MUV-LUV大戦   作:土井中32

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寒い…布団から出たくない…。
とりあえず上げましたが夕呼先生のファンの皆様申し訳ありません、かなりアンチ気味です。
原作知識前提のマウントって気持ちのいいものじゃないですよね…。




55話 呪い

 

1993年。

去年起きたあのテロ騒ぎの影響もようやく落ち着きを見せ、表向きには世界は平穏を取り戻していた。

BETAとの戦争中に平穏というのもおかしな話だが。

帝国世論の外国敵視も多少はマシになったものの、やはり簡単には消えそうもない。政府が冷静なのが唯一の救いか。

世界的には恭順派ぶち殺すで一致しているのだが。

 

『ぬ、う、グウ…!』

「TPレベル、さらに低下…ここまでだな。テスト終了、スイッチを切れ」

『ま、待ってくれ九郎、俺はまだ』

「終わりだ。俺の判断が絶対、そう言ったはずだ」

『…分かった』

 

地下研究所。

Mk-Ⅰ型タイプSのT-linkシステムの実験が終了する。

多少ふらつきながらも、白銀が自分の足で歩いてくる。

 

「お疲れ。今日はこれで終わりだ」

「俺はまだいけ」

「終わりだ。これ以上は脳みそをただ痛めつけるだけだ」

 

まだやれる、と言いたげな白銀を説き伏せる。

 

「そもそもよく分からんものがなんか使えそうだからやってみよう、なんていう凄まじく曖昧なところから始まってんだ。ゴールがどこなのかも明確に決まってない。その元気は到達点が決まってから使え」

「…分かったよ」

 

不満げだが、俺の指示に従うのが絶対条件だ。黙ってスポドリを呷る白銀に、今回の成果を教えて焦りを緩和する。

 

「お前さんのおかげでデータもだいぶ集まってきてる。近いうちに仕様を決められるはずだ。そうなったらいやでも限界ギリギリを攻めることになるんだ、今のうちに楽しとけ」

「実際のところ、どのぐらい役に立ちそうなんだ?」

「現状一般向けの装備にはならんな。使える奴が限られ過ぎる。戦闘に応用できるとなれば今のところお前だけだし」

 

元となるテレキネシスαパルス自体は誰でも持っているものだが、現状の増幅装置では戦闘に使えるレベルの出力を出すにはパイロット側が高い念動力を備えていなければならない。

その代わり使える奴がいれば爆発的な力を発揮しそうだが。

 

「載せた機体の構想もできてきてるが、形になるには年単位で時間がかかるな。出来ても乗れる奴ほぼいないだろうけど」

 

”ぼくのかんがえたさいきょうのろぼっと”みたいなもんだが、タイプS以上に乗り手を選ぶ機体になるからな。とても兵器とは言えない機体になりそうだ。

 

「…使いこなせたら、どこまでいけるんだ?」

「まだ概算でしかないが」

 

生唾を飲み込む白銀に言ってやる。

 

「予定性能を発揮できれば、単機で星の一つや二つぶっ壊せる化け物が出来上がるだろうな」

 

ぶっ飛びすぎて戦闘の許可でなさそうだが。

 

「…乗りこなせれば、一人で月や火星を取り戻せるか?」

「乗り手の限界無視すれば、な。現状お前の念動力レベルでも手に余る機体だ。今のところは夢物語だよ」

 

研究は続けるが、建造することはないだろう。こんなの乗りこなせる奴はこの先現れないだろうし。

3人乗りの変形合体する方がまだマシ、なんてレベルの念動力を必要とするのだから。

 

「なら問題ない。そいつに乗るのは俺が最初で最後だ」

「大言壮語は衛士資格とってから言うんだな。またこの前みたいにたんこぶつけてちゃしまらねえぞ?」

「あ、あんときはお前を救えたんだから大目に見てくれたって良かっただろ!?」

 

俺じゃなく殴った連中に言ってくれよ。

 

「9歳のガキが大人でも危険なことしたんだ、感謝はしてるがそれはそれとして怒らないわけにはいかないだろ。立場が逆ならお前もそうしたろ?」

「くそう。いまだ小さな体が恨めしい…!」

 

…できれば、こいつが戦場に立つ前にすべて終わらせたいんだがな。

 

「そういや、夕呼先生とはあの後どうなんだ?前に会ったときは喧嘩別れになった、て聞いたけど」

「第四計画の準備で飛び回ってるよ。相手にされてないけど」

 

こいつとしては味方になってほしいんだろうが、この世界では只のマッド予備軍だからな、あいつ。

原作ほど追い詰められているわけじゃないこの世界で、

”アンドロイド作ってそこに人間の意識フルコピーします、コピーされた相手は死にます”

なんてまっとうな人間なら聞く耳を持つはずがない。持ちそうな人間は去年のテロやそれ以前のやらかしですでに力を失っているし。

原作で選ばれたのだって対抗のアメリカ案が

”G弾でハイヴ吹っ飛ばそうぜ!周辺被害?使用後の悪影響?知らん!”

