MUV-LUV大戦   作:土井中32

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オラァ!遅くなった詫びに7000字だァ!!
…ごめんなさい、分割できませんでした。


42話 地獄の中でなお輝いて

 

 

九州内陸部への母艦級出現。

この凶報に、九州前線司令部は当初予定していた作戦プランを放棄した。

決戦要塞での水際防衛。それが叶わない場合は徐々に後退しながら戦線を構築、少しでも九州への被害を減らす予定だった。

しかし内陸部へ母艦級が出現すればそのプランは成り立たない。ゆえに九州前線総司令たる彩峰少将は一つの決断をする。

 

九州全域を戦闘区域とし、”九州その物を牢獄として本州への上陸を阻止する”。

九州をぐるりと取り囲む決戦要塞を、外敵を打ち払うための砦としてだけでなく内からの敵を閉じ込めるための檻としても使う、という判断だった。

 

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九州環状線。

決戦要塞のすぐ内陸側を走るその線路を、今ひた走るのは一台のディーゼル車が引っ張る多数の貨物車両であった。

 

「先輩、大丈夫ですかね。この壁のすぐ向こうにはBETAが」

「それを大丈夫にするために俺たちはここにいるんだろうが、ビビッてないでやることやれ」

 

運転席で言い合いながらディーゼルをひた走らせる彼らは軍属ではない。

九州環状線の国鉄職員である。

 

戦える人間は文字通り歩兵まで防衛線に参加しており、補給部隊だけでは手が足りず。志願者だけで構成された臨時列車が大量の武器弾薬燃料を乗せて走り回っていた。

 

「おう、見えたぞ。合図送れ」

「は、はい」

 

線路の先にうっすら見えた人型のシルエット。ただしその大きさは人間の倍はある。

決戦要塞から補給を受け取りに来たスコープドッグたちだ。

ディーゼル車を操る先輩職員がアクセルを緩め、しかし停車はさせない。

いちいち停車させて降ろしていられる状況ではないため、併走しながら降ろすという危険な方法がとられていた。

誰よりも長く乗ってきた帝国のスコープドッグ乗りたちだからこそできる無茶であったが、それでも事故の可能性は高い。

双方慎重に速度を合わせながら走り、コンテナを下ろす。

やがて、必要な分のコンテナを下したスコープドッグ達が離れていく。

臨時列車は彼らの他にも走っており、日本帝国特有の分刻みの正確なスケジュールを、この緊急時においてもきっちり守って運行させていた。

 

「お疲れさん。何か朗報はあるかい?」

『お疲れさん。残念ながら凶報しかない』

 

気安い口調で先輩職員が無線機で話しかける。

答えたのは先ほどのスコープドッグ達の隊長だ。

こんな状況だ。軍人だ民間人だ等という垣根はすでに取っ払われ、彼らは戦友という一つの運命共同体となっていた。

 

『プランE発令だ。内陸部が戦場になる』

「内陸が?どっか破られたのか!?」

『地中侵攻だ。奴らでかい掘削機みたいなやつで穴掘って、下から襲ってくることにしたらしい。出現地点はすでに特定されたが、内陸への侵攻を許すことに変わりはない。

決戦要塞を檻の代わりにして、九州にBETAを閉じ込めることになる。恐らく今運んでるのがお前さんたちの最後の仕事だろう、無事に生きて帰れよ』

 

距離が離れすぎたのか、それきり無線機は何も答えなくなる。

先輩は神妙な顔でスコープドッグが消えた方向を見ていたが、後輩は慌てて先輩に話しかける。

 

「ま、不味いんじゃないですか!?早く帰らなきゃ」

「馬鹿野郎!まだ積み荷と配達先が残ってんだろうが!九州丸ごと戦場になるってんなら 猶更(なおさら)こいつはちゃんと届けなきゃならねえだろ!

