MUV-LUV大戦   作:土井中32

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調子に乗って出しちゃいましたが彼らの出番はありません。多分。
本気で暴れたら彼らだけで全部終わっちゃいそうなので。



31話 でかい計画

 

 

なんとかかんとか帝国に帰還した。

いやもう酷かった。具体的にはアクション映画5本は取れるぐらい。

マーシャル議員と有志のボランティアが(アクション的に)活躍してくれなかったら途中でこっちに死人が出てた。

…最終的に採用に待ったがかかったはずのFー15が襲ってきたときにはああ、ここで終わりか、と思ったもんだ。

どんな手管使ったのかタイプSに乗って叔父さんが助けに来たけど。

今回の護衛に加わってなかったから何してるのかと思ったら、まさか機体ごと運び込まれていたとは…

 

アメリカは現在大騒ぎだ。

そりゃまあ、他国の要人が国内で襲われた挙句、襲撃に自国の戦術機、それもまだ米軍に引き渡されてさえいない最新鋭機が使われたとなりゃ隠蔽もできない。

トカゲの尻尾切りで終わらせるつもりだったんだろうが、仮にも上院議員がその場にいたのは想定外だったのだろう。

尻尾どころか本体まで掴まれて政権揺るがす騒ぎに発展してしまったのだ。

当分あの国はあてにできねえな。

…途中で助けてくれた彼らは大丈夫だろうか。多分殺されたりはしてない(というか死にそうにない)だろうが、国の邪魔をしたということで閑職に回されたり嫌がらせを受けたりしてないといいんだが。

マーシャル議員が自分が何とかする、と言っていたのでとりあえず任せたけど。

 

篁少佐も無事に帰ってきた。ミラさんとユウヤ連れて。

どういうことか顔が青あざとモミジの痕でボコボコの少佐に聞けば。

 

「男としてけじめはつける!ミラもユウヤも、栴納も唯依も全員幸せにする!それが俺のけじめのつけ方だ!」

 

ひ、開き直りやがった。

具体的にはミラさんを側室として娶るらしい。

いいのかと言われればこれ、限りなくブラックに近いグレーだ。

実はこの世界、武家が残っている影響で法律にもいくつか違う部分がある。

具体的には武家の婚姻。

戦国の世からこちら、家と血筋を残すため、あるいは政略のために側室を持つのが武士にとって普通だった。

大政奉還時、そのあたりを縛る法律が武家には適用されないまま、現代まで来てしまっているのだ。

だから法律的には問題ない。外聞が非常に悪いだけで。

そりゃ平民は側室持ったりできないのに武家はOKなんて不和の種だ。平民からもそんな余裕のない下級武家からも後ろ指指される。

だから現代でやるやつはいない。いなかった。

しかもミラさんはアメリカ人。余計に外聞が悪い。

 

だってのにあの男、栴納さん納得させたうえ、将軍様まで説得しやがった。

 

「子供まで産ませておきながら金だけ払って終わりなど、武士の風上にも置けませぬ!まとめて幸せにして見せてこそ武士の、いや男の度量と愚考いたします!」

 

謁見したその場で土下座のままそうのたまった篁少佐に誰もそれ以上は何も言えず、大笑いした将軍様と皇帝の認可のもと晴れてミラさんは篁の家に迎えられた、というわけだ。

ミラさんは監視付きで技術廠でのバイトをしている。F-14を作り上げたその技量は伊達ではない。あっという間に技術習得して既に一つのチームを任されている。向こうの連中にとってもいい刺激になっているようだ。

…本人はうちの研究所に来たがってたらしいが、さすがにな。

意外と栴納さんとミラさんの仲は悪くない。同じ男に惚れた弱み、とか言っていたが。

ユウヤと唯依の仲も最初はぎくしゃくしていたが、徐々に打ち解けつつある。

篁少佐のその後については語るまい。男どもの嫉妬と憎悪と後ろ指なんぞどうでもいいし、家庭内での彼の地位なんぞもっとどうでもいい。なんだかんだで最終的には仲良くやってるのだから。

 

そっちは放っておいて、俺は俺のやるべきことに精をだす。

具体的には、軌道強襲降下用の装備だ。

軌道上から目標にピンポイントで降りるための装備。

原作では再突入殻という装備が存在する。

戦術機の入ったカプセルをブースターで加速。レーザー射程圏を一気に突っ切って目標地点に戦術機を降下させる、という装備だ。

しかしこの装備、信頼性がトータルで91%しか担保されていない。

つまり100機降ろせば勝手に9機死ぬ。戦う前に。それもかなり高い確率で。

欠陥どころの話ではない。

強襲降下部隊の編成が始まるにはまだ時間がかかりそうだが、今から開発を始めておいて損はない。

ということで設計開始。

 

完成したのは底が膨らんだ円錐型。

一度に戦術機一個小隊、つまり4機を収められる。

底面には耐熱耐レーザー用の新素材を採用しており、重光線級の集中砲火にも30秒は耐える。

 

現在主流の装甲駆逐艦には載せられないが、どうせそっちも変えるつもりだ、問題ない。

というか装甲駆逐艦が非力すぎる。軌道上任務が重要度を増すというのに、あの性能では過酷になる任務に耐えられない。

時代を考えれば十分高スペックだが、マスドライバーやロケット併用してようやく戦術機2機を持ってくのが精一杯ではちょっと…

特にロケットの場合一回打ち上げるだけでウン十億が吹っ飛ぶこと考えるとコスパが悪い。

 

「というわけで、新型航宙輸送機タウゼントフェスラーの設計案がこれ」

「早い早い早い」

 

将軍様の執務室。

将軍様はじめ重臣中の重臣しかいないこの場で設計案を見せたらそう言われた。当たり前だ、時間が惜しいのだ!