なんて内容だったから前線国の反発買って、消去法で選ばれたようなもんだし。

そのアメリカ案もこの世界ではG弾が使えないことが判明しているために提案すらされてないから、第四計画に00ユニット案を無理に選ぶ必要がない。そのせいで第三計画がだらだら伸びているともいえるのだが。

それでもあきらめず賛同者を増やそうと躍起になっている、と鎧衣課長から報告を受けていた。

トロニウムに関しては知らないにしても、俺が帝国侵攻に関係あることには感づいているからな。他人に漏らそうもんなら即座にそいつごと消せるように常時監視がつけられている。

まだ消されていないのは俺が待ったをかけたからだ。言動はアレだが天才なのは間違いない。それは俺だって認めてる。

並行世界の技術情報なんてズルしてる俺なんぞよりよほど努力家で才能があるのは間違いないのだ。可能なら味方に引き込みたいとは思ってる。

 

が、そのためには一回彼女には挫折、というか鼻っ柱を折られる経験をしてもらわねばならない。

 

そもそもの話、彼女は自分が誰よりも上の立場でないと気が済まない性格に見える。

親友相手でも精神的にマウント取ってるように見えるし、作中で誰かに頭下げているところを見たことがない。

明らかに自分を下に見ている人間に心の底から協力したいと思える人間なんてそうそういない。相手が能力で上回っていても。

オルタネイティヴ4にしたって自分から名乗りを上げて始めたことだ。”私なら世界を救える”と言って。

世界救えると名乗りを上げた手前今更できませんでした、などということができず意地張りまくって、余裕を失って攻撃的になっていきその態度についていけなくて人が離れていき残った連中も心が離れ、政治なんて本来分業すべきことを自分で背負い込んでさらに研究する時間が無くなり、そして自滅した。

それがアンリミテッドという物語のすべてじゃないだろうか。

 

結局のところ、彼女は聖母や英雄になろうとするべきではなかったのだ。誰も彼女の鼻っ柱を折れなかったからどこまでも突っ走り、そして人生初めての挫折を認められずあがいてそれに大勢を巻き込んだ。

頭を下げて力を貸してほしい、と一言いえばこのクソみたいな世界でも手を貸してくれた人間は必ずいたはずなのに。少なくとも親友は軍務でなくとも必ず力を貸してくれたはずだ。

俺のように政治や軍事をできる人間に丸投げして研究に打ち込めばよかったのだ。能力で劣っていても同僚と一緒に。そうすればあんな仕様で量子電導脳なんぞ作らなかったはずだ。

 

原作では量子電導脳の構成物質はかなりの部分がBETA由来のものだったらしい。ODL含めて。

コンピュータに例えるなら”プログラムは自分で書いたけど、ハードも通信ネットワークもメンテナンスも敵に依存しています”と言ってるのに等しい。特にメンテ依存がやばい。

なんでこれで一方的に情報抜き取れると思えたのか。実際逆ハッキング受けてたわけだし。

それでなくとも諜報員を戦闘員としても使おうなんて欲張らなければ情報漏れも防げたはずなんだが。00ユニットに人間側の情報教えないだけで済むんだし。

 

それに、追い詰められていたとはいえ原作での彼女の行動にはアレな部分も多い。特にXM3トライアルの件は擁護のしようがない。

 

基地の綱紀粛正がしたかったのならまず基地司令であるラダビノット准将に相談するのが筋だ。インド戦線を戦い抜いた歴戦の将なのだから兵士が弛んだままなのはまずいと理解してくれるはずだし、もっと穏便で効果の高い方法を実施してくれたはずだ。それでなくても親友である神宮司まりもに一度聞いてみるべきだった。元富士教導隊といういわば教える側のエリートで、新兵訓練を任せていた相手なのだからケツの蹴っ飛ばし方は心得ていたはずだ。ちょうど白銀たちが卒業して手が空いていたはずなのだからいつもの如く無茶振りすればよかったのだし。

