そろそろ2話ではなく1話投稿にしようか…?でも一話平均4000届かないで週一とか個人的にはなぁ…。
1988年。15歳になった。
世界情勢は可もなく、不可もなく。
一昨年の86年、押されっぱなしだった中国戦線では中国と台湾が対BETA共闘条約に調印。統一中華戦線が発足した。
以前のことから中国には白い目が向けられていたが、戦線が崩れれば人類全体の危機だ。比較的帝国と友好的な関係がある台湾が緩衝材となる形で、帝国が支援を増やすことになった。
かなり吹っ掛けたらしいが、言い値でゲシュペンストを買った統一中華戦線はようやく踏みとどまることに成功。
ギリギリの状況が続いているものの、それまでに比べればだいぶましな状況だ。
インド亜大陸側はかなり余裕がある。ヨーロッパで実戦試験を行ったスコープドッグの戦果を知って即座にライセンスを取得。全軍に配備した。
ヒマラヤを超えればあとは平坦な土地が続く場所だ。機動力があって数をそろえられる戦力は喉から手が出るほど欲しかったのだろう。
その後も各戦線にスコープドッグを送り込み続けている。前線国家で最も稼いでる国かもしれない。
中東戦線は徐々にハイヴに迫りつつある。タイミングを見て攻略作戦が発動される予定だが、成功したとしてもその後維持する力が残るのか国連側が不安視している。発動されるまではまだかかるかもしれない。
先にハイヴ攻略にかかるのはヨーロッパ戦線かもしれない。
統一されたドイツを中心とした欧州連合に帝国から派遣されたスコープドッグ大隊、そしてインドから輸入した欧州連合側のスコープドッグ部隊が徐々に戦線を押し上げ、ミンスクハイヴの目前まで進めることに成功している。
攻略作戦用のゲシュペンストがそろい次第、突入するはずだ。
最先鋒は666大隊と00機甲大隊。元気にやっているようで何よりだ。
ソ連側にもゲシュペンストが配備された。
アメリカで紆余曲節あったがようやく生産ラインが完成し、そこから回されたものだ。
当初は偉い人たちが身の回りに置こうとしたらしいが、引き渡す条件としてアメリカから”前線でしっかり使われているか抜き打ちで見させてもらう”という条項を盛り込まれたため、前線配備が進んでいる。
そのアメリカにも動きがあった。
例の襲撃騒ぎで現政権がやっていた数々の策謀が明るみとなり、次の大統領選挙での政権交代が確実となったのだ。
次の大統領最有力候補はジェームズ・マーシャル上院議員。
襲撃の際身を張って要人、つまり俺を守ったことがマスコミによってリークされ、国民からの人気が一気に上がったのだ。
…そんな理由で選んで大丈夫か。いや、こっちにとっては都合がいいんだが。
先の生産ライン完成。ソ連側への引き渡しや条項の盛り込みなどもマーシャル議員の力が確実に増えている証拠だ。
同時にその議員から連絡があった。G弾に関してだ。
昨年G弾の起爆実験が行われ、成功したとのこと。
検証の結果、俺の渡した論文の通りのデータが観測され、最悪の結果が十分起こりうることが立証されたそうだ。
G弾を主力としたハイヴ攻略計画は一時凍結。HIーMAERF計画については進展があることから即時中止にはならないそうだ。
そんな中、俺はといえば。
「ようこそ中佐。歓迎いたします」
「こちらこそ、帝国発展の立役者に会えて光栄だ」
研究所に一人の士官を迎えていた。
「さて、さっそく本題に入らせてもらおう。わしに預けられるという船はどこにある?」
「せっかちですね。こっちですよ」
言うなりエレベーターを起動。さらに下へ下がる。
「何せでかいもんで。さらに下に建造ドックを作ってそこで今も建造中です。艤装が終わるまではまだまだかかりますね」
というか、ドックが出来上がったのがつい最近だ。今はフレームがようやく組みあがった段階。進水式まであと2年といったところだ。