どのみち、後ろからは他の車両が来てて後戻りはできねぇ。前に進むしかねえんだ、分かったら腹くくれ!」

「は、はいぃ!」

 

なんでこいつ志願したんだろう、という先輩の疑問を放り出し、彼らは進む。

自分たちが運ぶ荷物が、勝利に繋がると信じて。

 

――ザザッ――

 

「あ?なんだ?」

 

――たった一つ 誇れるものは この身を投げ出す勇気――

――お前を信じすべてを託した 願いを見捨てるな――

 

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決戦要塞、長崎防衛線。

 

真っ先にBETAが上陸し帝国侵攻戦の火蓋が切られたここは、文字通り屍山血河の様相を呈していた。

決戦要塞こそいまだ健在だが、度重なるレーザー攻撃によっていくつかの要塞砲や備え付けの盾は破壊されており。

それでも防人たちは己の命を盾としてこの防衛線を死守していた。

 

『生きてる連中は立て!おかわりの時間だ!』

『クソ、まだ腹3分目だぞ』

『こっちは6分目だ、先に出といてやるからゆっくり食ってな』

 

スコープドッグが持ってきた補給物資を積み込んでいた戦術機たちが立ち上がる。

 

『おい、誰か予備の盾ないか?さっきの戦闘で溶けちまった』

『そこら辺に備え付けの奴の残骸転がってんだろ。それでももってけ』

 

ところどころ焦げたゲシュペンストがドロドロに溶けた盾を捨てて、真ん中あたりで溶断された盾の残骸を持ち上げる。

 

『てめェ!それ俺の装備じゃねえか!?』

『片腕で何言ってやがる。どうせ装備できないんだから俺に寄越せ!』

 

片腕の同僚からガトリング砲を奪ったスコープドッグが残弾を確認している。

 

『すまん、足をやられた。誰か長物持ってないか?俺のライフルと交換してくれ』

『ちょうどいい、前に出て暴れたかったんだ。俺のロングライフルと交換しようぜ』

 

座り込んでいた撃震から突撃砲を受け取ったゲシュペンストが前へと進み出る。

まさに満身創痍。

損傷していない機体など一機もいない。

それでも彼らは一歩も引かない。

 

後ろには、何よりも守りたいものがあるから。

 

『CPよりリビングデッドども、朗報だ』

『この状況でか?』

『米国第七艦隊からの報告だ。最後尾のBETAが海に入ったってよ』

『つまり、先が見えたってわけか』

『ここにドンケツが着くまで何時間だ?』

『簡単だ。いなくなるまでぶっ殺せ!』

『ハハハ!違いない!』

 

だから、最後の一兵になっても、彼らは引かない。

 

――残された選択肢は 退路なき道――

 

「あ?なんだこの歌」

 

――決して振り向かずに 僕らは行く――

 

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シロガネが、揺れる。

 

「左舷7番フレームに直撃!3番ミサイル発射管使用不能!」

「近隣ブロック閉鎖!誘爆の可能性がある、近くにいる連中は退避しろ!」

「5番副砲に重レーザーが直撃、脱落しました!射撃指揮所応答ありません!」

「エネルギーライン切断!他の砲塔に回せ!」

「ビーム吸収システム、キャパシタ許容限界まであと15%!」

「反撃薄いぞ、もっと撃ちまくれ!」

 

無事な所などどこにもない。

ボロボロになりながらも、シロガネはいまだ健在だった。

 

「博士、まだ持ちますか!」

「あと30分は死んでも持たせてやらぁ!」

「では脱出を!あなたを失うわけには…」

「それじゃ5分も持たねえよ!とっくに逃げ出せる状況じゃねぇ、全員死ぬか、全員生きるかだ!」

「博士…!」

 

脱出を促す小野寺大尉を怒鳴りつけ、ダメコンの指揮に戻る。

やはり未完成故の問題が噴出し、効率的に動けているとはいいがたい。

宙に浮いてるから光線属種以外からの攻撃は受けてないが、その分レーザーの集中具合が半端ではない。

乗ってる連中が優秀な奴とベテランばっかりだから何とかなっているが、それも限界が近い。

 

だが、それはBETAも同じだ。

本州側に向かってきていたBETAは後続が途絶え、今相手にしている分が最後だ。それでも万単位だが。

九州は地獄めいた状況になっているらしいが、本州側への侵攻は防げる目算が立っているらしい。

 

今、ここにいる連中をどうにかできれば。

本土防衛は成る。

こうなりゃ後は我慢比べだ。どっちが先に音を上げるかの。

 

「ハッハーッ!人間の生き意地汚さを嘗めるなよBETA共!」

 

シロガネは満身創痍だが、主砲はすべて健在。

エネルギーはむしろ有り余っている。

諦める理由など、どこにもない、ないが…!