だというのに周りに一切相談せず、捕獲していたBETAを試験区域に放つという暴挙に出た。試験中ゆえ非武装で戦う羽目になった基地の兵士たちは当然抗うすべなどなく。結果として同量の金より貴重なベテランを何人も死なせることになった。その中には彼女にとって無二の親友も含まれている。

 

人間不信はまだいい、俺だってそうだ。だが自分の能力を過信して誰一人に相談どころか上司に報告もせずあんな暴挙をやらかすようではとても仕事を割り振れない。

天才ではあっても特別な人間ではないと一度思い知ってもらわねば、こっちも協力できない。でないと独りよがりで突っ走ってまた何か致命的なミスを犯しかねない。

トロニウムの扱いでミスった俺のように。

俺が諭せばいい?同じ穴のムジナが言っても心に響かんよ。ましてや技術ならともかくそれ以外は一般人と大差ないのだ。技術以外の口論になれば言葉のマシンガンでハチの巣にされるだろう。

…未だ女狐になる前の彼女は魑魅魍魎共にハチの巣にされているようだが。

どこに行っても二言目にはこう聞かれるらしい。

 

「その計画、稲郷博士は何と言っているんだ?」

 

本当のことを言えばその時点でアウト。嘘ついてもまだ成人前の小娘では連中には敵わない。すぐにばれる。

結果として全く賛同者を集めることができていない。

…当然のことではあるのだが。

 

「あいつにゃ悪いが声をかけられそうな人間はほぼ根回し済みだ。常時監視されてるからそれ以外の人間に声かけようとしてもこっちの方が早く手が打てる。一回挫折させて誰でもいいから対等に人を見られるようになってもらう。こっちから声かけるのはそのあとだ」

「…それ、九郎が考えたのか?」

「政治担当と諜報担当だよ。俺なりの彼女に対する考察話してどうすれば味方に引き込めるだろうか、て相談したらそうなった。あとは全部こっちに任せろって言ってな」

 

ちなみに闇堕ちしたらその時点で終了である。所詮自己顕示欲で喚いていただけだと処理されることになる。

その前に一回へし折れてくれるといいんだが。

 

何て話をしていたら。

 

『九郎様、侵入者です』

 

美沙が通信で知らせてきた。

 

「斯衛で処理しないで俺に連絡するとは、一体どういうことだ?」

『それが、ずいぶんと可愛らしい侵入者で』

 

可愛らしい?

 

『た、助けて武ちゃ~~ん!?』

「純夏!?」

 

侵入者捕縛用の罠にかかって、上下逆でプラプラ揺れてる少女がカメラに映った。

なんでここにいるんだ。

 

 

-----------------------------

 

 

「で。白銀の後をつけてきたはいいが、家に入っていった白銀をこっそり探そうとして罠にかかってああなっていたと」

「うう、は、はい」

 

正座した鑑の前で仁王立ちした俺の尋問に、彼女は涙目になりながら素直に答えた。

 

「ぜ、全然気づかなかった…」

「後でてめえも説教だ」

 

OTZになって項垂れる白銀に追撃する。

元軍人のくせになんでど素人の尾行に気づけないんだ。

斯衛の連中はさすがに気づいていたが、いくら何でもこんな小さな子供がスパイとは考え難く。というか護衛対象の隣人ということで顔写真などが周知されていたのでその線はすぐに消えた。

さりとてこのままというわけにもいかず、家の敷地内に入ったところで捕まえる予定だったらしい。

…その前に罠に引っかかって俺のところに連絡が来たが。

 

「で?なんでこの馬鹿尾行してたんだ。横浜からここまで時間も金もかかっただろう?」

 

白銀の交通費は俺が出してるが、彼女はそうではない。尾行してきたのなら少なくない金を使ったはずだ。

 

「あ、あの!」

 

涙目で俯いていたのが、キッと顔を上げて俺を睨みだす。

 

「武ちゃんをこれ以上、悪い道に引き込まないでください!!」

「「…は?」」

 

思わず白銀と顔を見合わせる。

 

「武ちゃんがこの間大人の人たちにたくさん怒られたのって、あなたが原因なんですよね!?だから、これ以上武ちゃんが怒られないように、武ちゃんに悪いことを教えないでください!!」

 