「これが…!」
「シロガネ級一番艦シロガネ。完成すればそう名付けられるはずです」
フレームだけながら500メートルを超える大きさ。
既存のどの戦艦よりも巨大な大砲。
何より”上下対称”に作られている船体。
「本当なのだな。”空中戦艦”というのは」
「空中どころか宇宙もこのまま行けますよ。何せ”万能戦闘母艦”ですので」
シロガネ級万能戦闘母艦一番艦シロガネ
それがここで作られているものの正体だ。
もとはスパロボOGに登場する”スペースノア級万能戦闘母艦”の一番艦シロガネだ。
……余談だが、ネームシップであるスペースノアはゲームにもアニメにも登場していない。試作型の0番艦として設定上存在するだけだ。だったらシロガネ級でいいと思うのだが。
さておき、この先ハイヴ攻略作戦を進めるうえで問題なのが制圧砲撃能力の低下だ。
内陸部では巨大な大砲は運用が難しい。ミサイルで代替したとしても一度に持ち運べる弾薬には限りがある。
そしてそれは戦場まで補給線という形で運ばねばならない。一度はBETAに奪われた土地を、トラックなどで、だ。
前線で大量に使用される弾薬をトラックのピストン輸送で運び続けるのは無理がある。内陸部に行けば行くほどに。
では工場を作ればいいという問題でもない。結局材料を運ばねばならないからだ。何より奇襲に備えて戦力を張りつかせねばならなくなる。
空路を使うのも不安が残る。光線級に撃ち落とされる危険が付きまとうし、早くはあっても陸路よりも運べる量は少ない。輸送費も割高だ。
軌道爆撃?精度は見込めないし毎回宇宙まで爆弾持ってくコストをどうやってねん出するのか。
結果、砲撃は残量を心配しながら行わねばならず、制圧能力は低下する。
それはBETAの数の暴力を前線部隊が肩代わりしなければならなくなる、ということだ。
それを解決するために考えたのが、空中戦艦。
光線級からのレーザーを弾き、積載された大砲によって面制圧を行う空飛ぶ砲台陣地。
いずれ行われる反抗作戦に必要なものとしてかねてから将軍様に申請していたが、ようやく許可と予算が下りたのだ。
そのテストベッドとして必要になると思った機能を詰め込めるだけ詰め込んだのがこのシロガネだ。
こいつでデータを取り、機能の要不要を見極めたうえで量産型の空中戦艦を開発する予定だ。
そして、そんなある意味キワモノを預けられる艦長として白羽の矢が立ったのがこの人。
「やはり不安ですか?水無瀬中佐」
「何の、むしろ武者震いしておるくらいだ」
水無瀬 大鉄中佐。
帝国海軍の士官でありながら、航宙艦の艦長経験もあるという稀有な人物だ。
現場主義の人で、本来なら艦隊提督になってもおかしくない人なのだそうだが。
”生涯一艦長で十分”と昇進を断っている変わり種だそうだ。
唯その分、船を操る経験でこの人以上の艦長はいない、と紹介された。
…スパロボOGにおいても、シロガネの初代艦長はこの人だった。
やはりそういった因果でもあるのだろうか。
「将軍様から許可はもらっています。運用人員は中佐が好きに集めてください。もっとも、進水式やるまで2年はかかりますが」
「それだけ人員を吟味できる、ということだろう?乗れなくてもできることはある。しばらくここに通わせてもらうぞ」
「セキュリティパスはこれです。出入り口は後で護衛の人から聞いてください。資料はあちらに。質問・意見があればいつでも受け付けますので内線で呼んでください」
「助かる」
そう言って中佐は奥のブースに入っていった。
しばらくは出てこないだろう。
「いやあ、壮観ですな」
代わりに呼んでないおっさんの声が聞こえてきた。
「何の用?鎧衣課長」
「いえ、人類反抗作戦の切り札を一目見ておきたかったもので。それとお土産をお持ちしました。白い恋人というのですが」
