るだろう」
「地上部隊による陽動と、多少のレーザーは無視できるゲシュペンストを組み込めば、どうです?先にAL弾を放り込んでもいい」
ゲシュペンストならばレーザーに晒されてもある程度は耐えられる。その間に陽動として展開した地上部隊が光線級を排除すればいいし、出来ないなら事前に重金属雲を発生させておけばいい。それだけで生存率は大幅に上がる。
原作でも行われた軌道降下戦術だ。
が、新たな疑問がマーシャル議員の頭に浮かんだらしい。
「しかし、それならばなぜ決戦にする必要がある?その方法で外側からハイヴを潰していけばいいだろう」
「俺は、BETAの指揮系統は箒型であると考えています」
現在、BETAの指揮系統は各ハイヴ同士が連絡を取り合うネットワーク型だと言われている。
それに真っ向から喧嘩を売る内容だ。
「根拠は?何からそう考えるようになった」
「BETAの指揮系統がネットワーク型だというなら、各上位個体が存在するのは恐らくハイヴであるはず。ならば各ハイヴごとに多様性がなくてはならないはずです」
「多様性?」
「個々に違う方向性を持った上位個体が話し合うことでもっとも状況に合致した答えを選択する、というのがネットワーク型の利点です。つまり各上位個体にはそれぞれ個性がなくてはならない」
例えば突撃級をそろえて何もかもひき潰すとか。
光線級を量産して飛び道具の嵐で制圧するとか。
「しかし今までを見る限り、各ハイヴにおける行動にはそう言った個性が見られない。すべて画一的な対応がなされている。
これは各ハイヴにそういった決定権がない、つまり全ての決定権は最上位の最高指揮官に集約されている。そう推測しました。
ならばネットワーク型である必要はない、最高指揮官のみで指揮系統は成立し、同時にそこを突けば瓦解する。
そして最高指揮官たる上位個体が一つしかないとして、それをどこに置くかと考えたとき。もっとも戦力の充実した場所しかない、と考えるのは自然なことかと」
BETAの指揮系統を一気につぶす。
決戦の意味はそういうことだ。
俺が将軍以下偉い連中に口がすっぱくなるほど言い続けてきたことでもある。
「これ以上奴らが知恵をつける前に、頭を潰す。そういうことか」
「生産能力の差はいまだ健在ですが、連携のとれない烏合の衆と化せばいくらでも手はある。違いますか?」
場当たり的な行動しかできないのであれば、あとは各個撃破すればいいだけだ。簡単ではないが。
「なるほど。君には未来の展望があるのだね。羨ましいと言いたいが、なぜそれを私に明かしたのかね?」
「同じことを単体でできる物を、あなたの国は作っているでしょう?」
議員の顔が曇る。
「HI-MAERF計画のことか。だが、あれは」
「失敗の件については聞いています。技術的に改善が難しい、ということも」
ムアコック・レヒテ機関。BETAの降下ユニット内から発見された未知の新元素”G元素”の一つG-11を燃料とする抗重力機関だ。
それをメインエンジンとした戦略航空機動要塞。単体でハイヴに侵攻し、破壊することを目的とした兵器の開発こそがHIーMAERF計画だ。
しかし、現在この計画は暗礁に乗り上げている。
ムアコック・レヒテ機関が発生させる重力場”ラザフォード場”を制御しきれず、有人試験時にはテストパイロットをシチューにしてしまうという事故を起こしているのだ。
単純に、コンピューター制御するためのマシンパワーが足りていない。
加えて、スピンオフの成果である五次元効果爆弾”G弾”の実用化が目前まで来ているため、無用の長物と化し始めている。
「公開されているムアコック・レヒテ機関の理論から、G弾の性能にも大体アタリはつけています。ですが同時に、G弾の使用は人類どころか地球その物への甚大な悪影響が出る、という仮説も俺は立てています」
「悪影響?」
カバンからタブレットを取り出す。
アメリカにはまだここまで小型化されたコンピュータはないから、議員は驚いていたが。
構わず俺はそれを表示する。
「これは?」
「G弾が使用された場合のシミュレーションです。いくつか条件を変えたうちの一つ、もっとも最悪な結果の物です」
部屋にいた全員がそれを見入る。
表示されているタイトルは”ザ・デイ・アフター”。いくつかある原作の結末、その中でも特にひどいものの一つ。それをシミュレーション映像として再現したものだ。
軽く数百メートルを超える津波によってユーラシアが海の底に沈み。
北アメリカからは重力異常によって空気が消え。
重力偏差によって生まれた塩の大地が、かろうじて無事な土地を塩害で脅かす。
CGで再現されたそれに、しばらく部屋は沈黙で満たされた。
「……信じがたい。が、君はこうなると予測しているのかね?」
「現在判明している情報からの推測です。外れている可能性は十分ありますが、本当に起こった場合はこれに近い状況になると確信しています」
マーシャル議員が沈黙する。
そりゃそうだろう。この通りになれば建国以来一度も敵国に侵されたことのない国土が二度と人の住めない不毛の地となるのだ。一笑に付すことなどできない。