なるほど。

怒られた理由は教えてもらえなかったが、俺が原因で怒られたことは分かった。

そこから白銀が怒られた原因は悪いことをしたからだと思い、それを教えたとおぼしき俺に抗議をしに来たと。

 

「愛されてるな、白銀」

「…!」

 

顔を真っ赤にしてそっぽを向く白銀。

俺を睨み続ける鑑に真相を教えてやる。

 

「違うぞ、鑑。こいつは俺の命の恩人なんだ」

「ふえ?」

「こいつのおかげで俺は悪い奴から逃げることができた。でも、まだ子供のこいつが俺を助けるために危ない真似したんだ、大人としては二度とそんなことをしないよう怒らざるを得ないだろ?」

 

白銀の頭をポンポン叩きながら、ある程度ぼかして教える。

一から十まで教える必要はないだろう。白銀と違って、彼女は年相応の少女なのだ。

 

「タケルチャン?」

 

目を光らせながら自分を向いた鑑に、白銀がびくつく。

 

「い、良い事したんだからいいだろ!?」

「命の危険があることしたんだから、怒られるのは当然だと思うぞ?」

「余計なこというな!?」

 

ゆらり、と。

立ち上がった鑑がゆっくりと白銀に近づく。

逃げ出そうとした白銀を、首根っこ押さえてその場に留まらせる。

 

「九郎!?手を離せェ!」

「助けてくれたことに感謝はしてるが、無茶したお前が悪い。一発ぐらい殴られとけ」

「その一発がシャレに」

「武ちゃんの…ぶぁかぁ―――!!!

「キャリバ――ン!?」

 

鑑の一撃が、ボディにクリーンヒット。

そのまま上に向かって振り抜き、哀れ白銀が天井に激突。

いわゆる車田落ちで地面に叩きつけられた。

 

「…死んだか?」

「生きているようです。辛うじて、ですが」

 

美沙が脈を確認して生存を確認したが、しばらく起きそうもねぇなこりゃ。

 

 

-----------------------------

 

 

「へぇー、偉い学者さんなんですね」

「偉いかどうかは分からんがな」

 

とりあえず馬鹿が起きるまで雑談して時間をつぶす。

美沙や斯衛に預けてもよかったんだが、どっちも他にやることあるからな。

見られて困るものは事前に片づけてあるし、ちょうど手持無沙汰だったので彼女の精神面を確かめることにした。

あの様子だとループしていても白銀が気付いてない可能性がありそうだったからな。

…結果はシロだったけど。

 

「…あの、稲郷さん」

「なんだ?」

 

居住まいを正した鑑が、不安そうに聞いてくる。

 

「稲郷さんは、武ちゃんが衛士になろうとする理由を知ってますか?」

「…言ってないのか。こいつぐらいの年の子なら、ロボットに乗れるだけでなりたいとかいうもんだと思うが」

 

鑑はゆるゆると首を振り、心配そうな顔で膝の上で眠る白銀を見る。

 

「武ちゃんのそれは、もっと違う理由だと思うんです。そんな、明るい理由じゃない。もっと、苦しくて、悲しくて。自分がやらなきゃ、て追い詰められているような。そんな気がするんです」

 

…ほぼ当たっている。

どの世界でも惹かれ合う者同士だからだろうか。

 

「すまんな。知ってはいるが、男と男の約束だ。話すことはできない」

 

だが、このくらいは教えてもいいだろう。

 

「それでも、そこに大切な人を守りたいって思いがあるのは間違いない。そいつのことを思うなら支えてやれ」

 

一瞬呆けた顔をしたが、すぐに白銀の顔を覗き込み、ゆっくりと頭を撫でだした。

…うん、砂糖を吐きそうなくらい甘ったるい空間になっちまったな。

 

「う、ン…」

「武ちゃん?」

 

そうして鑑が撫でることしばし。

ようやく白銀が目を覚ました。

…腹抑えて悶えてるけど。

 

「次の実験は一週間後になる。体壊すなよ」

「ただ今絶賛ぶっ壊れ中だよ…!」

「そういえば、武ちゃんが稲郷さんの研究手伝ってるのは聞いたけど、どんなのなの?」

 

…まあ、スイッチ切ってるし見せても問題ないか。

 

「奥に戦術機置いてあるだろ。あれに乗っけたちょっと特殊な機械でな」

「生まれつきの適性がないと動かせないってんで、たまたま知り合った俺が手伝ってんだ」

 

ようやく復活してきた白銀と一緒にゲシュペンストのコックピットまで行き、中を見せてやる。

 

