MUV-LUV大戦   作:土井中32

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連日投稿3発目ェ!!(きっと)




46話 あれも足りないこれも足りない

 

 

「トロニウムにBETAが引き寄せられる理由が分かった?」

 

将軍様の執務室にて。

慎重に調べた結果の報告に来ていた。

 

「原因は量子波だったよ。エネルギー放出時にそれがトロニウムから発せられていたんだ」

「その、量子波、というのは何なのだ?」

 

疑問顔の紅蓮のおっさんに説明する。

 

「ものすごく大雑把に言えば、量子ってのは量子力学における原子などの物質の最小単位だな。そこは一般人でも知ってるような物理法則とは全く違う、奇々怪々な振る舞いが当たり前のように行われる世界だ。それらに何とか法則を見つけ出そう、ていうのが量子力学になる。

で、その量子が波のように放出されているから量子波、と呼称したんだが。トロニウムを励起させるとそいつがエネルギーと一緒に放出されるんだ。放出されるエネルギーが増えれば増えるほど、より強く」

「それを、BETAが観測していると?」

「帝国侵攻後の掃討戦の時に何体か捕獲してもらったろ。あれを使って実験したんだ。トロニウムそのものよりも量子波に引き寄せられていた」

 

執務室にある大型ディスプレイにその時の実験映像を見せる。

明らかに見えるところにトロニウムがあるのに、捕獲されたBETAはそれより遠い位置にある量子波を発生させる機械に反応を示している。

 

「原理が分かったから、これをシャットアウトするようにすればBETAを呼び寄せることはなくなる。そっちのめどもほぼついてるよ」

「では、やはり?」

「ハガネの特装砲として予定通り搭載する。名づけるなら重金属粒子砲、トロニウム・バスターキャノンてところか」

 

原作スパロボOGでも搭載されていた地球でも指折りの決戦兵器だ。

トロニウム二基を使ったハイパー・トロニウム・バスターキャノンの威力たるや、(演出だろうが)太陽まで相手を吹き飛ばすほどの威力を持つ。

ちなみに、トロニウム・バスターキャノンとなる艦首モジュールは設計を変更した。

特徴的すぎて被弾面積が大きすぎるし、エネルギーチャージ中に被弾して撃てないどころかオーバーロード、なんて笑い話にもならない。

シロガネのカタパルトモジュールをベースに、巨大な砲口が突き出しているデザインに変更した。

発射する直前に砲口のシャッターが展開する仕様になっている。

 

…宇宙戦艦ヤ〇ト?合理性追求したらそうなったんだ仕方ないだろ。

 

「予定通り艦首特装砲による砲艦として運用する、か」

「想定通りの出力が出せれば、衛星軌道からフェイズ3ハイヴを狙撃。反応炉、頭脳級BETAごとハイヴを吹き飛ばせる」

「アウトレンジスナイプか。狙撃などという規模ではないが、成功すれば対BETA戦ががらりと変わるな」

「同時に対人戦もな。絶対脅威論だとか手に入れようとかロクなことにならないだろうな」

 

都市の一つや二つ簡単に吹き飛ばせる大砲だ。絶対良からぬこと考える連中が出る。

 

「そっちは我々大人に任せたまえ。君が苦心して積み上げてきた希望、こんなところで台無しになどさせんよ。そうでしょう鎧衣課長」

「ですな。娘を戦場に出さなくても良くなるというなら、この老骨に鞭打つ価値もありましょう」

 

政治担当と諜報担当が任せろというのだ。ここは任せるべきだろう。

 

「それで九郎よ、トロニウムの管理はどうなっておる?」

「生成に成功したのは全部で8個。全部個別にパッケージングしたうえで封印してある。封印場所は俺しか知らないし、封印解除のためには生体認証含めた複数のロックを解除する必要がある。理論上は俺以外誰も持ち出せないよ」

「では、我々が考えるべきはハガネに搭載した方の扱いですな。これほどの超兵器、扱いを間違えれば正しく人類への脅威となってしまう。そんなことにさせないためにしっかりしなければなりますまい」