 

(戦闘開始からまる一昼夜、交代で休憩してるがほとんどぶっ通しで誰もかれもが限界だ。我慢比べに耐えられるか!?)

 

一抹の不安が俺や水無瀬艦長の脳裏をよぎったその時。

 

 

 

 

『トリガァァァハッピィィィィィィ!!!』

 

 

 

 

うるせぇ!?鼓膜が破れる!

 

「なんだ今のは!どこの馬鹿だ!?」

 

次の瞬間、シロガネを取り囲んでいたBETAの一部が吹っ飛ぶ。

同時に帝都方向より味方の反応。

 

『遅れて申し訳ない!こちらマオ・インダストリー所属試験課中隊!これより防衛戦に参加します!』

『帝国技術廠所属ファング大隊指揮官、篁裕唯少佐だ。我々も防衛戦に参加する!』

 

技術廠とうちの連中!?試作機引っ張り出してきたのか!

 

『ヒャッハー!撃ち放題だぜぇぇぇ!!』

 

先頭で後先考えずぶっ放しまくってんのは…惨鉄か!

A-10の魔改造機。コストと整備性の問題でお蔵入りになったが、性能だけはピカ一だ。

戦艦に匹敵する火力をばらまいて一気にBETAの数を減らしている。

その他の機体も正式採用こそ逃したが性能だけは折り紙付きだ。乗ってる連中もそんなキワモノを十全に動かせる手練ればかり。そいつらが横からぶん殴ってBETAの集団に大穴を開けてくれた。

 

(これなら…あとは戦ってる連中の体力と気力を持たせる”何か”があれば…!)

 

そう俺が思った時。

 

 

 

――たった一つ護り続けた 誇りは消せはしないさ――

 

 

 

「おい誰だ、この状況で歌ってんのは!?」

「格納庫のタイプS、博士の護衛機です!」

 

あいつ、手慰みで作ってたやつを持ってきてたのか!?

繋げられるネットワークは全部繋げて流してやがる…!

 

 

 

――身体に受けた傷の数だけ (こころ)に刻め 闘志を――

 

 

 

「紅蓮大将!?なんで一緒に歌って」

「いやいい!このままやらせとけ!」

 

美沙が歌ったのを呼び水にして、戦域全体に歌があふれていく。

口を動かせる奴全員が歌っていた。

 

 

 

――愛する星よ人々よ 遠い夜明けに誓おう――

 

 

 

「歌が銀河を動かす、か」

「博士?」

「何でもない。おら、正念場だぞてめえら!」

 

歌を歌ったことによるものか、兵士たちの気力が徐々に戻りつつある。

まだ、俺たちは戦える。

 

 

 

――溢れる思い 抱きしめ光を目指して――

 

 

 

そして――

 

 

-----------------------------

 

 

「――終わった?」

「確認できる範囲ではBETAの反応はありません。現在生き残りの守備隊が確認中」

「警戒は怠るな。今のうちにシロガネの補修と状態把握に努めろ」

 

二度目の朝日を浴びながら、シロガネはいまだ空にあった。

地上はBETAだらけだが、とりあえず動くやつはいないようだ。

真っ赤に染まった大地を、同じく真っ赤に染まったゲシュペンストやスコープドッグたちが動き回っている。

 

「補給線は?」

「健在です。今も物資が九州に運ばれています」

「その九州はどうなっている?」

「プランE、九州封じ込めが発動され決戦要塞の内も外も戦場となっていますが、今のところBETAを逃がしてはいないようです」

 

究極の乱戦だな。何人生き残れるだろうか。

 