そして、ここまでやってもBETAを殲滅しきれない。
当たり前だ。大気のない月ですら当然のように活動できる連中だ。
例えハイヴが海底に沈んでも、頭脳級さえ無事なら普通に活動を続けるだろう。
流石に絶望的すぎてこのシミュレーションに反映させるのは躊躇った。
見た人間が自棄になって暴発するのでは、という疑念を捨てられなかったのだ。
…そこまで信じられなかった、というだけだが。
「このシミュレーション映像と論文をあなたに預けます」
「いいのかね!?」
「そちらで徹底的に調べてください。ぐうの音も出ないほどに」
G弾の危険性を事前に認識していれば、これを使った作戦は抑制できる。
もしも隠そうとするなら、あらゆる方法で世界中にばら撒くだけだしな。その先の混乱は知ったこっちゃない。使われるほうが問題だ。
「G弾は許容できなくても、XGシリーズは今後に必要です。地球上のBETAを追い出せばそれで終わりではないことをお忘れですか?」
「…月か。地球に向けて発射される着陸ユニットのことを考えれば、攻略は絶対」
「最低でも火星まではこちらの手に取り戻さないと、防衛圏の構築すらままなりません。資源には限りがありますから」
地球内の資源だけで、いつまでもやっていくことはできない。宇宙開発は人類の存続にどうしても必要なのだ。
「…遠いな。BETAとの戦いに終わりはないのか」
「BETAを知った時から、この生存競争は始まっていたんです。相手は宇宙の果てからやって来た存在。人類が宇宙開発をせねば存続できない以上、地球を脱出して逃げようが太陽系から撃退しようがこの先も戦い続けるのは確定事項。そしてどちらにしろ国一つでできることではないゆえに、地球人類はすでに一蓮托生。身内で争っている余裕なんて本来どこにもないんですよ」
オルタネイティヴ5が発動しないよう、今のうちからできることはしなくてはならない。
宇宙からやって来た存在を相手に、宇宙に逃げる。
相手のホームグラウンドで、なぜ逃げ切れるなどと思えるのか。
原作で意図的なのか目を逸らされていたことだが、俺はそれを徹底的に突き付けなければならない。
人類に、逃げ場などないということを。
瞑目した彼は、少しして目を開いた。
炎をともした目を。
「承知した。君が私に求めているのは、HIーMAERF計画の存続と真っ当な世界の警察としての仕事だね?」
「政治が最終的にどこへ落ち着くかはわかりません。ですが、BETAに勝つために人類の団結は最低条件です。今の世界でそれを呼び掛けられるのはアメリカ以外いないでしょう」
「どうやら、私の残りの人生はそれを成すことに費やされることになりそうだ。だが、悪くない」
そう言ってマーシャル議員は立ち上がる。
「君と話せたのは私にとって正解だった。ようやく目指すべきものが見えた気がする。ありがとう」
「俺は俺の目的のため、使えそうなあなたを誘導しただけです。お気になさらず」
そう言いながら、カバンから追加で紙束を渡す。
「これは?」
「量子コンピュータの基礎理論。完成すればXGシリーズの実用化にめどが立つかと」
基礎理論なのは宿題だからですよ、と言いながら渡したそれを議員は大事そうにしまう。
「何から何まで世話になりっぱなしだな。だが近いうちに返そう。具体的には生産ラインでね」
「主流派と真っ向から戦うと?」
「こう見えて軍には友人も多い。分の悪い喧嘩ではないよ」
部屋にやってきてから始めて見せる笑顔で、彼は俺に手を差し出した。
「そして必ずこの国を変えてみせる。誰もが心から認める世界のリーダーに」
「期待しないで待ってますよ」
最後に握手をして別れる、というときに。
「失礼。緊急につきご容赦願います」
鎧衣課長の部下が入ってきた。
「最悪の二歩手前が起きました。すぐにここを脱出します」
一つため息。すぐに出ようとすると。
「私も行こう。ここで君を失うほうが人類のためにならないからな」
肩を回し、首を鳴らしながら言うジェームズ・マーシャルアメリカ合衆国上院議員。
あなた自分の立場忘れてません?
洋画大戦、またの名をアメリカ壊滅の危機
NY市警で働くハゲ気味の刑事
「畜生ッ!この間テロリストどもと殺し合う羽目になったばかりだってのにまたこんな目にあうってのか!?テロリストなんて大っ嫌いだッ!!」
居合わせたせいで巻き込まれた筋骨隆々の軍人
「まったくだクソッたれめ!!あと半日以内にターボマン人形を手に入れなきゃならんっていうのに!」
巻き込まれた元軍人
「俺なんて散歩してただけだぞ!?軍に嫌気がさしてやめたのに何でこんな目にあわなきゃならんのだ!!エイドリアン、俺に幸運を…!」
多分厨房では最凶のコック
「野菜の仕入れのつもりがとんでもないことに巻き込まれちまったな。まあ見て見ぬ振りもできんし、少しの間だけ現役に戻るか。とりあえずメシでも食うかい?」
この後無茶苦茶アクション映画しました。ハリウッドが真っ青になるぐらい派手に。ゲストで戦術機も登場するよ!
…本筋から逸れすぎるので詳しくは書きませんけど。