MUV-LUV大戦   作:土井中32

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新年二発目ェ!!


…なんで元旦から頭文字TSFなんかやってるんだろう?
そして吹雪のバカみたいな性能と必要な金塊の数よ…。




50話 いいこと悪いこと

 

 

国連が荒れに荒れている。

きぼうそのものと持ち込まれた大量の物資をどう扱うかで揉めているのだ。

 

物資を買い付けたい奴。

きぼうその物が欲しい奴。

生産される各種物資を予約しようとする奴。

 

互いの欲がぶつかりあって全く収拾がつかないらしい。

当然のことながら持ち主である俺を何とかしてしまおう、という連中もいたが、全員排除されている。

斯衛の連中だけでなく、各国のスパイの皆さんも頑張っているようだ。

最悪キレた俺がきぼうでメテオストライクしかねないからね。

実際そう言ってあるし。

ちなみにきぼうはラグランジュ1、いわゆる月と地球の間に固定した。

将来的な月奪還作戦をやるのにちょうどいい位置だからだ。

そして当然護衛なしというわけにはいかず、今は帝国軍と斯衛が共同で警備に当たっている。

国連に任せたらだれが警備するかでまた揉めるのが目に見えるし、だらだら伸びて結局無防備のままになりそうだし。

持ち主権限ということで指名、警備委託ということになった。

お代は備蓄されていたゲシュペンストと各種物資、それから新型設計図を元にライン変更して再起動した製造ラインから吐き出されるMk-Ⅲだ。

帝国に警備委託したことに関して文句を言うやつもいたが、

 

「じゃあ24時間以内に警備要綱まとめて警備始められる?」

 

と聞いたら全員閉口した。

帝国はやってのけたというのに、まったく情けない。

陸軍と斯衛からタイプSを合計10機も出すという大盤振る舞いで。

おまけにハガネが常駐しているし。

まあ、BETA侵攻であらゆるものが不足していた帝国にとってはしっかり仕事すればほぼ間違いなく物が引き渡される、というのは何よりも代え難いものだから、そりゃあ手厚く守るというものだ。

原料直に採掘して製造してるから人件費かかってない分安いし。

宇宙から降ろす手間とコスト考慮しても普通に外国から買い付けるよりお得だ。

 

なお、これは国連に対する一種の脅しだ。

”ちんたらやってると物資もきぼうも全部なし崩しに帝国の物になるぞ”という。

欲しけりゃ欲の皮突っ張ってないでさっさとまとまればいいのだ。

…無理なんだろうけど。

 

とはいえ。このまま物資を死蔵していても仕方ないので、最低限の備蓄は残して軍事物資と食料は競売にかけるつもりだ。

とっととMk-Ⅲの生産を進めたいし、帝国に渡す分以外のゲシュペンストも売ってしまう。

初期型とは言え、いまだ前線で引っ張りだこの機体だ。いくら払ってでも欲しい、というところは多いだろう。

ちなみに、ある程度の談合は目を瞑ることにした。

在庫処分してしまいたいというのもあるし、些細なことでもまとまれるならそのほうがいい、という個人的な考えもある。

元手がほぼタダだからこそできることだし、テロリストへの横流しとかないように見張りと追跡はしてもらうが。

手に入った金は新技術開発や実験費用のほか、戦後の九州復興資金やとん挫していたメガフロート計画に回される。

今の帝国は軍事予算でいっぱいいっぱいなので、そういったことまで手が回っていない。

俺なりの罪滅ぼしの一環だ。

 

 

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結局、国連はきぼうの所有を諦めた。

どうやっても各国の折り合いがつかなかったため、使用権を借りる、ということで結論を先延ばしにしたのだ。

 

『期間は対BETA戦が終了するまで。対人戦には施設を利用しない』という条件できぼうの各種機能を貸し出すことで合意した。

表向きには国連軍の予算から一年ごとのレンタル料を支払い、備蓄されていた・これから製造される物資については国連で一括で購入した後競売にかけて各国に分配される、という形になる。

新たにやってくる小惑星?飛んできたらその時改めて交渉するってさ。

共同出資だと金を多く出した国の意見を無視できないし、私物化の可能性も高くなる。

国連軍の予算から出すことで一応はそれを回避している、というアピールだ。一応は。

まあ国連に最も金を出してるのはアメリカで、今のアメリカ大統領は国際協調を唱えるジェームズ・マーシャル氏だ。彼がいるうちはたぶん大丈夫だろう。そのあとはわからんが。

 