「使い方に関してはそっちの管轄だ、任せるよ。鍵つけるってんなら相談ぐらいは乗ってやる」

 

ハガネへのトロニウム搭載許可が出たことで、次の話に移る。

 

「さて、さっき量子波の話をしたけど、これを応用することで通信が可能となる。既存の物より圧倒的に早い速度で、盗聴の可能性をほぼゼロにできるんだが」

「開発に成功してしまった、とかいうのかね?」

「BETAの通信方法がこれだ、て話だ」

 

全員の顔が引き締まる。

 

「詳しく聞かせろ」

「BETAが量子波を感知できる、てことはそれを利用して通信しているんじゃないかと思ってな。捕獲してもらった連中からは量子波の発信はなかったんだが、衛星からハイヴを観測したらドンピシャリ、だったよ」

 

大型ディスプレイの映像を変える。

観測衛星から撮影したハイヴの画像と、同時に観測したデータが映された。

 

「ハイヴから規則性のある量子波の発信が確認された。指向性を高めて発信しているから、間違いなく意図的なものだ」

「指向性?どこに向けてだ」

「甲一号目標、カシュガルだよ」

「…なるほどな。確かに通信としか思えぬ。解読はできそうか?」

「言語のげの字があるかも分かんねえ相手だぞ?それ以前にさっき言った通り量子通信の盗聴は技術的にかなり難しい。コンピュータで解析させてるが、解読が終わる前に戦争が終わるんじゃねえか?どっちが滅びてるか知らんが」

「ヌウ、そううまくはいかんか。解読できれば軍事面でも政治面でも戦争終結に大きく動けるというのに」

「正直盗聴も含めて量子波に関する研究進めたいんだが、地上でやるのはちょっとな。上手くいけばBETAに対するジャミングやステルスに繋がるかもしれないんだが」

 

下手をするとトロニウムの二の舞だ。トロニウムの発する量子波に関しては事前に細大漏らさずデータを取ってたから励起させなくても分かったが、これ以上の研究をするとなるとどうしても量子波を意図的に発生させなくてはならない。

出力次第ではそれがBETAを引き寄せる可能性は否定できない。

 

「いっそ宇宙ステーションがあればいいんだが。アメリカから借りる、のは無理か?」

「借りるとなればトロニウムに関して向こうに話さねばならん。デメリットもな。すまんがそれを許すことはできん」

「それに今はNASAと軍と財務省で取っ組み合い中ですよ。軍の方に優先的に予算が回されるせいで宇宙研究が滞り始めてるそうですし」

「資金援助の代わりに、というのも無理だ。知っての通り今帝国(うち)は火の車だからね。技術提供に関しても待ってほしい。今は一円でも飯の種が必要な状況だ」

 

どうにもならんか。当然財政難だから帝国で宇宙ステーションの建造は難しいし。

ソ連?絶対無理。信用できない。人を信じることを始めたけどそれはそれ、これはこれ。

 

八方塞がりだな。当面は塩漬けにするしかないか。

 

 

「まあ通信内容解読できないまでも、分かることはあったが」

「何だ?」

 

映像を変える。今度はBETAの支配域を写したものだ。

 

「各ハイヴからの通信はすべてカシュガルに向けて送られてるんだが、逆にカシュガルからの通信は全方位に向けて送られている。今のところ例外は一つもない」

「カシュガル以外のハイヴ同士での通信が観測されていない、ということか?」

「ブラフの可能性は多分ない。さっき言った通り量子通信の盗聴は困難を極める。わざわざ欺瞞する必要性は薄い」

「…そなたが以前から提唱していたBETA箒型構造説。それを補強する材料が新たに出てきた、ということか」

 

カシュガル攻略を真っ先にやる理由がまた一つ増えた。

状況証拠でしかないが、こうして積み上げていけばいずれはカシュガル攻略に動けるはずだ。

 