「へーー。武ちゃんにそんな力があったんだ」

「馬鹿にしてるだろお前」

「だって武ちゃんが特別な力持ってるなんて、全然見えないんだもん」

「確かにな。見た目馬鹿にしか見えないし」

「ふたりしてひどい」

 

なんて馬鹿な話して、後は帰らせるつもりだったのだが。

 

「あの、私にも使えるか調べてもらえませんか?」

 

鑑がそんなことを言い出した。

 

「動かせるほどの人間は何万人に一人ってレベルだし、こいつほどの適性値はそうそう出ない。そもそも危ないことはさせられないし」

「でも武ちゃんができるなら、私にもできると思うんです!」

「どういう意味だコラ」

 

互いに頬っぺた引っ張り出した二人をほっといて、少し考える。

 

「…まあ、脳波をモニターする分には特に問題もないか。白銀、一緒に乗ってやれ」

「…危険はないんだよな?」

「病院で脳波調べんのと一緒だ。システムのスイッチは切ってあれば問題ない。鑑、後ろの席に座るだけでいい」

「やったあ!…あ、ありがとうございます」

 

というわけで、鑑が副操縦席に座り、白銀が主操縦席に座る。

後は脳波をモニターして、テレキネシスαパルスの数値を確かめるだけ。

 

 

 

 

 

 

そのはずだった。

T-linkシステムが起動した。

 

「何!?」

「嘘だろ!?スイッチ確かに切って」

 

そんなのは後だ!とにかくスイッチを切って…!?

 

「あ、あ、ああああ」

「純夏!?」

「ああああああああああああああ!?」

 

バシッと。

突然発生した念動フィールドにキャットウォーク含めた周りの物が弾き飛ばされる。

 

「純夏、返事しろ、純夏!!」

「呼びかけ続けろ!外から強制停止させる!!」

 

白銀はすぐに鑑に飛びついて呼びかけ続けている。

いろいろ吹っ飛んできて体に当たったが体の痛みを無視して俺も起き上がり、外からモニターするためのコンソールに飛びつく。

緊急用に取り付けた外部からの強制停止スイッチを叩けば、念動フィールドは消失。

白銀が機体を跪かせ、コックピットを強制開放する。

 

「純夏、大丈夫か純夏!!」

「医務室!急患だ、第13ハンガーに大至急!!」

 

ぐったりする鑑を抱き起す白銀を見ながら、常駐している医者を呼び出す。

クソ、確かに停止していたはずなのに、なんで動き出した!?

 

「……あ、たけ、る、ちゃ」

「純夏!?しっかりしろ純夏、今医者が」

「ごめんね、たける、ちゃん」

「純夏…?」

「わたしのせい、で、あんな、ひどいめにあ、って」

 

俺も、白銀も、言葉が出ない。

 

「なの、に、また、こん、な…」

 

こちらの反応を待たず、鑑がまた意識を失う。

 

「純夏?おい、返事しろ純夏!!」

「あまり揺らすな!今医者が来る!」

 

ようやく来た医者が鑑の診察を始めるのを見ながら、俺は考える。

 

たった今、鑑が言った言葉の意味を。

 

 





○量子電動脳について
原作では半導体150億個を手のひらサイズに、というのが開発のネックになっていたようですが、そこまで小型化する必要あったんでしょうか。
00ユニットが人型なのは量子電動脳の制御OSがコピーした人間の精神データで、あまりに人型から外れているとストレスで自我崩壊するからだそうですが、逆に言えば制御OSに人間を使わなければ脳みそサイズまで小型化する必要はないとも解釈できます。
XM3に使ったCPUを集積させれば戦術機の管制ユニット程度の大きさに収まったかもしれません。
制御OSだって甲21号作戦時の鑑純夏は自我があるようには見えない状態でしたから、最低でもあの程度の受け答えができるAIを組めればXG-70の運用も問題なく行えそうですし。
そもそも人間の精神移植するなんてトンデモやるよりそっちの方が確実だと思うんですが。信頼できるプログラマーすぐそばにいたわけですし。
プロジェクションやリーディング?00ユニットに搭載できていた時点で機械的に再現できていると考えるべきです。そもそも鑑純夏にないはずの能力付け足してるわけですし。
人類を救うというのは副次的な目的で、自分の理論の立証にこだわっていたのではないか、というのは穿ち過ぎな見方でしょうか。


次話は明日更新予定です。

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