貸出合意後、すぐに国連から派遣された人員によってきぼうは稼働を開始した。

造船ドックは建造中のタウゼントフェスラーでいっぱいになり、宇宙港も物資を運び出すための輸送機や整備を待つ爆撃機で埋め尽くされた。

乗組員たちはきぼうのリラクゼーションエリアに滞在して地上と何ら変わらない環境と食事を堪能し、また出撃していく。

地上に降ろさなくても整備や乗組員のリフレッシュができるようになり、宇宙軍の稼働率も大幅に上がりつつある。

この機に乗じてより戦闘向きの宇宙艦を作るという話もあるが、俺は関わってないので数年は先の話になるだろう。

帝国からシロガネ級の稼働データが渡っているそうだから、あとは勝手に何とかするだろうし。

きぼうの実験棟には各国からマッド予備軍な連中が集まって日々研究に邁進している。

マッド予備軍な理由?うちの研究所に所属したいと言ってた連中ばかりとなればそういう表現にもなる。

今のところ爆発事故などは起きていないが、かぐやには厳重な監視を頼んである。

うちの連中のように突然ぶっ飛んだこと始めないとも限らないからな。

 

 

…なお、最重要機密エリア(表に出したくない技術の実験棟)にこっそり近づいてかぐやにつまみ出される人間が後を絶たないのは余談である。

興味本位からどこかからの指令を受けてまで多岐にわたるが、つまみ出す前にちょっと”オハナシ”するだけで帰してはいる。

オハナシの内容?鎧衣課長が笑みを浮かべながらげっそりした顔してるのを見て察してくれ。

 

 

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「暗殺計画ゥ?今更だな」

「今回はかなり気合が入っているようですがね」

 

鎧衣課長が前置きなく言うとはそれほどの事態か。

 

「ゲシュペンストのバラマキが止めとなったようで。ゴーストショック再び、ですな」

「彼らが血と汗と涙を積み重ねて形作ってきたものをこうも容易く蹂躙すりゃ、恨まれもするか」

 

ゴーストショック。

どこかで説明したゲシュペンストの登場により発生した軍事企業への大影響のことだ。

いまだ第一世代機が主流の80年代に突如として現れた第三世代、の皮を被った第六世代相当機。

オーパーツと言って差し支えないものがいきなり現れて配備され出したもんだから、当然戦術機を作っていた各種メーカーは大慌て。

新型作っても軍からは必ずこう言われるからだ。

 

「で、それはゲシュペンストより強いのか?」

 

と。そして大抵の機体はゲシュペンストに負ける。

特にアメリカ系の企業が大きな打撃を受けた。

なまじ研究用にブラックボックス化されてない機体をもらったもんだから、軍からの要求は跳ね上がる。

だけどオーパーツ級の機体から得た技術情報を飲み込むにはそれなりの時間が必要だ。発展させるとなれば更なる時間が欲しい。

結果、軍に提出されるのはゲシュペンストの劣化コピーとかその辺で。当然それならゲシュペンスト輸入しろと現場からは突き上げ食らうわけだ。

ハイネマン技師がガーリオン組み立ててある程度アメリカのメンツは保たれたが、あれはいわゆるコンセプトが違うだけで使われている技術はそれほど大差がない。

軍部はステルス戦術機、原作のF-22ラプターを作りたかったようだが、ゲシュペンストのセンサーを欺瞞できるステルス技術を用意できずお流れになったらしい。

…そのつもりで作ったしな。対BETA戦に余計なもの持ち込んでほしくないし。

管制ユニットやOSに仕掛けられていたバックドアもコックピットからして違うゲシュペンストには関係なく、製造時に仕込みしようにもTC-OSにはバックドアなど仕込もうものならその場で接続されたあらゆるコンピュータをクラッキングする対改竄防止プログラムが仕込んである。

このプログラムが起動すると有線無線問わず接続されたすべてのコンピュータのディスプレイには”BABEL”としか表示されなくなり、解除するためには汚染されたすべてのコンピュータを何とか初期化してOSの再インストールから始めなくてはならない。汚染されたすべてのコンピュータを、だ。しかもちゃんと初期化できてないと再発する。

ネットワークが未熟なこの時代だから限定的な被害しか出ないだろうが、こんな目に合えばプログラムに手を出そう、なんて輩は激減するだろう。皆無にはならないだろうが。

つまり仕様の範囲内で使ったりコピーする程度では発動しないが、機体やパイロットに明らかな危害を加えるような改造はできないようにしてあるのだ。

 

まあ、それは置いといて。

 

結果、現場が求める戦術機はゲシュペンストのほぼ一人勝ち。ガーリオンが追いすがっているが代替には絶対至らない、というのが現状だ。

多少高くても性能が保証されてて戦場での稼働率も高いと来れば、それは当然そっちを選ぶよね、と。

これだけぶっ飛んだ性能していながら拡張性も担保されていて、現場からの要望にも簡単に応えられる。

要撃級にしこたま殴られても普通に動くし、稼働時間も長大で継戦能力も高い。

おまけにMk-Ⅲの登場で払い下げのMk-Ⅱが後方国家や小国にも流れてきかねない。

今までは生産能力が足りず他の戦術機にもお呼びがかかっていたが、きぼうの生産ラインとそこに蓄えられたゲシュペンストが放出されれば細々と頑張っていた旧世代機は前線から完全にお役御免になる。