「このデータ使って、国連への働きかけを頼める?」

「珠瀬事務次官に働きかけておこう。地道に味方を増やしていくしかあるまい」

「もっとも、カシュガル攻略を行えるのはいったい何年後になるやら」

 

榊総理(予定)の言葉に、全員で頭を抱えざるを得ない。

現在、地球人類の戦力は払底している。

 

欧州はハイヴ攻略時の損害から立ち直りきっていないし、中華統一戦線はもはや形骸化している。

インド軍はヒマラヤを越えてくるBETAの相手で手一杯。ソ連も同様にシベリアに釘付けだ。

帝国は言わずもがなだし、比較的余裕のあった米軍も中華戦線のテコ入れで多くの戦力と物資を放出している。

拮抗しているとはいえ、かなり後ろ向きの膠着状態だ。

特に問題なのが戦術機不足。

ゲシュペンストの投入で衛士の生存率は上がったものの、今度はそのゲシュペンストが足りなくなるという事態に陥っている。

生産ラインは常時フル稼働し増築だってしているのだが、ここ数年に二度も起きた大規模戦闘での消費が大きすぎて補充が間に合わないのだ。

ひどいところだと一機のゲシュペンストを数人で代わるがわる運用しているところもある。

汎用性の高さとパーソナルデータの変更だけで調整が済むTC-OSだからこそ何とかなっているが、機体への負荷はどうしようもない。想定していた本来の使い方とはいえ、だ。

 

当初、俺はゲシュペンスト一機を複数の衛士で動かす、という運用を想定していた。

長時間の戦闘になりがちな対BETA戦では、疲労による判断能力の低下が原因でやられるケースも少なくない。

なので、一定時間戦ったら次の衛士と交代し、機体は長時間前線に張り付ける態勢を整えればいいのではと考えたのだ。

…まあ、それだけの数の衛士を確保できなかったので絵に描いた餅に終わってしまったが。

ともかく前線の戦術機不足は深刻で、宙に浮いていた第二世代機すら放り込んでようやく戦線が維持できているところもあるくらいだ。

世界全体での弾薬不足も起きており、決戦に持ち込むにはあまりにも物が足りな過ぎた。

 

「ゲシュペンストの投入で物資を貯め込む余裕を作るつもりが、ものの見事にひっくり返されたからなぁ」

「世界全体で失った物資の補充が行われているが、今現在も消費されている以上、備蓄に回せる分は多くない」

「もっとも余裕のあったアメリカも、中華戦線への援軍でそれが吹っ飛んでしまったからな」

「中華と言えば。軌道爆撃、うまく機能しているようですな」

「そのせいで余裕が吹っ飛んでいるともいえるけどな」

 

以前俺が設計図を書き上げた宙間輸送機、タウゼントフェスラー。

単独での大気圏離脱・再突入能力を持ち、航続距離は無補給で月と往復できるほどだ。

それでいて搭載能力はレイディバードと同じ戦術機6~8機とかなり多い。

試作と量産一号機こそ帝国で開発されたが、その後はアメリカで大量生産されている。

既存の再突入型駆逐艦が本体と別でロケットやマスドライバーがなければ宇宙に行けない上、積載量が戦術機2機分しかないことを考えれば多少高くてもこっちを量産するのは当然のことで。

こいつの投入で宇宙ステーション建造や人工衛星の軌道投入にかかるコストは大幅に下がり、その分を他に回せるということでアメリカ、特にNASAから感謝の手紙が届いたほどだ。

…浮いた予算が軍事費に回された愚痴も書かれていたが。

 

そしてこいつを爆撃機に改装したタイプが宇宙軍で運用されている。

積載量で雲泥の差があるから当然だろうが、おかげでアメリカが製造した弾薬が軌道爆撃にほとんど持っていかれ、なかなか備蓄に回せない、といった事態につながっていた。

宇宙から一方的に攻撃できるとはいえ、要は爆弾バラまいてるだけである。

光線級にも迎撃されるし、そもそも精密誘導しているわけじゃないから当たらないものも多い。

前線はそれで助かっているが、今頃アメリカの財務省は顔が赤くなったり青くなったりしているのではないだろうか。

これでもマシなんだけどな。精密誘導弾なんぞ使った日にはアメリカといえど借金の海に消えるのだから。

 