相変わらずチョイスが謎だ。確か先週までオーストラリアに行っていたはずなんだが。
「本題は?ごまかすならたたき出すぞ」
「頼まれていた少年の監視ですよ。ご記憶にない?」
「動きがあったんだな?」
「小さなことでも常識から外れたことがあれば教えるように、というので不審に思っておりましたが」
鎧衣課長は懐から一枚の紙を取り出した。
「バーンファイトのスコア表?」
「5歳の少年が出せる成績ではありませんな。実戦経験のある衛士にも聞きましたが、明らかに実戦慣れした動きだそうです」
バーンファイトは俺プロデュースの対戦格闘ロボットアクションゲームだ。
ゲームセンター向けのアーケードとして開発したが、これはゲシュペンストのコックピットをほぼそのまま再現したから。
そう、これはゲシュペンストの簡易シミュレーターなのだ。
幼少期から遊びと言う体の戦術機操縦訓練という裏向きの理由と、TC-OSへのより有効なモーション・パターンデータを収集する、という表向きの理由でゲーム会社に委託。日本だけでなく海外にも進出した超人気タイトルになりつつある。
何せ本当にある戦術機を操縦できるのだ。昨今の情勢を考えればそりゃ人気が出るに決まっている。
「匿体の大きさ的に5歳じゃ無理があるだろうに、よくやろうとしたもんだ」
「例の幼児用の小型版を使ったようですな。こうなることを知っていたから、幼児用の一号機を横浜に置いたので?」
それには答えず、俺は次の予定を決める。
「横浜に行く。直接会って確かめるよ。俺の予想通りなのか、否か」
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ブーストダッシュ。
一気に距離を詰めてクローを振る。
後ろに下がって避けた相手に右腕の3連機関砲で追撃。
盾で防御しようとした相手に再びのブーストダッシュでタックル。
体勢が崩れた相手に今度こそクローを叩きつける。
そこから逃がさず右腕にもプラズマカッターを装備。
格闘コンボで一気に耐久ゲージを削る。そして。
”YOU WIN!!”
画面に映るのは崩れ落ちる相手の機体と、勝利を示す言葉。
しかし、俺の心は落胆しかない。
「弱い、な」
ちっとも練習になりやしない。
そりゃ現役衛士に比べれば弱いのは当たり前かもしれない。しかしここまで歯ごたえがないのでは、ストーリーモードで耐久無限組手をするか、コンピューターと戦ったほうがまだましだ。
ゲーセンを出る。これ以上は”訓練”になりそうもない。
純夏と一緒でなくてよかった。今の顔は見せたくない。きっとひどい顔をしている。
あてもなく街をぶらつく。この世界に”生まれ変わって”5年。人は”まだ”5年というかもしれない。だが、俺にとっては”もう”5年なのだ。
その5年で、俺は何も変えることができていない。今の年齢を考えれば当たり前のことだが、それが歯がゆかった。
「変えられるのか?俺は、未来を」
この世界は、俺が知っている世界とかなり違っている。
見たことのない戦術機。違っている歴史。知らないゲーム。
だが、それは俺が何もしなくていい理由にはならない。
”あの”絶望の未来を知るものとして、なんとしても未来を変えなくてはならない。なのに。
「白銀 武だな?」
声をかけられたのは、そんなことを考えていた時だった。
俺よりも大きい、恐らくは中学生。
黒みがかった銀髪に、どす黒い瞳。だがそこには強烈な意思を感じる。
「そう、だけど。あんたは?」
俺の質問には答えてくれなかった。
代わりに、さらに質問してきた。
俺が、絶対に反応せざるを得ない質問を。
「その前に聞くぞ」
「お前、今”何周目”だ?」
悲観的な考察のせいで最近出番がない印象ですが、やっぱり彼らがいないと始まらないと思うので。
活躍させられるかは明日の土井中のみが知る…!
あ、気が早いですが閑話入ります。