「大鉄艦長、紅蓮大将からです。すぐに機体を整備してほしいと」

「理由は?」

「九州戦線への増援に出る、と。もちろん、殿下の御裁可が出たらだそうですが」

「博士、どのぐらいでできますか?」

「格納庫周りは被害ほとんどないからな。特に被弾もしてないようだし、1機30分で何とかしてやるよ。零式は?」

「そちらも九州に向かうと」

「帝都へ通信、殿下の御裁可を仰げ。博士、申し訳ないが今少しお願いいたします」

「シロガネの状況把握と同時並行か。厳しいが何とかするさ」

 

格納庫に向かうため、ブリッジを出る。

…誰もいない場所で、俺は拳を壁に叩きつけた。

 

「…まだ終わってないんだ。こんなのは後にしろ、俺」

 

 

-----------------------------

 

 

九州内陸部。

まさに地獄の一丁目と化したここで、それに抗う者たちがいた。

 

『位置特定!2時方向距離2000、見えてるかヤンキー共!』

『ジジイの目よりくっきり見えてるぜ、今度も俺のぶっ太いのでぶち抜いてやる!』

『出てくるぞ、カウント10!』

 

母艦級を待ち構える彼らを、しかし邪魔するものたちがいた。

 

『緊急!BETAの集団が接近!』

『どきやがれこのクソッタレども!』

『誰だ失敗しやがったのは!?そこら中ウヨウヨしてるじゃねえか!』

『イーグル3から8は周辺掃討!邪魔をさせるな!』

 

帝国軍、米軍混成部隊が戦場を駆ける。

もはや戦線を構築しての戦闘は困難と化した九州で、前線司令部と彩峰司令の選択は部隊ごとに判断をゆだね、自らは入ってきた情報の精査、伝達に集中すること。

縦の指揮系統による命令を待っていてはこの乱戦には対応できない、ならば現場の個別判断と横の繋がりにて対処する。

本土決戦、通信方法が豊富な場所だからこそ叶う無茶であった。

 

この判断に至ったのは衛士たちがタイプS搭乗資格テストでハイヴ内での戦闘を経験していたことも大きい。

後方と連絡が取れず部隊単位で常に最善の選択を選ばなければならない、とっさの判断が生死を分けるハイヴ内戦闘での経験がこの場で生きたのだ。

この判断には米軍側が渋ったものの、戦術機部隊を統括するトーマス・J・ホイットモア大佐が独断で了承。

各部隊が司令部から降りてくる情報をもとに各個に連絡を取り合い、この乱戦に対応していた。

 

『3,2,1、出るぞ!』

『ドンピシャだぁ!』

 

地面をぶち破って表れた母艦級目掛け、ガーリオンがグレネードランチャーでS-11弾頭を発射する。

開き始めた口にそれは吸い込まれ、直後、母艦級は内側から木っ端みじんに吹っ飛ぶ。

 

『残敵掃討を怠るな!CP、母艦級撃破を確認!』

『こちらでも確認しました。現在宮崎方面で倒し損ねた母艦級よりBETAが噴出中。周辺部隊が対処しています』

『この辺りのはその撃ち漏らしか。他の状況は?』

『決戦要塞群はなおも稼働中。ですが長崎方面がかなり押し込まれています。周辺部隊が集結中ですが物資が足りていません』

『補給が滞っているのか。最寄りの物資集積地点は?』

『北九州基地にまだ物資がありますが、輸送手段がスコープドッグしかなく…』

 

スコープドッグはその汎用性をいかんなく発揮し八面六臂の大活躍をしていたが、何分小型である故に一度に運べる量には限度があった。

 

『了解した。俺たちはそちらに向かって補給の援護に回る。どうせこっちも補給が必要なんだ、たっぷり運んでやる』

『CP了解、司令部にもそう報告します』

『というわけだ、北九州基地に向かう。ヤンキー共、あんたたちは?』

『付き合うぜ。こっちも指揮系統なんざあってないようなものだ。ならあんたたちと一緒に動いたほうがよさそうだ』

『了解した。全機、いくぞ!』

 

ゲシュペンストとガーリオンが飛び出す。

今この場において、国の違いなど些細なことであった。

 