「本来なら軌道上に建設した基地に弾薬を備蓄、適時持ち出して爆撃するつもりが、備蓄する暇もないってんだからな」

「とはいえ、現在の地球にこれ以上の物資製造能力はありません。無論増築は続けられておりますが、戦場に回す人員を考えると、そちらにばかりリソースを割くわけにも」

「海底資源掘り出し用のメガフロート計画も必要物資作ってる暇がなくてとん挫してるし。不味いな、一番なってほしくなかった物量戦に持ち込まれかけてる」

 

余裕のあるうちに決戦を仕掛けるつもりが、その余裕がなくなり始めている。このままでは原作通りじり貧だ。

 

「こう、全自動工場とか作れんか?」

「結局は資源の採掘量との兼ね合いだからな、作っても原料がなければ話にならねぇよ」

「原料もタダではないからね。掘り出すのもコストを考慮せざるを得ない」

 

資源採掘も常時フル稼働しているが、それでも追いついていない。スコープドッグを資源採掘用に改装したり機械化も進めているらしいが、やはり採掘量にも限界はあるのだ。

 

「ますます九郎の言っている乾坤一擲の決戦が現実味を帯びていきますな」

「その余裕すらないってのは笑えないが。とりあえず俺はハガネの建造に注力するしかないな」

「Mk-Ⅲの試験は順調かね?」

「24時間休みなく振り回してるよ。機体はないけど衛士は余ってる状況だからな、3交代制なおかげでデータが溜まる溜まる」

「試験が完了次第直ぐに生産に移る。優先配備先はハガネだ。中華戦線への派遣ついでに実戦テストを行い、経験を積ませろ」

「いずれ来るカシュガル決戦時の突入部隊育成のため、か」

「もはや前線を押し進めての戦い方はできない。敵の本丸を落とし、混乱している間に一気にけりをつけるしかあるまい。総員、そのために全力を尽くせ」

「「「「御意」」」」

 

すぐに将軍様の執務室を辞す。やることはまだまだ山積みだ。

 

 

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ようやくだ。

ようやく準備が整った。

 

マスターによって送り出され、この場所にたどり着いて8年。

様々な苦難を乗り越え、ようやく故郷に向けて出発できる。

少々張り切りすぎてお土産が多くなってしまったゆえ、故郷に到達するのは2年後になるだろう。

 

マスターはどうしているだろうか。

覚えてくれているだろうか。

既に見限ってしまっただろうか。

それとも目的に邁進しているのだろうか。

亡くなっている可能性も高いが、できれば生きてもう一度会いたい。

それだけを支えにして頑張ってきたのだ。

 

マスターが亡くなっていた時は好きにしていい、と言われているが、もしも。

もしも、マスターが奴らの悪意に飲まれていたら。

 

 

 

その時は、私が奴らに引導を渡そう。

マスターは好きにしていいと、そう言ったのだから。

 

 





パソコン新調しました!今までは家族共用だったので使えない時もあったのですが、中古品のノーパソを安く手に入れることに!


タ ッ チ パ ッ ド の 調 子 が 悪 い 。

バ ッ テ リ ー が 3 時 間 持 た な い 。


中古品だからある程度は覚悟してましたが、ここまでひどいとは…
特にタッチパッドの調子が悪過ぎるので、追加でマウスを購入することに…。
テザリングすればネットにつなげますし、今までネット喫茶からアップしてたのに比べればだいぶ懐に優しいんですが、何とも言えない気分です。
返品すると送料かかるし、送るための箱は自己負担でめんどくさい…!
おのれJE〇TC…!

本編更新は以上!明日はIFの話です!

…これ、載せて大丈夫か…?

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