それすなわち戦術機メーカーたちの死である。

 

「欧州あたりは比較的早い時期からゲシュペンストに関わってたし、今はランドグリーズにかかりきりだから除外するとして。喚いてんのはアメリカとソ連、中国あたりか?」

「一番振り回されたのがアメリカでしたから。ガーリオンによって持ち直したとはいえ、Mk-Ⅲの登場でそれも危ぶまれておりますし。中国とソ連は過去の因縁からでしょうな。未だに第三世代機のとっかかりすらつかめていないようで」

「どっちも自業自得じゃねえか。俺直接は関係ないし」

「それはそれ、これはこれ。というのが政治ではよくあることでして」

 

どんだけ面の皮厚いんだ、連中。

ソ連に至っちゃMk-Ⅲをくれてやったばかりだぞ。ブラックボックス外してないけど。

 

「とはいえ。米国大統領がジェームズ・マーシャル氏となり、国際協調に大きくかじを取った現在、表立って何かをするのは難しい」

「だからって俺を暗殺したところで何も変わらんだろ。ゲシュペンストの拡張性なら軽く五十年は現役で行けるぞ?」

「追いつけずあなたを確保することもできないなら、少なくともあなたが消えればこれ以上技術レベルが離されることはない、というのが彼らの考えでして」

 

呆れて二の句も継げない。自分たちで人類の発展妨げようってのか。

 

「人類の業ここに極まれり、てか。で、その話を俺にしてどうしようってんだ?」

「もちろん全力でお守りしますが、知っているのと知らないのとでは心構えが違うでしょう?」

 

変わんないんだけどな、俺の場合。

 

「そこまで馬鹿なら未練はない。いつもそういっているだろうに」

「まだ償いの真っ最中でしょう。殿下からもまだ死なれては困ると仰せつかっております」

 

苦虫をかみつぶした顔になる。

 

「言い含めておかないと平気で命を投げ出しかねませんからな。まだあなたは死ねない。しっかりと覚えていてほしいものです」

「…分かってるよ」

 

そう、まだ死ねない。

俺はまだ責任を果たしてないのだから。

 

「ところで話は変わりますが、あなたに会いたいという方がいまして」

「鎧衣課長の紹介ってことは、いつものくだらない連中じゃないんだよな?」

 

俺に便宜を図ってほしいだとか、技術を提供してくれだとか。

いまだにそんな連中がうちまで来るのだ。

大抵は門前払いだが、中途半端に偉いとこっちもそれなりの人間が対応せねばならず、でも内容は追い返した連中と大差なくて思わず暴言が飛び出すこともある。

…大体後ろ暗いことのあるやつみたいで、叩き出したあと数日以内に豚箱行きになってるが。

 

「天才故どうなるかはわかりかねますが。弱冠14歳で博士号を取った才媛ですよ」

 

…彼女か。

 

「…ここじゃ無理だな。そっちで全部用意してくれ。時間は開けとく」

「今暗殺計画が進行中とお伝えしたばかりですが?それに名前も聞かないうちから決めてよろしいので?」

 

山ほど問題はあるが、会う価値はあるはずだ。多分。

 

「部外者をここにいれる方が機密と防諜の点からまずいだろ。上の実家でも同じだ。だからそっちが用意した会場に出向いてやる。対策徹底的に頼むわ。

会ってやろうじゃねえか、自称天才物理学者様に」

 

 

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「悪魔が巣穴から出てくると?」

「確かな情報だ。×〇ホテルにてとある人物と接触するらしい」

「好機ですな。あの不遜なる悪魔を誅するまたとない機会です」

「他の同志たちの準備は?」

「抜かりなく。いつでも聖戦を始められます」

「よろしい。我らの全てを持ってあの悪魔より天使をお救いするのだ。現場の指揮は頼んだぞ、グリムズ」

「ええ、ええ、もちろんですとも。このアーチボルド・グリムズにお任せを」

 

 

 





〇便宜(例外)

P「ぜひ博士が作曲した曲をうちのアイドルたちに歌わせてほしいんです!!」
九郎「」

自分を納得させる歌であること、最低限の取り分以外は侵攻からの復興に寄付する、という契約で使用許可を出した。
英語などの翻訳版含めてバカ売れした。
特に元東ドイツや帝国侵攻時に現場にいた人間は必ず買ったらしい。
最前線ですら聞かない日はないとか。


今週の更新は以上です!
皆様今年もよろしくお願いします!
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