 

 

――未来への答えなど たやすく掴めはしない――

 

 

 

『ところで、さっきから聞こえてくるこの歌は何なんだ?』

『頑張れって俺たちを鼓舞してんのさ。歌詞知りたいか?』

『そいつは全部終わってからにするよ。今はいい歌ってだけで十分さ!』

 

 

 

――人はみな闇の中を 手探りで彷徨う――

 

 

 

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「ぬぅんッ!!」

 

眼前を塞ぐ要塞級を、ロシュセイバーで唐竹に切り伏せる。

プラズマカッターと同種だが多大なエネルギー消費と引き換えに1,5倍のリーチを持つこの試作兵装は、潤沢なエネルギー供給を受けられるタイプS乗りがこぞって装備しているものだ。

クローバックラーよりも剣術を生かせるこちらのほうがよいという者もおり、少数ながら生産されて運用されている。

 

『開少佐、一度戻って補給と休息を!もう6時間は戦いしっぱなしです、バイタルコンディションも一部レッドが出てるんですよ!?』

「メガ・ブラスターキャノンッ!!」

 

眼前を覆い尽くすBETAを薙ぎ払うが、すぐに後続が押し寄せてくる。

CPが騒いでいるが、とてもそんな余裕はない。

長崎方面の決戦要塞はほぼ廃墟同然。自分を含むタイプSが要塞より前に出て注意を引き付けているから何とかなっている。

今ここで一人でも抜ければ、その瞬間長崎防衛線は崩壊する。

だがCPが言うとおり、こちらも限界が近い。

流石ゲシュペンストはまだまだ余裕があるが、乗っているこちらが持たなくなりつつある。

 

 

 

――たった一つ護り続けた 誇りは消せはしないさ――

 

 

 

既に半ば気合で動いているようなものだ、恐らく他の連中も同じだろう。

BETA共も底が見えたはずだが、ここにかかる圧力が減るのは後何時間後か。

 

このチキンレース、どちらに軍配が上がるか。

そんな余計な思考を頭から追い出し、眼前の状況に集中しようとした時。

 

「キエエェェィッ!!」

 

気合の乗った声とともに、上から巨大な何かが落ちてきた。

それが振り下ろした刀の衝撃で、BETA共が消し飛ぶ。

よく見れば、その巨人には見覚えがあった。さっきの声にも。

 

「グルンガスト零式!?ゼンガーか!」

 

九郎君の研究所で実験的に開発された超大型戦術機。

一部性能には目を見張るものがあったもののデメリットや制約も多く、結局一機の試作だけで終わった機体だ。

 

『北村少佐、これよりここは俺と斯衛16大隊が受け持つ。下がって補給と休息を取れ』

「16大隊!?帝都の守りを空にしたのか!!」

『将軍閣下の御判断だ。本州側に迫っていたBETA共は既に駆逐した。後はここを守り切れば本土防衛は成る。既に限界のはずだ、一度下がって体勢を整えろ』

 

周りを見れば、斯衛仕様のタイプSが次々とこの戦域に飛び込んできている。

これだけの数がいれば、ローテーションを組んでの休息も取れるだろう。

 

「…了解した。すぐに戻る、それまでここを頼むぞ」

『承知!!』

 

共に戦っていたタイプSをまとめ、後退する。

まだ、終わったわけではない。

だがなんとなく、また妻と娘の顔が見られる。そんな予感がした。

 

 

 

――身体に受けた傷の数だけ魂”こころ”に刻め 闘志を――

――お前が静かに眠れる日まで すべてを賭けて戦え――

 

 

 

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山口での戦闘が収束してさらに二日。

最後のBETAが掃討されたことが確認された。

 

実に四日にわたる日本帝国防衛戦はようやく終わりを迎えたのであった。

 

 

 





〇念のため

武「九郎と約束したけど、せめて何が置いてあるのかぐらいは確かめてもいいだろ、うん。
えーと、この倉庫の中か…」

ロケットに括りつけられたゲシュペンスト(両腕なし)

武「あの野郎…!」


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