 

「この仕事中毒め。子供にこんなに働かれては我らの立つ瀬がないではないか」

「じゃあ俺より働けば問題解決だな。一日72時間働けば問題ない」

「大ありだ!」

 

言い合いながらも設計案は通った。後は国内メーカーが協力してやってくれるらしい。

で、もう一つが本題。

 

「今までも散々常識を破壊されてきたが、これはまた格別だな」

「一体いつから温めていたのやら」

「答えは分かっているがあえて問うぞ。正気か?」

 

失敬な。大くそ真面目に考えた結果だよ。

 

「理屈は分かるが、この見た目は……」

「別の意味で衝撃的だな」

「BETAより味方に与える衝撃のほうが心配だな」

 

ざわざわ言い合ってるが、結局のところ裁可を下すのはただ一人。

 

「で、作るの?作らないの?」

「…良かろう。まずは一隻作ってみよ。話はそれからだ。金と人員については追って伝える」

「ありがとうございます」

 

そう言って部屋を退出する。仕事は一杯あるのだ。

 

 

 

「こいつは果たして人類に勝利を届ける箱舟となるか、否か」

 

 

-----------------------------

 

「……行ったか?」

「は。間違いなく」

 

居並ぶ者たちの顔が引き締まる。

 

「では本題に入る」

 

そう、彼らにとってはこちらが本題。

 

 

「あの仕事中毒を休ませる方法。何か画期的な案はないか?」

 

 

九郎の仕事中毒。

ドイツから帰ってきて以降、更に悪化したそれをどうにかするべく、彼らは集結していた。

 

「最新の報告では三日に一時間寝ればいいほうだそうで、ひどいときには5日間寝ずに作業をしている時があるとか」

「発覚した際には強制的に眠らせているそうですが、そうすると寝ていた時間を取り戻すべく余計に寝る時間を削ろうとするそうで、もはや悪循環としか」

「それでよく仕事の能率が落ちないものだ。というか普通に命の危機では?」

 

聞こえてくる報告に全員頭が痛くなる。

死なれては困る人材だというのに、当の本人がそれを無視している。

 

「頭がいいゆえに絶望の未来も正確に見えてしまっているのだろう。それを変えるために寝る間も惜しんでいるのであろうが、もう少し我らを信じてくれてもいいと思うのだが」

 

根本的な原因は九郎の人間不信だ。

”自分が変えなくては未来は変えられない”と思い込んでしまっている。

 

「ゲシュペンスト黙殺の件以来、人の悪い部分をまず見てしまうようになったそうですからな。余計に他人を信じられなくなってしまっているのでしょう」

「だがこのままではBETAを駆逐する前にあの坊主が潰れてしまう。その前に何とかせねば」

 

そうは言うが、なかなかいい案が出てこない。

 

「食事に睡眠薬を混ぜるというのは?」

「そもそも混ぜる余地のない携帯食ばかり食べている。そのくせかなり鼻と舌が敏感らしい。食べる前にばれたそうだ」

 

「簀巻きにして布団に縛り付けては?」

「頭の中で設計図を引ける奴だぞ?手も足も動かせないなら頭を動かすだけだ。実際寝ずに修正の余地がない設計図考えていたらしいし、気が付いたら鉛筆くわえて設計図を書いてたとか」

 

「あれも男だ。いっそのこと女をあてがってみては?」

「どんな器量良しにも一切反応を示さなかったそうだぞ。裸で迫ったのに”寒くないの?”の一言で終わって、女としての自信を喪失したものもいたとか」

「まさか衆道」

「否定したうえ噂になったら自殺してやる、と真顔で言っていたそうだ」

 

どうにも有効な方法が出てこない。

と、手が上がる。

 

「よろしいですかな」

「何か手があるのか、鎧衣」

「いやなに、人間の良くない部分ばかりが目に付いてしまうというのなら、そんなもののない純真な人間をぶつけてしまえばいいのです」

「そんな人間がいるのか?」

「一人、心当たりが」

 

鎧衣の顔が、いつもの3倍増しで怪しく見えた。

 

 

 





鎧衣「ということで赤ん坊を」
一同『却下』

見合い(強制)
「…待て、12の童に裸で迫ったものがおるのか?」
「無理を言って設けた見合いの席でやらかしたそうで。周りから嫁ぎ遅れだとか言われていたのを気にしていたらしいです」
「いや、それにしたって童に裸で迫るというのは…」
「というかそんな離れた年の娘をなぜ…?」
「父親がそれなりの高官で、まあいろいろ目論んでねじ込んできまして…」
「父親の方は叩いて出た埃で既に処分しましたが、娘の方は一顧だにされなかったせいでもはや廃人寸前です。これ以上の罰はさすがに酷かと」
「…誰か、良い話を纏めてやれ」

ボコボコの顔
篁「お義父さんとお義母さん、ミラにもユウヤにも殴られることは覚悟していたが、なんで鎧衣課長まで」
九郎「いや当たり前だろ。あんたの我侭通すためにどれだけ骨折ると思ってんだ」
巌谷「というかそれだけで済んだのが奇跡だぞ。これ間違いなく外交問題だよ?」

なんだかんだでお義父さんが協力してくれました。でなければこんなウルトラC絶対無理です。


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